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6章2話:落陽

出版社に就職したんです。本に携われるというのは物書きとして有難いことです。さあ書きますよ沢山。

 奥羽に乗れる定員は60が限界だ。だが現在、省庁エリアには500人のアカネ騎士団が大暴れしていた。


「襲撃ぃぃ! 襲撃ぃぃ! があああああ!!!」

「ひゃっはー、皆殺しだヨー!」


 国立天文台の本部が炎上していた。突然の奇襲攻撃に魔術師たちは一切対応が出来ず、歴戦の強者であるアカネ騎士団に制圧されて行く。


「な、何事です!? 誰ですか貴方達は! 小生は7将軍、モンテスキュー・ロックベルト! 小生に逆らうことは王都へのぎゃああああああ!!!」

「抹殺ヨ! 抹殺抹殺ヨ! ってあれ、お前が大将カ?」

「腕! うで、うでうでうでうでうでうでうでうでうでぇぇぇぇぇ!!!」


 右腕を切り落とされて地面をのたうち回るモンテスキュー将軍の首筋に剣を突きつけるアカネ。その時迷路が戻ってきた。


「そいつは捕虜にするわよ。それより、省庁エリアはシルフォルフィル侯爵家とテグジュペリ侯爵家が全て制圧したらしいわ。王国議会議事堂も立憲君主政友会の議員達が率いる私兵が制圧済み」

「テグジュペリ家には感謝ネ! 500人もの人数を長い間泊めてくれたんだかラ!」

「問題ないわ!!! 私、大金持ちだから、おーっほっほっほ!!!」


 金髪縦ロールのお嬢、テレジアが高笑いする。今回王都制圧にあたり、アカネ騎士団を手引きしたのが商業侯:テグジュペリ家だ。王都の物流を担っているので彼らの手引きは容易いものであった。


「こいつがお姉様の仇、ね」

「ひ、ひぃぃぃ!?」


 怯えるモンテスキューを見下ろすテレジア。エレノアを殺しヴェニスを破壊した将軍だが、テレジアは仮にも法務省高官の娘であり、そこは法律に則った処断が求められるであろう。


「あたしはお前を殺せない。でも国民が、民主主義精神が、法治国家としての矜持がお前を殺す。正しく法の裁きで死ねッ!」

「ごあっ!」


 モンテスキューに一発蹴りを入れるテレジア。少しスッキリした顔をしていた。


「これは裁判で報告しないでね!!」

「しないネ! でも蹴りの時パンツ見えてたヨ!」

「ぅぇぇ!?!?」


 真っ赤になるテレジア。ちなみにアカネも返り血で真っ赤である。


「うぅ……ま、まぁ、省庁は制圧済み! 地下街に逃げた連中はテレプシコーレがなんとかしてくれるわ!! 残りもサクッとやっちゃって!!」

「ガッテンだヨ!」


 そして軍部エリアも既に燃えていた。理由は簡単、7将軍の1人であるメイガス・シャーロックが手引きしたからである。

 モノクルをかけたインテリ将軍は不気味な顔を浮かべたまま軍部省の最上階にて迷路を待っていた。


「おや、魔王はこちらには来ないのですね」

「魔王の軍師が来てやったわ。あんたがシャーロック将軍ね。で、こいつらは?」

「7将軍:ブルボン大将、そして軍部大臣:メール総統ですねぇ。軍を動かす前にさっさと拘束しました。お陰で態勢を立て直してきたエデン・ノスヴェルの第2師団だけに相手を絞れますよ」

「こいつらがねぇ……」


 眼前にはガクガク震えながら失禁する2人の爺さんがいた。

 7将軍は一般的に17年前の内戦で活躍した将軍達ということになっているが、その実態は迷路が昔言っていたように異端審問官の手柄に便乗して自分達の手柄と振る舞っているだけの屑どもなので、実際のところ軍事方面に関してはかなり無能だ。ヴェニス戦で味方に甚大な被害を出したモンテスキュー、シャトンティエリ戦で無能を晒して死んだドレスデンらがいい例である。

