いくばくの塔
時より塔の中思う
いづれかみちづれの道を
ただそのどれも判然とせず
闇の塔の中に煙り続けた
いくばくの思いを超え
それは形を成したが
それはどれもそれ単体であって
意味を持たない
それはきっとそれでしかなく
それはそれでそれとなく存在している
その幾重にも重なったような螺旋は
ただ聳え私の前に構える
そしてその中でさえも息さえできぬほどに霧煙り
一寸先も見えぬ闇で閉ざされている
堕天使はいるが、私は私を見ることはない
声だけの彼女が私は頼りだがしかし彼女もまた
自身を知らない
そんな中頼りは互いがいるということだけ
そして私は思う
話し言葉を
それは答えだと知るまでもなく
答えであった
薄闇に響いた光と思えたからだ