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バニラプラネットにて3日間   

作者: uki

連載小説を書いていたら実力不足で破綻。まずは短編から挑戦してみようということで完成させた初めての作品です。面白いかはさておき頑張って書いたのでよかったら読んでください

ねぇ、どうして君と僕は違うの?

それは私がロボットであなたが人間だからですよ

人間?人間って何?

少々お待ちくださいただいま検索します。ピーピー。

人間とは・・・われわれがそれであるところの人。人が住むところ。世間。世の中。人の社会のことだそうです。

へぇ、でも僕は一人だよ?僕はほんとに人間なの?

はい、あなたは間違いなく人間で私はそれをサポートするためのロボットです。

どうしてそう言えるの?

それは・・・ピーガガガガ。エラーが発生しました。強制再起動シークエンスに移行します。

ねぇ、どうして?どうして?



「起きてくださいリュック。もう庭の野菜に水をあげる時間ですよ」

「ふぁー。せっかく気持ちよく寝ていたのに君は本当に意地悪だね」

またうるさいロボットが僕を起こしに来た。決まった時間に。

「意地悪ではありません。あなた以外に誰がやるというのですか?」

宙をふわふわと浮いているこのポンコツを僕は何度壊してやろうと思ったかわからない。

「君がやりなよ。僕は忙しいんだ。」

ウィーン。

そう言ってまたベットに潜りこもうとした僕をポンコツの中から伸びてきた手が邪魔した。

「何が忙しいですかいつもグウタラして!あなたが生きる為にやる必要のあることなのですよ」

「君はいいよね、何も食べなくてよくて。僕もロボットに産まれたかったな」

寝ぐせでぼさぼさの頭をポリポリと掻く僕。

「あぁ、こんな人がマスターだなんて私は不幸だ」

大げさに仰け反るふりをするポンコツ。チカチカ光っていてうっとおしい。

「ねぇ、不幸って何?」

「また始まりましたかリュックのナニナニ病。不幸とは幸福でないことです。先に言っておきますが、幸福とは簡単に言えば楽しいと感じることです」

「へぇ。じゃぁ僕は不幸だね。僕は楽しいと思ったことがないよ。だから幸福じゃない」

「そんな悲しいことを言わないでください」

「悲しい?僕は今君に悲しいをしたの?でも僕にこの前見せたエイガだっけ。その中にいた悲しいをした人みたいに涙を流さないね。どうして?」

僕にはわからないことがたくさんあるんだ。

「ロボットは涙を流さないんです。当たり前のことです。」

よりいっそう音声が大きくなった。僕はとっさに耳をふさいだ。

「どうして当たり前なの?ねぇ。悲しいは涙を流すんでしょ。君がこの前言ったんだよ?」

・・・ピーガガガガ。エラーが発生しました。強制再起動シークエンスに移行します。

「また壊れた」

仕方なく僕は支度を済ませてシェルターを出て庭に向かった。



いつものように庭の野菜に水をあげる。僕は人間だからどうやらこれを食べないと死んじゃうらしいんだ。

この前見せてもらったエイガのご飯はおいしそうだったなぁ。でもあんなの僕一人でできっこない。だって僕はここに一人だけなんだから。

「お水はあげ終わりましたか?」

「うん、終わったよ」

いつも通りのやり取り。もう何回繰り返したんだろう。

「今日の予定はどうするんですか?」

「そんなの決まってるじゃないか。遺跡にイイものを探しに行くのさ」

遺跡っていうのはここから歩いて20分くらいにある大きな町。透明なトゲトゲとか銀色の堅いのが散らばってて危ないってポンコツは言うけど、あそこには不思議なものがたくさんあるんだ。エイガだってあそこで拾ったんだから。

