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9章 少年期 ~リスター帝国学校 1年生 ブライアント家編~

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第146話 思わぬ再会

「もう手が上がらないわ……」


 西側にいたデスアーミーを全て倒し切ると眼鏡っ子先輩は崩れ落ちた。もうだいぶヒールの効きも悪くなっているので、このまま横になっていてもらう事にした。


 ヒールはHPを回復する魔法であって、疲労回復は副産物に過ぎないから完全回復とはいかない。


 アイクたちの方を見るとほとんど魔物達を倒し終わっている。もう安心してもいいだろう……


 それにアイク、クラリス、エリーの3人であれば、そこまで心配する必要はない。ここにミーシャ1人でも加わると少し俺の心も乱れてくるが……


 俺は眼鏡っ子先輩に並ぶように横になった。


「クラリスだと思ったんだけどなぁ……」


 俺が横になると隣の眼鏡っ子先輩が仰向けのまま空に向かって呟いた。


「まさかマルスが神聖魔法使いだとは思わなかったなぁ。かなり風魔法のレベルが高そうだからマルスは除外していたなぁ。そしてアイクでもない。アイクだったら教えてくれたと思うし……エリーは論外ね。獣人で神聖魔法使える人は聞いたことないし」


「なぜ僕たちの中に神聖魔法使いがいると思ったのですか?」


「ん? うーん……確信はなかったわよ……でもカレンとミーシャのレベルとステータス値を見ればもしかしたらって思っていたのよ……普通ね。カレンとミーシャみたいに急にレベルが上がってもほとんどがパワーレベリングでステータスがあんなに上がる事無いのよ。

だけど2人はレベルも異常に上がるのが速かったし、何よりもステータスの上昇が凄かったから……カレンとミーシャも偽装の腕輪を装備していたらそこまで考えなかったかもしれないけど……」


 という事はリーガン公爵も絶対にクラリスと思っているだろうな……これはもしかしたら早めに俺が神聖魔法使いとカミングアウトした方がいいのかもしれない。


 少しするとアイク、クラリス、エリーが走ってこっちにやってきた。


「もうこっちは倒したのか……さすがに早いな……」


 アイクがそう言って俺の方を見ると眼鏡っ子先輩が


「アイク、マルスが酷いのよ。私の事をこき使って……マルスのせいでもう腰がガクガクで立てないのよ。嫁入り前の女の子の体を弄ぶようなことをして……お嫁に行けなくなったらしっかり責任取ってもらうんだから!」


 つまりあれか? アイクと結婚できなかったら俺と結婚するという事か? 眼鏡っ子先輩の言葉をアイクは笑いながら


「そうか。こき使われたか……マルスありがとうな……」


 アイクは今の眼鏡っ子先輩の言葉で俺が眼鏡っ子先輩に神聖魔法を使ったと悟ったらしい。どうやったらそんな解釈ができるんだろう……


「馬鹿なことを言っていないで行きましょう。街の門は完全に閉ざされていたから多分被害はないと思うけど気になるから……」


 クラリスが俺たちの会話を遮るように言うと、アイクがクラリスのいう事に賛同して


「すまない。クラリスのいう通りだな。街に入ろう」


 みんなで魔石を回収して馬車に放り込み、固く閉ざされている西リムルガルドの街へ向かった。西リムルガルドの街の街門はイザークのように強固な物ではないようだが、それでも土魔法でしっかりとしたものだった。


「これどうやって入るんだろう……」


「やはり誰かに開けてもらうしかないだろうけど……」


 俺の言葉にアイクが答えると、俺たちに気づいた街門の見張り台から俺たちに向かって


「お前たちは何者だ!?」


 とどこか懐かしい声が俺たちに対して発せられる。ん……この声……どこで……?


