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10章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 黎明の6人目編~

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第168話 剣聖対槍王

2031年3月15日


 この1ヶ月俺は特訓に特訓を重ねた。残念ながら特殊能力は何もレベルが上がらなかったが、ステータスは伸びた。



【名前】マルス・ブライアント

【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリン虐殺者

【身分】人族・ブライアント伯爵家次男

【状態】良好

【年齢】11歳

【レベル】41

【HP】105/105

【MP】8054/8054

【筋力】99

【敏捷】98

【魔力】114

【器用】96

【耐久】93

【運】30


【固有能力】天賦(LvMAX)

【固有能力】天眼(Lv10)

【固有能力】雷魔法(Lv9/S)

【特殊能力】剣術(Lv9/A)

【特殊能力】火魔法(Lv5/D)

【特殊能力】水魔法(Lv5/D)

【特殊能力】土魔法(Lv5/D)

【特殊能力】風魔法(Lv10/A)

【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)


【装備】雷鳴剣

【装備】火精霊の剣(サラマンダーソード)

【装備】鳴神の法衣

【装備】偽装の腕輪



「リーガン公爵、何か御用でしょうか?」


 今俺はリーガン公爵に校長室に呼び出されている。


「今日のヒュージとの戦いの事です。戦わずして負けを認めませんか? いくらマルスが強くてもA級冒険者には……」


「リーガン公爵。何度も言いますが僕は勝ちますよ」


 どうしてもリーガン公爵は俺のことを信じてくれないらしい。まぁ当然と言えば当然だが……


「……そうですか……わかりました。もうヒュージは闘技場に到着しております。闘技場に入るのは私とアリス、そしてライナー、ブラム、サーシャの5人だけです。他の者は立ち入り禁止と致します。ただし念のためクラリスだけは外に待機してもらいます。本当に無事に戻ってきてください……」


 リーガン公爵は本当に俺を心配してくれているようだ。リーガン公爵と一緒に闘技場に向かうとすでにヒュージとライナー、ブラム、サーシャ、アリスの5人は着いていた。


「本当に来るとはな……だが俺は手加減はせぬぞ!?」


 ヒュージが少しだけ凄んでくる。別に威嚇しているというわけではないが言葉に力が入っていることは確かだ。


「はい。1つだけお願いがあります。もしも僕が勝ちましたらここで見たことは誰にも言わないで下さい。もちろん【氷帝】のパーティメンバーにも」


「いいだろう。マルスが勝ったらな」


 ヒュージとの会話が終わるとアリスが心配そうにやってくる。


「本当に……気を付けてください……」


 アリスが申し訳なさそうに言うと、ライナーも俺のところにきて


「実際の所どうなんだ? 本当に勝てるのか?」


「ステータスがほぼ互角の場合、僕が負けると思いますか?」


 俺の言葉を聞いたライナーは安心した様子で戻り、アリスも俺の言葉に驚きながらライナーの後を追った。


「判定は私が下します。殺すのは禁止です。用意はいいですか?」


 リーガン公爵が俺とヒュージに向かって言うと俺たちは頷く。


「始め!」


 リーガン公爵の合図と共に俺は最初から雷鳴剣と火精霊の剣(サラマンダーソード)を抜いてヒュージに突っ込む。当然、未来視(ヴィジョン)で警戒し、風纏衣シルフィードを展開している。


 ヒュージは俺のスピードに面喰らっていたが、すぐに魔氷の鎧から2本の氷の腕を出し、氷の腕には吹雪の剣と氷結の剣をそして両手で銀雪の槍を持って俺を待ち構える。


 スピードでは圧倒しているがついてくるか……やはりもっと速い攻撃を散々経験しているのだろうな。


 近づくとヒュージがまず銀雪の槍で刺突をしてきたので、銀雪の槍の穂先をギリギリで躱した。今がチャンスとばかりに斬りかかろうとすると未来視(ヴィジョン)が銀雪の槍の攻撃を喰らう未来を俺に見せた。


 たった今躱したばかりなのに何故!? 咄嗟に俺の後方に突き出された銀雪の槍の先端の方を見ると、なんと穂先がいつの間にか鎌のようになっており、槍を手元に引く際に俺の左腕を斬り飛ばそうとしている。


 鳴神の法衣に雷魔法をエンチャントしてギリギリ躱すとヒュージが驚いた顔で俺を見る。ヒュージの手元に戻った銀雪の槍の穂先は普通の形をしている……これは厄介だ。刺突以外にも槍を引く時にも気を付けなければいけないのか……


 だが槍にも弱点はある。俺はもっと踏み込んで接近戦を挑む。槍はリーチが長い分、ある程度距離がなければ扱うのが難しいはずだ。


 ヒュージの懐に入ると吹雪の剣と氷結の剣で迎撃してくるが、この二振りの剣を振っているのは魔氷の鎧から出てきた氷の腕だ。


 剣同士で剣戟を何合か結ぶと明らかに氷の腕の膂力が弱いことが分かった。俺の振う剣に対して氷の腕が装備している二振りの剣では防ぎきれないと悟ったヒュージが銀雪の槍も使って防御に回った。


 このまま押し切れるかもと一瞬思ったがA級冒険者がそんなに甘い訳がなかった。


 急に俺の足の踏ん張りが利かなくなったのだ。剣を振った時にヒュージが受けてくれていた時は良かったのだが、躱されると体勢を崩してしまった。


 どうして!? そう思い足元を見ると地面が凍っていた。しまった! いつの間にか地面を凍らされていたのか!


