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1章2話:絶望の魔王

「うきゅう」


 バタン、と部屋に着いた途端木葉はベッドに倒れこんだ。モフモフだった。なんだこれ『千葉ディステニアンランド』か、と思うくらいにはふかふかだった。なぜその例えなのかというと木葉はあんまりお高いホテルにお泊まりしたことがないからだ。ホテル自体家族との旅行でしかいったことがない。

 その家族とも、6年前に木葉の姉が水難事故で亡くなって以来一切旅行をしなくなっていた。


「うぅ、これからどうなるんだろぅ」


 独り言を呟いてみても特に何かが変わるわけでもない。

 部屋は一人一人に用意されていて、部屋の内装の豪華さからも転移者たちが優遇されているのは理解できる。それでも、1人の部屋というものはこの状況においてただ寂しいだけのものであった。



 コンコン。



 1人の部屋に乾いたノックの音が響く。その音で自分が眠ってしまっていたことに気づいた。気づけば窓の外は朝日が昇っていて、眩しいばかりの朝日が部屋の中に差し込んでいた。異世界に来て1日目の朝である。

 昨日は昼に転移したにもかかわらず何故だかこちらでは夜だった。おそらくあちらとこちらでは時間が色々異なっているのだろうと木葉は解釈する。


「木葉ちゃん、いるかしら?」

「おーい! 木葉〜?」

「起きてるかい? 木葉ちゃん」

「う〜〜、起きてるよう〜〜zzz」

「あれ、なんかzzzが聞こえる。ちょ、開けるよ?」


 ガチャッ。


 部屋に入ってきたのは木葉の友達、尾花花蓮(おばなかれん)鮭川樹咲(さけがわきさき)鶴岡千鳥(つるおかちどり)だった。


「木葉、飯の時間だから下に集まれってさ。王宮の料理だぜ。あたしはもう腹ペコだよ〜」

「樹咲ちゃん食べても太らないもんね〜、いいなぁ!」

「そういう木葉だって太らねえじゃん! ……ん? お眠なのか?」

「うん、ちょっとさっきまで寝ちゃってて。樹咲ちゃんおんぶして〜」

「んな!?」

「はにゃ!?」

「ず、ずるいわ! 私がおぶる!」


 花蓮が何故か背中を主張し出した。ばっちこいって感じのポーズを見て木葉はクスッと笑う。


「花蓮ちゃん私のことおぶれるかな」

「ええ! 無事に食堂まで送り届けてみせるわ! 必ず!」

「や、いいよ、あたしがおぶってく。花蓮は力ないからなぁ」

「それは同感だね。僕もあまり力がある方ではないし」

「千鳥ちゃんは力あるよ! いつも先輩の道具きっちり運んでるじゃん!」


 鶴岡千鳥(つるおかちどり)は努力家である。いつも気障っぽく振舞ってはいるが、影では木葉と同じくらい努力している。剣道場に最後まで残って練習するのは木葉と千鳥なのだ。









「そっか、千鳥は中学から剣道やってたわね」


 食堂への道中、少女たちはいつも通りに会話をする。異世界に来たからといって、そのサイクルは変わらない。因みに木葉は樹咲の背中で熟睡している。樹咲はその顔を真っ赤にしながら幸せを噛み締めているのだが、花蓮の目力が怖い。


「ああ、大会で木葉ちゃんを初めてみたときは驚いたな。あんな可愛い女の子が、あんなに力強い打ち方をするんだ、と感動したさ。僕も毎日努力しているけど、木葉はその2倍は努力しているように感じる。何故なんだろうな……」


 木葉の努力とは、紛れもなく夢の中での剣の打ち合いも含まれる。なんとかあの女の子に勝とうとして、一心不乱に剣を振っていると、いつのまにかその感覚を現実でも発揮できるようになっている。睡眠学習といって仕舞えば良いだろうか。文字通り、2倍の努力がなされているのだ。


