第154話 アルメリア迷宮4層
2031年1月6日
昨日は結局アルメリアの街でのんびりデートをしていた。
新たに専門の武器屋や防具屋が出来ており装備品を見たり、冒険者ギルドに行ってクエストを見たり……
そう言えば冒険者ギルドに入った時におかしなことが起こった。俺たちが入った時に数名が悲鳴を上げたのだ。
後で聞くと先月クラリスとエリーだけでこの冒険者ギルドに来た時に、新参者の冒険者がクラリスとエリーのお尻を触ったらしいのだ。
その時エリーはあまり寝られていないらしくかなりストレスが溜まっていたらしい。次の瞬間その冒険者は冒険者ギルドの壁にめり込んだという……流石に2人のお尻を触ったことは許せないが、クラリスの逆鱗には触れないで良かったねとは思う。それ以降新参者の冒険者たちはクラリスとエリーには近づかなくなったという……
ただデートだけをしていた訳ではない。朝トレもしたし、しっかり魔法の練習もした。そして11歳になったことで加齢によりステータスが上がっていた。
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリン虐殺者
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】39
【HP】99/99
【MP】8010/8010
【筋力】92
【敏捷】92
【魔力】110
【器用】89
【耐久】87
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv10)
【固有能力】雷魔法(Lv8/S)
【特殊能力】剣術(Lv9/A)
【特殊能力】火魔法(Lv5/D)
【特殊能力】水魔法(Lv5/D)
【特殊能力】土魔法(Lv5/D)
【特殊能力】風魔法(Lv10/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)
【装備】雷鳴剣
【装備】火精霊の剣
【装備】鳴神の法衣
【装備】偽装の腕輪
まずHPと耐久が5ずつ上がった。その他のステータスも魔力以外は全て上がっていた。次に火魔法の才能がDになりレベルが5まで上がった。
そして風魔法がやっとレベル10に上がった。レベル10になったことで風魔法の消費MPが相当下がった。
天眼よりも先にレベル9になっていたので、もうそろそろだなぁとは思っていた。学校に戻ったらサーシャにいつか話してもらった風魔法の最上級魔法のテンペストの事を聞いてみよう。
俺と同じ1月1日生まれのクラリスのステータスも上がっており、レベルも1上がっていた。
【名前】クラリス・ランパード
【称号】弓王・聖女
【身分】人族・ランパード子爵家長女
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】42
【HP】88/88
【MP】1588/1588
【筋力】64
【敏捷】64
【魔力】78
【器用】77
【耐久】63
【運】20
【固有能力】結界魔法(Lv4/A)
【特殊能力】剣術(Lv6/C)
【特殊能力】弓術Lv8/B)
【特殊能力】水魔法(Lv6/D)
【特殊能力】風魔法(Lv4/F)
【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)
【装備】ディフェンダー
【装備】魔法の弓
【装備】聖女の法衣
【装備】神秘の足輪
【装備】偽装の腕輪
特殊能力こそ変わらないがステータスはかなり高い。3、4か月前の俺と同じくらいだ。
エリーは2月1日生まれだから加齢によるステータスアップはしてなかったが、レベルアップによるステータスアップをしていた。
【名前】エリー・レオ
【称号】-
【身分】獣人族(獅子族)・レオ準女爵家当主
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】38
【HP】103/103
【MP】108/108
【筋力】76
【敏捷】93
【魔力】23
【器用】29
【耐久】62
【運】10
【固有能力】音魔法(Lv1/C)
【特殊能力】体術(Lv8/B)
【特殊能力】短剣術(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv3/G)
【装備】ミスリル銀の短剣
【装備】風の短剣
【装備】戦乙女軽鎧
【装備】風のマント
【装備】風のブーツ
相変わらずエリーらしい突出したステータスだった。体術がレベル8に上がっており、身のこなしにさらに磨きがかかった。
「よし! 1月10日まで迷宮に潜って11日はリーガンに戻ろう!」
俺はクラリスとエリーにそう言うと久しぶりにアルメリア迷宮に潜った。結局アイクと眼鏡っ子先輩はずっとアルメリアでデートする事にしたらしい。まぁ眼鏡っ子先輩は初めてのアルメリアだからね。
「ねぇマルス。聞いていい? その法衣は何? たまに金色の魔法陣みたいなものが浮かび上がっているようだけど……?」
「これは不浄王を倒したときにドロップした鳴神の法衣って言うんだ。雷魔法をエンチャントすると敏捷が大幅に上がるんだけど、あまりにも速くなりすぎて慣れないんだ。今慣れるのに必死で……」
クラリスの質問に答えながらどんどん迷宮の深部へと向かう。俺たちの歩みを止める魔物など3層までいなかった。
6時間くらいで3層の安全地帯まで辿り着くと懐かしい光景が広がった。一昨年の12月までここで寝泊まりしていた家具や道具がまだあったのだ。
その時はまだ土魔法のレベルが低かったからあまり上等なものはなかったが、3人の思い出を呼び起こすにはちょうどよかった。
「一昨年まではこの先の魔物倒すのに凄い時間かかっていたよね……絶対に脅威度C、Dの魔物を倒したほうが効率よかったと思うし……」
