表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】転生したら才能があった件 ~異世界行っても努力する~【書籍・コミック好評発売中!】  作者: けん@転生したら才能があった件書籍発売中
13章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 魔の森編 ~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/532

第205話 深夜の戦い

「デーモンって……」


 サーシャが呟くとヒュージが


「あくまでも可能性だ。だが魔の森から来た魔物達の傷跡を見ると火魔法、水魔法、土魔法で傷つけられた跡があったからな。言い伝えだとデーモンは風魔法以外の魔法を使うと聞いたことがあるからそう思っただけだ」


 ヒュージの言葉にサーシャが


「そうですね。リーガン公爵であればもしかしたら傷跡だけで判断できたかもしれませんが……」


 ヒュージの言葉を聞いてどこか納得したような表情で同意していた。リーガン公爵だったらなんで分かるというのだろうか?


「よし、それではこれからの作戦を考えたいのだが何かあるか?」


 ヒュージが俺たちに問いかけてきたので


「はい。まずは戦場をバーグットから移したいと思います。ですから魔の森の近くに拠点を構えてそこで魔物達を迎撃しようかと。万が一の事もありますから、ここにもある程度の戦力を残すのと、隣町のガナルにはこの街から避難して街に入れない者たちが多数おります。その者たちをなるべく早くこの街に呼び戻したいのですが?」


「そうか……ではガナルから住民たちを呼び戻すことを最優先にしよう。呼び戻すのには【氷帝】のメンバーを遣わせよう。バーグットの住民たちは恐らく俺達【氷帝】のメンバーの事を覚えているだろうから素直に従ってくれるとは思う。

だが魔の森の近くに拠点を構えるというのは無理だ。ここの住民たちが大工仕事をしている余裕はないだろう。それに魔の森の近くまで非戦闘員を連れて行くのは避けたい。資材を持ち運ぶことも大変だしな」


「資材も住民たちも必要ございません。必要なのはヒュージ様のお力だけです。小さい砦のようなものでしたら1日もかからずに作る事ができます」


 俺の言葉にヒュージが少し顔をしかめた。何言ってんだこいつとでも思っているのだろう。


「分かった……ではその件はまた後日考えよう。今はすぐにでもガナルの住民を呼び戻すことを優先としよう。呼び戻すにあたってこの街にいる冒険者を派遣したいのだがこの街の防衛の事も考えないといけない。

俺達【氷帝】を含めて20名ほどいるが、どのくらいここに残しておけばいい? 住民たちがここに戻るまでの間の護衛もしないといけないから最低でも10名は派遣したいのだが……」


 ヒュージの言葉にサーシャが答えた。


「この街にいる冒険者全員で行っても問題ないと思います」


 サーシャの言葉にヒュージが


「サーシャさん。さすがにそれは自信過剰すぎるのでは? 確かにマルスとサーシャさん、そしてアイクがいれば多少は持ちこたえることが出来るかもしれませんが……」


 と少し困ったように言うとサーシャが


「ヒュージ様、私は一緒に来たメンバーの中では7番目くらいの実力だと思っております。私はB級冒険者中位クラスだと自負しておりますが、少なくとも上位クラスがマルスを除いても3名はいるかと。ここは私たちを信じてガナルの街にいるバーグットの住民たちを少しでも安心して戻って来られるように、なるべく多くの人数で迎えに行ってもらえませんか?」


「サーシャさんが7番目? にわかには信じられないですが……分かりました。サーシャさんがそこまで言うのであれば私も一緒にガナルの住民たちを迎えに行くとしましょう。

もう日が落ちてきますが、私たちは準備が出来次第出発します。マルス、アイク、サーシャさん、少しの間だがこの街をよろしく頼むぞ」


 ヒュージの言葉に俺たちが頷くと満足そうにヒュージが部屋から出て行き近くの冒険者たちに指示を出し始めた。


 俺達も皆の下に戻り事情を説明してから今後の方針を述べる。


「12人を2つの班に分けて12時間交代で見張りをすることにします。もちろん余裕があるのであれば休んでいる班の者も警戒に当たってください。

バーグットの住民たちが戻ってくるのに5日はかかると思ってください。みんな徒歩だし、訓練もされていない、中に赤ちゃんまでもいたから住民たちの移動速度は非常に遅いものと仮定しておいてください。

