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8章 少年期 ~リスター帝国学校 1年生 リスター祭編~

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第142話 湿った打ち上げ

2030年11月某日


 なぜ私が王宮に呼ばれる……? 最近私は何の功績も得ていない。それになぜこの2人まで……もしや計画が……?


 王の間に入り私は勅令を下された。とても意外な勅令だったが私にとっては到底受け入れる事が出来ない内容だった。どんなに取り消してほしいと言っても返ってくる言葉は一緒だった。代替案は白金貨100枚との事だった。


 どうしてこうなったか理由を聞くと第3王子のドアーホが事もあろうかリスター帝国学校でクラリスに傷をつけたという事だった。


 一緒に来ていたクラリスの両親グレイとエルナが非常に動揺していた。この場で聞くべきではなかったか……


 それにしてもまさかセレアンスがリーガンに付くとは……やはりエリーが関係しているのか? リーガンとセレアンスそしてフレスバルドの連名で脅されるとさすがに我が国だけでは対処が出来ない。せめてリムルガルドに我が国の上位冒険者や騎士団を連れて行かなければ……


 私……いや未来の子供たちの為にも私の計画だけは絶対に成功させねば……



 ☆☆☆



 2030年11月10日 15時


 ようやくリスター祭が終わった。ドアーホの件があってからも色々な事が起こった。印象深い出来事が2つあった。


 1つ目はアリスの豪運。

 毎日メイド喫茶の抽選に当選していた。ソフィアとアリスだけであろう。2回以上メイド喫茶の抽選に当たった者は。


 そして2つ目は闘技大会で5人抜き者が現れた。

 5人目で出場した者はガルでガルはすっかり自信を無くしている。アイクはずっとメイド喫茶を手伝ってくれていたから、相手の本当の実力は分からない。


 ディバルもその時は不在だったらしい。分かっていることはその5人抜きした者は10歳でなんとバルクス王国の第2王子だった。ザルカム王国の王子と違ってこっちは優秀そうでよかった。


「みんなお疲れ様。初めての参加にしてはよくできたと思う。来年はもっと早めに準備してほかのクラスや学年と一緒にできたらなと思う。アイク兄と義姉さんも手伝ってくれてありがとう。とても助かりました」


 みんなに労いの言葉をかけるとアイクが


「お疲れ様。どうやら速報が出たらしいぞ。今年のミスリスターはクラリスだそうだ。エーデも2位と健闘したようだが仕方ないだろう」


 あれ? こういうのってなんか出場して優勝とか決めるんじゃないのか? するとクラリスも同じ疑問を抱いたようで


「私はミスコンに出場していないんですけど……? 何かの間違いではないのですか?」


 クラリスが困惑しながら聞くと


「リスター祭のミスコンは勝手に投票されるんだよ。それに男も投票されているぞ。ちなみにミスコン優勝者はいろいろ学校から押し付けられるから覚悟しといたほうがいいな」


 へぇー男も投票されるんだ……それにしてもクラリスは大変だな。美女ってそんなにいいもんじゃないのかもな……するとクラリスが


「これって辞退とかできないんですか? 私こういう人前に出るのって苦手なんです」


 困った顔も可愛いな。俺がニヤニヤしていると


「何他人事だと思っているのよ。マルスが今年のミスターリスター帝国学校よ」


「え゛!? アイク兄じゃないんですか!?」


 眼鏡っ子先輩の言葉にびっくりした。どう考えてもリスター帝国学校の顔はアイクだろう。


「今年はもう2日目の時点でほぼ決まってしまっていたらしいわ。握手会に参加して並んだほとんどの女性がマルスに入れたそうよ。女子の方は少し割れたらしいけどそれでも半分以上はクラリスに入ったようね」


 この1週間投票場や投票箱とか見た事なかったけどな……


「と言うわけでマルスとクラリスは頑張ってくれよな。マルスは俺の4連覇、クラリスはエーデの連覇を阻止したわけだからしっかりやってくれよ」


 アイクが全然悔しくなさそうに言ってくる。きっと内心面倒事が無くなって嬉しがっているのだろう。俺が頭を抱えているとクラリスが俺の耳元で


「一緒に頑張ろうね」


 と可愛く囁いてきた。こういうの得意じゃないがクラリスと一緒なら頑張れるかも……クラリスも俺と一緒と聞いて少し安心しているようだ。


「そういえばガル先輩の様子はどうですか? 相当落ち込んでいると聞いていますが……?」


 バロンがアイクに問いかけるとアイクが渋い顔で


「ああ……あまり芳しくないな……もともとガルはドワーフ族の同じ世代の中で負けなしでここに来たらしいからな。俺に負けた時も相当悔しがっていて立ち直るまで時間かかったしな。こればかりは自分で乗り越えてくれないと今後同じようなことが何回もあるだろうし」


「相手の第2王子ってどういう戦闘スタイルなのか知ってますか?」


 カレンが敬語でアイクに聞く。


「マルスやバロンと同じで魔法剣士タイプらしいが……魔法剣士と言っても色々あるからな。ガルの前に戦った4人はあっさり負けてしまってなんの情報も得られない。

やはりガルしか分からないのだろうが、当の本人は塞ぎこんでしまってな。あと王子の目的はマルスと会う事だったらしいぞ。

新入生闘技大会でブラッドに勝ったことがバルクス王国側にも伝わったらしくて、神童と呼ばれていた第2王子がマルスと戦いたいと言って、時間がない中わざわざこっちまで来たらしい。