 で、こいつらはその系譜だ。


「た、たすけてくれぇ。そうだ、金、金ならある、恩赦という制度は平民でも知っておるだろ? な? 私を殺すのは国の損害だぞ!?」

「わ、私も頼む! 助けてくれぇ! 金か? 臨めば大金でも、阿片でも、男でも紹介してぐぇぇぇぇ!?」

「死ね屑」


 脚を凍らせて砕く。じくじくと赤い血が流れていくが、口の中にも氷を詰められたので声を上げることすら出来なくなった。


「此処で殺しちゃってもまぁいいんですけど、どうしますぅ?」

「ちゃんと裁判で裁くわ。みせしめにもしてやりたいし」

「あはぁっ! 私、貴方とは仲良くなれそうですねぇ」

「お断りよ眼鏡。私オトコ嫌いだもの」

「あらら。さてと……今郊外では私の第3師団が戦ってます。援軍頼めますぅ?」

「えぇ。にしても、奇襲にも関わらず即座に軍を立て直して反撃してきたのね。流石は武勇名高いノスヴェル師団……」


 さてそんなノスヴェル師団の猛攻撃の前にシャーロック師団は瓦解寸前となっていた。


「おらおらおら!!! あのメガネの兵は弱っちいなぁ! がははは!! つえぇやつはいねぇのかぁ!? なぁ!」

「ぐぎゃっ!」


 エデン自ら先頭に立ち、兵士の頭を次々と撥ね飛ばしていく。残虐将軍の異名を持つ彼は、弱者に対して一切の容赦をしない。


「オラァ! つえぇ奴出てきやがれ! なぁ!」


 竜人の里を焼き払ったのも彼らの師団なのでロゼに任せてもよかったのだが、今回は迷路が名乗り出ていた。ロゼにはもっと復讐したい相手がいる。だからそんな彼女の抹殺リスト消化作戦には自分も協力して負担を減らしてあげたい、という気持ちなのだ。


「猿が喚かないで貰えるかしら。煩いわ」


 建物の上に立つ迷路。時刻は昼なので彼女の青みがかった黒髪が太陽に照らされていた。


「おうおう、お前、強そうだな。で、相手してくれんのか? なぁ?」

「えぇ。直ぐに終わらせてやるわ」

「へぇ。お前みたいなすました顔の女はなぁ、薬物に漬け込むと結構盛大に喘いでくれんだぜぇ!!」


 エデンが合図すると首に鎖が繋がれた女性が数十人四つん這いで歩いてくる。皆目の焦点が合っておらず、涎をだらだらと地面に垂らしている。


「……ぁ、ぁ、ぅ」

「こいつとかお前そっくりだ。けけっ。どうだ? おめぇもコレクションに混ざりねぇか? なぁ?」

「薬物……。成る程、気色の悪い趣味だわ」

「可哀想な女供含めてワシを殺せる自信はあんのかぁ? なぁ! 正義の味方みてぇなツラして出てきやがったけどよぉ!?」


 エデンは楽しそうに吠える。だが迷路の瞳は冷たいものだった。

 そのまま凍華の杖を振るって、


「《凍れるメロディー》」


 猛吹雪が吹き荒れ、後ろに控えていた兵達が凍りついて行く。勿論、女性たちも凍りついていった。


「ガハハハ!! お前、結構容赦なくやりやがったな」

「私にとってはこの場の誰が死のうが知ったことじゃないもの。私は正義の味方じゃなくて木葉の味方よ。木葉の障害になりそうなお前を殺す、ただそれだけ」

「がははは!!! いいねいいねぇ! それじゃあ殺し合おうぜ! 『魔女』ォ!」

「はっ、言い得て妙だわ本当に! 私は凍土の魔女:迷路。残虐に殺してあげるわ、残虐将軍ッ!」


 エデン・ノスヴェルは元銅月級冒険者だ。その能力の恐ろしさは意識すれば漏れ出るフェロモン……いや、薬物といっていい。薬の成分に触れると脳が痺れ、思考が纏まらず、やがて何も考えられなくなり脳は収縮する。ただ目の前の快楽に溺れる廃人と化す。

 その能力で彼は何人もの美女を堕とし廃人としてきた。彼は薬中マニアであり、廃人マニアなのだ。だからなわてのことを気に入っていた。


 それに関連してエデンの持つ『杭』は放たれると同時に薬物の成分を撒き散らし人間を抜け殻のようにしてしまう。

 筋骨隆々とした肉体から投げ飛ばされる杭、かすり傷がついただけでも廃人と化す秘宝級の術具を、迷路は物体の速度を止め、時間の概念に逆らう魔法である《背理の盾》を使用して止めることに成功する。

 時間は止まらない。ただ時間の流れに抗う。この魔法は時間の流れに抗うがゆえに止まっているように見せかける魔法。ある意味では時間遅延と同じ性質を持っている。


「なッ!? ワシの杭が……止まった!?」

「ちっ、ギリギリね。なんて速度……」

「ハッ! それなら」

「いいえ、次の手なんて打たせない。




落陽(らくよう)》ッ!!!」




 ーー太陽が落ちてきた。




 比喩ではない。文字通り天から太陽が消え、灼熱の球体がエデンの頭上に落ちる。あたりは闇に包まれたが、ただエデンだけが煌々と、真っ赤に燃え盛っていた。


「ぐあああああああああああああああああああああああああ!! あちぃ!! あちぃなぁああああああ!!! がははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」


