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第13話 血の制約

 パーティーが終わって、俺はフランチェスカの部屋へ。

 例によってメイドたちに服をがされて、パジャマへ着替え終わってる。

 横で着替えさせられてるフランチェスカの方は優雅なんだよな。

 これも慣れの問題なんだろうか?


 二人っきりになったので、疑問に思ってたことをフランチェスカに尋ねてみた。

「アマンダさんの旦那さんのバーナードさん、ドミニカさんの時も隣にいたようだけど……」

「うん、ご想像どおりよ。祖父のバーナードは、大叔母のドミニカの夫でもあるの」

 やはりそうなんだ……


「なかなか一族の女性に見合うだけの力を持った男性って少ないのよね。

 そしてね、女の子しか産まれない直系の女性のもう一つの血の制約として、ある程度その女性の力に見合うだけの力を持たない男性じゃ、赤ちゃんを作れないみたいなの」

「そうなんだ……」

「実のところ、わたしと和也でギリギリかもしれないくらい。

 お母様から鍛錬とか禁止されてたの。これ以上強くなったら、わたしに釣り合う男性とか見つけれなくなっちゃうって……」

「俺でギリギリなのか……それって俺が強くなれば問題ないんだよな」

「うん、期待してる」

 そう聞かされたら頑張らないとな。


「それでだな。これは昼にも聞こうとしてたことなんだけど、オフェーリアとマーガレットの二人のことだけど」

「うん、あの二人もなかなか相手を見つけれないと思うの。そんな感じで代々、当主となる長女の婿が未婚の女性たちの相手も引き受けてた感じね」

「それで、フランチェスカはいいのか?」

「……わたしだって……和也を独占していたいわよ。あたりまえじゃない!

 でもね、わたしは次期当主なの。当主たるものが自分の感情だけで動くわけにはいかないのよ……

 あのね……お父様は敬虔なモルモン教徒で宗教上の理由でどうしてもダメだって言って、すごく揉めたみたいなの。

 それで結局、アイリーンがまだ独身なの……」

 そうか……とは言ってもアイリーンもまだ若そうだし……

 それにしてもオズワルドはああ見えても敬虔なモルモン教徒なのか。そういうイメージじゃないな。


「ちょっと待って。もしかしてパーティーの時にアマンダさんが『アイリーンのこともよろしく』って言ったのって……」

「うん、そういう意味よ。和也は日本人だし、特にそういう禁忌みたいなのってないでしょ?」

「そりゃまぁ、特に宗教上の問題とかはないけど……」

「日本人ってそういうの大丈夫なんでしょ? 最近の小説とか読んでてもハーレムとかすいうのよく出てくるし」

「あれは……

 あれを日本人の一般的な考えと思われると違うとしか……」

 うん、ああいうハーレムものは願望かもしれないけど、日本人の一般倫理観はあんなのではない……と思う。違うよな。


「そうなの?」

「うんうん、昔はともかく最近の日本は一夫一婦制が基本だよ。

 俺はフランチェスカだけを愛していたいんだ」


「ありがとう……嬉しいわ……

 でもね、アイリーンのこと考えると、かわいそうなのよ。以前にお父様に宗教上の理由ってことで断られて、今度また和也にとなると……」

「そう言われても……」


「考えてみて。和也はわたしに出会う以前にアイリーンと会ってるよね」

「うん、確かに」

「もし、アイリーンが自分のことだけを考えて、和也のことを報告しなかったとすると、わたしは和也のことを知るチャンスがなかったわ」

「そうなるな」

「アイリーンは魅力的よね?」

「あー、魅力的だ」

「もし、わたしと知り合ってない段階で、アイリーンに熱烈な告白を受けたとしたら和也はどうした?」

 アイリーンとは結構、年齢の差があって……でも初対面の時、それなりにいろいろそのプロポーションとか気になってたよな、俺って。

 もし、告白とかされたりしてたら……


「うーん、正直言って自信ないな。くらっときちゃってかもしれない……」

「うふ、正直ね。

 でも、アイリーンは正直に一族のため報告してくれたの。

 だから、今こうしてわたしと和也が一緒にいられるの」

 そうなるのか……


「だから、アイリーンのことも受け入れてあげてほしいの」


 俺は考えに考えた。

 これまで常識を徹底的にぶち壊されてきたが、今度は俺のモラルをぶち壊さなければならないのか……


「フランチェスカ、こうしよう。

 オフェーリアとマーガレットの二人の問題については先送りでいいだろ?

 二人が適齢期になってからの話にしよう。

 その頃になれば、いい相手が見つかってるかもしれないし」

「うん、あの二人についてはそれで問題ないわ」


「アイリーンについてもすぐじゃなくてもいいだろ?」

「んー、あんまり待たせるのは……」

「俺は今だけはフランチェスカを最優先にしたい。

 だから、フランチェスカとの間に赤ちゃんができるまで。

 せめて、ちゃんとフランチェスカが妊娠するまではフランチェスカだけを愛したいってのも、わがまますぎるか?」

「いいえ、嬉しいわ。

 わたしもわがまま言っちゃう。今だけは和也はわたしだけのものよ」


 フランチェスカがいきなり俺に覆いかぶさってきやがった。

「それじゃ、さっそく赤ちゃん作りましょ。アイリーンをあまり待たせないように」

「まったく依存はないんだが、俺の力を伸ばすって方はどうする?」

「それも早急に進めないとね。夏休みは何か予定はいってる?」

「なにもないぞ」

「それなら夏休みいっぱいかけて、せめてお父様より強くなる程度まで頑張りましょうね」

 簡単に言ってくれるな。あのレベルにそう簡単に届くのかよ。


 その後、フランチェスカに唇を唇で塞がれた。

 ここからはもう言葉はいらない。



第一章 完

 これで第一章完結です。

 第二章からはいよいよダンジョン編に突入します。

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