 足の踏ん張りが利かないため、ヒュージの吹雪の剣や氷結の剣の軽い攻撃なら捌けるが、銀雪の槍の攻撃は雷鳴剣と火精霊の剣(サラマンダーソード)だけでは捌ききれなかった。


 ウィンドカッターを使いなんとか銀雪の槍の軌道を逸らす。


「な……無詠唱で風魔法だと? それも槍王の俺の槍を弾くレベルのウィンドカッターとは……」


 ヒュージが驚きのあまり声に出して言った。


「奥の手だったのであまり使いたくなかったのですがね」


 俺が間合いを取ってから言うと、今度はヒュージの方から俺に向かってきた。どうやらヒュージは分かっているようだ。このままだと必ず俺が勝つと。


 なぜならもうヒュージのMPが208/281となっているのだ。銀雪の槍の穂先を鎌状にするのもMPを消費するだろうし、地面を凍らせるのもMPを消費する。


 それに対して俺はまだウィンドカッターを1発しか放っていない。恐らくヒュージは俺のMPがどれくらいあるかは分かっていないだろうが、先ほどのウィンドカッターの威力を見れば少ない訳が無いと思っているだろう。


 実際には未来視(ヴィジョン)風纏衣シルフィードを使っているので俺もMPを消費しているのだが、ヒュージにはそれが分からないからな。



 ヒュージが銀雪の槍に膂力を込めて刺突してくる。雷鳴剣と火精霊の剣(サラマンダーソード)、ウィンドカッターで捌くのがやっとで、吹雪の剣、氷結の剣の攻撃を徐々に捌ききれなくなり、ついに左腕を軽くだが吹雪の剣で斬られてしまった。


 足の踏ん張りが利かないので未来視(ビジョン)で攻撃が見えていても躱しきる事ができなかった。吹雪の剣で斬られた箇所が徐々に凍傷を起こす。徐々にだが左腕、左手の感覚が無くなっていくのがわかる。これは俺も短期決戦を覚悟しなければならない……


 今回のヒュージとの戦いで絶対に決めていたことがあった。それは神聖魔法だけは使わないという事だ。


 俺が神聖魔法を使うと恐らくヒュージは全力で戦わないだろう。なぜならヒュージは神聖魔法使いの貴重さを知っているからだ。神聖魔法使いを傷つけるような事は絶対にしない。だから戦いが終わるまでは絶対に神聖魔法を使わないと決めたのだ。


「頂く!」


 俺がダメージを負っているのを黙って見逃すヒュージではなかった。またも銀雪の槍を構えながら突進してくる。だが今度は雷鳴剣に雷魔法をエンチャントしてしっかり踏ん張り銀雪の槍を捌くとヒュージがまた驚いた顔をし、今度はヒュージが距離を取った。


「踏ん張った? 地面の氷が溶けただと? それに……手が……」


 ヒュージが地面の氷が溶けたことに驚いている。俺が毎日のように女性たちの髪の毛を乾かしたり部屋の温度調整をしたりしていたのが役に立った。


 地面の氷が溶けるまでに時間がかかったが仕方ないだろう。これからは俺のターンだ! 


 まずは雷魔法をエンチャントした雷鳴剣でヒュージに斬りかかると、ヒュージは銀雪の槍で止めにかかる。


 間違いなく吹雪の剣や氷結の剣では俺の雷鳴剣を受けきる事は出来ないから予想通りの行動だった。なぜかヒュージの槍捌きが先ほどよりも遅い気がした。


 次に吹雪の剣に対して全力のウィンドカッターを放つと大きく剣を弾き、ヒュージの体勢が少し崩れた。


 だがまだ氷の手にはしっかりと吹雪の剣が握られていた。ここで俺はヒュージを狙うのではなく、また吹雪の剣を狙った。体勢が崩れたところにもう一度吹雪の剣を狙ってウィンドカッターを放つと、ついに氷の手から吹雪の剣が離れた。


