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6章 少年期 ~リスター帝国学校 1年生 夏休み?編~

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第101話 メサリウス

「クラリスいつから起きていたの?」


「すぐに起きたわよ。なんかMP使い切れてなかったようで。ただだるい感じがしたからずっと横になっていたの」


「あのまま横になっていても良かったのに」


「バカ言わないでよ。そんな覗くような趣味は持ち合わせていないわ」


 俺が揶揄う様に言うと、クラリスが真顔で返してきた。


 俺たちは眼鏡っ子先輩の部屋から出たのだが、広いお屋敷の為、どこに行けばみんながいるのかが分からない。


 だから適当に外に向かって屋敷の中を歩いている。


「で、どうやってエーデ先輩の腕をくっつけたことにしようか?」


「うーん……土魔法でくっつけたって言うのは? それか適当に魔力を注いでいたらくっついたとか……結局何を言っても信用されないとは思うわよ?」


 そうなのだ。神聖魔法を使っても部位欠損は治らないという先入観があるから何を言っても奇跡で終わってしまうのだ。


「まぁ適当にごまかすか……それにしても眼鏡っ子先輩が義姉になるのか……」


「でもジークさんから反対されているって言っていたわよね?」


 そうなのだ……ジークがアイクの婚約を反対しているのは何故なんだろう? それにジークはアイクの事を信用していない口ぶりだったからな……もしかしたらアイクに別の人と結婚させようとしていたのか?


「まぁ俺としてはアイク兄を応援するかな。眼鏡っ子先輩も知らない人ではないし、他の知らない人よりかは話しやすいしね」


「私は今回の件は何も口出さないわよ? そんな事言える立場ではないから。でもエーデ先輩が義姉さんになるのは嬉しいかな」


 俺たちが話しながら屋敷を歩いていると使用人と思われる男の人と会った。


 使用人と思われる人が俺たちを見て


「失礼ですがエーディンお嬢様の学友の方ですか? 制服の色が違うようですが?リスター帝国学校の方ですか?」


「僕たちは今年の一年生のSクラスです。兄のアイクがここに居ると聞いて会いに来ておりました。もう用件は済みましたので、帰ろうと思っております」


 俺がそう言うと使用人の人が


「随分立派な一年生ですね? 少しお話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


 どうやら俺たちを疑っているらしい。


 男は俺たちを逃がさないといった雰囲気だ。


 そういえばガスターも俺たちの事を疑っていたな。


「ええ……もしあれでしたら【紅蓮】のメンバーを連れてきていただければ……」


 俺がそう言うとドワーフのガルがたまたま俺の視界に入った。


「ガルさん! ちょっといいですか?」


 ガルは俺たちに気が付くと


「なんじゃ、もうアイクとの話は終わったのか?」


「はい。他の【黎明】のメンバーはどこにいますか?」


「あぁ宿に戻ったぞ。先にお風呂入っていると言っておったな」


「ありがとうございます。僕たちもよろしいでしょうか?」


 俺はガルにお礼を言うと、使用人らしき男に聞いた。

 すると使用人らしき男が


「大変申し訳ございませんでした。エーディンお嬢様があのような怪我をなされてしまい、我々は少しナーバスになっておりまして……旦那様がお戻りになったらどんな顔をなされるのか不安で不安で」


「エーデ先輩の右腕ならなんか治っていたような気がしますよ。今入室すると怒られるかもしれないので、さりげなく見てみてください」


 俺の言葉にガルも使用人らしき男も驚いていた。


 2人とも俺の言葉を信じていないようだが、慌てて俺たちが今来た道に走っていった。


 今行ったら邪魔しちゃうかもしれないから行くなって言ったのに……



 俺とクラリスが宿屋に着くともう既に3人はお風呂に入っていた。


 3人ともどんよりとした暗い顔をしていた。


「どうした?いつもとは違う雰囲気だけど喧嘩でもしたの?」


 俺がそう聞くとカレンが


「ガルさんから聞いたわ……エーデの右腕が欠損してしまったらしいわね。あなた達2人は傷跡を見たんでしょ? 私はこの学校に来る前からエーデの事は知っていたから……結婚もできない……騎士団にも入れない……冒険者にもなれない……エーデがかわいそうで……」


 カレンが泣きながら話し始めた。


 そしてエリーとミーシャも目に涙を浮かべている。


「カレン。エーデ先輩の右腕は俺が治したよ。もう右腕は治っている。さっき痛いって悲鳴を上げていたの聞こえなかった? あれは右腕がくっついて右腕の感覚が戻ったから叫んだんだ。ダメージはそのままだったからね。それにエーデ先輩の婚約者はもう決まっているよ。体が欠損しても絶対にエーデ先輩は結婚できる」


 俺がそう言うとエリー、カレン、ミーシャの顔が変わった。


「嘘!? 部位欠損を治せるわけない……じゃない……でもマルスが言うんだから……信じられる……」


 今度は安堵したのかまたカレンが泣き出した。


 今度はエリーが


「……マルス……5人目……エーデ?……」


 と言ってきてミーシャもうんうんと頷いてこっちを見ている。正直まだ3人目と4人目はジークとマリアに反対されているから、5人目ってことはないだろう……


 あれ? そういえば俺もカレンとミーシャとの婚約反対されているのか……まぁ俺の場合は理由が理由なだけに当たり前な気がするが……ジークは子供たちの事を考えてくれているのは分かる。


