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第5話 返事

 このことに関して、俺に拒否権なんてないのは最初からわかってる。俺としては戦いに敗れた時点で殺されたって文句の一つもない。

 そんな俺をフランチェスカの婿っていう条件に否応はない。


 ないんだけどさぁ。

 ただ、子種でもってのははっきり言ってちょっと引いちゃうんだけどさぁ……


 まぁなんだ。

 こういう時ってどういうふうに返事するのが正解なんだろう?


「あのね、多賀島くんを選んだ基準はあくまでその強さなんだけどさ。

 でもね、わたしとしては多賀島くんみたいな男の子でよかったなって……」

 俺が沈黙していたのを拒否だと思ったのか、フランチェスカは真っ赤になったまま可愛らしいことを言い始めた。


「こんなこといきなり言われたって、多賀島くんには迷惑だよね。

 それはわかってるの……わたしだって普通の女の子みたいに恋して、デートとかしたりして、そういうふうにしてみたいっていう気持ちはあるの。

 でもダメなの。一族を率いるものの使命っていうのがあるの。だからこういうふうに生きるしかないの」

「じゃ、これから俺とそうしよう。

 恋して、デートとかして、そうやって生きていこう」

 俺は無計画に口を挟んでしまったけど、これはしかたないだろう。


「わたしなんかでいいの?

 強いだけで可愛げもない女の子だけど」

 こいつどれだけ無自覚なんだよ。たしかに化粧っ気はないけど、こいつが可愛げないとか言ったら他の女どもが立場がないぞ。

「フランチェスカは綺麗だよ。そしてとっても可愛いと思うよ」


「ふぇ……本当?

 アイリーンとかみたいにプロポーションもよくないし……」

「アイリーンみたいな豊満なバストをしてる女性が魅力的だってのは事実だと思う。でも、俺はフランチェスカみたいなチッパイも大好きだ」

 うん、これは本当だ。おっぱいに貴賤はない。

「ロリコン?」

「断じて違う!」

「だって日本の男の子の半分以上は二次元愛好家でそのうちの何割かは小さな女の子が大好きだって……」

「その情報は間違ってないかもしれないけど、俺はちゃんと成長した女の子が好きです。フランチェスカみたいな」

「じゃ、本当にいいのね……よかった……」

 そう言うと、フランチェスカは涙ぐんでうつむいてしまった。

 うーん、こういうの苦手だな、どう話を進めればいいんだろう?


「夕食の準備しようかと思うけど、フランチェスカはどうする?

 家の方が問題なければ食べてくか?

 っていうか、家ってどうなってるの」

「え、え、え。

 あー……よろしければご馳走になりたいなって。

 家なんですけど、今はホテル住まいなんです」

「ホテル? 引っ越してきたんじゃなかったのか?」

「あのですね。

 日本に来たのも多賀島くんだけが目的だったし、もし上手くいったらこの家に潜り込めないかなって……

 話がダメになったら、日本にいる意味がなくなっちゃうし、どっちにしろ今日の話が終わってから考えればいいかなって」

「ひでぇ計画だな」

 フランチェスカの話を聞いて、つい笑いだしてしまった。


「そうかなぁ、とっても合理的だと思ってたんだけど……」

「合理的は合理的だけど、なんか聞いてみると身もふたもないっていうか……まぁそれはそれでおいといて、この家に住むの?」

「住んでもいい?」

「まぁ、部屋はいくらでも空いてるから問題ないぞ」

「多賀島くんと同じ部屋でいいんだけど……」

「それちょっと問題あるんじゃ?」

「だって、子作りとか……」

 フランチェスカはもじもじしながら、そう言ってるけど……


「恋して、デートとかしてって言ってなかったっけ」

「それはそれ、これはこれってことで……だめ?」

 いや、俺としては全然だめじゃないどころか、むしろ歓迎したいくらいなんだけどさ、いいのか? それで。

 っていうか、こんな美少女にうつむいて下から見上げる感じで「だめ?」なんて言われて、拒否できる男がいるはずなかろう?

「だめじゃないです……」

 またしても完敗だよ。

 もう一生、力でもそれ以外でも敵わないで尻に敷かれ続ける未来がここに見えてるよ。


 フランチェスカは家事の方はどうやらまったくダメってことで、俺が作った夕食を二人で食べることに。

 日本食は大丈夫なようだ。納豆だけは初挑戦だったようだが、勇気を出して食べてみたところ案外いけたようだ。


 そしていよいよドキドキの子作りタイムなんだが、もちろん俺は未経験だ。

 たぶん、フランチェスカの方もそうなんだろうなぁ。

「座学でしっかり学んできたから大丈夫だと思います。動画とかも見ましたし……」

 うん、俺もいろいろしっかりネットとかで見てるから知識だけはあると思う。もちろん、勉強とか関係なく動画もいろいろ見たよ。ただの性欲からだけどな。

「多賀島くん、それじゃ」

「あ、和也って呼んでくれたほうが嬉しいかな」

「うん、和也。わたしのことはフランチェスカって……もう呼んでたね」

「あ、ごめん。いつの間にかそう呼んでたかも」

「うーん、嬉しい」


 フランチェスカは三つ指をついて頭を下げた後、布団に入ってきた。

 そういう日本知識をどこで仕入れてきたのやら……


 俺はフランチェスカの髪をなで、やさしく口づけをした。


 はじめての共同作業はトライ&エラーの末、何度目かのチャレンジでなんとか結ばれることができた。

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