楽しいがどんなものかはよくわからないけどあそこに行くと僕の体は少しだけ熱くなる。

「ダメです。あそこはガラスとコンクリート片が散らばっているのですから危ないです」

相変わらずポンコツの言うことはよくわからなかった。

「へぇ。わかった。んじゃ、危ないに気を付けて行ってくる」

僕は走り出した。

「だからダメだって!!」

遠くでポンコツが何か言ってた。


「今日はどこを見ようかな」

僕は、アキバ遺跡についた。ここにはほんとにたくさんのイイものがあるんだよ。

ポンコツには内緒だけど、ベッドの下のドウジンシだってここで拾ったんだ。

「待ちなさいって言ってるでしょ!」

遠くで声が聞こえる。ポンコツが僕を追いかけてきたみたいだ。またうるさいことを言うに決まってる。

「いやだよー」

僕は慌てて電気屋さんに逃げ込んだ。文字はポンコツに教わったからわかるけど意味はよくわからないんだよね。でもここには便利なイイものがたくさんあるんだ。

この前は上を探したから今日は下を探してみよう。

ポンコツに教わったんだけど、Bには下って意味があるんだって。下は、ホーシャノーがまだ残ってるから危ないなんてポンコツは言うけど僕にはわからないから関係ないよ。

今いるのはB4。なんだか大きな鉄の塊がたくさんある。

「あれなんだろう」

奥のほうで何かが光ってる。行ってみよう。

「お姫様だ・・・」

箱の中にエイガで見たお姫様みたいなのがいた。

「これなんて読むんだろう。あとでポンコツに聞いてみよう」

Cold Sleep 20xx Alicetair

眠っている裸のお姫様を見た僕のちんちんはドウジンシを見た時と同じように熱くなっていた。

これはボッキって言って子どもを作るために必要なんだってポンコツが言ってた。だったら僕にも人間が作れるの?と聞いたらいつもみたいに壊れた。

僕はどうしてもお姫様に触ってみたくなった。どうやってこの箱を開けるんだろう。

僕が頭を抱えて困っていると

「こんなとこにいたんですかもう逃がしませんよ!」

ポンコツが飛んできた。

「丁度よかった。お姫様をここから出してよポルン」

「お姫様?何を訳のわからないことを。いいから帰りますよ・・・ってえぇぇぇぇぇ!?」

箱を見たポンコツはひっくり返った。

「いいから早く出してよポルン」

「わかりました。まったく都合のいい時にばっか名前で呼ぶんだから・・・」

ぶつぶつ文句を言ってたけど僕にはどうでもよかった。

ポンコツが言うには箱の真ん中の赤いボタンを押せばいいんだって。さっそく押してみた。

プシュー!!ガッチャン。

煙と大きな音を立てて箱が開いた。

箱の中にいっぱいだった水が抜けてお姫様が飛び出してきた。

「きれい」

「えぇその通りですね」

珍しくポンコツと意見があった。

「でもさ、どうしてちんちんが付いてないの?胸も膨らんでるし」

僕は胸のふくらみが気になって触ってみた。

「ダメですリュックそんなことしたら。悪いことですよ。セクハラです」

「ねぇ、セクハラって何?ダメなことって誰が決めたの?」

また知らない言葉が出てきた。

「セクハラは法律が許さないのですよ」

「法律?それは誰が決めたの?」

「それは偉い人がです」

「偉い人?それは神様より偉いの?」

セイショっていう分厚い紙があってね、それを読まされたんだ。そこには一番偉い人のことが書かれてたんだよ。

「いえ、それはないです。人間が作ったものですから」

「へぇ、そうなんだ。じゃー、神様はセクハラをしてもいいの?」

「いい加減にしなさいリュック。男の子は女の子の嫌がることはしない!これは常識です」

「また常識か。僕にはそんなのわからないよ。僕は僕しかいないんだから」

「もう屁理屈ばかり!いい加減に」

「そんなことよりこの子は女の子なの?!僕は男の子なんだよね。ってことはHしていいの?」

「・・・リュックあなたはなんてことを・・・どこでそんな知識を」

ポンコツが僕の頭の周りをぶんぶん飛んでいる。どうしたんだろう。

「いいですか?お互いの合意がなければそういうことはしてはいけません!。レイプはいけないことですよ」

また知らない単語。でも話の流れでなんとなくわかった。

「だったら神様はレイプを」

「黙りなさい!!」

感情がない僕でもわかる。ポルンは今怒ってる。


「ん、ここはどこかしら」

お姫様が起きた。長いサラサラの金髪に青いビー玉みたいな瞳。ほんとにエイガの中から飛び出してきたみたいだ。

「ほら、ポンコツが騒がしくするから起きちゃったじゃないか」

「誰のせいでっ!!」

ポンコツは白い体を真っ赤にして騒いでいる。

「あなた達は・・・・?」

お姫様が首を傾げて僕を見ていた。

「僕はリュックだよ。こっちのポンコツは」

「ポルンです!ポンコツじゃなくてポルン」

僕たちのお喋りがおかしかったのかお姫様が笑っていた。笑うってどんな感じなんだろう。

「わたくしはアリスティアよ。ティアって呼んで」

「うんよろしくティア。ところでお願いがあるんだけど」

「何かしら?」

「Hしよう」

「・・・・?」

ティアは固まっていた。

「何をアホなこと言ってるんですかリュック!ダメだってさっき言ったばかりでしょう?!」

「ポルンが言ったんじゃないか。お互いの合意が必要だって」

「確かに言いましたけど、ティアの気持ちを考えればわかることでしょう?」

「気持ち?僕にはそんなのわからないよ。僕は僕しか知らないんだから」



(SIDE ポロン)

皆さん初めまして。お助けロボットのポルンです。リュックのお世話係をしています。

ここまでの流れでリュックの頭がおかしいと思った方も多いかもしれませんが、ご理解ください。

彼は自分と私しか知らないのです。つまり人間を知らない。喜怒哀楽の感情が理解できないのです。幸せとは何かなんて話がありましたが、汚い話人と比べないことには理解することは難しいです。他人は自分を映す鏡といいますが、鏡がない、つまり自分が何かもよくわかっていないのです。よく言えば純粋悪く言えばバカ。そんな彼が自分を映す鏡になりえる人間のティアに出会いました。これがいい変化を生んでくれればいいと教育係としては切に願います。それでは失礼します。



「どうしてさ?男と女がいれば子供を作れるんだろ?僕は僕以外の人間と暮らしてみたいよ」

「そういうのは好きな人とじゃないとできないんですよ。わかりましたか?」

「でも僕が見てるドウジンシではいろんな人とHしてたよ?女の子も最初は嫌がってたけどそのうち自分から」

「何を言ってるんですか!もうそんなもの帰ったら全て没収です!」

「えー」

言い争いを続ける僕たち。

「ちょっと貴方達いつまでわたくしを放置しているつもりですか?何故わたくしは裸なのかしら?!ここがどこで今がどういう状態なのか説明してください!戦争はもう終わったの?」

僕たちの間に固まっていたお姫様が体を手で隠して割り込んできた。

「戦争って何?」

「人々が土地や資源などを取り合って争うことですよリュック」

「へぇ。」

「そうです戦争です!わたくしたちは・・・負けたのですか?」

まわりを見てがっくりと肩を落としているティア。もしかしたら悲しいなのかもしれない。

「戦争のことはわかりませんが、私たちはここに私たちしかいません」

「あなた・・・達だけ?ほかの人たちはどこへ」

「そんなの知らないよ。僕たちは僕たちの事しかしらないんだから。それよりそろそろ帰らない?お腹が空いちゃったよ」

「そうですね。ここにこのままいても何も起こりませんし。ティアもよかったら一緒に来ますか?」

「そうですわね。お願いいたしますわ」

僕たちはシェルターに帰ることにした。



僕の家はシェルターって名前で四角い小さな建物だ。

家の中には寝るところと食堂とお風呂があるだけ。

僕たちは庭の野菜と蚕を盛りつけただけのいつものご飯をテーブルに座って囲んでいた。

「これは・・なんですの?」

ティアはご飯を見て目を細めている。どうしたんだろう?

「食べないの?」

もぐもぐ。僕はいつもみたいにご飯を食べる。生きるために。

「ほら遠慮せずにティアもどうぞ」

ポンコツがティアにご飯を勧めた。

「嫌、無理ですわこんなもの」

ティアはお皿を遠ざけた。

「ダメだよティア。君も人間なんだから食べないと死んじゃうんだよ?」

「無理なものは無理ですわ!」

そういうとティアは部屋を出て行ってしまった。

「どうしたんだろう?」

「ティアは虫が苦手なのかもしれませんね」


「泣いているの?」

外に出るとシェルターの裏でティアが座り込んでいた。

「泣いてなんていませんわ!」

「でも」

「ほうっておいてください。だいたいなんですのこの格好?」

「似合っているよ」

「こんなもの似合っても嬉しくありませんわ。だいたいこのご時世にブルマって!」

裸のままティアを連れてくるのはダメってポンコツが言うから、僕はアキバ遺跡で服を探してきてあげたんだ。

「ブルマ?それは体操着っていうらしいよ。体操ってことは動きやすいってことでしょ?」

健康の為とかでポンコツはよく僕にそれをさせるんだ。

「どうしてもっとましな服がなかったんですの?だいたい、5-3 長谷川って誰のことですの?!」

「そんなの僕は知らないよ。アキバ遺跡にはそういう服しかないんだよ。メイドさんとかのほうがよかった?」

「メイド?!ふざけているんですの?使用人の真似事など。これでもわたくしは由緒正しきバスティス家の娘で」

「ふーん。僕にはどうでもいいや」

「どうしてあなたはそんなに冷たいんですの?右も左もわからなくなって不安なわたくしに少しは優しくしようとか思いませんの?」

「僕にはわからないよ。でも、わからなくなったって事はもとはわかっていたんでしょ?僕は君が羨ましいな。僕には何もないんだから」

「え?」

ティアは僕をしばらく見つめると黙り込んでしまった。

「そうだ。ティアはさっき冷たいって言ったね。ちょっと待ってて」

「え?ちょっとどこへ?」

僕はティアの声を無視してあれをシェルターに取りに帰った。


「お待たせ」

僕はいつもの暖かいのを持ってきた。

「あなたそんなにたくさんの札束どうしましたの?」

「札束?これは暖かいやつだよ。ほら」

僕はらいたーでそれを燃やした。らいたーはどの遺跡にもたくさんあるんだ。

「あなた正気ですの?お金をそんな風に・・・・」

それは勢い良く燃えた。寒いときはいつもこうするんだ。

「これで暖かくなるから寒くないよティア」

「燃やすものなら他にもあるでしょう?!どうしてお金なんて」

ティアが慌ててる理由がよくわからない。

「紙なら他にも本とかあるけど、あれは使い道があるから。燃やすのはこの役立たずの紙切れが一番なんだよ」

「何を言っていますの?それがあればなんでも手に入る。大まかに言ってしまえば戦争もそれの為に起きましたのよ」

「ふーん、そうなんだ。人間はこんなつまらないものが好きなんだね。僕にはよくわからないよ。それより、ティアから見て僕はどう?」

「どうとは?」

「僕は僕がよくわからないんだ。ほかに比べるものもないしね」

ティアはなんだか複雑な顔をしていた。僕を心配しているのかもしれない。

「そうですわね。お顔はまぁ整っているかと。髪はだらしなく伸びていますが整えれば綺麗になりますわ。年のころは背丈から考えて12歳ぐらいかしら。わたくしの3つ年下でしてよ」