 次は氷の腕の左側に装備している氷結の剣だ。相変わらずヒュージは俺の雷鳴剣での攻撃を銀雪の槍で捌いている。が、どんどん槍に込める膂力も弱くなっている。


 ウィンドカッターで氷結の剣を弾くと次は凍傷により感覚が無くなってきた左手で火精霊の剣(サラマンダーソード)に火魔法をエンチャントして氷の腕めがけて投げた。


 ウィンドカッターの衝撃をいなしきれていない氷の腕を火精霊の剣(サラマンダーソード)が貫いた。


 当然氷結の剣は地面に落ち、ヒュージの得物は銀雪の槍だけとなる。


 ヒュージは即座に左の氷の腕を再生するが、俺はウィンドで氷結の剣を闘技場の端に吹き飛ばし俺がヒュージに向かって斬りかかろうとすると


「参った」


 突然ヒュージが宣言した。


 あれ……? やけにあっさりと認めたな……もしかして油断を誘っているのか? と思ったが次の瞬間ヒュージが銀雪の槍を地面に落とした。


「参った。もう手が麻痺して槍が持てない……その剣の攻撃を銀雪の槍で受けるたびにビリっとした感覚が伝わってきてな……氷の腕で剣戟を結んでいた時は感じなかったのだが……」


 だからヒュージの膂力が徐々に弱くなってきたのか……もしかしたら雷鳴剣からエンチャントした雷魔法が少しずつ伝わっていたのか? 雷魔法のレベルが上がってから確かに雷鳴剣の威力が高まったと感じるようにはなっていたが……


 リーガン公爵はこの結果に驚いており、呆然としていた。


「リーガン公爵。僕の勝ちでいいですよね?」


 俺が聞くと、ようやく我に返り


「勝者、マルス!」


 大きな声で叫んだ。その瞬間俺はヒュージの前で


「ハイヒール」


 自分の左腕の凍傷を治した。この光景をみたヒュージは瞠目していた。


「まさか……剣聖で……神聖魔法使い……だと?」


 まぁ予想通りの反応だった。


「試合前に僕が言った事を覚えていますよね? 絶対に他言無用です。その代わり僕がヒュージ様に勝ったこともパーティメンバー以外には他言いたしません。僕のパーティメンバーは口が堅いのでそこは信用してください。今日僕たちは話し合ってアリスが【黎明】に残る事になった。それでいいですよね?」


 ちょっとソフィア辺りが不安だが……ヒュージはまだ俺の神聖魔法に驚いており返事がない。


 だから俺はもう一度


「いいですよね!?」


 先ほどよりも大きな声で確認すると


「ああ……試合前に確かに言ったからな……分かった。俺とマルスは戦ってはいない……話し合いで決まった……」


「ありがとうございます。それではヒュージ様も傷が残っていたら【氷帝】のパーティメンバーに何と言われるか分からないので治しておきます」


 俺がヒュージにヒールを唱えると細かな傷が治り握力も戻ったようだ。ヒュージにヒールをかけるとアリスが俺の所に走ってきて抱きついてきた。


「本当に私のせいでこんなことになって……ごめんなさい」


 ずっと俺の胸の中で泣いていた。俺がアリスのピンク色の頭を撫でているとリーガン公爵と3人の教師も来て


「まさか……本当にヒュージに勝つなんて……」


 リーガン公爵がまだ信じられないという表情で話しかけてくるとサーシャも


「ミーシャからマルスは凄く強い、規格外とはよく聞いてはいたけれども……まさかこれほどとは……相手はA級冒険者中位クラスの実力者なのに……」


 こちらも感嘆していた。


「サーシャ先生もこの件は内密にしてください。僕はあくまで【剣聖】で通すつもりなのでお願いします」


 俺が言うとサーシャが


「マルスって本当に子供? A級冒険者に勝ったのよ? もっと喜ぶとか無いの? まぁ誰にも言わないけど……」


 サーシャは本当に誰にも言わないだろう。クラリスが神聖魔法を使えることをミーシャに言わなかったくらいだしな。リーガン公爵に報告するのは上下関係から考えると当然のことだ。


「じゃあ皆さん戻りましょう。アリス。もう終わったんだ。アリスのおかげで最高の結果を得られた。それでいいじゃないか? もう泣いていないで行こう」


 アリスがようやく俺の胸から顔を出すと、まだ目が充血していたが、喜びを頬に浮かべていた。


 クラリスも闘技場の外で待ってくれている。早く安心させよう。闘技場を出る俺の足取りは軽やかだった。


久しぶりにアクセス数を見たら、

以前見た時の10倍くらいになっていてビックリしました。

先月くらいに見た時は1日5000人くらい(盛ってたらごめんなさい)

だったのに・・・


あとようやく感想の見方を覚えました。

いつも「感想が書かれました」と出てそこから返信していたのですが

職場で確認したりしていると、

返信が出来なくてそのまま放置してしまっている事もしばしば・・・

そして返信したか?していなのか?

どうやって確認すればいいのか分からなかったのですが

もうバッチリです。


今年は色々あり過ぎましたが、

やはりこの作品を書いたことが一番大きかったかなと思います。


また来年もよろしくお願いします。

来年、脳の再々々検査と胃の再々検査をする

私が言うのもおかしいかもしれませんが、

皆さまご自愛くださいませ。よいお年を。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 上下関係で娘の命の恩人を売る奴の何を信用出来ると言うのか?
[一言] 土魔法で靴の裏にスパイクを作って滑り止め、と思ってました(^-^;
[気になる点] 131話で未来視が1秒出来るようになってるけど0.5秒しか使わないのは理由があるの?
感想一覧
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