第16話 深層を目指して
迷宮に入る当日。
俺たちは今迷宮の入り口の大きな家の前に来ている。
「準備は万端だな? ポーションも持ったし、念のため解毒薬も持ったし。大丈夫だな」
ジークが自分自身に聞いているのか、俺たちに聞いているのか分からない言葉を発した。
「ええ。僕たちは大丈夫ですよ」
アイクがそう答えた。
そしてリーナを除くブライアント家4人での迷宮探索が始まった。
まず家の扉を開いて突き当りまで進んで突き当たってから左側に進む。
右側は最初に行った後も進んでみたのだが、何個か部屋があったが結局は行き止まりだったらしいのだ。
らしいというのは俺が同行していない時に探索したらしく、ジークとアイクはもちろん蒼の牙のパーティも行き止まりを確認したらしい。
そして今回は左側。何度か左側も行ったのだが、階段はまだ見つかっていない。
通路にゴブリンが何匹か出てきたが、サクッとアイクが槍で刺し殺す。
迷宮のモンスターは焼かなくても時間がたてば勝手に迷宮に吸収されるらしいので魔石だけとれば死体はそのままでよい。
また特殊な部屋だと死体がすぐに魔石になる。
そういう部屋は決まって異常な数の魔物が出るらしい。
そして一際大きな部屋にたどり着いた。
ここはまだ来たことが無いらしい。
部屋の中を索敵するとホブゴブリンが3匹にゴブリンメイジが5匹、普通のゴブリンが10匹くらいはいる。
ジークが
「アイク、マルス、二人で倒せるか?」
と聞いていたので、アイクが
「問題ないです。マルス、とにかくウィンドカッターでゴブリンメイジを先に倒してくれ。余裕があればホブゴブリンのほうも頼む」
と言ってきたので、頷いた。
そして通路からウィンドカッターを連射してあっさりとゴブリンメイジを5匹倒した。
ゴブリンメイジを倒す際に手前にいたゴブリン達も纏めて切り刻んだので残りはもうホブゴブリン3匹とゴブリン5匹だけとなった。
俺はアイクのサポートの為にホブゴブリンの目をつぶそうと目を狙うように横一閃でウィンドカッターを放ったら目から上が真っ二つになった。
「あ、あれ?」
風魔法レベル7になったからか、それとも魔力が上がったからなのか威力がとても強くなった気がする。
そのまま残りのホブゴブリンをウィンドカッターで倒すとすでに前に出ていたアイクが残りのゴブリンを作業のように倒す。
アイクが俺を見ながら呆れたように俺に言う。
「ゴブリンもホブゴブリンもマルスの前ではもう変わらないね」
ジークもマリアも同意見らしい。二人とも頷いている。
そして部屋の隅のほうに宝箱があった。
宝箱は俺が開けることになっているので、鑑定して罠が無いようなので開けた。
すると中から槍が出てきた。
【名前】炎の槍
【攻撃】20
【価値】C
【詳細】槍に火魔法を付与することができる。
またアイクが強くなるやつだ。
ただ今回のは火魔法を付与することができる。しか書いてない。
普通の武器に付与は出来ないのだろうか?
詳細をみんなに伝えるとやはりアイクの装備になった。
アイクだけ装備が凄くなっていく。あとは鎧だな。
今持っている槍はここに置いて、帰るときに持ち帰ることにした。
その先には上り階段があった。
迷宮に潜るという言葉をみんなから聞いていたせいか下るのかと思っていたら上るらしい。
2階は少し雰囲気が違った。
まず普通のゴブリンがいなくなり、ホブゴブリンとゴブリンメイジしか出てこなくなった。
ホブゴブリンはいいのだが、ゴブリンメイジがうざい。
ストーンバレットは来ると分かれば反応して切る事が出来るが、意識の外から撃たれると、かなりのダメージを受ける。
なのでみんな利き手には剣や短剣を持って探索をしている。
それでもゴブリンメイジが10匹以上まとめて出てくると先手が取れない限りは攻撃を受ける。
そのたびに俺がヒールで回復させる。
この階層はヒールが無いとつらいのではないのだろうか?