「年下ってなに?」

「年下というのは生まれたのがわたくしより後という事ですわ。わたくしのほうが少しだけお姉さんということね」

「ということはティアは僕より偉いの?!」

「ううん、偉いの定義はそれぞれですが年功序列から考えれば偉いですわね」

「ほんとう?だったら神様より偉い?」

「そんなわけないわ。わたくしは人間でしてよ」

「そうか、でも僕より偉いのか。だったら僕はティアの言うことを聞くよ。それがいいってエイガで言ってたんだ。そうしたら大人になれるんだって」

「そういうことでは・・・・」

ティアはまた黙り込んでしまった。

「こんなところにいたんですか?おや焚火中ならちょうどいいです」

僕たちの声を聞いたポンコツがやってきた。体から延ばした両手に大量のドウジンシを載せて。

「ポルン。それをどうする気?」

「決まってるじゃないですか。こうするんです!」

ポルンはそれら全部を焚火に投げ入れた。それはそれは勢いよく燃えた。

「もう何するんだよ。せっかく集めたのに」

「これは、今は教育上よろしくないものです」

「ふーん。わかったよ」

ポンコツが言うんだから仕方ない。

「あなた怒らなくていいんですの?目の前で大事なものが燃やされたんですのよ?

「欲しければまた拾ってくるし別のことを探してもいいし。そもそも怒るってなんだい?」

ティアはつまらなさそうに焚火を見つめる僕を信じられないものを見るような目で見ていた。


「いつまでも落ち込んではいられませんわ!」

しばらくするといきなりティアが立ち上がった。

「どうしたの?」

「バスティス家の家訓。地面に宝石は落ちていないですわ」

「ちょっと何言ってるかわかんないな」

ティアもポンコツと一緒で壊れちゃったのかな?

「そうですその意気ですティア。私たちは生きなければならないのですから」

「ねぇ、ずっと気になってたけどどうして生きなきゃいけないの?」

「せっかくやる気になったのに水を差すんじゃありません。それにその話はずっと前に3日もかけて説明したでしょう!」

「あぁ、もうわかったよ。そんなことよりティアの話を聞かせて。僕には何もないから」

「あまり面白い話ではありませんがよろしいですわ」

ティアは一呼吸置くとゆっくりと話し始めた。


「起きて!起きなさいリュック!」

「あ、なんだいポルン?」

「なんだい?じゃありません!あなたが聞きたがった話の最中に寝るとは何事ですか?」

「だってつまらないんだもの」

「なんですって?!いまなんて言ったのかしら?」

眠ってしまった僕をぼんやりと見つめていたティアが怒り出した。

「だってティアの話は、こうでなきゃいけないとかバスティス家の人間なのだからとか、ティア自身の話じゃないじゃないか。ティアがどう思ってどうしたかったのかを僕は聞きたかったのに。ただ言うことを聞くだけだなんてポンコツにでもできることじゃないか」

