表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

第20章 巨大クモ

「ここからは、普通に攻略していこう」

 俺は日本刀を手にして、フランチェスカにそう宣言した。

「銃はもう使わないの?」

「普通の敵は銃だと、フランチェスカとの連携がイマイチかなって。ボスや特殊な敵の時以外は日本刀の方が使いやすそうだ」

「確かにそうかもね。後ろから銃を撃たれるってのもちょっとおっかないかも」


 そのまましばらく進むと、オオカミではなく巨大なクモが現れた。

 足の長さまで含めると2メートルを超えるような大きさだ。

 これまでのオオカミは特に地上にいてもおかしくない生物だが、この巨大なクモが地上にいたりしたらパニックものだ。


 いよいよ、ダンジョンっぽくなってきたって感じかな。


「何か注意事項ある?」

「んーと、足を攻撃してもあまり行動が鈍くならなかったような記憶があるわ。

 胴体を真っ二つにするのがいいかもね」

「ちなみに、虫も大丈夫な方か?」

「え? 別に問題ないけど……どうして?」

 いや、なんか女の子って意味もなく虫を怖がったりするじゃないか。俺の偏見か?


「それじゃ、わたしが先制するね」

 フランチェスカはそう言うと、巨大なクモの群れに向かって駆け出した。


 フランチェスカは一匹ずつ巨大クモに蹴りを食らわす。クモはオオカミのように意識を失ったりはしないようだが、ふっとばされてひっくり返ったり、あきらかに行動をにぶくしていったりしている。

 すかさず俺は日本刀で切り込み、確実にクモにトドメを刺していく。


 やはりこのあたりの敵なら、下手に銃を使うより、フランチェスカと連携するならこうして狩って行ったほうがはるかに効率的だな。


 クモを倒した後を見ると、いくつかのナイフが落ちていた。

 これまでオオカミは防具っぽいのをばかり落としていたが、クモは武器っぽいのを落としやすい傾向でもあるのかな?

 ナイフは投擲用によさそうなので、そのまますべて拾っておこう。


 通路を曲がった先は巨大クモが糸を張り巡らせていた。

 巨大クモ本体もでかいが、クモの巣も大きく通路は完全に塞がれているようだ。


「巨大クモ本体はともかく、あの糸は厄介かもしれないな。どうせネバネバとくっつくんだろ?」

 戦闘中に糸に体を取られるのは厄介だし、後から掃除するのも面倒そうだ。


「手榴弾でふっ飛ばしちまうか」

 俺は手榴弾を取り出し、通路を曲がった先のクモの巣に向かって手榴弾を放り投げて、通路の影に身を隠した。

 爆発音が響き様子を確認すると、巨大クモ本体はもちろんふっとんでおり、クモの巣も爆発の余波で燃えていた。


 そこまではいいのだが、その爆発を聞きつけて奥から巨大クモが何匹かゴソゴソと這い出てきたようだ。


「まかせて」

 フランチェスカが巨大クモにむかって突進する。

 巨大クモの一匹がフランチェスカに向かって糸を吹き付けるが、フランチェスカは最低限の動きでその糸を避ける。

 フランチェスカのスピードはまったく衰えずに、戦闘を走ってきた巨大クモを蹴りでダンジョンの壁に叩きつける。

 俺はフランチェスカの後方を追いかけ、フランチェスカの攻撃した巨大クモのトドメを刺していく。


 襲ってきたすべての巨大クモを殲滅するのにほとんど時間は取られなかった。

 オオカミより弱いが、群れて襲ってくるから巨大クモはやや危険だな。

 殲滅に時間がかかると多くの巨大クモに圧倒されかねない。

 まぁ、フランチェスカとの2人なら、まったくもって不安はないが。


「見て、宝箱よ」

 通路の突き当りに、フランチェスカが宝箱を発見したようだ。


「待った。罠とかあるんじゃないか? それに宝箱に化けたモンスターとかかもしれないぞ」

「えー、罠とか聞いたことがないんだけど、あるのかな?

 宝箱に化けたモンスターとかも、そんなの聞いたことないよ」

 そういうものなのかな?


「まぁ、用心するに越したことがないから。俺が開けるからフランチェスカは離れて見ててくれ。

 何かあったときにフランチェスカが無事ならなんとかなるだろうし」

 逆のケースだと俺には治療スキルも何もないから、対処のしようがなさそうだからな。

「うん、わかった」


 俺は慎重に宝箱に近づいた。

 鍵穴も何もないようだな。

 試しに鞘に入れたままの日本刀で宝箱を突っついてみたが、特になんの反応もない。


 俺はそっと宝箱を開けてみた。

 フランチェスカの言うとおり何も問題はなかったようだ。


 宝箱の中身はHPポーションが5個と毒消しポーションが3個だった。

 フランチェスカのスキルがあるなら、不要の品だな。


「これは念の為、和也が持っておいて」

「要らないんじゃないのか?」

「どういう不測の事態が起こるかわからないからね。

 2人がバラバラに行動することがないとも言い切れないし」

 確かに、フランチェスカの言うとおりだな。あらゆる事態を考慮しておいて不足はなかった。


 アイテムボックスの容量的にまったく問題がなさそうだから、回復アイテムはしっかり保管しておくことにしよう。

新連載スタートしました。よろしくお願いします。

「ミノタウロスは今日も草を食む ~異世界転生と思ったら輪廻転生だった~」 https://ncode.syosetu.com/n1804et/

(下の方にリンクがありますのでそちらから飛ぶと便利かと思います)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