何部屋かを抜けると、部屋の入り口が白く光っている部屋があった。
するとジークとマリアが
「安全地帯だ。休もう」
どうやらここには魔物が出現しないし、来られないらしい。
「今11時過ぎくらいか。ご飯食べて12時まで休憩したらまた探索して14時頃にここから戻ろう」
ここに来るまで3時間くらいかかったのか。まぁ探索しながら来たから帰りは2時間くらいで帰れるだろうから余力を残してちょうどいいくらいか。
その後探索を続けホブゴブリンとゴブリンメイジを倒しまくっていると俺のレベルが久しぶりに上がった。
【名前】マルス・ブライアント
【称号】-
【身分】人族・ブライアント男爵家次男
【状態】良好
【年齢】4歳
【レベル】6
【HP】18/18
【MP】1678/2832
【筋力】14
【敏捷】16
【魔力】23
【器用】16
【耐久】16
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv7)
【固有能力】雷魔法(Lv0/S)
【特殊能力】剣術(Lv2/B)
【特殊能力】火魔法(Lv1/G)
【特殊能力】水魔法(Lv1/G)
【特殊能力】風魔法(Lv7/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv2/B)
レベル5に上がったのはかなり前だった気がするから嬉しい。
そしてまた大きな部屋があった。
中を見渡すとホブゴブリンよりも大きい初めて見るゴブリンと、斧と鎧を装備したゴブリンとホブゴブリンが7体いた。
俺は初めて見るゴブリンを鑑定すると
【名前】-
【称号】-
【種族】ゴブリンジェネラル
【脅威】D
【状態】良好
【年齢】2歳
【レベル】10
【HP】38/38
【MP】1/1
【筋力】18
【敏捷】10
【魔力】1
【器用】5
【耐久】22
【運】1
年こそ若いが、かなり強い。脅威Dだ。
少なくともジークとマリアが接近されたらかなり厳しいだろう。
ジークとマリアがこう言った。
「やはりゴブリンジェネラルがいるか。最深部にはゴブリンキングがいるな」
「えぇ、そうね。でも最深部がゴブリンキングであれば、このダンジョンは初心者ダンジョンとして正式に売り込めるわね」
「あぁそうだな。この街に冒険者ギルドを招聘してもらわないとな。あと街の名前も決めてもらおう」
なんだかゴブリンジェネラルがいて嬉しそうだな。
結構強いと思うのだが。
「アイク、マルス、父さんと母さんの戦い方を見たことが無いと思うから今回は見てなさい」
ジークがそう言って、マリアと一緒に徐に部屋に入っていく。
不意打ちが出来たのに、ゴブリン達はこちらに気づいてしまった。
俺はその様子をじっと見ていた。
「土砦」
「氷砦」
ジークとマリアがそれぞれ唱えた。
するとジークの周りには土のかまくらがマリアの周りには氷のかまくらが出来た。
ただ普通のかまくらとは形が少し違う。出入口が無いのだ。
ホブゴブリンが思いっきり氷で出来たかまくらを殴りつけるがびくともしない。
ゴブリンジェネラルも土で出来たかまくらを斧で破壊しようとするが土が少し削れたくらいだ。
そしてそれぞれのかまくらからストーンバレットとアイスアローがゴブリン達を襲う。
防御力も凄いが貫通力、破壊力も凄い。これが茶色の盾と呼ばれる所以か。
あっという間に全滅させると、部屋に宝箱があった。
初めて1日に二つでたな。
とりあえずいつものように宝箱を鑑定する
【名前】宝箱
【特殊】罠(矢)-
【価値】3
【詳細】何が入っているか分からない。出現率、中に何が入っているかは【運】によって変わる
あ、罠(矢)って書いてある。
ジークに罠があることを伝えると後ろから開けろと言われたので後ろから開けると、宝箱から前に向かって勢いよく矢が飛び出してきた。
鑑定があってよかった。
宝箱の中身を確認すると
【名前】土蜘蛛の杖
【攻撃】2
【特殊】魔力+3
【価値】C
【詳細】土魔法詠唱時消費MPを1軽減、土魔法の発現時間を微短縮。
おーなかなかいいものが出たな。
ジークに杖の説明をしたらジークが嬉しそうに「これは俺がもらうな」
うん。いくつになっても自分の装備が強くなったら嬉しいよね。
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