「・・・それは」

ティアはまた黙り込んでしまった。

「ティアだって名家に生まれて大変だったのだからそんな言い方ないでしょう?ティアに謝りなさい!」

「謝るってなにさ?どうしたらいいの?そんなこと今まで一度もしたことがないよ」

相手もいなかったんだから当然だよね。

「いえ、謝罪は結構ですわ。言っていることもあながち間違ってはいませんし」

「ほら、僕は間違ってないじゃないか。でもティアもこれで自由の身なんだから好きなことをするといいよ。ここには僕ら3人しかいないんだから」

「え?」

「そうですよティア。ここにはあなたを止める人など誰もいません」

ティアは考え事を始めて黙り込んでしまった。


「いざ自由となると何をするか悩みますね。逆に不自由ですわ」

「ティアは何がしたいの?」

「それがわからないから困っていますのよ」

「だったら僕とHを」

「リュックー。それ以上言ったらどうなるかわかっていますね?」

「わかったよ。そういえば服が欲しいって言ってなかった?」

「はい、さすがにこの格好は恥ずかしいですわ」

体操着の端を摘まんで僕らを見るティア。

「そうだね、だったらこの後はシブヤ遺跡に行こうか。時間はいくらでもあるよ」

「はい、よろしくお願いしますわ」

「二人とも気を付けて行ってきてくださいね。私はやることがあるので行けません。アキバ遺跡ほどのゴチャゴチャはないので心配はそんなにしていませんが」

「はーい」「わかりましたわ」


シブヤ遺跡に向かう道中ティアはそこらじゅうをキョロキョロ見ていた。

「何か珍しいものでもあった?」

「珍しいものというより、この廃墟の山はなんですの?道も凸凹でひび割れて通れないところばかり」

「何って言われてもこれが僕の当たり前だからわからないよ。ティア、危ないに気を付けてね」

「少し気になったんですがリュックは言葉遣いがところどころおかしいですわね」

「それは仕方ないよ。僕は人間からは何一つ学べてないから」

「・・・そうでしたわね」

またティアが喋らなくなっちゃった。

それから僕らは無言でシブヤ遺跡を目指した。


「少し休みませんこと?」

僕の歩みを止めたのはティアのワガママだった。

「どうして?もうすぐ着くよ?」

「疲れてしまいまして。わたくしずっと眠っていたものですから」

「ふーん。そういえばどうしてティアは眠っていたの?」

「よくわかりませんの。最後に見た景色は、泣き叫ぶ母とそれをなだめる父の背中だけ」

ティアは視線を少し下にずらして答えた。

「ふーん」

「それだけですの?もう少し心配するとか」

「着いたよ。ここがシブヤ遺跡だ」

「もういいですわ」

ティアは僕を置いてずんずん先に行ってしまった。


女の買い物は長いなんてアキバ遺跡で見つけた本に書いてあったけどその通りだった。

ティアは目につくお店に片っ端から入ってはまだ着れる服を探していた。

「ねぇ、もう帰らない?」

「もう少しですわ」

「もう少しってさっきもそれ言ったじゃないか」

「もう少しはもう少しですわ」

さっきからずっとこの調子。もう先に帰っちゃおうかな。


「お待たせしましたわ」

両手にいっぱいの服を持ってティアが戻ってきた。

「すんごい待ったよ」

僕は靴の踵を何回も慌ただしく鳴らした。

「そこで、待ってないよとサラッと言えない殿方はモテませんことよ?」

「あ``?」

何故か僕は初めて怒りの感情を覚えたような気がした。ティアをずっと見ていたからかな。


「ただいまー」

僕たちはシェルターに帰ってきた。帰り道ティアはいい服があったからかずっと上機嫌だった。鼻歌なんて歌っちゃってさ。

「おかえりなさいリュック、ティア。ご飯の準備ができているので食べてください」

「はーい」

晩飯時、僕たちは蚕のサラダをまた囲んでいた。

「・・・またこれですの?」

「あぁ、これしかないよ。食べないと死んじゃうんだから」

「もうわかりましたわ!毒を食らわば皿まで!」

そう言いながらもティアは蚕だけを避けてサラダを食べていた。

「シブヤ遺跡はどうでした?」

ポンコツがきりだした。

「疲れただけだよ。ずっとティアを待ってた」

「そんな言い方ありますか?でも良いものをたくさん見つけたので満足ですわ」

そう言って戦利品をポンコツに見せびらかしていた。

なんだかつまらないな。


「特にやることもないし疲れたのでわたくしは先にお休みさせていただきますわ」

サラダを食べ終わったティアが席を立った。

「寝室にお布団を敷きましたから使ってください」

「ありがとうポルン」

その一言だけ残してティアは寝室に消えた。


食堂には僕とポルンだけ。僕は初めて僕ら以外の話をした。

「ティアはさ、僕より年上なのに僕がなりたい大人じゃないんだよ。わがままだし」

「リュック、あまり人の陰口を言うものではありませんよ」

「陰口?これはいけないことなの?」

「これをティアが聞いたときにどう思うかを考えれば自然とわか・・・るわけありませんよね」

「うん、ぼくにはわからない」

「でもリュック、珍しく今日は口調が強いですね。もしかして怒っているのですか?」

「怒る?僕が?」

「そうです。イライラしていますよ。靴の踵もすり減っています」

「そうか。僕は今日怒っていたのか。なんだかわからないムカムカが胸の中にあったんだよ。ティアが僕を放っておいたことがなんだか嫌だったんだ」

「なるほど。女の買い物を経験したわけですね」

「やっぱり長かったよ」

「・・・そうですか。でも私は嬉しいです。リュック、あなたは今怒るという感情を自分の中から見つけられたのですよ」

「怒る、僕はそれができたの?」

「はい、私はそれが嬉しいです。だから今日のところは忘れて眠りなさい。細かいことを気にする男はモテませんよ?」

「あ``?」

「その調子その調子」

一日目の夜はこうして更けていった。


「ご飯ですわ」

「え?今なんて?」

起きて一番にティアが力強くした発言。

「なんとしても今日中にまともな食事を!」

またティアのワガママが始まった。まだ少ししか一緒に過ごしてないけどなんとなくティアのことが分かった気がする。

「といいましても。まともな食事とは何ですか?私のデータベースにはありません」

「まともはまともですわ」

「なんだよそれ?僕らのご飯はまともじゃないっていうのか?」

僕が理解した怒りの感情。たぶんだけど人間は人間が関わることで初めて怒ることができるのかもしれない。程度もあるみたいだ。

「まともの概念はまだ理解できませんが、おそらく食べることが可能な食料は残っていないかと」

「何故ですの?」

「私は二人がシブヤ遺跡に行ってる間にティアの眠っていたカプセルを調べてみました。20XXにティアが眠ったとして、今は20XXXです」

「最近の話じゃないか。大丈夫だよきっと」

「リュック、桁が違うのですよ」

「どういうことポルン?」

「・・・まさか私は1万年以上も眠っていたのですか?」

「正確なことは言えませんが恐らくは・・・」

「すごいや!ティアは1万歳以上ってこと?」

「リュック・・・話がややこしくなるのであっちに行っていてください。野菜の世話の時間ですよ」

「ちぇっ。わかったよ」

僕は野菜の世話をしに庭へ向かった。


SIDE  ティア

理解が追いつきませんわ。わたくしはそんなに長い間眠っていて。もう何もかも終わってしまって。終わったことすら終わっていて。

では、リュックとポルンとは何者ですの?ポルンはロボットだから理解できますが、リュックは紛れもなく人間。人間がこの果てしない孤独を生き抜いている。

「ティア。気持ちはわかりますが今は気をたしかに」

ポルンの声で我に返ったわたくし。

「・・・ええ、そうですわね。いくつか質問よろしいかしら?」

地面に宝石は落ちていないですわ。

「答えられることは少ないでしょうがそれでもよろしければ」

「それでは、ポルン、あなたは見たところロボットですがどうやって動いているの?」

「無限電池です。今より5000年前に発明されたとされています。理論上不可能な永久機関を実現した人類からエネルギー問題による戦争はなくなると考えられていました。しかし人の欲はそこでは終わらなかった」

「・・・やはり戦争が無くなることはなかったのですわね。それでは、リュックは何者ですの?」

「詳しいことはわかりません。気が付くと赤ん坊のリュックが傍にいました。私にわかることは何があってもリュックを守り抜くというプログラムに組み込まれた強い思いだけです」