「着いたわね」

「お、木葉ちゃんはお眠なのか?」


 天童零児(てんどうれいじ)が大きな声を上げてしまい、木葉の意識は現実へと戻された。そのこともあって零児(れいじ)は花蓮にボディーブローを決められた。


「うぅ、樹咲ちゃんありがと! もう歩けるよ」

「そっか! ……おい天童、貴様よくも木葉を起こしやがったな」

「ゴベェ! いや、待て待て、食事なんだから起こさないとダメっしょ、おいやめろ花蓮関節技はやめていたたたたたたたた!」


 花蓮と零児は幼馴染である。故に距離感は異常に近い。あんな風に関節技が決められるのも互いの仲の良さ故である。


「故であるじゃねぇぇぇ! いたい、いたいってあ、待って……なんか気持ちいい」

「やばい、零児が何かに目覚める前に花蓮ちゃんを止めろォォ!」


 暫く食堂ではクラスメイトの不毛すぎる争いが起こっていた。


……


………


…………………


「食事の後は国王陛下への謁見となっております。その後は役職の確認を……」


 神官が話し始めるが、


「蟹! 蟹だよ蟹! 花蓮ちゃん蟹だよこれ! うわぁ、海老さんもいるぅ! えへへ、よろしくね海老さん、貴方はどこ出身なのかな? 『僕はぁ、海老海老星出身の海老だよぉ(裏声)』。そっかぁ、だからこんなに甘くて美味しいんだね! 『あぁ、食べないでぇぇ(裏声)』。へっへっへ〜、身も心も剥がしてやるぜ〜」

「もう木葉ちゃんったら、一人芝居?」

「えへへ、そうだよ! 蟹さんも最近ご無沙汰だったからね〜。あ、菅都(かんと)くん、そこのお刺身取ってー!」

「おっし了解了解、ほらたんと食えぇ!」

「うわぁぁ! お魚の頭ごと乗ってる! すごいね!」

「ほら、あんまり詰め込むと喉つまるぞ」

「大丈夫だよ語李(がたり)くん! ていうか語李くんもちゃんと食べなきゃ! ほらほら」

「や、待て待て、それ木葉の箸ついてる……」

「ふぇ?」

「あ、いや、なんでもない……」

「なんでもなくないよ! 語李くん顔真っ赤だよ?」

「おいおい語李ぃ! ラブコメしてんじゃねぇぞ! ヒューヒュー!」

「ち、ちがうよ!」

「?」


 神官全無視である。ここまで行くといっそ清々しい。しかし神官は、これでクラスの中心にいるのが誰なのか理解したようだ。


(……この可憐な少女がリーダーか?確かに美しい顔立ちだが、このお嬢さんが勇者ということはあるまい。よし、あとでお手紙からはじめてみよう)


 速攻で陥落した。ちょろい、ちょろいぞ神官。ちゃんと異世界と美は共通しているらしい。というか聖職者的にそれはオッケーなのか?


 とまぁそんなアホな話はさて置こう。


 食事の後、玉座の間といかにも王様が踏ん反り返ってそうな厳かな部屋に案内された。そこには複数の偉そうな人がまぁ偉そうに踏ん反り返っている。数名子供もいたが、彼女らも煌びやかな衣装に身を包み、大人たちの近くに座していた。


 一番奥の髭がカッコ良い男がこの神聖パルシア王国の現国王:エルクドレール8世。国教の『満月教会』を保護し、満月教の布教を熱心に進めているらしい。海外に対しても香辛料を求めての航海のほか、満月教布教も平行して進めているとか。

 隣に座るさらに偉そうな老人が『満月教会』の教皇。大陸の最大宗派である、満月教会フォルトナ派の教皇だ。位的には国王より上らしいが、その辺は詳しく説明されていない。

 その側に控える15歳くらいの金髪の美少女がマリアージュと言う名の王女である。隣にはその妹:レイラという金髪の少女が佇んでいる。王妃の近くに12歳かそこらの金髪の美少年も座っていたがその子は紹介されなかった。