 どうやらジークとアイクはしっかり話し合いをしないとダメな気がするな。


 その場は俺が設けるのが一番だな……


「眼鏡っ子先輩はアイク兄と結婚すると思う。だから俺たちの義姉になると思うよ。まだ確定ではないからみんなの心にしまっておいてくれ」


 俺がそう言うと良かったぁと言ってエリーとミーシャが泣き始めた。


 この涙は5人目が眼鏡っ子先輩でなくて良かったというよりは、安心して泣けるようになったから泣こうっていう感じだな。


「クラリス先にお風呂に入ってくれ。俺もその後にお風呂に入るから。お風呂が済んだらみんなご飯を食べに行こう。明日からの俺たちの事も話しておきたい」


 俺がそう言うとクラリスが先にお風呂に入った。


 ミーシャがこの部屋にはお風呂が2つあると言ったので、俺はもう一つのお風呂に入って汗を流した。


 俺はお風呂から上がり、長湯のクラリスをみんなで待っていた。


 その間に迷宮探索を頼まれたことをみんなに伝えた。


 隊列とか今のうちに決めておこうと思ったのだ。


「【黎明】の隊列を考えようと思うのだけど、最前衛がエリーで次にミーシャ、ミーシャの後ろに俺で、俺の後ろにカレン、そして最後尾がクラリスにしようと思っているのだけど」


 俺がそう言うとカレンが


「やっぱりマルスは前衛ではないのね……まだ信じられないけど……」


「前衛も出来るからもしも前衛がきつくなったら前衛に行くつもりだ。そして逆に後衛がきつくなったら後衛に行くから一番真ん中の位置と思ったんだが……やっぱり前衛に行った方がいいか?」


「……マルス……真ん中がいい……」


 エリーがそう言う。


 実はもう一つ俺が真ん中の位置にいる理由があってそれは俺の近くにカレンとミーシャを置いておきたかったからだ。


 エリーとクラリスの実力はもう折り紙つきだが、カレンとミーシャは危ないと思っている。



 クラリスが風呂から上がってきたので、みんなご飯を食べに行こうとすると、宿屋の外で先ほどメサリウス伯爵の屋敷にいた使用人らしき男と会った。


「あぁ良かった。皆さまこれからお屋敷の方に来て頂けませんか?」


 使用人らしき人がそう言うとカレンが


「あなた誰よ? 知らない人の家に行くわけないじゃない」


 もっともらしきことを言った。


 使用人の男は少しムッとした表情で


「失礼しました。私はメサリウス伯爵の執事のムラーノと申します。エーディンお嬢様が是非皆さまにお礼をしたいと申しておりまして……」


 ムラーノがそういうと俺たちも自己紹介をした。


 やはりエリーとカレンが自己紹介するとムラーノは驚いていた。


「本当に先ほどは失礼致しました。まさかフレスバルド筆頭公爵のご息女とは……またセレアンス公爵の金獅子様とは露知らず、誠に申し訳ございませんでした」


 ムラーノが深々と腰を折って謝罪をする。


 周囲の住民たちもこちらを怪訝そうに見ている。


 まぁこの土地で一番偉いメサリウス伯爵の執事が頭を下げるなんて普通は見られるものじゃないからな……


 俺たちはムラーノの案内に従って再びメサリウス伯爵の屋敷に戻った。


 ダイニングに通されると、眼鏡っ子先輩の部屋で会った時の悲壮感でいっぱいの雰囲気ではなく、楽園にいるかのような雰囲気だった。


「マルス君。よく来てくれたわね。今日は【黎明】の歓迎会とお礼を込めて宴会よ! じゃんじゃん食べて飲んで楽しんでね!」


 もうエーデは少しお酒を飲んでいるらしい。


 さっき腕がくっついたばかりなのに酒を飲むなんて……


「今日はめでたい日じゃから無礼講と行こうじゃないか!」


 ガルはもう完全に出来上がっているが、陽気で楽しいお酒のようだ。


 他の【紅蓮】のメンバーもみんな飲んでいるし、アイクも楽しそうだ。


「それでは僕たちもお言葉に甘えて失礼します」


 そう言って俺たちはご馳走にありついた。


 というかサンマリーナでもずっと宴会でメサリウスでも宴会。


 ただサンマリーナとメサリウスでは出てくる食材が違うから飽きは来なかった。


 まぁ大勢でやる宴会は楽しいし、メサリウスでは気心が知れた人間ばかりだから余計に楽しく感じる。



 アイクと眼鏡っ子先輩はとても仲良さそうに隣同士で話している。


 もう既に夫婦みたいな感じがする。



 宴会もそろそろお開きという時間となり、俺はアイクに質問しに行った。


 え? 眼鏡っ子先輩とあの後どうなったかを聞きに行ったのかだって? そんなことは聞かない。聞いても意味が無い。もう2人は結ばれたようだし。


「アイク兄。迷宮の事を聞きたいのですが……どういった魔物が出るのですか?」


「ああ。俺たちは1層の途中までしか行っていないから詳しいことは分からないが、出てくる魔物はオークが中心だった。このオークがちょっとやっかいでな。オーク同士で連携をしてくる。そしてオーク以外の魔物とも連携しているような節がある。なんとか迷宮飽和(ラビリンス)が起きない程度には間引きをして欲しいのだが」


「分かりました。明日しっかり準備をして迷宮に行ってきます」


 俺たちはそう言って明日の迷宮探索に向けて宿に戻り、しっかり体を休める事にした。


 うーん……何かを忘れている気がするが……まぁ忘れていても問題のないような気もするから別にいいか……


 ダメーズが釈放されたのは翌日の事だった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 13歳のグループと10歳のグループがメインの宴会ですか。兄貴カップルの言動やら何やら含め年齢の割に大人びているとか、そういうレベルの話では無いですね。ドワーフは普通にオッサンですし、受…
[気になる点] ダメーズ最高!
[一言] ムラーノさん、執事にしては脇が甘いなw簡単に顔にだしちゃいかんよ
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