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第25話 挑戦

 フランチェスカとともに二度目の渡米だ。

 ちなみに今度も大統領専用機だ。


 一応、今度はパスポートも持っている。いつの間に取得したんだって? 最初の渡米から帰ってからすぐに申請しておいたんだよ。

 主に動いてくれたのはキャサリンで俺は何もしてないけどな。

 パスポートは持っていても、出国手続きもしてないし、当然ビザも取得していないからあまり意味はないんだけどな。

 

 あいかわらずの速度であっという間に最寄りの飛行場。ヘリを乗り継いでフランチェスカの実家までの旅は終わった。

 二度目となるといろいろ勝手がわかって気が楽だよな。


 フランチェスカの実家では玄関に一族が勢揃いしていた。


「当主様、継承の儀の完遂、おめでとうございます」


 フランチェスカの母、プリムローズの声のもと、一族全員がフランチェスカと俺に向かって頭を下げる。

 そうか、前回来たときはまだ当主はプリムローズだったけど、継承の儀が終わったことでフランチェスカに当主の座が移り渡ったってわけか。


「皆さん、ありがとう」


 フランチェスカがそう声をかけるのを俺は横から見ている。

 こういうときって俺はどういう態度でいればいいんだろう?


 そのまま、前回俺の歓迎パーティーが行われた部屋へ移動して俺たちは椅子に腰をおろした。


「さて、残るはフランチェスカと和也の結婚式になるけど、いつにしましょうか?」


 プリムローズがそう話題を振ってくる。

 そういう話になることは、あらかじめフランチェスカから聞いてきたから驚きはない。


「そのことですが、結婚式の前に是非お願いしたいことがあるんです」

「あら、お願い? なにかな?」


 プリムローズは俺に向かって、怪しげににっこり笑ってそう尋ねた。


「フランチェスカに前に言われたことがあります。俺は世界で四番目に強いと。

 俺も今回フランチェスカとともにダンジョンに挑むことでそれなりに鍛えられたと思ってます。

 そこで俺は結婚式の前に世界で三番目の人に挑戦したいと思ってます」


 俺はその場で立ち上がってそう宣言した。

 その言葉を聞くと、プリムローズはその旦那オズワルドの方を見たかと思ったら二人で笑いだした。

 オズワルドは笑いながら早口な英語でまくしたてている。


「ごめんなさい。笑っちゃって。

 実はさっきもオズワルドが言っていたの。和也は必ず俺にチャレンジしてくると」


 なんと、俺の思惑は向こうに筒抜けだったようだ。


「オズワルドはいつでもいいって言ってるわ。

 オズワルドは前回、和也に会ってからずっとトレーニング続けてたから体調は完璧よ。

 そうそう負けてやるわけにはいかないってね」


 体調万全ってのは喜ばしい。

 なまった状態で倒したって俺自信が満足できないからな。


「それでは、勝負は明日ってことでいいですか?」


 プリムローズがオズワルドに確認すると、問題ないようだ。


「ルールだけど、NJSACB制定の統一ルールでいい?」


 北米で多く用いられているルールのはずだ。プリムローズの提案に俺はうなずく。


「レフェリーは……」

「わたしがやるわ」


 フランチェスカがレフェリーを買って出る。父親と婚約者との戦いだ。フランチェスカがレフェリーをやってくれるならアウェーを意識しなくてもよさそうだな。


 全盛期から十数年経って、その実力が衰えているとは考えないほうがいいだろう。

 前に動画で見た伝説のボクサーであるオズワルド・マクベインよりはるかに強い敵を想定しよう。


 俺は四番目で満足するつもりなんて毛頭ない。

 まずはオズワルドを倒して三番目にのし上がる。

 そこから先の実力差はまだ大きいものがありそうだが、やがては二番目のプリムローズを。


 そして、いつの日にかフランチェスカを……まぁ数十年先になるかもしれないけどな。

 その頃にはフランチェスカも当主の座を、これから作る娘に譲ってるだろうから。


 きっと長い夫婦生活になることだろうから、仲良く世界最強の座を争っていこう。

 あっとその前に、もしかしたら娘が生まれ育ってて、二番目の座も抜かれてるかもしれないのか……

 ご愛読ありがとうございました。

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