侵入者
「みんな石を投げるクマー」
クマ太達は罠にかかった獲物に一斉に石を投げつける、モフ達の基本戦法だ
小動物がかかったときは持ち場のモフ達が石を投げて狩りをするが、大物の場合はクマ太が中心となり狩りをする
「投げ方止めクマー!」
獲物が動かなくなったところであとは各担当に任せる
捕れる獲物は多くなっていた、そして索敵のためのモフ達もしっかり機能している
索敵の方法は数に物を言わせている、村から数メートルごとにモフの姿を隠して配置しているこのモフ達は決められた時間ずっとそこで監視を行う、これも人間には不可能だ、きっと現代日本のブラック企業も喉から手が出るほどモフ達を欲しがるだろう。そして異常があればそこから手信号でクマ太まで伝わってそこからクマ太が各指示をだし、必要があればコン太に伝えられたりもする
人間はたまに山を通るのもいるが、いつもの商人以外にモフ村まで辿りつくものはまだいない、通りすぎる人間たちは隠れて監視しているだけでこちらからアクションを起こすことはしない
モフ村は山のほぼ頂上という所で山を隔てて対面の国へいく物好きな人間はそうはいなかった
今はそれで都合がよかった、魔法の研究は進んでいないためモフ達の基本戦術の罠では獣や魔物は狩れても、知性を持った人間には効果がないためだ
今の状況だと悪意のある人間から女王を守ることはできない、なぜならモフ達はものすごく弱かった
しかしある日のことだった……
「くそ、モフ達にもっと力があればクマ」
…………力がほしいか?…………
(誰クマ!?これは頭に直接声が!もちろん力が欲しいクマ!!!)
…………ならばくれてやる、力を受け取れ!!!…………
(こっこれは右腕が剣に!左腕には大きな宝玉のついた魔法の杖に!そして足には鉄の爪が!!俺は力を手にいれたぞーーーーーーーーー!!!!!!)
みたいな展開はなかった
そんなことをにやつきながら妄想しているクマ太のもとへ伝令が来た
「にんげん!にんげん!」
そう言いながら伝令のモフが走ってやってきた、走っているといってもめっちゃ遅い
「人間がモフ村に向かってきているということでいいのか?」
「ワンワン」
そう吠えながらモフは頷く、一般モフは単語程度しか話せないため、基本はあらかじめ決められた単語を話し、詳しく聞きたいときはこちらがその単語から推察してイエス・ノーで問いかける方式で意思伝達を図る
「人数は?」
「ワン ワン ワン」
3人ということか
「悪意がありそうな、野蛮な者か?」
モフは首をかしげる
「自分で確かめるしかないクマ、お前はこのことを至急コン太へ伝令を伝えるクマ、伝令内容は(侵入者)そしてその侵入者の場所を教えるクマ」
そしてクマ太は侵入者の場所を聞き出し、そちらへ向かった




