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第19章 試行

 さて、いよいよ本格的にダンジョン攻略の開始だ。

 とはいえ、あらためて用意すべきものもないから、朝食を食べて崑崙のダンジョンへの転移を行う。


「しばらく、銃火器がすべて思ったように使えるか、様子見をしたい。

 危険な可能性もあるから、距離を取って待機しておいてくれ」

 俺はフランチェスカにそう言い渡す。

「わかったわ。でもその前に」

 フランチェスカは俺にキスをして甘い液体を注ぎ込む。この味は覚えがあるな。

 身体強化薬ってやつだ。確か30分間、身体能力が30%アップするんだっけ。

 体の動きが軽くなった感じがする。


「じゃ、行ってくる」

 俺は、P320をイメージしてみた。イメージどおりの拳銃の姿が手に現れる。

 とりあえず、敵のいない状態でダンジョンの壁に向かって、弾丸を発射。思ったとおりにところに弾丸が命中した。

 よし、これはいけそうだな。


 俺は敵を探してダンジョンを進む。フランチェスカは距離を開けたまま俺の後をついてきているようだ。

 少し進むと、オオカミ2匹を発見。前回来た時からオオカミって認識してるけど、よく見ると俺の知ってるオオカミとは微妙に違うような気がしないでもない。

 まぁ細かい生物学的な違いは興味が無いから、オオカミでいいや。


 俺はそのままの位置で拳銃を構え、オオカミの1匹に向かって発射した。

 肩のあたりに命中したが、一撃で倒せないようだな。しかし、動きがとても鈍くなってきているようなので、俺はもう一匹のオオカミに狙いを変えて頭を目掛けて、2発続けて発射した。

 2匹目のオオカミは2発の弾丸で行動を停止した。俺は再び1匹目のオオカミに狙いを戻し、トドメの弾丸を撃ち込んだ。

 あっけなく戦闘は終了。

 まぁこのあたりの敵は拳銃を使わなくても問題ないだろうが、拳銃が問題なくダンジョンで有効に使えることが確認できた。


 P320の残弾はまだあるけど、おれはふと思いついたことがあったので、一度P320を消してから再びP320を再出現させてみた。

 残弾を調べてみるとフル充填されているようだ。

 少し手間だが、戦闘終了後に再出現させる習慣をつければ、戦闘中に残弾数を気にする心配が減って効果的だろう。


 続いて、アサルトライフルをイメージして出現させてみた。

 アサルトライフルもダンジョンの壁に向かって試し撃ちしてみたが、問題なく発射できた。


 さて、次のオオカミを発見したのでアサルトライフルでの戦闘。

 遠方にいる1匹のオオカミに向けてアサルトライフルを発射。一撃でオオカミを仕留めることが出来た。

 射程距離や威力はP320より優れているけど、狙いをつけるのにやや時間がとられるのがネックだ。

 近距離で複数の敵を相手にすることが多いダンジョンでの戦闘では、使う機会が少ないかもしれないな。


 アサルトライフルも一度消して、再び出現させれば、残弾数はフルに充填されているようなので、そういう仕様なんだろう。


 次は機関銃。これがダンジョンでの戦闘では一番有用ではないかと期待している。

 米軍基地では弾倉式とベルト給弾式と両方のタイプを練習させてもらったが、ベルト給弾式は持ち運びが不便なため、弾倉式で十分であろう。

 一度の戦闘で全弾を撃ち尽くしそうだから、毎回機関銃を出し入れさせる必要がありそうだけど。


 例によって、機関銃を壁に向かって試し撃ち。

 あっという間に全弾を撃ち尽くしたので、出し直して戦闘開始。

 おあつらえ向きに4匹のオオカミが集まっている。

 オオカミたちに向かって、機関銃を掃射すると、一瞬のうちにオオカミたちの死体が転がっている。

 想像通り、とても有効そうだな。


 再度、機関銃を出し直そうとすると、少し頭がくらっときた。

 これはなんだ?


「うふ、MP切れね」

「MPなんてものがあるのか……」

「さっきから何度も武器を出し直してたみたいだったからね。まだまだレベルも低いから総MP量も低いのよ」

 うー、戦闘毎に毎回、武器を出し直す作戦はMPという制限にひっかかったか、いい手だと思ったのにな。


 俺がショボンとしてると、フランチェスカは俺に口づけをして、なにかとてもにがい液体を注ぎ込んだ。

 そのまま飲み込むと、頭がくらっときたのが治った感じだ。

「MP回復薬ね。たぶん、マンタンになってると思うわ」

「お、ありがとう」

「残りの武器も確認しちゃお」

「そうだな」

 フランチェスカのおかげで、続きもできそうだ。

 つくづく便利なスキル持ちだよな。


 銃の確認はこのくらいでいいだろう。続いて手榴弾の確認をするか。

 まずは通常の手榴弾。

 これは試しはいらないかな? 不発なら不発でいいし。

 ダンジョンの曲がり角の先に2匹のオオカミがいるのを確認。

 手榴弾を投げて、曲がり角の影で待機。

 爆発の後を確認すると、オオカミは2匹とも倒せていたようだ。


 残りの発煙手榴弾、スタングレネードなども確認できて、米軍基地で教えられたすべての銃火器を実際に試行することができた。

 殺傷能力はないがスタングレネードの発光も敵の種類によっては有効だろう。

 使う前にフランチェスカとの意思疎通は重要だけどな。


 MPの問題もあるから多用はできないが、ここ一番の戦闘には各種銃火器は十分有効に使えそうだな。


「MPなら問題ないわよ」

 フランチェスカが極めて大胆なことを言い出した。MP問題ないことはないだろう?


「え? 薬を作ればフランチェスカだってMP減るだろ?」

「MP回復薬飲めば、MP回復薬を作るMPの数倍回復するから、実質的に無限なのよ。苦いから嫌だけど」

 またそんなチートすぎる使い方を……

 どんな願いでも一つだけかなえるからって願いに、願いをいくつでも叶えてくれって願うようなものだろ、それ。


 ちなみに、ここまでのオオカミからのドロップで、下着代わりに使えそうなパンツとシャツ、サイズがそこそこマシな皮ズボンを入手できたので、少しだけまともな姿になれたようだ。

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