この街の警戒中は【黎明】と【紅蓮】のパーティを割り、マルス班とアイク班に分けます。それぞれ今から言うから覚えておいてください。


まずはマルス班から

エリー、カレン、ミーシャ、イースト、ユーリの5名


続いてアイク班

クラリス、アリス、サーシャ、眼鏡っ子先輩、ガルの5名


基本的にマルス班は0時〜12時、アイク班は12時〜0時の警備を担当してもらいます。ちなみに僕は3時間の睡眠で済むからアイク班の警備にも参加します。これからマルス班はすぐに休憩に入ります。みんなよろしく頼む!」


 俺が指示をすると、アイクが「分かった」と頷いた。ちょっと俺たちの班の方が強いかもしれないがエリーは夜でも警戒ができるし、ミーシャも索敵は得意な方だ。


 それにカレンは火魔法で明かりをつけることが出来る。バランスを取るためにイーストとユーリをこちら側に配置した。それに皆に伝えたように俺はアイク班でも警備をするつもりだからベストではない班割りかもしれないが、悪手ではないはずだ。


 すぐにマルス班は休憩に入る。もう18時になろうという時間なので風呂に入り、軽食で済ませ、すぐにベッドに入った。


 俺がベッドに入るとエリーがすぐに俺の隣に潜り込んでくる。エリーの精神安定も兼ねて、エリーと同じ班にしたというのもある。


 22時前に起きて俺はバーグットの街の中を歩いた。どうやらヒュージ達はもうバーグットを出発したようだ。


 街の外に出ると南側にはアイクとクラリスを中心に警戒にあたっていた。サーシャとアリス、眼鏡っ子先輩とガルが2人一組となってバーグットの街の周囲をグルグルと徘徊しながら警戒にあたっている。


「どうですか? 魔物は来ましたか?」


 俺がアイクに聞くと


「魔物はまだ来ていない、ヒュージ様が言うには魔物達はある程度まとまってくるようだ。デーモンたちに恐れをなした魔物達が群れを生して逃げてきているんだろうと言っていたが、そうかもしれんな」


 魔物に恐れられる魔物ってかなり強いのかもしれない。


 俺とアイクが話していると少し離れたところにいたクラリスがやってきた。


「マルス早いわね。今日はアイク班、1時まで警備するわよ。流石に18時から色々やって0時に警備始めるのは大変だろうから」


「ありがとう。助かるよ。美容の為に早く休んでほしいけど今回は厚意に甘えさせてもらうよ」


「あら? 私がこのために夜更かしをして、シワが増えてもしっかり責任取ってくれるでしょ? もしも責任を取ってくれなかったらお義父様やお義兄様に泣きつくからね」


 笑いながら俺に寄り添ってきた。今日も絶好調でクラリスは可愛い。3人で談笑していると俺のサーチに何かが引っ掛かった。


「南から何かが来ています!」


 俺が2人にそう言うと2人はすぐに戦闘態勢を取った。夜空に向かってファイアを放ち他のメンバーに合図を送った。空に打ち上げたファイアが南側の暗闇を照らすと魔物達が砂煙を上げてこちらに向かってきている。


「来るぞ!」


 しっかり犬のような魔物達が30匹くらいこちらに向かっている。



【名前】-

【称号】-

【種族】アサルトドッグ

【脅威】C

【状態】狂乱

【年齢】5歳

【レベル】7

【HP】42/42

【MP】3/3

【筋力】22

【敏捷】34

【魔力】1

【器用】32

【耐久】21

【運】1



「魔物は脅威度Cのアサルトドッグです! 狂乱状態となっているから気をつけてください! あとその後ろにも何体か来ています! アサルトドッグはそいつらから逃げているみたいだから十分に注意をしてください!」