どこかの暇を持て余している第3王子様と違ってかなり評判がいいらしいからな。王様がどこに行くにしても第2王子は連れまわされているらしいぞ」


 俺に会いに来たのか……これは会わなくて正解だったな。会うと絶対にひと悶着ありそうだから。もう王族はこりごりだ。


 俺たちはリスター祭の打ち上げをしに街に繰り出すことになった。メンバーは1年Sクラスと【紅蓮】のメンバーだ。当然ガルも強制的に呼んだ。慰安というか激励パーティも兼ねてだ。


 ちょっと前までずっとパーティ三昧でもうパーティはこりごりだと思っていたが、やはり久しぶりにパーティをするととても楽しい。


 ガルは相当飲んでいるがなかなかいつもの陽気なガルにならない。かといって絡んでくるわけでもない……なんか寂しいな……


 対照的に女子たちは相当飲んでおりストレスを発散させていた。やはりみんなドアーホの件で相当ストレスが溜まっていたようだ。


 いつもはあまり酔わないカレンもかなり酔っているらしく、今度会ったら塵にしてやると息巻いていた。まさか数か月後に会う事になるとはこの時点で予想もしていなかったが。


 クラリスとエリーも隣同士でドアーホの話をつまみに飲んでいる。ミーシャは勢いよく飲み過ぎてすでにトイレに寄付をしている。しっかり暴走エルフという二つ名を全うしていた。感心感心……?


 バロンとミネルバは2人でいい感じに話をしていた。そっと盗み聞きしてみると……


「バロンに似合う縛り方覚えたから、今度の休み一緒に居ようね」


「ああ。楽しみにしているよ」


 しっかりバロンは調教? されたようだ。どうやらアイクもこの会話を聞いていたらしく驚いていた。そんなアイクはやはり眼鏡っ子先輩と隣同士で飲んでいた。俺は2人に近づいて


「アイク兄は今年の休みどうするんですか?」


 俺が聞くとアイクが


「今年は帰ろうかと思う。帰るのは久しぶりで少し緊張する……エーデの事をちゃんと話して賛成してもらうつもりだ。ちょっと父さんと色々あってギクシャクしているが……」


 そういえばジークはアイクの事をあまり信用していない様子だった。そしてアイクもジークの事をお父様から父さんと呼び方を変えていた。まぁもうそろそろ成人だし普通か……


「お父様と何かあったのですか……? 良ければ教えてください」


 俺が言うと、アイクは躊躇ったが話してくれた。


「実は……俺が父さんの持ってきた縁談を断ったんだ……俺にはやりたい事、つまりA級冒険者になる事、そしてすでにエーデと結婚しようと思っていたんだ。

そうしたら父さんは凄く怒ってな……しっかり話し合いをしたかったんだが俺の方がなかなか時間を取れなくて……マルスもミスターリスター帝国学校になったら分かると思うぞ。

毎年12月は受験しにやってくる貴族の子供の親の接待があって、1月の入学式も子供の入学式に参列する貴族の接待とか大変だぞ? まぁ今だから言うがエーデと一緒だったから楽しくもあったが……」


 最後はしっかり惚気やがった。それにしてもアイクに縁談は驚いた。基本ジークは結婚とか勝手にやれと言うスタイルだったと思うのだが……俺がアルメリアに居た時そんな話一切していなかったのに……


 アイクはアルメリアに帰ってきていないからジークがこっちに来たんだろうな。隣で眼鏡っ子先輩が泣きそうな顔をしている。


 好きな人の親に結婚を反対されたらそうなるよな……俺も眼鏡っ子先輩のこんな顔を見たくない。


「アイク兄! 俺も一緒に帰ります! 父さんを説得しましょう!」


 俺がそう言うとアイクは一瞬嬉しそうにしたが


「マルス、気持ちはとても嬉しい。そうしてくれるとありがたい。だがさっきも言ったがマルスとクラリスは多分帰れないぞ。リスター帝国学校のイベントがあるからな……」


 あ、たった今言われていたことを忘れていた。


「な、何とかして見せます。クラリス……ザルカム王国に帰るのはこの件が片付いてからでいいか?」


 俺がクラリスに聞くと


「当然。私は口を出せないけどジークさんの前でエーデ先輩のことをずっとお義姉さんと呼ぶわ。エリーもお願いね」


 胸を叩いてエリーに振ると


「……義姉さん……」


 初めてエリーに義姉さんと呼ばれた眼鏡っ子先輩は俺たちの言葉に嬉しかったのか、エリーに義姉さんと呼ばれたことに嬉しかったのか涙が溢れていた。


「アイクと結婚したら一気に2人も義理の妹が出来るのね……」


 するとカレンが


「いえ4人よ。私とミーシャの事を忘れてないかしら? 義姉さん」


 いつもはエーデと呼び捨てにしているカレンが義姉さんって……それにみんなリーナの事を忘れてないか? このいい雰囲気をぶち壊しそうだったので俺は敢えて言わなかった。


 こうして俺たちのイベント三昧だったリスター祭は終わったのであった。

バロンはついに・・・

次でリスター祭編終わりです。

マルス視点ではないですが良かったら見てやってください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒頭はビートル伯爵かな? 受け入れられない勅命 第三王子が『我が国』の聖女に傷をつけた。責任を取って王家で受け入れるからよこせ。なに、第三王子ではなく優秀な第二王子の妻とする あたりかなー …
[良い点] ソフィアとアリスは、ドミニクにがんばってほしいなぁ。
[良い点] バロン開眼。 受け入れてしまえばどうということもない。 さすが面白キャラ筆頭やで。 [気になる点] 同じ歳の神童キャラ…。 主人公の所属国って何気に他国に喧嘩売ってて良い国なのか疑問なんだ…
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