 後は騎士団長やら宰相やら総統やらが紹介されたが、木葉の頭には全く入ってこなかった。木葉は横文字を覚えるのが苦手なのだ。


 しかしクラスメイトたちは別である。マジモンの金髪美少女や金髪ショタを前にほぼ全員が大興奮だった。普段木葉に一直線な花蓮や樹咲や千鳥ですら、彼女らの美しさに目を奪われていた。その恍惚とした表情を、木葉は初めて見たかもしれない。まぁ実際は木葉の入学時にそんな顔をしていたが。

 騎士団長も中々ハンサムな人で、一部の女子たちはきゃあきゃあ騒ぎ出しそうな勢いだった。けれども木葉はなぜかそれらに全く惹かれなかった。昨日からある身体の違和感、そして場に漂う可笑しな空気の方が木葉の心には残っていた。


(もやもやする)


 ふと、少し前にいた少女と目が合う。染めた金髪をシュシュでサイドテールにしたギャルっぽい女の子。

 名前は真室(まむろ) (ひいらぎ)。不良少女として恐れられ、クラスでは孤高の存在だ。まだ木葉の毒牙にかかっていない珍しい女の子。だが実は誰よりも木葉のことを長く知っている。小学校が同じだったのだ。でも特別仲が良かったわけでもなく、木葉でさえその距離感は測りかねていた。まぁそんなことはどうでもよくて……。


(柊ちゃんも目を奪われてないし、この変な空気は私の勘違いなのかな?)


 気づけば、マリア王女がこちらに向かってウインクをして来たように見えた。少し首を傾げて、笑いかける。すると、マリア王女は何かに悶えるようにして自身の身体を抱きしめていた。一体何事だろうか。


(面白そうな人だなあ)


 櫛引木葉は本当に鈍感である。 


……


………


………………


 晩餐には王女たちも参加するとのことなので、一先ず生徒たちは名残惜しさを感じつつも騎士団長に案内されていった。


「やー、やべぇわ。可愛すぎるぞあれ」

「美し過ぎて危うく木葉ちゃんから乗り換えてしまうところだったぜぇ」

「や、俺マリア様派だわ」

「俺レイラ様派」

「あたし騎士団長様好みかも!」

「隣に控えてたイケメン騎士も良かったよね〜」


 興奮冷めやまぬ彼らはお喋りを続けている。


「あ、あたしとしたことが、しばらく見とれてしまっていた」

「僕もだよ樹咲。あれだけの美丈夫はなかなかお目にかかれないからねぇ。花蓮も王女様にずいぶん熱い視線を送っていたじゃないか」

「わ、私は、木葉ちゃん一途よ! うん、ただ、マリア様も、意外といけるかも……」

「な!?花蓮が、浮気しているだと!?」


(……なんの話だろう?)


 1人話が理解できない木葉だった。








 生徒たちがやってきたのは、王宮内の広い運動場のような場所であった。騎士団長は全員揃ったのを確認すると、一人一人に白色のタグのようなものを渡した。


「先ほど紹介させていただいたが改めて。王国騎士団団長のレガートだ。お前たちの訓練や、戦闘指導などを担当する。よろしく頼む」


 赤毛の髪を清潔そうに整え、顔立ちもかなり整っており、おまけにかなり筋肉質だ。これはモテそうなものである。女子たちは数人がきゃあきゃあ声を上げていた。


「さてこのタグだが、これはギルド加入者の人間の身分証明書だ。能力値や役職、サブの役職の副職、技能(スキル)等が刻まれている」

「え、名前しか刻まれていないのですが?」

「こうするのだ」


 そういってレガート団長はタグを掲げた。すると、そのタグからまるでホログラムのようにゲームのステータス画面のようなものが登場した。生徒たちが「おぉぉ」と感嘆の声を漏らす。



