モフ国の選択
女王と白竜の戦闘が終わって約3日
それまで白竜は何の抵抗もなくモフ国を攻撃し続けている
もちろん結界に阻まれてるとはいえ、何度も危ないことはあった
白竜のブレス後の1点集中のラッシュ攻撃など一瞬結界に穴が開きブレスの一部がモフ国内部へ入りこんだ
被害は軽微なものではあったが、キタキタ国との結界力の差はまだまだあった
そしてあれから3日ほどたった時のこと、モフ国に動きがあった
「なにやら動くようだな」
そう呟く白竜
その言葉通りモフ国内に動きがあった。モフ達がモフ国を囲う外壁にずらりと並ぶ
「数だけは圧倒的だな」
白竜は少し驚きながらつぶやく
モフ達が外壁上に全て揃う。外壁の上にはウジャウジャとモフが揃っている状況になると
思っていたよりも多いモフ達。わらわらと餌に集まる蛆虫のようでもあった
「やはり虫は定期的に駆除せんとな」
そう呟きながら、白竜は様子を見ながらも結界に攻撃を続けている
白竜が様子を見ながらブレスによる攻撃をしていくが、モフ達に動きはない
(ブレス攻撃には無反応か……あのモフ達は何をしているのか)
そう訝しがる白竜
だが一向に攻撃へと転じてこない
モフ国はじり貧のはず、攻撃頻度にもよるがこのまま白竜が攻撃をし続けていれば2~3週間後には結界は維持できなくなるであろうと踏んでいる
あるとそれば、総攻撃をしかけてくるか……
もしや
白竜はもう一つの選択肢にたどりつく
だとすれば
(おろかな……この期に及んで許しを請うなどとはな)
呆れる白竜、それをするならば初めから仕掛けなければ良いものを、まああの女王と呼ばれているもののことだ、おそらく単独での行動であったのであろう。
ではここでわしがとる行動は
白竜はモフ国の正門前へと降り立つ、降伏の使者はおそらくここからくるであろうと予想して
だが白竜の思惑は一切降伏勧告を受ける気はない
使者と対話をしてやり、油断したところを叩く
白竜にとって虫との対話など無意味、それを反故にしたところで何の感情もわかない
(さっさと来い)
白竜は正門の正面数百メートルほどのところに降り立ち、腕を組み待つ
白竜が正門前の少し離れたところに腕を組んで待っている数分後、コン太は戦慄していた
「これはヤバいコン……」
コン太が白竜を見ながら震えているが
モフ国は動かない
(何をやっているのだ奴らは……)
白竜が若干いらいらしながらもモフ国の正門が開かれるのを待っている
モフ国の選択肢など、降伏か全面戦争かのどちらか、後者でないとすれば前者なのは明白
「チッさっさとせんか」
白竜が舌打ちをしながら腕を組み待つ
その頃コン太達は
「あ……あ……」
コン太は震えている
「コン太先輩……あれってもしかして……」
クマ次郎が白竜を見ながらコン太に言う
「おそらく、モフ国の行動を予想して降伏の使者を待っているコン……」
「そ!!そんな!!!それじゃ白竜は!!!」
「ああ、このまま動かないコン……」
クマ次郎が絶句する
なぜなら
あの会議の後、女王が回復したのちもう一度会議をやりなおして、降伏も、全面戦争も辞めて様子見しながら戦おうと決まってしまった……
つまりこの状況は
「ヤバいっすヤバいっす!!白竜めっちゃ待ってるっす!!どうするっす!?」
「いやどうするも……作戦通りこのままこちらはまだ動けないコン」
「あっ白竜がイライラして貧乏ゆすり始めたっすコン太先輩!!」
「やめるコン!!?なんでコン太に言うコン!!コン太は文官だから戦いのことは分からないコン!!」
「いや、これは戦いじゃあないっすよ、むしろ降伏勧告だから先輩の仕事っす!どうするっすか、この空気……あっなんかこっちのほう見てないっすか!?コン太先輩のほうみてるっすよ!!」
「いや違うコン!!そうだあれじゃない?白竜にちょっと攻撃してみるとか、そしたら向こうも察してくれるって」
「いやダメっすよ!そんなことしても作戦もなしに攻撃しても逆効果っすよ!!」
そんな感じでコン太達はやりとりをして、そのまま白竜が正門の前に経って数十分、微妙な空気が流れ続けていた
そして
「てめえええら舐めやがってーーーーーーーー!!!!」
白竜が怒りの咆哮をあげながらブレスによる攻撃を再開する
そうしてモフ国側は何もしていないのに白竜がブチ切れてしまい、状況は悪化してしまった
「は、白竜が何か勘違いしていきなり切れだしたコン……」




