とある町
ここはキタキタ国
竜神様の目覚め、伝令の早馬を急がせてはいるが、しょせん地方国境付近から王都へ、そしてそこから国からの御触れがなされるまではどうしてもタイムラグが生じてしまう
奇しくもモフの手紙便をほとんど使用していないキタキタ国にとっては、今回の件でそういった便利なシステムの見直しを図ることが重要と認識することとなるが
そもそも今はそんなことは言っていられないため、また「なぜ」竜神様がお目覚めになられたのか分らない状況、そもそも数百年前に竜神様から「おとなしくしていろ」と人間達におっしゃられた当事国の手前そのようなことをすることが憚られていた
そしてキタキタ国のとある町にて
そこは規模や大きさもいたって普通サイズの町、町の主要な産業は農業、そして王都への通り道としての商業施設などで、ほどほどな大きさの町で、王都へまでの商人の護衛など冒険者の数もそれなりの町
そんな町に突如 ドラゴンが現れる
初めに気付いたのは親子で買い物をしていた子供
ふと空を見上げると大きな鳥が見えたのではしゃいでいるのを見て、母親がそれを見て悲鳴をあげる
あとは連鎖的にみなが空を見上げ悲鳴や怒声を上げて、そこから冒険者ギルドとその町の領主へとすぐに連絡がいった
冒険者ギルドにて
「いったいなんの騒ぎだ!!」
冒険者ギルド1階、普段から冒険者と職員がたむろしているその空間に、ギルドマスターが出てくることは滅多にない事態
しかもそのギルドマスターがなりふり構わず、喚きながらの登場である、目立たないはずがなかった
「町の上空に巨大モンスターの目撃報告多数あり、モンスターの種類の確認はとれておりませんが、それを目撃した職員と冒険者からは、ドラゴンではないかと騒ぎになっています!!」
ギルド職員の報告をうけ、一瞬目を見開き驚くギルドマスター、だがすぐに平静を装い指示をだす
「C級以下の冒険者は今すぐにこれ以上騒ぎにならないように市民に家で待機するように!!家族がいるやつはさっさと家族の安全な場所へ案内して、すぐに冒険者ギルドに戻って次の指示を待て」
大柄で筋骨隆々の壮年のギルドマスターの怒声にすぐにC級以下の冒険者たちは駆け出す
「B級冒険者はドラゴンの行き先と目的の調査、何か分かったことがあればどんな小さなことでもすぐに報告に来い!!もしこの町に居つくようなそぶりがあればすぐに報告だ!!あと職員はすぐに領主へ報告にいって指示を仰いでこい!!!!」
少ない可能性ではあるが、ドラゴンがこの町を素通りする可能性もある、だが旋回し町を見回っていたとなるとそれは無いであろうが、またすぐに領主との連携を図っていくことを決断、普段なら領主との合同での案件などは皆無であり、急な連携など混乱を招くだけだが、今回の件ではそうもいってられないと判断し、すぐに決断する辺りがギルドマスターの経験の豊富さ所以であろう
そしてこの小規模の町にはA級の冒険者は1組もいなかった、A級以上の冒険者ともなればおいしい仕事など山ほどある、そんなやつらはこんな町には普通はいるはずもない、そう普通であれば
「ここは私たちの出番ね!!!」
ギルドマスターが冒険者とギルド職員に指示をだしているところに、先ほどまでギルドマスターと話し合いをしていた冒険者パーティーが言い放った




