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第6話 空の旅

 朝、目が覚めて横に女の子がいるっていうのもおかしな感覚だ。

 それにしても昨日は信じられないくらいいろいろあったなぁ。

 横にフランチェスカがいるってことは夢じゃないんだよな。


 夏の蒸し暑い朝ってことで、裸のままの肌に汗が光ってるのが見える。

 胸こそ小さいものの均整の取れた美しい体だよな。


「おはよう」

 俺がフランチェスカの体を目で楽しんでいるとその気配を感じたのか、目を覚ましてしまったようだ。

 残念、もうちょっと眺めていたかったのに。

「そんなにじっと見られたら恥ずかしいですよ」

 それじゃ、もっと恥ずかしいことをすることにしようか。

 俺はそのままフランチェスカを引き寄せると、抵抗もなく俺の胸に飛び込んできた。

「朝から元気なんだから」


 そのまま一戦。


「和也は三連休の予定ってあります?」

 布団に寝そべったまま、フランチェスカが聞いてくる。

「何も考えてないぞ」

「報告を兼ねて両親のところにちょっと行ってくる予定なんですが、おつきあいしてもらっていい?」

 え、両親ってアメリカだよな。ちょっととか気軽に言ってるけど。


「ムリムリ。俺、パスポートとか持ってないし、ビザとかも要るんだろ?」

「そっか、パスポートはあった方がいいから近々申請しようね。でも今回はなくてもいいや」

「いやいやいや、それ普通にダメだろ」

「わたしもちゃんとしたルートで入国してないし大丈夫よ。この際、そういう常識とか、ていって捨てちゃおうよ」

 それ、捨てたらあかんやつだろ……


 聞くところによるとフランチェスカも今回の来日は米軍基地に直接飛んできてて税関とかは通ってないそうだ。パスポートのほうは一応持ってるけど、入国のスタンプもない状態だとか。

 当然、見つかれば捕まることになるんだろうけど、国家権力とかどうにでもなるらしい。

 フランチェスカの婿になるってことは、どうやら今までの一般常識とかは捨て去らないといけないようだ。


「わかったよ」

 全然わかってないけど、そう答えるしかないようだ。

「じゃ、一時間後に出発ってことで」

「おいおい、旅の準備とか何もしてないぞ」

「なくていいわよ。着替えとか準備するように言っておくから」

 そういうものなのか?

「だが、どっちにしろ一時間はムリだ。二時間はくれ」

「どうして?」

「布団のカバーとか変えて洗濯しておきたいから……」

 フランチェスカも血や他で汚れてしまった布団を見て、真っ赤になった。

「そうね……」


 俺が洗濯してる間に、フランチェスカはどこかに英語で電話している。早口の英語を聞き取るだけの英会話力は当然、俺にはない。


 俺はフランチェスカといっしょにシャワーを浴びた。

 家の施錠だけしっかりして出発、荷物と言ったらスマホと財布だけ。

 ちょっと駅前まで買い物にっていうくらいの準備なんだけど……


 高校の運動場に米軍のヘリが着陸している。

 俺がヘリに乗り込むと米軍の軍人に混ざって黒いスーツの女性が一人乗っていた。

「多賀島様、ようこそ。

 今回の旅の間、同乗させていただくキャサリン・ベイクウェルです。よろしくお願いします」

「和也。キャサリンはわたしの秘書です。これからもいろいろ一緒に行動する機会が多いと思います」

「はじめまして、多賀島和也です。よろしくお願いします。

 キャサリンさんも日本語がとっても流暢ですね」

「ありがとうございます。

 今回の訪日に当たって、フランチェスカ様ともどもブラッシュアップさせていただきました」

 ブラッシュアップってことは、もともとそれなりに知識はあったってことか。それにしても短い期間でよくぞここまでって感じだ。これも才能ってことかな。


 ヘリは一時間足らずで米軍基地へ到着した。ここで旅客機に乗り換えるそうだ。

「和也様、こちらです」

 指さした先の旅客機には、機体には「UNITED STATES OF AMERICA」の文字があり、尾翼には星条旗が描かれている。

 普通の旅客機だとは思えないんだけど、これ。


「なぁ、この飛行機ってもしかして……」

「よくわかるわね、大統領専用機ってやつよ。世間ではよくエアフォースワンって言われてるけど、本当は大統領が乗ってる時だけね、これテストに出るからね」

「テストにとか出ないから!

 それより、そんなの使っていいのか? 大統領専用機っていうくらいだから大統領が使うためのやつだろ?」

「あまり使ってないから貸してもらっただけだわ。それに大統領専用機は二機あって、これは予備の方ね。急なときでも安心って感じ」

 それならまぁいいのか……あまりよくない気もするけど。

「あとで、そのあたりの事情もゆっくりと説明するね」

 是非そうしてくれ。いろいろと常識破壊もそろそろ厳しいものがあるから。


 大統領専用機で俺は一階前方にある部屋に案内された。ソファなどがあり飛行機の中とは思えない感じの部屋だ。

 この部屋をフランチェスカと二人で使うのか、もったいない広さだな。


「ここは大統領専用の寝室だよ。

 あ、寝室って言ってもエッチなことはなしね。基本カギをかけないから、いきなり誰かに見られたら恥ずかしいからね」

 いや、カギうんぬん関係なく、飛行機に乗ってからそういうことしようって発想自体がなかったよ。

 ただそんなことを言いながら、フランチェスカはソファで俺の横にぴったりくっついて来るんだから……理性的に行動することにしよう。

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