白竜の目的
「来たぞ!!」
誰かがそうさけぶと、空の一点に注目が注がれる
それは遠くにもいるにもかかわらず大きく、それにともなっての迫力も相当なものだった
恐怖し家に避難する人。竜の姿を見ようと野次馬する人。竜に祈りを捧げるもの。それぞれがそれぞれに行動をする
竜神様がやってくるとみなが知っていたにも関わらず、やはり実際にみると一部はパニックに陥っていた
「誰だよ!!竜神様は今は人型サイズになって小さいとか言ってたやつ!!めちゃくちゃでけえじゃねえか!!」
「誰だ!竜神様は今はお力を失われてるとか言ったやつ!!めっちゃすげースピードで向かってきてるじゃねええか!!俺ならワンパンとか言ってたやつ出てこいや!!」
等々、ウソをウソと見抜けない人々が一部パニックを受けていたが……
「あんたら静かにしな!!こうなることは分かっていただろう!それを承知で私らはここにいるんだ!あとは国王様達に任せるしかないんだよ!!私らはそれを邪魔しないようにするだけさ!」
そうして、町の人々はお互いに励ましあい竜神様に備えた
そのころ王宮では
「来たぞ、もう間もなくだ!」
王宮では全ての重鎮と国王軍が全てこの事態の対処にあたっている
「作戦通り、全力集中で守りを固めろ!!この国が存続するかどうかの危機だ!!気合いれろ!!」
それぞれの激が飛び兵士一人一人が自らの役割に動く
そうして竜が王都の上空に到着した
全長尾までいれると30mはあろうかという大きさ、そして体は隆々とした筋肉のスジが見えそれを覆うように頑丈な鱗がはっきりと見える
「なんという威圧感……」
噂に聞くだけでは分からぬその姿に、祈ったら帰ってくれたとかいう噂を聞いて舐めていた重鎮共も気を引き締める
これは1体で国を潰す力をもつ兵器だと
竜は王都の真上に来ると、そのままぐるぐると旋回し王都を見回る
「なんだ、何をしている。王都を見回っているのか?」
みながそうして竜の一挙手一投足を見守っていると……
「竜神様!!!我々は竜神様に手は出しません!!どうか!!どうか!!お許しください!!!」
王宮の一番高い屋根の上で、拡声魔法で叫ぶのはモブ2男爵だ
「いえーーーーー竜神様いええええええええええい!!竜神様はジャスティーーーーース!!!」
モブ2男爵の祈りとともに許しをこうように頭を下げ続ける
しかし竜はそれには見向きをせずに王都を旋回し続ける
「モブ2男爵の声には反応せず、旋回を続けておるな」
「ほとんどの村では祈りを捧げ家畜を捧げると見逃してもらえたと聞いていたが、まさかたまたまで実は言葉を理解していないのではないか?」
「分からぬ。しかしずっとこのままということはあるまい」
そうして王を含めた重鎮たちは動向を見守るしかなかった
やがて竜が王宮上空で留まる。そして
「約束を破った人間どもが!!!!!図に乗った者どもに裁きを与える!!!!!」
「「なんだとーーー」」
大声量で発せられた竜の言葉、恐れおののく住民。そして最悪の方向へと物事は進んでいく