【レガート:フォルベッサ/45歳/男性】

→役職:守護戦士

→副職:工芸師

→レベル:47

→タグカラー:紫月

HP:710

物理耐久力:632

魔力保持量:50

魔術耐久力:314

敏速:572

【特殊技能】

【通常技能】



「すまない、通常技能 特殊技能は見せられない。因みに言っておくが、通常の騎士たちのレベルは40前後だ。君達はさらに上がりやすいはずだ」

「そんなゲームみたいにほいほいレベルが上がるわけじゃないのかぁ」

「ちょっと期待してたんだけどな」


 男子たちから少しがっかりした声が漏れる。


「それから、タグカラーというものがあるが、これは『ギルド』などの依頼を受けて魔族や亜人を倒した時にその功績によってあがっていくものだ。上から【金月(きんげつ)銀月(ぎんげつ)銅月(どうげつ)紫月(しげつ)蒼月(そうげつ)翠月(すいげつ)黄月(おうげつ)橙月(とうげつ)紅月(こうげつ)白月(はくげつ)】と10段階になっている。黒のカラーが付いている黒月(こくげつ)は闇ギルドなどに所属する犯罪者たちだからそこは注意するように。まぁ、君たちは冒険者としてギルドにタグカラー申請はしないし、あまり関係はないよ」


 虹の寒色系が上の方らしい。


「では、早速ステータスプレートを開いてみてくれ」

「開くって、掲げるんでしたっけ?」

「ああ、掲げる必要はない。先ずはこのタグに自らの情報を刻まなくてはならない。このタグに口づけをしてみてくれ」

「く、口づけ!?」

「ああ、それで名前以外の全ての情報が登録される。あとは画面に手書きで名前を入力し、完成だ。15分後に皆の役職を記録帳に記入するから、色々見終わったら報告してくれ」


 説明終了。そしてクラスメイトは大盛り上がりである。


「おおぉ、なんか本格的! やべぇやべぇ! 役職楽しみなんだけど! ていうか、役職ってどんなのがあるんすか?」

「様々あるな。騎士、剣士、魔術師、暗殺者、吟遊詩人、死霊術師、武闘家、弓兵、召喚術師、双剣士、妖術師、回復術師、巫女(かんなぎ)、槍使い、錬金術師などなどだ。これが役職だな」

「おお! そんじゃ副職っていうのは?」

「こちらは本当に多種多様だ。料理人、工芸師、建築技師、商人、技術者、観測者、探窟家とまぁ、それぞれに向いてる、というか才能的なものだ。役職にあるような職業が副職にまわることも多々ある」

「やっべぇぇ! 興奮してキタァァ!」


 零児が騒ぐ。みんなもなんだか興奮したように騒ぎ出す。気分は完全にRPGである。


「ああ、これを言わなくてはならなかった」


 と、再びレガートが切り出す。


「この中に1人『勇者』という存在がいるはずだ。そのものには今後みんなのリーダーとして働いてもらうこととする。他の奴らはその勇者を助ける役割を担ってもらう。ゆくゆくは、『魔王』と戦ってもらうことになる。勇者となったものはそれを覚悟してくれ。


それから、私に報告するまであまり役職を友人同士で語り合うのはやめて欲しい。要らぬ人間関係の拗れを起こしかねないからな。15分後に記入してもらったものを、私が直々に発表しよう」


 それを聞いて、みんなが期待に胸を膨らませた。『勇者』は初めから決まっているわけではない。つまり自分にもチャンスがあるかもしれないのだ。ゲーム大好き現代っ子たちは、是非とも自分が勇者に! と思いを馳せる。普段クラスで根暗な少年だってなれるチャンスはあるのだから。


「なあ、誰が勇者だと思う?」

「うーん、普通に考えたら木葉ちゃんか語李じゃね? いや、もしかしたら俺かも!」

「自惚れんなバーカ。おい、お前も勇者になりたいとか変な想像してんだろ?」

「お、思ってない……です」


 戸沢(とざわ) 菅都(かんと)ともう1人、よく目立たない男子をからかっている船形(ふながた) 荒野(こうや)という黒髪の不良風男子がその目立たないグループの男子に向かって大声を出す。役職によってはクラスカーストの逆転もあり得るのだ。1-5の生徒たちは期待と不安でいっぱいである。


「さて、では少しみんなから離れてタグをみてくれ」


(うーん、皆んなの役に立てる役職がいいな〜。勇者とかはよくわかんないけど、かっこいい響きだし勇者もいいなぁ。うん、勇者になりたいかも!)


