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13章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 魔の森編 ~

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第204話 バーグット

間違えて朝の4時に投稿してしまいました・・・

すぐに気づいて削除したのですが、もしも朝に見たという方は申し訳ございません。

 2031年5月18日 11時



 魔物達と戦いながらようやく俺たちはガナルの街の付近まで辿り着いた。ガナルの街とは俺たちが6歳の時に捕まった街だ。


「もう5年前かぁ。ここに来ると色々思い出すね。私がマルスの事を好きになったのもその頃だったなぁ。あの時マルスとクラリスが来てくれなかったら私はもう死んでいたんだろうなぁ」


 俺は今サーシャとミーシャの馬車に乗っている。


 この辺の地理はサーシャが一番明るいから俺とアイクがこの馬車に乗り、サーシャと相談しながら東に進んでいた。ミーシャが感慨深そうに言うと


「そういえば昔、マルスがエルフの子と会ったって言っていたがミーシャだったのか……まぁ考えてみればマルスと同じ年のエルフといえばミーシャくらいしか居ないのかもしれないが」


 アイクが言うとサーシャが


「まさかあの時の子供が息子になるなんて思いもしなかったわ」


 感慨深そうに呟いた。


 それにまだ息子になるとは決まったわけではないが……ん? 待てよ? もし俺がみんなと結婚したら義理の父と義理の母が一気に増えるのか? 付き合いが大変そうだ……


 3人の会話を黙って聞きながらガナルの街の方を見ているとどうやら少し街の外の様子がおかしいようだ……近づくと街の外でかなりの人数の人が騒いでいた。ヒスが死んだときのエルハガンの街の外の様子とはまた違った雰囲気だ。


「サーシャ先生! アイク兄! ガナルの街の周辺が騒がしいようです! 3人で先に状況を見てきませんか? 他のメンバーはここで待機をしてもらい、周辺の警戒をしてもらいましょう! ミーシャは馬車に1人だと不安だから【黎明】の馬車に戻っていてくれ!」


 全員俺の指示に納得してくれたのか、アイクが【紅蓮】の馬車に戻り待機を命じて戻ってきた。


 ミーシャも【黎明】の馬車に戻るとクラリスが不安な様子で馬車の中から顔をのぞかせた。俺が大丈夫という表情をするとクラリスが黙って頷いて戻った。


 3人でガナルの街まで走っていくと街の周辺は剣吞な雰囲気に包まれていた。


「早く俺らを街に入れろ!」

「飲み物だけでもくれ!」

「まだ子供が小さいの、お願い!中に入れて!」


 街の外から何百人、もしかしたら1000人はいるかもしれない人達が硬く閉ざされた街門に向かって叫んでいる。


 俺達は街に向かって叫んでいる女性の1人から話を聞くことが出来た。まずは土魔法で作った石のコップに水魔法で作った水を入れて女性に渡し、少し女性が落ち着いたところで


「どうしたのですか?なんでこんなに人がいるのですか?」


 俺が聞くと女性がずっと俺の方を見つめながら


「あ、ありがとうございます。私たちは隣町のバーグットの街からやってきました。バーグットの街の南には魔の森があるのですが、魔の森から魔物達が急に襲ってきまして。

最初は魔の森の間引きをしていた冒険者たちが抑え込んでくれていたのですが、一昨日あたりで少し危ないかもしれないという事で、まず私たち住民が先に逃がされました。

冒険者の中にはかなりご高名なお方が居るようでしたが、そのお方が少し怪我をしてしまったようで徐々に抑え込むのが厳しくなり、冒険者達も1週間後には撤退すると言っておりました」


 この話を聞いたサーシャが


「なぜガナルの街に来たの!? この街のキャパではこんなに受けいれることが出来るわけがないじゃない!? 北に向かって迷宮都市ギルバーンに行くのが普通でしょ!?」


 少し苛立った様子で女性に聞いた。確かにこのガナルの街は狭いよな……


「はい……ギルバーンにもかなりの人数が向かったと思いますが、ギルバーンに行くことに抵抗がある者も多く……」


 女性は言葉を濁しながら話した。なぜギルバーンに行くことに抵抗を感じるのだろうか? 俺達は女性の言葉の続きを待ったが、女性はこれ以上話すつもりは無いらしい。


「サーシャ先生! 今すぐに隣町のバーグットに向かいましょう! 少し危険ですが散開しながら進み、ここに向かってくる魔物がいるようだったら絶対に討ち漏らすことが無いようにしましょう!」


 馬車にすぐに戻りみんなに事情を説明してすぐに東進した。【暁】は俺以外、2人一組で行動することにした。


 俺が南側、その北をエリーとカレン、またその北をミーシャとサーシャ、そしてそのまた北側を馬車に乗ったクラリスとアリス、そして一番北を【紅蓮】の馬車が走る。


 これでかなり広範囲の魔物を索敵しながら東進できる。そして魔の森により近い南側を俺が進むことによって皆の危険度を下げることができるはずだ。


 魔物は散発的に現れるがそこまで多くはなかった。しっかりサーチをしているので討ち漏らしてはいないだろう。まだ明るいうちにバーグットが見える所まで着いた。


 俺はサーシャの方に向かって、アイクもサーシャのいる所に向かっていた。また先ほどのようにサーシャの馬車に俺とアイクが乗り込み、他のメンバーもそれぞれの馬車に乗った。