嘘か本当か。ポルンはロボットだから表情から読み取れることは一切なかった。

「ずっと二人だけだったのですね」

「ええ。私たちはずっと二人でした。でもティア、今は貴方がいる。私は貴方に感謝しているのですよ」

「感謝?何故ですの?」

「リュックに感情を理解させてくれました。まだ怒りだけですが徐々に理解は広がっていくと期待しています」

「怒り?なんだかよくわかりませんが、貴方がそういうのなら」

「それに、今は言えませんが時が来たら貴方にお願いしたいことがあります」

「お願いですの?」

「今は言えないのです。しかし近いうちにわかるかと」

「わかりましたわ」

結論から言うとわかったことはほとんどありませんでしたわ。状況を打破する手も今は思いつかない。


SIDE リュック

野菜の世話が終わった僕が食堂に戻ると二人が黙って向かい合っていた。

「なにかあったの?」

「なにもありませんわ」

「なんでもないですよリュック」

「そう。今日は何をしようか?食べ物を探すんだっけ?」

僕がそういうとティアがまた元気を失くしてしまった。

「食べ物はもういいですわ。それより何か面白いところに連れっていってくださらない?」

「面白いところ?」

「リュック。あなたがいつも行きたがっているところですよ。ただし危ないところはダメです」

「僕がねぇ。だったら虹を見に行こうよ」

「虹ですの?でもそんなものどこに」

「クゼ遺跡だよ」

「クゼ?そんな地名聞いたことがありませんわ」

「大丈夫。そんなに遠くないから。行ってくるねポルン!」

「わかりました。気を付けて行ってくるのですよ」

僕らはクゼ遺跡にむけて走り出した。



SIDE  ポルン

出かけて行った二人を見送り終えた私はいつもの作業を開始した。

ここはシェルターの地下。リュックには教えていない秘密の部屋。

「ティアのこともあるし完成を急がなければいけませんね」

ロボットの私には感情はありませんがなんだか寂しい気持ちになってしまうのは何故でしょうか。

「仕方ないことです。私の役目です。リュックの為に」

そう自分に言い聞かせ私は修理にまた取り掛かった。



SIDE  リュック

「なんですのこれは・・・?」

ティアはずっと上を見上げていた。

「虹だよ。僕のお気に入りの場所の一つ」

「空もないこの世界にどうして虹がかかりますの?」

「空?僕にわかるわけないよ。でも綺麗でしょ?」

「えぇ、とても」

ティアはずっと虹を見ていた。7色の光で遺跡の中がピカピカ光る。CLUB KUZEと書かれた看板の中にあるクゼ遺跡。

ずっといると疲れる。いつもは一人で見る虹もティアと見るとなんだか違うものに思えた。綺麗って言葉を今まで適当に使っていたけど、今だけは本当に綺麗だと僕は思った。


「次はどこに行こうか」

「おまかせしますわ」

「だったら湖に行ってみる?」

「湖?!この終末みたいな世界に湖があるんですの?」

「うん、ミクニ遺跡にあるんだ」

「ミクニ?また聞いたことない地名ですわ」

「そうと決まったら行こう。少し歩くよ」

僕は何故かワクワクしていた。


「そういえばティア。今日の服似合ってるよ」

「そうですか。ありがとう」

僕は嬉しいがなんとなくわかってきた気がする。ティアが笑うと僕も笑う。笑うとなんだか気持ちが温かくなる。きっとこれが嬉しいなのかもしれないね。

ティアはフリフリのついた綺麗なドレスを着ていた。汚れるだとか歩きにくそうだとかそんなことは珍しく僕にもどうでもよかった。


「着いたよ。ミクニ遺跡だ」

「遺跡?ここは公園ではなくて?」

「ミクニ遺跡には野菜がたくさんあるんだ。でもこれは食べられない野菜でなんて言ったかな」

「観葉植物?」

「そうそれだ」

「でも、日光がないのにどうして植物が育つのかしら?」

「日光?」

「そうよ。太陽の、お日様の光ですわ。この世界は明るいけれどそれはひどく人工的な光だとわたくしは感じていて」

「太陽ってどんなもの?」

「真っ赤な真ん丸でとっても熱いのですわ」

「熱い?お湯よりも?」

「えぇ。お湯なんかよりずっとですわ」

「へー。すごいや!」

「っふふふ」

またティアが笑った。僕は嬉しいになる。

「ところで湖というのはあれですの?」

「うん、そうだよ。湖。でもその水はシェルターのと違って飲めないから気を付けて」

「わかりましたわ」

ティアは靴を脱いで湖に入っていった。

「リュック。ここにはお魚はいないの?」

「魚?なんだいそれ?」

「・・・聞いた私がバカでしたわ。でも、冷たくて気持ちいいですわね」

「そうだね。僕も入ろう」

僕もティアの嬉しいを感じて湖に入った。

「ティア。あんまり深いところに行くと危ないがあるよ」

「えいっ!ですわ」

「なにするんだよ?」

ティアが僕に手ですくった水をかけてきた。

「「ほら、リュックあなたも」

そういえばエイガで見た。コイビトがやっていた。

「やったなぁ」

僕も負けじとやり返す。水を掛けられるなんて嫌なはずなのに僕もティアも自然と笑っていた。これは、楽しいなのかもしれない。


「それにしても、水も緑もあって何故他の生き物がいないのでしょうか?不思議ですわ」

「他の生き物?」

「そうですわ。虫も魚も公園ならいてもおかしくないのに」

「よくわからないけど、ポルンが昔言ってた。ツミとバツがどうとか」

「罪と罰?とても穏やかではありませんわね」

「どういう意味なの?」

「うーん、困りましたわ。簡単に言うと・・・いけないことをしたということかしら」

「ふーん。なんだかよくわからないや」

「ですわね」

そう言いながらもティアは何かを考えている気がした。


「次はどこに」

「そろそろ帰りません事?ポルンが待っているかもですし」

「えー?」

「またいつでも来られるでしょう?」

「うん、そうだね」

僕はもう少しティアと遊びたかった。なんだか寂しい気持ちに・・・寂しい?僕が?きっとこれは寂しい。

「ほらリュック。何をしていますの?置いていきますわよ」

「待ってよティア―」

僕らはシェルターに帰ることにした。


「今日の野菜の世話はわたくしがしますわ」

帰ってきたティアが突然言い出した。

「どうしたのティア?」

「どうしたのですか?」

僕らは同時に聞いた。

「今日はなんだか楽しかったのですわ。だからお礼に」

「そういうことですか。でしたらお願いします。ほらリュックお礼を言って」

「お礼?お礼って何?」

「もう!いいから私に続いて言ってください。ありがとう」

「わかったよ。ありがとう」

僕は初めてお礼を言った。

「っふふ。こちらこそ。今日はありがとうリュック」

そう言い残しティアは庭へ。


初めてお礼を言われた。僕は嬉しいでいっぱいになった。

「ポルン!この感覚はなに?」

「おやおやそんなに興奮してどうしたのですか?よほどデートが楽しかったのですね?」

「デート?」

「そうです。男女が二人きりで出かければそれはデートです」

「そうか。デートかぁ。デートかぁ」

デートという響きが嬉しくて僕は何度もその言葉を繰り返した。ほっぺが熱くなるのを感じた。


「戻りましたわー」

野菜の世話を終えたティアが戻ってきた。

「おかえりなさいティア」

「「ありがとうティア」

ありがとうはいい言葉だ。ずっと言っていたくなる。

「そんなにお礼を言わずとも」

ティアが苦笑いしていた。なんでだろう。

「だったら蚕の世話は僕がしてくる」

僕はいつもは面倒だった蚕の世話にスキップで向かった。ありがとうがまたあるのかもしれないからね。


SIDE ティア

「野菜の世話をありがとうございますティア」

「貴方もですの?そんな大したことはしていませんわ」

「そうですか。そういえばデートはどうでした?」

「で、で、でデートぉ?!」

ポルンは何を言っているのかしら。

「はいそうです。デートです。楽しかったですか?」

「デートかはわかりませんが。楽しかったです。虹は綺麗で湖は心地よかったです」

「それはよかった。リュックはどうでした?」

「リュックも楽しそうにしていましたわ。そういえば聞きたいことがあったのですが、罪と罰とは何ですの?リュックから聞いたのですが」

・・・ピーガガガガ。エラーが発生しました。強制再起動シークエンスに移行します。

「え、なに?なに?」

急にポルンがおかしくなってしまいましたわ。

「ただいまー。蚕の世話も終わったよー」

「リュック丁度良かった。ポルンの様子が」

「また壊れたのか。気にしなくていいよ。すぐに元に戻るから」

「本当ですの?」