「僕たちはリスター帝国学校の者です。アルメリアに向かう途中で街が包囲されているのを見かけたので魔物達を倒しました。中に入れてもらっても構いませんか?」


 アイクが見張り台にいた男に向かって叫ぶと男が


「リスター帝国学校? アルメリア……?」


 男はその言葉を呟くと見張り台から目を凝らして見ているようだった。


「もしかしてアイクか!?」


 急にアイクという言葉が出てきてびっくりした。そしてその言葉の主をはっきりと俺は認識した。


「そうです! もしかしてバンさんですか?」


 男は何も返事をせずにすぐに街門を開けて俺たちの所に駆け寄ってきた。


「やっぱりアイクか! マルスまで!」


 やはり【蒼の牙】のバンだ。最後にあったのは俺とクラリス、エリーをリスター帝国学校まで護衛してくれた時なのでもう1年近く経つ。


 バンが嬉しそうに俺たちに声をかけると馬車の中から女性陣も出てきた。女性陣を見るとバンは驚いたようで


「アイクとマルスの成長にも驚いたが……クラリスとエリーはまるで大人だな……そしてもう1人の子は初めて見るが……まぁそんなことは後回しだ。早く街の中に入ってくれ! ジーク様も喜ぶだろう」


 えっジークもいるのか? そしてバンがジーク様っていうのがなんかくすぐったい……ジークさんって呼んでいたのに……


 ここで立ち話とはいかないから街の中に入るとすぐに街門が閉められた。街の中は包囲されていたとは思えないほど落ち着き払っていた。


 普通に住民たちは生活をしており、物流が途切れている様子もない。そして何よりところどころに腕の立つ人間が見張りをしているようだ。


 歩きながらバンに色々事情を聞きたかったが、バンはどんどん早歩きで進んでいってしまうので会話ができなかった。


「さぁここだ。入ってくれ」


 バンがそう言って俺たちを大きな建物の中に招き入れると、玄関には驚いた顔のジークがいた。


「アイク……マルスまで……どうしてここに?」


 ジークがそう言うとアイクが


「お久しぶりです父上。僕も何故ここに父上やバンさんがいるのか分かりませんが、学校の休みを利用して帰省しようと思い、たまたまこの付近を通りかかったので寄ってみたらバンさんが居てここに案内された次第です。父上やバンさんは何故ここに居るのですか?」


 アイクがジークを父上と呼んでいた。昔はお父様、そして最近俺には父さん、そして実際に会うと父上……微妙に心情が変化したりしているんだろうな……


「とりあえず中に入りなさい。お前たち2人だけなのか?」


 あれ? クラリスたちは?と思ったらジークの言葉を聞いたのか、クラリスとエリー、そして最後尾に恐る恐る眼鏡っ子先輩が入ってきた。眼鏡っ子先輩が入ってきた時、ジークの顔に少し変化があったのを俺は見逃さなかった。


「お久しぶりです。お義父様」


 クラリスが完璧な笑顔でジークに挨拶するとエリーもぺこりと会釈をする。そして眼鏡っ子先輩が今まで見たこともないほど緊張した様子で


「お久しぶりです。ジーク卿」


 ぎこちない笑顔で挨拶をした。ジークはそれぞれに挨拶を返し俺たちはとりあえず屋敷の中に案内された。部屋に案内されるとすぐに


「なぜここにお父様やバンさんがいるのですか?」


 俺の質問にジークが


「そうか……お前たちは何も知らないのか……国からの命令でな。B級冒険者以上は西リムルガルドの街の警備を交代ですることになったのだ……」


 あれ? ジークってC級冒険者だったような……だが俺はジークの言葉の続きを待った。


「最初はBランクパーティ以上だったんだがな……Bランクパーティだとどうしても弱いメンバーも招集される。ここを襲ってくるデスナイト、デスアーミー、デスハウンドは何故か統制が取れていてな……弱い者を狙ってきたりもするんだ。