 俺がアイクとクラリスに向かって叫ぶと2人は頷いた。


「マルス! ここは俺とクラリスだけで十分そうか? もしも任せても大丈夫そうな場合は他の索敵を頼む!」


「分かリました、2人なら多分大丈夫です! 俺はアリスと眼鏡っ子先輩の近くに行って様子を見てくる!」


 そう言ってまた夜空をファイアで照らす。すると街の方から凄いスピードで駆け寄ってくる者がいた。


「マルス!……私……どうすればいい……?」


 エリーが俺の所に走ってきながら聞いてきた。エリーはいつもMPを枯渇させないで寝るからこういう時にすぐに起きられるのが強みだ。


「エリーは眼鏡っ子先輩とガル先輩の所に……」


 と言おうとしたがもう既に眼鏡っ子先輩とガルは俺の視界の中に入っていた。そしてサーシャとアリスもこちらに向かっているのが分かる。


「サーシャ先生とアリスもこちらに向かっているようだ! みんなここで迎え撃ってくれ! 俺は別の魔物達の群れが居ないか探してくる!」


 正直脅威度Cの敵であればクラリスだけでも勝てそうだが、初戦だからみんなの緊張をほぐしておきたい。


 それにアサルトドッグの後ろから迫ってきている魔物も気になる。俺の考えをよそにクラリスとアイクだけでアサルトドッグをどんどんと屠っていく。2人とも気合が入っているから仕方がないか……


「く、クラリスもここまで強いのか……」


 ガルがクラリスの魔法の弓矢(マジックアロー)の攻撃に見惚れていた。


 結局2人だけでアサルトドッグを全て倒してしまった。まぁ夜間の戦闘だから仕方ない。昼であればアリスに倒してもらいたかったが。


 アサルトドッグを倒した1分後くらいに醜悪な顔をした紫色の肌の人型の魔物達が槍を片手に迫ってきた。その数は10体。1体だけ体が大きい魔物がいた。まずは小さい方、小さいと言っても160cmくらいの魔物を鑑定した。



【名前】-

【称号】-

【種族】レッサーデーモン

【脅威】C+

【状態】良好

【年齢】1歳

【レベル】5

【HP】45/45

【MP】47/99

【筋力】24

【敏捷】30

【魔力】35

【器用】25

【耐久】20

【運】0


【特殊能力】槍術(Lv2/E)

【特殊能力】火魔法(Lv3/E)

【特殊能力】水魔法(Lv2/E)

【特殊能力】土魔法(Lv2/E)


【詳細】神聖魔法に弱い



 そして大きい方の180cmくらいの魔物を鑑定すると


【名前】-

【称号】-

【種族】デーモン

【脅威】B+

【状態】良好

【年齢】1歳

【レベル】8

【HP】103/103

【MP】187/257

【筋力】44

【敏捷】68

【魔力】89

【器用】71

【耐久】58

【運】0


【特殊能力】槍術(Lv3/E)

【特殊能力】火魔法(Lv7/C)

【特殊能力】水魔法(Lv6/D)

【特殊能力】土魔法(Lv5/D)

【特殊能力】MP回復促進(Lv3/E)

【特殊能力】魔物召喚(Lv1/G)


【詳細】神聖魔法に弱い



 ヒュージの睨んだ通りデーモンだったか。デーモンに関しては背中から黒い羽が生えている。もしかしたら飛べるのかもしれない。


「来ます! レッサーデーモンとデーモンです! 魔法攻撃もしてくるみたいだから気をつけてくだいさい! 脅威度はC+とB+です! レッサーデーモンもデーモンも神聖魔法が弱点です! 眼鏡っ子先輩とガル先輩、それにアリスは後方で待機してください!」


 深夜の第2ラウンドが始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
bxmc4v912wvg6s41hxdbdiqjhk8c_k6g_1e9_22m_1m659.jpg dhdiadh6y42697w151s27mq2vpz_14nr_p4_110_lkan.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg asc9b0i8bb8hgzuguaa1w3577f_17n4_28e_35p_y2kp.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] アイク以外の紅蓮メンバーが弱過ぎるんよ 氷帝の余り面子のが強いんじゃないのか?
[気になる点] 眼鏡っ子先輩は、義姉(ねえ)さんと呼ばれてもいいはずだけど、最近は姐(ねえ)さんと音が紛らわしいですからね… [一言] >「あくまでも可能性だ。 悪魔だけに… まあ、デーモンは悪魔とも…
[一言] なんか、 隠している神聖魔法を誰かに打ち明けるくだりと、 隠している実力を誰かに打ち明けるくだりばかりの話だなぁ、と思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