 人を無惨に残虐将軍の最期は、最も苦しい焼死、それも灼熱の業火に焼かれながらの死であった。

 天空要塞で獲得したスキル、《落陽》。使用機会は1日に1回でしかも太陽が出ている時だけ。さらに言えば迷路が使ったので木葉は今日は使えない。だがエデンはそれを使うに値すると判断した相手であった。


「エデン・ノスヴェル。きっと長引いてたらもっと強かったわね」


 その後は氷魔法を使って付近の炎を一気に凍らせて消火した。

 周囲は灰も残らない。凍らせてあった人達も燃え尽きたが、女性たちだけは氷の壁を作って守ってあった。

 仮死状態。迷路の力を持ってすれば可能な技術だ。彼女たちはまだ生きている。


「終わったノ?」

「アカネ……今終わったわ」

「迷路結構優しいネ」

「は?」

「あの女の人たち、もうどうやっても助からないかも。それでも生かすの?」

「……生きていれば、生きてさえいればいつか元に戻る日が来るかもしれない。彼女らは敵ではないのだから殺す必要もない」

「……迷路の人となりがわかった気がしたヨ。生きてさえいれば、ね。うん、よしよし、じゃあ騎士団のみんなに彼女らを運ばせるヨ! それに、あのフィンベルって子なら治せるかもだしネ!」

 

 そういうとアカネは騎士団に指示を出して、そのまま主人を失ったノスヴェル師団の掃討戦に参加していった。

 迷路も少し遅れて、夜になった王都を駆けて行った。


……


…………


……………………


 実力の差は奇襲に対応できる力も含まれる。

 火の柱が上がったことで危機感を持ち、うまく対応できたノスヴェル師団と対応できなかった軍部&省庁。

 一方でマクスカティス大寺院は当然対応出来た、筈だった。


 そんな彼らに襲い掛かったのは100を越す竜の群れだった。


「「「「「グギャアアアアアッ!!」」」」」

「こんにちは〜」


 のほほんとした声。桃色の髪と桃色の瞳を持つ美少女:ロゼは100の竜の群れの中央を陣取る大きな竜に乗ってマクスカティス大寺院に対して魔法を放って行く。


「グギャアアアアア」

「リグ爺やっぱ乗り心地いいね〜」

「コナタ様にも同じように褒めてもらったわい! リグ爺感動!」


 真っ赤な鱗を持つ巨大な竜ーー古竜リグニンはその巨大な口から炎を吐き出して教会を燃やして行く。

 竜人の里で出会った老人竜はロゼと契約後に各地を飛び回って仲間を集めていた。そしてこの決戦においてロゼの1番の家臣であろうとその背中に竜の姫を乗せて大暴れしてやろうと意気込んでいたのである。

 またそんなリグ爺によって集められた他の竜たちも17年前のリベンジマッチとばかりに燃えており、身体につけていた柊お手製の爆弾を外して教会の敷地内に投下していった後ブレスを放って教会を焼き尽くしていった。


 異端審問官も陸からの襲撃に警戒していたのに唐突に空爆が起こったので混乱しており、それによって奇襲は成功してしまったのであった。


「でもま、流石は異端審問官。消火活動も迎撃態勢の構築も素早いね〜」

「良いのですか? 友人のこと、もしかしたら此処におるかもしれないのでしょう?」

「うん。ハレイとディラだけど、多分あそこ、ほらあの教会が所有している屋敷の方にいると思うんよ〜。それに、部下を向かわせてある、ぬかりはないんよ」

「成る程、兵は拙速を尊ぶ、ですな」

「ソユコト〜。だから遠慮なく皆殺しにするよ〜、ちゃんと着いてきてね」

「えぇ、このリグ爺、何処までもお供いたしますぞ」


 リグ爺という渾名をつけられた時は憤慨していたのに、今では自分から名乗っている。それだけロゼを君主と仰いで慕っているのだ。


「アルキメデスッ!!! デス!」

「来たね。ルーチェ!」

「あいわかった! 《人型呪術》!」


 深緑の髪がふわりと揺れる。ルーチェの結界魔法が熱光線を遮断したため全員が無傷であった。

 超錬金火砲アルキメデスという巨大な大砲を操る異端審問官、コーネリア・フィレンツォ。ルーチェにとっては因縁の相手だ。


「あやつの相手は我に任せい! ヌシはやるべきことを!」

「ありがとう! そっちも死なないでね」


 マクスカティス大寺院の中庭に降り立つルーチェ。小麦色の髪を三つ編みに編んだ長身の美人だがその表情は常に無表情だ。

 54年前の北バルカーン戦争の際に王都に抗議した銀月級冒険者。ルーチェはそんなコーネリアとタッグを組んで様々な活動をしていた。……コーネリアが王都政府に囚われて記憶を消去され、異端審問官に仕立て上げられれまでは。