「そうだね。あの時は脅威度Bの敵を倒すのに苦労したなぁ……だけど今は脅威度Bならほとんど倒せるくらいまでには成長したからね。俺たちに足りないのは色々な魔物と戦う経験だけだと思う。出来れば今回でこの迷宮のボス部屋まで行ってみたいね」
結局俺たちは一昨年作ったものを処分して新しい浴槽やベッドを作った。一昨年とは体のサイズが全く違うからさすがに同じという訳にはいかなかったのだ。
MPを枯渇する前にクラリスにホーリーを教えた。クラリスも最初は全く出来なく、俺の手本を見てもできなかったが、俺のことを思いながらやってごらんと言うとあっさり出来た。
クラリスがホーリーを唱えることが出来たのも嬉しかったが、クラリスの俺への愛を再確認することも出来たのでそっちの方が嬉しかった。
2031年1月7日 3時
MP枯渇して寝ていたので3時間で起き、2人の可愛い寝顔を後にしてトレーニングついでに3層の敵を倒しに向かった。
やはり一昨年と違ってかなり楽に倒せるようになっていた。一昨年はクラリスの結界魔法に頼る場面も多かったが、今ではそんな場面もない。まぁ4層以降は分からないが……
あわよくば宝箱と思っていたのだが、宝箱は無かった。時間も時間なので安全地帯に戻ってから風呂に入って2人が起きるのを待った。
6時に2人とも起きてご飯を食べると4層に向けて出発し、危なげなく4層まで降りることが出来た。ここから先はまだ行ったことがない。
そして降りた先……俺たちの目の前には大きな角をした10体の緑色の魔物が居た。
「何あれ……ゴブリンじゃないけど……大きくて少し手ごわそうね……」
【名前】-
【称号】-
【種族】オーガ
【脅威】B
【状態】良好
【年齢】3歳
【レベル】12
【HP】144/144
【MP】88/88
【筋力】65
【敏捷】60
【魔力】35
【器用】54
【耐久】64
【運】1
【特殊能力】棒術(Lv5/D)
【特殊能力】土魔法(Lv3/E)
【詳細】知能が高い魔物。人の言葉が理解できる。
俺よりも大きい魔物だった。2mはあるだろう。体もがっしりしている。そしてなかなか強い……ステータス的にはB級冒険者と言った所か……だが今の俺たちの敵ではない……と思った。
いつものようにエリーが少し前に出てオーガを1匹ずつおびき出そうとする。誘い出したところにクラリスの魔法の弓での本命の攻撃が来るのだが、別のオーガが土魔法の土壁を唱えるとクラリスの魔法の弓が次々に地面から出てきた土の壁に刺さった。
魔物がエリーを囮とした2人の連携に対応したのは初めてだった。エリーが構わず突っ込もうとしたので俺はみんなに向かって
「ちょっと慎重に行こう! 敵の連携は厄介そうだ! それに10匹もいる。今度は俺が前に出る。2人とも援護を頼む!」
2人とも俺の指示に従い、後ろに来ると
「ちょっと厄介ね……特に土魔法での防御が面倒ね……相手のMP枯渇を狙うのが得策かしら……?」
「……なんか……違う……私のスピードについてくる……」
「たしかにこの魔物はかなり厄介だ。ステータスも脅威度Bで高いのもあるが、それ以上に戦い方が上手い……逆に言えばこれはいい練習にもなる。魔物と戦うというよりかはパーティと戦うという感じで慎重に戦おう!」
まずは俺がさっきのエリーのように少し前線に出るとオーガは棍棒を振りかぶり、俺に向かって襲い掛かってきた。オーガの攻撃をバックステップで躱し俺が2本の剣を抜いて反撃しようとするとまた土壁で俺の攻撃を防ごうとしたので
「クラリス! このまま壁を斬るから援護してくれ!」
雷鳴剣に雷魔法をエンチャントして土壁を斬り、壁を切断した瞬間に魔法の弓を叩き込んでもらおうとした……が俺が土壁を斬った瞬間、俺の目の前には勢いよく振り回された棍棒があった!
流石にもう神威や鳴神の法衣でも躱せない。俺は全力の無詠唱ウィンドで棍棒の威力を減衰させたがそれでも顔面を棍棒で殴られて吹っ飛ばされた。
魔物相手にダメージを受けるのはいつ以来だろうか。失念していたがこいつらは俺たちの言葉が理解できるんだった。必ず俺が壁を斬ると分かっていれば今の攻撃は当然か……すぐにヒールで回復するとクラリスとエリーが心配そうに駆け寄ってくる。オーガたちは下卑た笑みを浮かべながら俺に止めをさそうとしてくる。
「魔法戦に切り替えよう! 近づくと厄介だ! それにこいつらは俺たちの言葉が理解できるらしい! エリーも攻撃に参加できるようだったら頼む!」
エリーも音魔法で相手の魔法を相殺しようとするのだが、10体の魔物全員、魔法が使えるのでさすがに対処しきれない。
俺がトルネードを無詠唱で唱えるとオーガたちの反応がやや遅れてからレジストしてきた。だが俺は【魔力】110【風魔法】レベル10、そして風王の称号持ちだ。
そう簡単にレジスト出来るわけがない。オーガたちも10体全員で俺のトルネードをレジストしたが、オーガたち全員のMPが枯渇した。
「オーガたちのMPが枯渇したぞ! クラリス射ちまくってくれ」
オーガたちはもう土壁での防御が使えないため、クラリスのいい的になるかと思いきやそうでもなかった。何射かは躱したり、棍棒で防御したりしながら突っ込んできた。
突っ込んできたオーガたちを俺は丁寧にウィンドインパルスで弾き飛ばし、こちらに近づけさせなかった。そして魔法の弓を加速させるようにウィンドインパルスを放ったためオーガたちは避ける事が出来なかった。
こうなればもう楽勝だった。俺とクラリスの攻撃で瀕死になったオーガたちに次々にエリーが止めをさしていく。最後の1体をエリーが止めを刺した。
「強かったな……もう俺たちのごり押し攻撃が通用しないレベルなのかもしれない。この先は魔法戦を視野に入れつつ慎重に行こう」
オーガを倒した先には宝箱がポップしていた。










