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くそ貴族2

 ミナーミ国のくそ貴族がモフ国調査を命令してから数時間、それはいつもの昼下がり執務室で書類仕事をしている時だった



「パパー パパー」


 そう言ってドアを開けて入ってくるのは我が最愛の娘



「どうしたんだい、パパはお仕事中だから今は遊んであげられないんだよ」




 そう言いながらも娘を抱き上げて高い高いをするくそ貴族



「あのね、テティちゃんがいなくなっちゃったの」



 娘が言うテティちゃんとは、モフ国初期頃に、モフ国が「オマケ」にともらったというミニサイズ(人差し指サイズくらい)の縫いぐるみだ、今では初期版はプレミアがついているらしいこのミニサイズの縫いぐるみは、当初娘のためにと購入したものだったが今では金持ちどものコレクター品としてもはや資産としての価値もあるほどだ



「テティちゃんがいなくなっちゃたのかい?どこかに置き忘れているとかそんなことはないのかい?」



「分からないの、気付いたら、なくなってたの、だからパパの仕事部屋にあるかなって」



「うーん、パパの部屋には無いと思うけど、少し一緒に探そうか」



「うん!!」



 そうして仕事を中断し、娘とのふれあいタイムで休憩をしようとし、縫いぐるみを探すこと数分



「あっ!あったテティちゃんだ!!」



 娘がソファの下を覗きこんで探しているとテティちゃんがそこに横たわっていた



「それ今とってやるぞ、はい、次からはなくさないようにするんだよ」



 ソファの下に手を伸ばして縫いぐるみを手渡すくそ貴族



「やった、パパありがとう!」



 そう言われてほっこりと笑顔になるくそ貴族だが……






 なぜこんなところにあったのか、ソファの下とはいえ、貴族家として毎日メイドが掃除を行っている、たまたま見つからなかったのか?




 だが、娘はここにテティちゃんを持ってきたことは無い、それも不思議だ





 そんなことを思いながらも、まあ見つかってよかったと思い、娘を自分の部屋へ帰るように告げる




 娘はドアを開けて、テティちゃんに頬ずりをして出ていく瞬間



 くそ貴族とテティちゃんの目が合った瞬間




 「ニヤリ」




 「バタン」




「なっ………………」





 今のは見間違いか、縫いぐるみと目が合い笑った気がした、まさか……



 そんなことは無い、あんな小さな縫いぐるみさえもモフだというのか……ありえないありえない



 そう思いながらも、くそ貴族はその考えを払拭することができず、また小さな縫いぐるみを娘から取り上げて処分することもしなかった



 モフ国を敵に回すとヤバいというのは噂で聞いていた、だがこっそりと情報収集くらいは大丈夫だろうと鷹をくくっていたが……





「おーい、誰かいるか!?」



 執事を呼び出す



「さっき言ったモフ国の調査は終了だ」



 すぐに前言を撤回する、あんな小型の縫いぐるみがモフだとしたら娘の1体を処分したとしても、どこからともなく家へ侵入することは可能だろう、いやもしかすると1体見つけたら100体はいる可能性も



 そんなG扱いをされるモフであった、そしてくそ貴族はすぐさま




「モフ国って素晴らしいなあああ、まさに最高の国、尊敬してますううう」




 と誰もいない部屋でわざとらしく吠えるのであった

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