「あぁ、本当さ。それよりご飯の用意をしよう」

「またあれですか」

「あれしかないからね」

僕らは揃って肩を落とした。


SIDE  ポルン

やはり困ったときには壊れたふりに限りますね。

そろそろ隠し事にも限界がきている気がします。

「明日・・・ですか。明日がもっとも重要。すべてを打ち明ける」


SIDE  リュック

いつも通りのご飯を準備していると復旧したポンコツが戻ってきた。

「おかえりー」

「おかえりなさいですわ」

「はい。またフリーズしたみたいで。ご迷惑をおかけしました」

「いえ、お気になさらず。それよりも罪と罰って・・・」

「ダメだよティア。きっとまた壊れる」

「そうですわね」

僕らは目を合わせて肩をすくめた。


「星を見よう」

ご飯も食べたし僕はティアをまたデートに誘った。

「星?こんな世界でも見えますの?」

「うん。でも少し待って。ポルン!ツミとバツってなんだい?」

・・・ピーガガガガ。エラーが発生しました。強制再起動シークエンスに移行します。

「リュック!貴方何をしていますの?」

「これでいいんだ。行こう」

「ポルンはいいんですの?」

「うん、ポンコツにバレると止められる場所にあるからね」

「それは行っていいものか微妙ですが。星には興味がありますわ。わたくしの祖国では冬には満点の星空とオーロラが見えまして、それを家族で見に行くのが大好きでした」

ティアが寂しそうに言った。

「僕にはやっぱりよくわからないけれど、負けないぐらい綺麗だと思うよ」

「楽しみですわね」

「じゃー、スバル遺跡に出発」

「また聞いたことのない地名ですわ」



SIDE  ポルン

「スバル遺跡ですか・・・」

まさかあの場所をリュックが知っていたとは。

これはまずいです。あれに気づかれては余計な誤解を与えてしまうかもしれない。急いであとを追わなければ。



「綺麗だ・・・」

見上げると絶景が広がっていた。

「綺麗だ・・・じゃないですわリュック!パンツを見るのをやめなさい!」

「仕方ないじゃないか。スバル遺跡は上なんだから」

僕らは遺跡を目指して梯子を上っていた。

「それに、綺麗な柄だよ。感情が薄い僕にもわかる。クゼ遺跡の虹にも負けていないよ」

感情を理解し始めた僕の変化を一番感じているのは僕自身だった。

「褒めてもダメなものはダメですわ!上を見ずに上りなさい」

「そんなことしたら危ないじゃないか」

「ダメなものはだめです」

「わかったよ」

そう言って下を僕は下を見た。ポルンと目が合った。

「まずいよティア!ポルンが追いかけてきた」

「なんですって?どうしますの?」

「とりあえず急いで登ろう。もうすぐだ」



「見てティア。これが星だよ」

僕らはスバル遺跡に着いた。

ティアは黙って星を見上げている。

「言葉を失うとはこのことですわね。宇宙をこんなに近くに感じる」

「宇宙?宇宙って何?」

「宇宙とはですわね」

「リュック!上に行ってはダメだとあれだけ言ったでしょう!」

追いついてきたポルンが怒鳴った。

「でもさ、ポルン」

「でもじゃありません!早く帰るんです!」

「嫌だよ!僕はティアと星を見るんだ!」

「いけません!ここは危ないんですから!」

こんなに怒るポルンを初めて見た。

「リュック。もうわたくしは満足しましたわ」

「でも!」

「でもではありません!さぁ帰りますよ」

「わかったよポルン。あーあ、ティアと一緒にあの青い星を見たかったのに」

僕は隠していた小さいボウエンキョウを地面に放った。

「青い星?ですの?」

「二人とも!早く!」

「ポルンがうるさいから早く行こうか」

「ですわね」

僕らは渋々帰り道を急いだ。


みんな無言の帰り道。ポルンがきりだした。

「明日です。明日全てを話します」

「明日?急にどうしたの?」

「大事な話です。ある程度覚悟しておいてください」

「覚悟とは、かなり大事な話なのですね」

ポルンはそれだけ言うと黙り込んでしまった。

初めて3人で歩く帰り道はなんだか空気が重かった。


特に何があるわけでもなく、疲れたからとすぐ寝てしまったティア。ポルンもスリープモードに入ってしまい僕は暇を持て余していた。

だから散歩に出かけることにした。

真っ暗な頭上を見上げながらどこへ行くでもなく歩くうちに僕は自然とポルンとの出会いを思い出していた。


真っ白い部屋。僕は大きな丸い椅子に座っていて。

「リュック!聞こえていますか?」

「リュック?何それは?」

「あなたの名前です」

「誰が決めたのさ?僕は僕だよ」

「いいえ、あなたはリュックです。背負いし者という意味です。そして私はポロン」

「ポルン?」

「いいえ、ポロンです」

「ふーん、ポルンね」

「いや、だから・・・もういいですポルンで」

「よろしくねポルン」

「はいよろしくリュック。私はあなたのお世話ロボットです」

「お世話?何をするのさ?」

「あなたは一人きりです。人間は一人では生きられない。だからこそ私がいるのです」

「ふーん、僕は人間なのか。人間って何?」

「それは・・・・・」

そこからのことはよく覚えていない。

でもそれからずっと僕らは二人だった。

そうか。ポルンはポロンだったのか。でもそんなこと今更どうでもいいよ。

「寒くなってきたな・・・帰ろう」

僕はシェルターに帰ることにした。


寝室に着くとティアが静かな寝息を立てていた。

その姿がすごく綺麗で、僕はどうしてもまたティアに触ってみたくなった。

手を伸ばして、またティアの胸に触ろうとしたその時

「パパ・・・ママ・・・」

ティアの寝言で我に返った。

彼女の顔は涙で濡れていて、なんだか僕はいけないことをしているような気になったんだ。

だからやめた。

「パパとママか・・・」

ティアが失ってしまったもの。僕にはそんな人いない。だからどうしてティアが泣いているのかもわからない。でも、今覚えたこの感じはすごく、悲しいに似ている何かだった。


その日僕は初めて夢を見た。

僕の周りにたくさんの人間。みんな笑っている。

「この子は希望の子だ」

みんなが叫んでいる。なんだよそれ?と言いたくても僕はそれを発する言葉を持たない。

喜んでいる人の中に一人だけ悲しいをした女の人。

「ごめんなさいリュック。あなたにこんな運命を背負わせてしまって」

そのあとも、ごめんなさい、ごめんなさいとずっと呟き続ける女の人。

その涙を止めたくて僕にできたのは

「あーあーあー」

という言葉を発するだけだった。


「・・・母さん」

「どうかしましたかリュック?」

目を覚ますとティアが先に起きていた。

「どうしたって何が?」

「何がではありませんわ。うなされていたでしょう?母さんって」

「わからないや。。僕には母さんはいないよ」

「そうですの。それよりも、ポルンが早朝わたくしに伝言を頼んで出て行きましたの。スバル遺跡に来いって」

「ティアはどうしたのさ」

「当然引き留めましたわ。でもそれも聞かずにただ、全部話すとだけ伝えて」

「ポルンがそんな乱暴なことをするなんて珍しいね。とにかく行ってみよう」

「ですわね」

僕らは食事も摂らずにスバル遺跡に向かった。


「でもポルンもおかしいよね。行くなって言ったり来いっていったり」

僕は道中ぼやいていた。

「仕方ありませんわ。何か事情があるのかもしれませんし。それに全部話すって」

「全部って?」

「きっと罪と罰のことですわ」

「それは僕も興味があるよ」

「とにかく遺跡に急ぎましょう。今度はあなたが先頭で」

「どうしてさ?」

「どうしてもですわ!」


「ようやく来ましたか」

遺跡に着くとポルンが待っていた。

「うん。それで話って?」

「それはですね」

ポルンが答えようとしたそのとき

「それよりもリュックあれを見て!ポルンあれは何ですの?」

ティアが何かに気づいた。ティアの指さす先には大きな銀の塊があった」

「あれは宇宙船です。罪と罰の清算は終わりを告げました」

「何の話だよポルン?」

「ええ、説明してくださる?」

「長い話になりますよ」

ポルンはゆっくりと語りだした。


「今より昔、人間は数を数十億にまで増やしました」

「数十億?!ここには僕らしかいないのに」

「リュック!口を挟まないで。続けてくださるポルン?」

「えぇ、わかりました。しかし地球という星はその数に耐えられなかった。正確には耐えることは可能でした。しかし、人の欲がそれを許さなかった。少しでも満ち足りた暮らしをしたいとみんなが考えました。例えばリュック。ここにリンゴが1つあるとします。でもここにはティアがいる。あなたはリンゴをどうしますか?」

