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第10話 強さの三要素

 俺はフランチェスカの部屋に案内されて、そこで一息つくことに。

 いろいろ聞きたいことがあるんだが、最も気になってることを尋ねてみた。


「なぁ、フランチェスカのお母さんのオーラは、一族の現当主ってことでまぁわかるんだ。

 でも、お父さんのオズワルド。

 前に見た動画とかでは確かに強かった。だが、あくまで人間の常識的な強さだったはず。

 あそこまで人間離れした強さじゃなかったはずだ。

 あの両親二人に俺が鍛錬次第でなんとかなるとは思えないんだが……」

 俺は一気に思ってたことをまくしたてた。


「それに関して具体的なことはまだ後で話すことになると思うわ。

 でも、その前段階のことを話しておかないと、とても納得できないでしょうね」

 フランチェスカはゆっくりと話し始めた。


「強さの要素は三つあると思ってるの。

 まず一つ目は素質。

 素質なんて関係ない、努力次第でなんとかなるって言う人もいるけど、それは嘘ね。

 人間はもともと生まれた時から不平等なの。

 素質のない人も努力すれば、それなりの強さを身につけることが可能だわ。

 でも、素質のある人が同じだけの努力をしたらどうなるの?

 最初からの差は永遠に埋まることはないわ」

 フランチェスカの言うことは残酷なようだが、事実であろう。

 世の中は決して平等なんかではありはしない。不公平にできているんだ。


「『努力すれば何でもできる。夢は必ず叶う』ってのは嘘って言うのはちょっと可愛そうだけど、本当のことではないわね。

 『人よりたくさん努力すれば、ある程度の範囲内でできることが増える。無理のない夢なら叶う可能性が増える』ってくらいが正しいことなのよね」

 んー、なんか似たような言葉を最近アニメで聞いた気がしないでもないが、気にしないでおこう。


「一つ目の素質を上げることで、一族はここまで来てるわけだからね。

 なんか身もふたもないことを言っちゃったけど、二つ目は鍛錬。

 これは一つ目と違って努力次第でなんとかなるものね。

 和也の心影玄武流武術もそうね。

 世界中にいろいろな種目や流派があるけど、鍛錬を重ねて技を磨いて行くことで、より高みに登っていけるものだわ」

 これについては俺もまったく異論はないな。

 どの格闘技が最強かという議論は昔からあるが、俺は心影玄武流武術を極めることで強さの極みを目指してきたのだから。


「一族でも中国拳法を源流にしていろいろな格闘技を組み合わせたものを伝えているわ。

 それの一部をMCMAP(海兵隊マーシャルアーツプログラム)って形で伝えているけど、あれはほんの一部なのよ。

 ちょっと一般には高等すぎて全部を伝えきれないから」

 アイリーンの使ってたMCMAPもそういういわれがあるのか。


「そして、最後の一つ。

 これの差が、お母様やお父様と和也の決定的な違いなの。

 逆に言えば、その差を埋めることで和也はもっと高みに登れるはずだわ」

「それはなんなんだ?」

 さっきまでの二つは俺も答えを予想できたものだが、この三つ目の予想がまったくできない。


「それはレベル上げね」

「は?」

 今、なんて言った?

「和也はレベルが低いの。高レベルのお父様やお母様とはレベルが違いすぎるの」

 どうやら俺の聞き間違いではなかったようだ。

 なんか急にゲームのような話になってきたぞ。

「レベル上げっていうと、ロールプレイングゲームみたいにモンスターと戦って経験値を稼いでいくってあれか?」

「話が早くてたすかったわ。まさしくそんな感じよ」

 間違ってなかったらしい……まったく理解できないけど……


「まぁレベルとか経験値とか言うのはたとえで、実際に経験値が貯まってテッテレーってレベルが上がったりはしないんだけどね」

「そりゃそうだよな、たとえ話だよな」

 ふー、驚かしやがるぜ。


「うん、実際はそんなんじゃなくて、モンスターを何匹も倒してるうちに徐々に強くなっていくだけ。

 なんとなく体感としてはレベルアップしたなって感じるけど」

 ぜんぜんたとえじゃなかったぜ。やっぱりモンスターと戦うのかよ。


「フランチェスカも実際に?」

「んー、わたしはちょっと体験的にやったことがあるくらいだから、まだお父様やお母様と比べると、レベルもそんなに高くはないんだけどね」

 やったことあるんだ……


「それで、俺もそれをすることで強くなるのか?」

「興味出てきた? もちろんよ」

「それは楽しみだ。すぐにでもやりたいくらいだ」

「ごめん、ちょっとだけおあずけね。詳しいことはまたあとでね」

 ちぇっ、おあずけを食らってしまったか。

 まぁいいだろう。楽しみにしておくか。


「じゃ、その話はそういうことで、次に聞きたいことだけどな」

「ん、なにかな?」


 というタイミングでノックの音が聞こえた。フランチェスカが返事をすると、キャサリンがメイド二人を連れて入ってきた。

「和也様の本日のパーティー用の衣装の試着をお願いいたします」

 俺が返事をすると、メイド二人にいきなり服を脱がされた。

 うわ、ちょっと待ってくれ。お金持ちみたいに人に着替えをまかせる習慣とかないのに。

 いきなり女性に下着だけに剥かれてしまうってのは、どうなんだ?

 あ、お願いだから、下着も変えるのだけは勘弁して。

 フランチェスカは俺が困ってるのを見て、ニヤニヤ笑ってるし。


「うん、ピッタリね」

「どうして、こんなあつらえたようにちょうどいい服を用意できるんだ?

 俺が素直に疑問を投げかけると、

「あら、和也のために誂えたのよ」

「え、いつの間に?」

「昨夜、和也の裸の姿見てるからね。その時に採寸したデータをこちらに来る前に伝えておいたのよ」

 裸見ただけでサイズを正確に把握できるとか、どういう能力だよ、それは。

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