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第16話 お試しダンジョン

「んー、ぜんぜん理解できてなさそうな顔してるね。しかたないにゃー」

 どこで、そういう特殊な文化を覚えてくるんだろ?

 フランチェスカの語尾にツッコミを入れる間もなく、フランチェスカは立ち上がって次の行動に移っていた。


「さぁ、とりあえずダンジョン行ってみようか!」

 そう言うと、フランチェスカは先程の青い石を一つ俺に手渡した。

 とりあえずってなぁ、なんか新しいゲームを説明書読む前にとりあえずプレイしてみようくらいのノリでダンジョン行ったりするのも。


「この石を握って転移をしたいって念じるだけよ」

 俺は青い石をフランチェスカから受け取ると、言われたとおりに念じてみた。

 青い石が光だし、俺とフランチェスカは青い光に包まれた。


「なんで素っ裸なんだ?」

 青い光が消えると、俺は薄暗い岩肌に包まれたところにいた。素っ裸で。

 フランチェスカの方はと見ると、革鎧のような姿になっている。

 フランチェスカが服を着ていて、俺だけ素っ裸とか誰得の仕様なんだよ。


「ダンジョンには何も持ち込めないって言ったでしょ。このダンジョン内で見つけたものだけを身につけることができるの。

 和也の分の予備とか用意してなかったから、しばらく裸でガマンしてね」

 そういうことなのか……

「あれ? そういえばさっきの石は何処へ?」

 手に持っていたはずの青い石がなくなってるぞ。


「うん、一般にアイテムボックスって言うやつがあるの。このダンジョンで手に入れたものは皆そこに自動的に入っちゃうわ。

 さっきの青い石も入ってるから、念じれば出し入れできるよ。中を見たいって思えばアイテムボックスの中身も頭の中に浮かぶはず」

 俺は言われたとおりに、アイテムボックスの中身を見たいと念じてみた。

 先程の青い石が一個はいってるだけのようだ。

 俺が念じると青い石は手元に戻ってきた。再び収納しようと念じると手元から消えていった。


「これは便利だな。

 そうだ。フランチェスカのアイテムボックスに服の代わりになるようなものはないのか?」

「二人っきりだから別にいいのに……やっぱり適当なのないよ」

「しかたないか……」


「こっちが、ダンジョンの外になるの」

 フランチェスカの向かった方には石の扉のようなもがある。

「ちょっと出てみましょう」

「おい、待てよ。俺、裸だって」

「うふ、外に出れば、また別よ」

 フランチェスカが扉を開けて外へ出ていった。姿が吸い込まれるように見えなくなる。

 俺は慌ててフランチェスカの後を追った。


 そこは高い山々が連なる山の中腹であった。木々は生えておらず、ゴツゴツとした岩ばかりの場所だ。

 そこに小屋が建てられており、銃を構えた兵士がこちらを見ている。

 そして、俺は素っ裸でなく日本にいた時と同じ服を着ていた。どうやらダンジョンから出れば衣服は戻るらしい。


 フランチェスカはその兵士たちに呼びかけている。

 中国語なんだろうか?

 フランチェスカの呼びかけに兵士たちが応じ、俺たちに向かって敬礼した。中国軍の敬礼も日本とかと同じようだな。 


「挨拶しておいただけ」

「そうか、彼らはずっとここに?」

「1週間交代みたいね」

 警備の兵たちに挨拶して、俺たちはダンジョンへ引き返すことにした。


「さっきの兵士たちはどうやってここまで来てるんだろう?」

「中国政府にも相当数の石を渡してあるから転移してきてると思うんだけど、そこまで突っ込んだ質問はなかなかしにくいね」

「このダンジョンって中国では利用してないの?」

「大昔は鍛錬の場として利用されてたらしいんだけど、今は戦いも変わって来ちゃったからね。

 武器とか外から持ち込めないし、素手で戦って生き残れる人も少ないしってことで、あまり使ってないみたいよ。

 ここでの拾得物を持ち出せるってのならともかく、それもできないしね」

「そうか、今じゃリー家当主専用って感じ?」

「うん、そんな感じ」

 なんかすごくもったいない気がしないでもないんだが、有効な活用法とか思いつくもんじゃないな。

 下手な連中にこのダンジョンに出入りされるのも中国政府が困るだろうし……


 再度ダンジョンに入って、まわりを見渡すと、明かりとかないのに特に視界に困らない程度には見渡せる。

 これはなんなんだろう?

 ヒカリゴケとかいう発行する植物の話は聞いたことがあるけど、それも違う感じだ。

 ダンジョンの壁自体が弱く発光しているようだ。薄暗くはあるが特に困るレベルではない。


「モンスターとかは、この先に出るのか?」

「うん、でもずいぶん先まで行かないと出ないわ。

 この階層のモンスターは弱いからお試しでやってみる?」

 お試しか、おもしろそうだな。


「少しやってみようか」

「そうね、でも待って。和也の特殊スキルを確認してからにしましょう」

「特殊スキル?」

 またわからない単語が出てきたぞ。


「このダンジョンに入ると使える特殊スキルが、誰でも一つだけあるの。

 本人にしかわからないんだけど、なんかそれっぽい感じがしてない?」

 そう言われてみると、このダンジョンに来た時から何かムズムズしてる感じがある。

 これが特殊スキルってものか?

 俺は、集中してその特殊スキルが何かを探ってみた。

 こうかな?


 俺の手にイメージしたとおりの日本刀が出現した。

「カタナを作り出す力?」

「いや、どうやらイメージしたものを一つだけ作り出すことができるようだ」

 俺は日本刀を甲冑に変えてみた。

 イメージしたとおりの甲冑が俺の体を覆って出現した。

 いわゆるフルプレートアーマーってやつだ。

 着るのが大変そうだが、装備した姿で出現してくれるのは助かるな。

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