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第21話 オリンピック選手育成

 巨大クモをそのまま倒しながらダンジョンの第1層を進んでいくと、青白く光る扉のような物が見えた。


「これが第2層への転移ゾーンね。

 ここまでは前にも来たことがあるんだ」

 フランチェスカにそう教わる。

 ってことは、第1層はこれで終わりか。結局、オオカミと巨大クモの2種類のモンスターしか出なかったよな。


「これで一区切りだけど、どうする?」

「キリもいいし、ここで一区切りしようか。お腹も空いたな」

「そうね、ここをくぐっておけば、2人共、次は第2層からチャレンジできるわ」


 俺たちは青白く光る扉を潜って、第2層へと到達した。第2層と言っても見た感じは第1層と変わった感じはしないな。


 いや待て、なんか人の気配がしないか?

 俺がフランチェスカの方を振り向くと、フランチェスカは笑っている。何か知ってる様子だな。


「人の気配がしてるんだが?」

「先日、警備をしていた中国兵から事情を聞いてるわ。

 そっと見てみましょ」

 俺とフランチェスカは人の気配がする方に向かってそっと近づいていった。


 ダンジョンの角を曲がった先で、6人の男女が戦闘をしていた。

 戦っている相手は岩の固まりのようなモンスターだ。


 高さが2メートル以上もある巨大なモンスターだが、見ているとその行動はゆっくりしている。

 あの行動なら攻撃されてもよそ見をしていない限りは問題なさそうだな。


 でも、6人の男女も素手で殴りかかったり、蹴りをくわえたりしているが、岩のモンスターにダメージが入っているような感じはないな。


「あれ、何してるんだ?」

 俺はそっとフランチェスカに尋ねることにした。

「見ての通り、戦闘よ」


「それはわかるんだけど、なんで戦ってるんだ?

 それにほとんどダメージを与えられてないみたいだけど、あんなのであの巨大な岩のモンスターを倒せるのか?」

「2時間くらいかければ倒せるそうよ。

 ダンジョンは近代戦となって兵の育成には向かないけど、オリンピック選手の育成に利用しているみたいよ」

「オリンピック選手育成?」

「うん、ここで戦闘をすることでレベルアップみたいな効果があるってのは話したよね。

 当然のことながら、運動能力も向上するわ」


 確かにそのとおりかもしれないけど、それって危険なんじゃないか?

 ダンジョンとオリンピック選手育成ってのがどうも結びつかない。


「日本だとムリでしょうね。危険も伴うし……でもこの国では平気でこのくらいのことはやるわ。

 これでも一応、安全も考えられているのよ。

 第2層のこのあたりのモンスターはやたら硬いけど、あまり危険じゃないって話なの。

 ある意味、第1層よりここの方が安全マージンが大きいみたいなのよ。

 ここまで大勢で一度来てしまえば、ニ回目からは石を使って気軽にこれるからね」


 そういうものなんだ……

 最近の中国のオリンピックでの躍進にダンジョンが関係してるとは思わなかった……


「とは言っても、このあたりはある意味不味い狩り場でもあるみたいよ。

 敵は襲ってこなくて硬い敵ばかりだから、わたしたちはスルー推奨だと思うわ」


 そうか、俺たちの第一目標はダンジョンクリアだからな。

 硬い敵を相手にすることは時間がかかってしまう。敵から襲ってこないのなら、無視して通過してしまえばいいのか。


 それにしても、ダンジョンにもいろんな使い方があるものだな。


「それじゃ、私たちはいったん、帰還しましょう」


 俺たち2人は、青い石を使って日本の我が家へと帰還した。


 ダンジョンの中にいると、時間がまったくわからないな。

 時計とかはもちろん、持ち込めていないし、太陽の光が通らないから、どのくらい時間が経ったのかまったく見当がつかない。


 それなりに体内時計とかがあるものだと思っていたが、まったくぜんぜんだった。

 俺のイメージでは3時間くらいダンジョンに潜っていただけって思っていたんだが、実際のところ、5時間も経過していたようだ。


 朝の10時頃に潜ったので、ちょっと遅めの昼食に戻ったつもりが、もう15時とはな。

 食事もせずに戦闘を続けるのは、あまりよろしくなさそうだ。

 これからは、気をつけることにしよう。


 時間を知ったら急におなかがすいてきた。

 適当に何か料理しようかと思ったら、メイドのエヴァが

「オショクジノ ヨウイガ デキマシタ」

 と、声をかけてくれた。

 この純日本建築の家にメイド服ってのもそぐわない気もするんだけどな。

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