「リンゴってこの前エイガで見た赤い丸いのでしょ?もちろん半分こにするさ。そしてティアにありがとうをもらえたらすごく嬉しいよ」

ティアの頬がほんのり赤くなった。

「ではここに100人の人がいたら?」

「100個に分けるよ。そうすればみんながありがとうになる」

「ではリュック、100個に分けたほんの一口にも満たないリンゴをもらった貴方はありがとうをできますか?」

「どうだろう。そうしたら僕は別の物を探すよ」

「別の物がないとしたら?」

「仕方ないから諦めるよ。僕よりもリンゴが欲しい人がいるだろうし」

「そうですリュック。あなたはそうすることができる数少ない人間の一人です。しかし人類はそれができなかった。数が減っていくリンゴ。しかし人は増え続けリンゴが足りなくなる。するとどうなりますか?ティア?」

「・・・戦争ですわね」

「その通りです。人間は戦争を始めた。数少ないリンゴを奪い合って。そのリンゴさえ戦争の中で腐らせた。するとリンゴが無くなった。見かねた神が永遠に食べられるリンゴを与えました。それが」

「無限電池」

ティアが答えた。

「そうです」

「無限電池何だいそれは?」

「簡単に言えばさっき言った通り永遠に食べられるリンゴです」

「それはいい!だったら戦争はなくなるじゃないか」

「いいえ、リュック。戦争は無くなりませんでした」

「なんでさ?みんながリンゴを食べられるようになったんだろ?」

「そうはなりませんでいた。少しでも人よりたくさんのリンゴが欲しいと思う人たちが無限電池を巡ってまた争いを始めました」

「なんで・・・なんでそんなこと」

「理屈ではないのですわリュック。わたくしも戦争に苦しめられた一人。事情は理解できます。ということはここは戦争で全てを燃やし尽くした地球ということですの?」

「いいえティア。それも違います」

「どういうことですの?」

ウィーン。ポルンが体から手を伸ばしてずっと向こうを指さした。

「あれが見えますか?すごく小さいですが」

そう言ってポルンは昨日僕が放り投げたボウエンキョウを僕に渡した。

「あぁそうだよティア。あれが僕が見せたかった青い星さ」

僕はボウエンキョウをティアに渡す。

「・・・どういうことですの?あれは」

ティアの顔がどんどん青ざめていく。

「そうですティア。太陽系第三惑星・・・地球です」

「なにがどうなっていますの・・・?ここはどこ?」

「ティア大丈夫かい?」

「えぇ、リュック。大丈夫ですわ。ポルン続けて」

「わかりました。リンゴを食べつくした人類が目指した先それは宇宙です。数十億の命を数万まで減らした人類が、それでも欲を捨てきれず神に与えられた無限電池を使ってこの何もない星、白星に移住してきました。人類は後にこの星をバニラプラネットと名付けました。しばらくの間人類は仮初の平和に浸っていました」

「おかしいですわ。ここには秋葉原も渋谷もあるではありませんか?まさか」

「そのまさかです。作ったのです。彼らは故郷を懐かしんで東京を再現しようとしました。

ここが東京地区。お隣はアメリカとなります」

「隣?隣は韓国ではありませんの?」

「あなたの生きていた時代から折り合いが悪かったのはご存知でしょう?察してください」

ティアは黙り込んでしまった。

「特に東京地区の場合、久瀬アミューズメントと三国薬品株式会社がひどかった。彼らは自分たちを人だとも考えず・・・いやこの話は蛇足でしょう」

「さっきから僕を置いていかないでよ。だったらここ以外にもいろんな遺跡があるってこと?探しに行こうよ」

「その必要はないですし不可能ですリュック。まず長距離を移動できる乗り物がありません。そして保存のきく食料も。あなたはどのみち東京から出ることはできなかったのです」

「ふーん」

「それだけですの?」

「だってよくわからないんだもの。でも、ティアは地球人なんでしょう?どうしてここにいるのさ?」

「ここからは憶測になりますが、ティアは惑星間移動の時点でもうコールドスリープしていた。それが何故アキバ遺跡にあったかは謎ですが。そしてバニラプラネットが始まり終わるまで眠り続けた。この星はね、終わっているのです。人類がまた始めた愚かな戦争によって」

「この星までも?」

「正確には戦争だけではありません。女性が男性を蔑ろにし、男性がそれを疎ましく思い創作物に逃げ、それを疎ましく思った女性が創作物に逃げた。先に男性が女性を蔑ろにしたのかもしれない。でもそんな鶏が先か卵が先かなんて話はどうでもいいのです。人々が生命を育むことを疎ましく思ってしまった。それが問題なのです」

