プロローグ
乙女ゲーム「天使のパラヴィエル~戦乙女の聖なる祈り~」
遥か昔。
神の息子はこの地に降り立ち、名をルガリオンと名付けた。
ルガリオンの地は神の名付けの恩恵を得て肥沃な大地となり、人々は繁栄していった。
いつしかルガリオンは強大な帝国となり、戦争に明け暮れ、やがて大陸を支配した。
ルガリオンの王は驕り、天空にも届く光の橋を造り上げ、神の国へも迫ろうとした。
それは神の怒りを買い、一匹の竜を彼の地に放った。
竜は神の怒りを顕現するべく、ルガリオンを駆逐した。
ルガリオンの王族の最後の一人は、赤子だった。
神の息子がそこに現れ、神に慈悲を請うた。
神は言った。
「その赤子は血の宿命。いつか必ず、呪われしルガリオン王の意思を目覚めさせ、再び混沌を齎す。それでも助けるか」
神の息子は答えた。
「それが宿命といえど、無垢な魂に罪はなきはず」
神は哀れな赤子を赦す代わりに、神の息子をヒトの身に貶めた。
神の息子の名はパラヴィエル。
ただの人となった彼は新たなる国を作り己の名を付け、王となり治めた。
大陸には百年の平和が約束され、人々は安寧のうちに暮らした。
『パラヴィエル建国史 始まりの伝説』