「このままバーグットの街に入るわよ。バーグットが落ちている様子はないけれど……」


 街に近づきながらサーシャが話しているとちらほらと魔物の死体が転がっているのが見えた。焼く余裕がなかったのかもしれない。


 その死体を焼きながらバーグットの街の街門まで行くと当然のことながら街門は固く閉ざされていた。そして見張りをしていたどこか見覚えのある冒険者が


「ここは危険だ! 立ち去れ!」


 俺たちの馬車に向かって叫んだ。サーシャが馬車を降りて冒険者に対して


「私はB級冒険者のサーシャ・フェブラントだ! リスター連合国12公爵の1人、リーガン公爵のクエストでここに来た! 門を開けてもらいたい」


 見張りをしていた冒険者に言うと、すぐに固く閉ざされた街門が開いた。俺達も馬車から降りて街の中に入るとすぐに見張りをしていた冒険者が俺達の所に駆け寄ってきた。


「お前は……確かリスター帝国学校の……」


 俺を見た冒険者がそう言うとサーシャが


「まずここの代表に話を聞きたい。領主よりも冒険者のリーダー的存在に会いたいのだがいいか?」


 冒険者に聞いた。サーシャは冒険者同士で話すときは口調が変わるのか……まぁこの冒険者がA級冒険者という事はないだろうからな。口の利き方がと言われることもないだろう。


「分かった。だが現在ヒュージは怪我をしている。そこのアリスと一緒に来て欲しいのだが?」


 どこかで見たと思ったら【氷帝】のメンバーだった人か! サーシャと冒険者の会話中に馬車から降りてきたアリスを見ていたようだ。当然アリスが神聖魔法使いという事は知っているか。


「分かりました。では僕たち3人とアリスでヒュージ様の所に伺わせて頂いてもよろしいでしょうか?」


 と聞くと冒険者は頷きヒュージの下へ案内してくれた。街の中心地にある宿の1室でヒュージは横たわっていた。俺達4人が部屋に入るとヒュージは目を開けてこちらを見た。ヒュージの顔は火傷を負っているようだった。


「おお! マルスたちか! ビジック、俺はこの4人と話すことがあるから下がってくれ。あと撤退準備は中止だ! 皆に伝えてきてくれ」


 俺達と話をしていた者はビジックと言うのか。安易に鑑定をし、バレてしまうと不信感を持たれる可能性があるから控えていたのだが。ヒュージに命令されたビジックは少し驚きながら部屋を退出した。


「お久しぶりです。ヒュージ様。まずは怪我を治しましょう」


 俺がヒュージの顔の火傷をヒールで治すとヒュージは服を脱ぎ、体中の火傷を俺に見せた。アリスは火傷の傷を見るのが嫌なのかそれとも男の裸を見るのが恥ずかしいのか目を背けた。


「助かる。ここも頼む。魔物達の溶解液を防ぎきれなくてな」


 体中の火傷跡を俺がヒールで治すとアイクが驚いて俺の方を見ていた。きっとなんで神聖魔法が使えることをこんなにあっさりとバラすのかと思っているのだろう。そんなアイクの表情を読み取ったヒュージが


「君は確かグレンだったかな? なんでマルスが俺に神聖魔法を使うのかと思っているのかい?」


 アイクに尋ねた。


「申し遅れました。僕はマルスの兄のアイク・ブライアントと申します。ヒュージ様の仰る通りの事を考えておりました。申し訳ございません」


 アイクの言葉に少しヒュージが驚いたようで


「グレンとマルスは兄弟だったのか! とんでもない兄弟だな。その様子ではマルスには何も聞かされていないようだな。まぁ誰にも言わないという約束だったから当然かもしれないが。だが俺がグレン……アイクに言うのはいいだろう?」


 俺に向かって聞いてきた。何を言うのかは分かっている。もちろん試合結果だろう。


「はい、ヒュージ様がよろしければ……」


 俺が答えるとヒュージがアイクに


「俺はこの前マルスと1対1の戦いをして負けたんだよ。もしも俺が勝ったらアリス以上の神聖魔法使いを【氷帝】に参加させるという条件で、俺が負けた場合はアリスの事を諦めるという条件だ。俺が負けた時にマルスが神聖魔法使いという事を打ち明けてくれてな。だから俺はマルスが神聖魔法使いという事を知っているんだよ」


 そう言えば俺はアイクに訓練は手伝ってもらったが結果は報告していなかった。


 だってあれからずっと会っていなかったからね。アイクはヒュージの言葉に驚きはしなかった。そう言う事か、と言う感じで納得していた。ヒュージの傷を全て癒すとヒュージが俺たちに


「みんな魔の森へ一緒に行ってくれないか? どうやら魔の森に化け物が入ったようだ。そしてその化け物は魔の森の魔物と対立しているらしい。魔の森にいた脅威度の比較的低い魔物が狂乱状態で魔の森から脱出しているんだと思われる。そして食料を求めて近くの街を見つけては襲っているのだと思う」


 リーガン公爵が変な魔物と言っていたという奴か。


「ヒュージ様、その化け物というのはどういう魔物ですか?」


 俺がヒュージに聞くとヒュージが答えた。


「確証はないがデーモンだと思っている」


グリズリーベア=熊族ではないように

デーモン=悪魔族という訳ではないので悪しからず

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― 新着の感想 ―
[一言] そんな貴重な神聖魔法使いの情報を助けたエルフの親に売り渡されるとは思って無かったわ
[一言] グリズリーベア=熊族ではないように デーモン=悪魔族という訳ではないので悪しからず ビャッコも獅子族だったしな
[一言] デーモンはかつては神だった存在が貶された者、でしたっけ
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