Bランクパーティの中には1人だけB級冒険者で他の者は全員ペーパー上がりのD、E級冒険者というパーティもあったりしてな。そうするとパーティメンバーを守ろうと無理をして……どんどんBランクパーティが殺されてしまって……ついにはここに派遣していた【赤き翼】も全員死んでしまってな……」


 俺は言葉が出なかった。去年まで当たり前のように一緒にいた【赤き翼】のメンバーが全滅したなんて……【赤き翼】は【蒼の牙】と並んでジークの片腕とも言えるパーティだったのに……ジークの顔は苦痛に歪んでいる。


 アイクも涙を必死に堪えながらジークに質問する。


「残念なことです……父上はいつまでここに居られるのですか?」


「12月いっぱいまでだ。それまではしっかりここを守らないといけない」


 ジークが返答する。


「お父様はC級冒険者だったはずでは?どうしてここに?」


 疑問だったことを聞くとジークが答えた。


「そうだな。だがここに1人バンだけを派遣するという訳にもいかない。バンはブライアント騎士団の大切な騎士団長だからな。それに俺はB級冒険者になるのを断っていただけで今はB級冒険者でもある。

だから俺も一緒にここに来たんだ。それに俺の場合、一応は招集が掛かったが断っても良かったんだ……だが【赤き翼】の二の舞だけは避けようと思ってな」


 確かにバンは大事だが……母のマリアは確か今……


「戦況はどうなのですか?」


 アイクが聞くとジークが声のトーンを落として答えた。


「あまり芳しくないな……各都市のB級冒険者たちが頑張っているのだが……あまりにも魔物の数が多くてな……だが悪い事ばかりではない。高ランクの魔物を倒しているからみんなのレベルがかなり上がっている。

もしもこのまま耐えることが出来れば、いずれは状況を打破できると思う。そのためにも国はB級冒険者たちをローテーションでここに派遣しているのだ。それにB級冒険者の数も昔に比べてかなり増えた。魔物の数が増えているからそれにつれて、冒険者たちが経験値を得る場が増えたのだろう」


 確かにジークもバンも強くはなっている……だがデスナイトを1人で相手にするのは……2人ともB級冒険者とは言ってはいるが……



【名前】ジーク・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・ブライアント伯爵家当主

【状態】良好

【年齢】33歳

【レベル】31

【HP】55/55

【MP】82/82

【筋力】20

【敏捷】25

【魔力】44

【器用】20

【耐久】26

【運】10

【特殊能力】短剣術(Lv3/D)

【特殊能力】土魔法(Lv7/C)


【装備】大地の杖

【装備】大地の衣



【名前】バン・リグルス

【称号】-

【身分】人族・リグルス準男爵家当主

【状態】良好

【年齢】23歳

【レベル】30

【HP】64/64

【MP】32/32

【筋力】42

【敏捷】32

【魔力】28

【器用】30

【耐久】30

【運】5


【特殊能力】剣術(Lv7/D)

【特殊能力】水魔法(Lv3/E)


【装備】ミスリル銀の剣

【装備】シルバーメイル



 ジークはやはりバルクス王国の魔法使いということでMPが少ないのがネックだ。


 ミネルバの方が強いかもしれない……バンはかなり強くなった。ブライアント騎士団の騎士団長と言うだけあって、しっかりと日々鍛錬しているのであろう。


 しかしデスナイトと戦ってギリギリ勝てるくらいな気がする。剣術レベルがデスナイトよりも高いので負けることはないとは思うが……


 俺が2人を鑑定したのを知ったのかジークが


「どうだ? かなり強くなっているだろう?」


 自嘲しながら聞いてきた。やはり分不相応と分かっているのかもしれない。ジークはそう言った後に俺たちに頭を下げてこう言った。


「アイク! マルス! 頼みがある!」


ジークのステータスでB級冒険者であるならミネルバも・・・

B級冒険者増えてはいるけど実際の所は・・・

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[一言] 赤き翼(涙)
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