「たしかに僕の探してきたドウジンシも、少し隠されるように置いてあったな。エイガでも親にドウジンシが見つかって隠すだとか怒られるシーンがあった」

「そうですリュック。人は自分を大事にするあまり性に対して過敏になりすぎた。ティア、18禁という言葉に聞き覚えはないですか?」

「ええ、汚らわしいものですわ」

「その考えが間違っている。性を規制しすぎた。おかげで戦争で減っていく人類を生産するスピードが追いつかなくなった。破滅は加速した。よって人類は」

「二度目の滅び・・・ですわね」

「えぇ、その通りです。人類は二度滅びました。でもリュック。あなたは生き残った。人が生命を育むことが無くなった世界であなたは唯一生まれた。そして、守られた」

「守られた?」

「ええ。理解の及ばない、しかし誰もが理解できてしまう不思議な力で」

「それは何?」

「母の愛です。あなたは自分の死さえ厭わなかった母によってコールドスリープし生き延びたのです」

「母さん?僕にも母さんがいるの?」

夢で出てきたあの女の人かな。でも周りにはたくさんの人間がいた。

「えぇ。正しくは、いたですが。詳しいことは私も聞いていないのでわかりません」

「聞く?誰にですの?」

「神です」

「神様!?神様って一番偉い人でしょ?セイショに書いてあった!」

「リュックあなたどこでテンションが上がっていますの?」

ティアが呆れていた。

「いいえリュック、その神様よりさらに偉い神様です」

「ほんとに?!想像ができないや。だったら僕もその人の言うことを聞くよ」

僕は早く大人になってみたかった。

「その言葉忘れないでくださいねリュック。話を戻しましょう。罪と罰、わかりましたかティア?」

「ええ、わかりましたわ」

「では次に私自身の説明です。私はポルンではありません」

「どういうことですの?」

「僕知ってる。思い出したんだ。君はポロン」

「よく覚えていましたねリュック。でもその名前も正確ではありません。私の正式名称は神の使いエグリコ=TYPE APOLLONです」

「アポロン・・・ですの?」

「えぇ、太陽神の代行者それが私です」

「話が大きすぎて信用できませんわ」

「ティア何言ってるんだよ?ポルンが嘘つくわけないだろ?」

「でも!」

「ティア、この星には朝と夜がありますね。それに終わってしまったこの星にも電力は生きている。何故だと思いますか?」

「それは・・・わかりませんわ」

「答えはこれです」

ポルンが伸ばした手で自分の胸を開いて見せると中から真っ赤に燃える小さな塊が出てきた。

「無限電池。これが答えです。」

「でもあなたさっき無限電池は戦争ですべて無くなったって」

「人類が持つものは無くなりました。これが最後の一つです」

「へぇ、すごいやポルン!」

「ポルン・・・やっぱりそれでいくのですね 。まぁいいでしょう」

ポルンが汗をかいた気がした。気のせいかな。

「ここまでが罪と罰の説明です。そしてこれからの話。地球は戦争によって人が住めないほどの死の星と化しました。しかし、何万年という時が雨を降らせその全てを洗い流し、緑に力を与え、生命の息吹が再び芽生えようとしています。禊の時は終わりました。あなたたちはもう許されたのですよリュック、ティア」

「許されたって言っても何をしたら・・・」

ティアが困っている。

「僕らはどうしたらいいのポルン?」

「簡単なことです。この宇宙船に乗って地球に向かってください。そこは暖かく食べ物もたくさんあり、ここと比べれば楽園のようなところです」

「楽園だってさティア!食べ物もあるみたい!早く行こう」

「えぇ、そうですわね」

僕はティアの手を引いて宇宙船に飛び乗った。

「何してるんだよポルン!早く動かして!」

ポルンが少しだけ黙り込んだ後答えた。

「わかりました」

そう言ってポルンは宇宙船の裏に向かった。僕らとは反対側だ。

「何してるのさ?早く乗ってよ!」

「そうですわ」

「それはできないのです。地球には貴方達だけで行くのですよ」

「何を言ってるの?」

僕は宇宙船から飛び降りた。

「ここから地球まで60天文単位あります。遥か昔太陽系から外された冥王星ですら40天文単位です。そんな途方もない距離を移動するのに必要なものがあります」

「・・・無限電池?」

「そうです、よくわかりましたねリュック」

「でも無限電池はもう・・・」

「ここにあります」

そう言って自分の胸を指さすポルン。

「ダメだよ。ダメに決まってるだろ?そうしたら君はどうなるのさ」

「私の事はどうでもいいです。ただのロボットなのですから」

「ただのロボット?本気で言ってるのそれ?」

「そうですわ。付き合いの浅い私ですらわかること。リュックにとって貴方は」

「リュック。私の為に怒ってくれるのですか。ありがとう」

「ありがとうじゃないよ!一緒に行くんだろ?ねぇ!」

こんなに嬉しくないありがとうがあるとは思わなかった。

「いいえ、それはできないのです」

「なんで?!」

「リュック。もうわかっているのでしょう?電池は一つしかないのですわ」

「でもさ!」

「リュック。さっき貴方は約束しましたね?言うことを聞くと。これは、神様の意思です」

「嘘だ!」

「嘘ではありません。こうなるのは運命だったのです。あなたが何もまだ知らないあなたが感情を理解し人間らしさを身に着け、託すことができると判断されたからこそ許された」

「そんなものいらないよ。だからさ、ここで一緒に暮らそうよ」

「ごめんなさいリュック。それにティア」

「なんですの?」

「あなたに感謝したい。あなたの存在がリュックの成長に大きく貢献しました。そして、リュックが地球で寂しい思いをしないで済みます。あなたの存在は本当に嬉しい誤算でした」

「わたくしは何もしていませんわ」

「あなたにならリュックを任せられます」

「お願いだよ!もう黙って遺跡にもいかない!ポンコツなんて呼ばない!。だからさ・・・一緒にいようよ」

「ありがとうリュック。でもこのタイミングしかないのです。無限電池なんて名前ですが正確にはこの電池は無限ではありません。例えば85年生きる人にとって3000年は無限とも言える時間のはずです。似たような感覚で無限電池は永遠ではないのです」

「なんだよそれ。あんまりじゃないか」

「限界はあります。それがあと6年以内。リュックが18になるまでがリミットだったのです」

「もしそれまでに僕が感情を手に入れられなかったらどうなっていたの?」

「人類にやり直しの機会は永遠に訪れなかったでしょうね。リュックあなたの名前は?」

「リュックだよ。急にどうしたのさ?」

「そう、あなたはリュック。背負いし者。人類の未来はあなたにかかっているのです」

「そんなこと言われても困るよ。僕は何も知らない」

「いいえ、あなたならできます。だからこそ神は許しを与えたのです」

「でも」

「でもではありませんわリュック!あなたポルンの気持ちがわからないのですか?」

「だって」

「リュック本当にありがとう。でももうお終いです。あなたは地球で幸せに」

そう言ってポルンは自分の無限電池を宇宙船の溝にはめ込んだ。

カウントダウン開始。3分後に発射します。180・179・178。無機質な音声がさよならのカウントダウンを始めた。

「ありがとうなんて言われても嬉しくないよ!ポルン!ねぇ聞いてるのポルンッッ!

ポルンは次の瞬間には動かなくなっていた。声を掛けても返事もしない。

「リュック!ポルンの気持ちを無駄にする気ですか?」

「でもさ!」

140・139・138

パチンッ!

ティアが僕の頬を叩いた。

「何すんだよ!」

「いい加減になさい!もうわたくしたちはこうするしかないのですよ。覚悟を決めなさい!」

78・77・76

叩かれた頬が熱い。ティアの気持ちが伝わってきた。わかってるんだよそんなこと。

でも・・・僕は!僕は!

たしかに何度も壊そうと思ったこともある。いつも僕に口うるさくしてきた。でも、僕が孤独じゃなかったのはポルンのおかげなんだ。ずっと僕のそばにいてくれたのはポルンなんだ。だから僕は!

時間が迫ってくる。32・31・30

「ありがとうポルン!!僕たちは絶対に何があっても生きるよ!!僕は幸福だったよ!」

最後に伝えたポルンへの感謝。ほっぺを濡らす感覚が気持ち悪い。これが涙か。

ポルンの為にも僕は生きないといけない。人類がとかそんなのどうでもいい。どうして人間は生きないといけないの?なんて二度と言わない。

そうして僕らは宇宙船に乗り込んだ。



SIDE  ポルン

「やっと行きましたか馬鹿息子。願わくばあなた達が幸せであらんことを」

なんて神の代行者の私が言うのはおかしな話ですね。

「最後に、人類よ。もう失敗は許されませんよ。仏の顔も三度まで」



バニラプラネットにて3日間   FIN

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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