「ふふ、木葉ちゃん張り切ってるね」

「うん! みんなの役に立てるやつがいいな」

「なれるよ木葉ちゃんなら!」

「だといいなぁ……」

(役職ってどんな感じなのかなぁ)

「木葉は剣士とかじゃないか?」

「あ、ありそうだねぇ。勇者でもいい気はするけど。なら樹咲は武闘家とか?僕は魔術師だ」

「千鳥は奇術師とかだろー」

「なにを!」

「じゃあ私は?」

「花蓮は……巫女(かんなぎ)とかじゃないか?」

「おぉいいね!」

「ほら皆さん、お喋りしてないでタグの確認を! 先生も不安なんですから!」

「ふぁーい」


 笹ちゃん先生に注意されてしまったので、みんなのそーっと歩き出す。花蓮たちから少し離れて木葉はタグを確認しようとした。






(うん、このくらいの感覚なら。








あ、れ…………………!?)






 不意に、ゾクっとした感覚が木葉を襲った。






 木葉はかなりこの時点で身体の異変に敏感になっていた。この体調では、もしかしたらみんなの役に立てないかもしれない。


(なんだかとても胸騒ぎがする。心臓がドキドキしてる。緊張? いいや違う、これは、







……………………………恐怖?)


 何故だかは知らない。でも、あの教室での転移の時と同じような感覚を再び覚えていた。このタグをみてしまったら、もう絶対に後には引き返せない……そんな感覚を。


(なんで? 怖い。怖いよ。ただ見るだけなのに? 別に勇者じゃなくたって、花蓮ちゃんや千鳥ちゃんや、樹咲ちゃんや、クラスのみんなは受け入れてくれるよ。きっと。なのに、







なんでこんなに怖いの?)







 これはきっと体調とかの問題ではない。開けてはいけない箱を、それでも開けなくてはいけない時どうするか? そんな緊張感。

 木葉は深呼吸をした。まわりからは「おお!」とか「きたぁ!」とか、「あぁ……」とか、それぞれ役職に対する反応の声が聞こえてくる。数秒後に自分がどんな反応をしているのかとても怖い。

 決断の時は迫っていた。





(見なくちゃ……)





 そうして木葉はタグに口づけをした。空中にデータ画面が表示される。木葉はその画面を恐る恐る覗き込んで、そして、










「……え?」











【櫛引 木葉/15歳/女性】

→役職:魔王 (月の光)

→副職:剣士

→レベル:???(計測不可)

→タグカラー:

HP:2805

物理耐久力:1237

魔力保持量:5490

魔術耐久力:3278

敏速:1670

【特殊技能】《捏造》《鬼姫》→

両面宿儺(りょうめんすくな)

茨木童子(いばらきどうじ)

【通常技能】《言語》

・強化技能:《身体強化》《精神汚染耐久+》《自動回復力強化》《切断力強化》

・剣術技能:《居合》《切断》

・防護技能:《障壁》

・回避技能:《察知》《奇襲回避》





「え、あ、あれ?なんで……?」


 目の前が真っ暗になる感覚。タグをもう直視できなかった。


「……なに、これ。私、まおう、って。だって、まおうは敵だって。嘘、だよね?」


 だけど、木葉のタグには間違いなく刻まれていたのだ。それは何度見返しても全く変わることはなかった。




『役職:魔王』




「……ぁ、あぁ、あああぁあぁああああぁあ」




 木葉の苦難はここから始まった。

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― 新着の感想 ―
やっぱりなっ!不遇(?)な役職がキマシタワー ここからどうするかが作者の腕が試されますな
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