策
時は遡りモフ国側決戦に向けての軍事ミーティング中
「やっぱりなんどやっても白竜側が圧倒的有利コン」
何度も重ねた盤面上の模擬戦闘でモフ達は一度も白竜に勝つことができないでいた。そこにはモフ国側の有志が集まっていた
「やはり正攻法では勝てぬか」
そういうのはほとんどモフ国にいる貴族隊長の言葉ではある。彼はモフ国が狙われている状況化ではあるが、自身の国王に恩を売ってこいと言われてモフ国に力を貸す一人だ
どんよりとした空気の中クマ次郎が状況の整理のため発言する
「まずまとめると、モフ国側の不利な要素として、結界がいつまでも持たないことによる時間的な制約っす」
モフ国の状況の説明をするクマ次郎、みなはそれをただおとなしく聞く
「そして、白竜側っすが」
クマ次郎が語る言葉をみなが嫌になりながも聞く
「世界一の肉体的攻撃力。世界一の防御力。そして世界一の遠距離攻撃のブレス。これだけでもやっかい極まりないことにくわえて……」
「世界一の機動力っす。この強さで空まで飛べる機動力があるのは反則っす!」
そう一番の問題は白竜の圧倒的な機動力であった
正面切っての戦いならなんとかなんとか0.00001%にしろ勝機はあったかもしれない。だが白竜側はその世界一の機動力で戦いをしないことも可能。攻撃の届かない空からちくちく攻撃するだけで勝てるのだ。微粒子レベルの勝ち筋すら見いだせない
「そうなってくると、策を弄しての奇襲を行い、白竜の機動力ことを潰していかなければなるまいな」
「そうっす。そこで機動力を削ぐ方法として単純に考えられるのは、白竜の翼を損傷させることっす……」
「そういうことだな、だがそう簡単にはいくまい」
「はいはーい!あとそれと両目を潰せぶっていうのもあるよ!」
そう発言するのはモフ国の女王。彼女は金を惜しまずにつぎ込んだ回復魔法でなんとか全回復にまで達していた
「それは難しいんじゃねえのか?目はこの前女王さんが戦った時に狙ったから相当警戒してるんじゃないのか?」
そういうのは世紀末剣士。その発言で確かにと周りも思う
「なんだよーみんなして私が悪いみたいに……」
ふてくされて膨らむ女王だが、別に可愛くはない。怖い
「だけど、白竜側も女王には一目置いているんじゃなくて?失礼な話だけどブラフには使えるんじゃないかな?」
男根魔法少女がそういうと女王は目を輝かせる
「それいいね!私がおとりに……」
「ダメコン!!女王はこれ以上直接戦いに参加するのは禁止コン!!それに警戒している白竜側は女王をなんとしても仕留めてくるこん!その時点でモフ国の終わりコン!!」
「いい釣り餌になれると思うんだけどなー」
またもや膨れる女王。こ
「女王はおとなしくフル稼働でモフ達を少しでも多く作ってコン!」
そう言われ女王はしぶしぶ納得するが
「あっあっあっ僕が女王のあっ変装するあっあっ」
その言葉にその場にいた全員が驚くが、すぐにその策に思考を移す。確かに変態盾は以前の防衛戦後女王に戦闘を叩きこまれていた。そのため遠くからであれば変装すれば女王と同じ動きができれば騙せる可能性はあった。そして声に関しても魔法でどうとでもなる
「確かに、白竜が騙されてくれれば一つの手にはなるかもしれない。だが死ぬぞ?」
貴族隊長がそういうと皆はまた重い空気になるが……
「あっあっあっ大丈夫あっあっあっ気持ちいい」
そう、変態盾が変態たる所以は、いろいろあるがヤバい戦いに身を置きたがる所もあった
「いやいや普通に無理でしょ、あんたがこの可愛い私に変装するとかさ」
そんな言葉を女王は呟き会議は進んでいった
そして時は戻り、白竜の戦闘中で女王に扮した変態盾が前線に出てきた所
「あの人間は……」
白竜が呟く
変態盾は女王と同じくらいの長い髪のカツラを身に着けている。身長は女王と変態盾は同じくらいであったがためになんとかごまかせたが、体格だけはどうにもならなかった
女王は強いと言っても体重制限のあったレスリングで絞りに絞り込んだ一見ヒョロヒョロにも見えるような体格であったが、実際は筋肉バキバキの細マッチョ型
それに引き換え、変態盾はゴリゴリのマッチョ体型。それを隠すために、動きの阻害されない程度かつ体型がごまかせるような鎧をつけ、変態盾のメイン兵装の盾を持ち。あと乗りで腰には剣を携えていた。これならなんとか遠目でごまかせるかもしれないと思っていたモフ国側であったが、竜は竜種たる所以を発揮するのである
(くだらぬことを……少し変装しようが我にはごまかされぬ……)
そう、竜種はなにもかも世界一の能力を持つ。そしてそれは視力においても世界一
「我を騙そうとしてもそうはいかぬ!!」
白竜が高らかに宣言する
「別人に変装したつもりのようだが、モフ国の女王よ!その程度の変装で我が竜種の目を騙せるものか!!!!」
そう竜種は世界一の視力を持つ……だが目が良いからといって顔の判別ができるかは別問題である。同じ人間でも外国人の顔の見分けが難しいように、竜にとっては虫の顔の判別をするようなものである
そうしてうまく騙されてくれた白竜であったが、絶望しているものがいた
「解せぬ」
そう呟く女王はどこか儚げで皮肉にもその姿を美しいと思う人もいたとかいないとか