「お主を止める。我はな、お主が消えた後も国憂会を、国憂騎士団を守っておったのじゃぞ。さっさと戻ってきて負担を軽くしやがれ馬鹿野郎なのじゃッ!」

「なんの、コノヤラッ!」


 ルーチェとコーネリアの対決が始まったのを確認して、ロゼは教会の天井の破壊を指示。丸見えの中身には、伊邪那岐機関の異端審問官と思われる人物達が集まっていた。


「お初にお目にかかるよ〜。僕の名前はロゼ・フルガウド。3年前の忘れ物を取りにきました」


 丁寧にカーテシーをするロゼ。そして狂気に染まった竜の眼と三日月のように歪んだ口で、


「ちゃんと全員心臓くり抜いて竜の餌にして、皆殺しにしてやるんよ」


 【魔槍:火雷槌(ほのいかづち)】を手にして嗤う。

 異端審問官らはそんな彼女を侮っていた。


「へぇ、それでぇ? 俺たち相手に1人で何ができるって? 舐められたもんだね、筆頭司祭もさぁ」


 金髪の少年がニヤニヤ笑いながら近づいてくる。非常にあどけない顔立ちをしているが肌にはいくつも縫い付けた痕がのこっており、まるでゾンビのような存在であった。


「筆頭司祭スケルツァンドだね〜。抹殺リストの2ページ目にいるんよ」

「はぁ? 抹殺ぅ? お前が? ラッカにすら負けたお前がぁ? くふふふふ、笑わせないでよぉ、くふふふふ」


 くふふと笑うスケルツァンドを無視して他の異端審問官を見る。


「金髪に黒甲冑の女騎士……ピッチカート。太っちょのおじさん剣士……プレスト。あとはうさぎ耳のラッカ。うんうん、筆頭司祭揃い踏みで嬉しいな〜」

「ねぇ話聞いてるおねーちゃん? おれ達4人もいるんだよー? それを1人でなんて」


「《第二形態》」


 先端に黒の球体が出現し、雷の力で先端に黒の禍々しい刃物が出現する。空中に柄のない槍先が連なり、それらはロゼを守るように浮かんでいた。これは火雷槌の持つ魔剣スキルによるもので、現段階でも非常に強い力を持つ。

 だが更にロゼは進化していた。


「《竜化》」


 竜人族は竜と人間のハーフだ。竜は人と交わる際に人に化けて交わった。ハーフである竜人は人の身を持って生まれたが、竜との契約によりその身を竜に限りなく近づけることが出来る。それが《竜化》のスキル。

 《竜化》によって竜人族は圧倒的な力を得ることが出来る代わりに、使えば使うほど人間とはかけ離れた存在になる。特に2代目のカナタは竜化によって国を守ったものの自身が竜となり王都を離れたと言う逸話がある。


 ロゼの竜化は契約時を除けば今回が初めてだ。ロゼとて人として神聖王国を支えたい気持ちはあるから完全に竜になりたくはないが、それでも此処が使いどきだと思った。


「絶対ぶっ殺すんよ」


 ロゼの腕を透明色で覆うような巨大な爪、桜色の鱗を帯びた尻尾、桜色の竜のツノ、桜色の巨大な羽。

 全身に魔力が溢れてそれが黒い電気となって現れる。バチバチと音を鳴らしながら歩くロゼは小さな牙の生えた口を歪める。




「《武甕雷(たけみかづち)》」




 ーー4人の筆頭司祭と周囲の異端審問官達が姿を消した。


 黒の咆哮と桜色の雷が混じり合い、彼らを存在ごと焼き尽くす。一応形を保っていた教会の関連施設は跡形もなく全て消し飛び、周辺が全て帯電した。


「が、ぁ、ぇ……な、に……いま、の」

「ごぼっ!」

「ぐるぅああああ」

「…………」


 金髪ショタ:スケルツァンドは何が起こったかわからないと言ったように壁に打ちつけられて頭から血を流しており、黒騎士:ピッチカートも項垂れたまま血を吐いている。ラッカは電気に対する耐性を持っていたが、それでも槍の直撃を黒の触手で打ち返そうとして弾き返されていた。

 何よりプレストに至っては下半身が消し飛んでおり、既に絶命している。他にもお付きの異端審問官が全て消し飛んでいた。


「へ、へ?」

「この日をずっと待ち望んでた。里を、家族を奪ったお前達を全員惨たらしく殺してやるんだって、ずっとずっとずーっと!」

「や、やめ……」


 スケルツァンドの首根っこを掴んで持ち上げるロゼ。そして、


「バイバイ」


 ゴキッ。


 スケルツァンドの死体をリグニンに向かって放り投げる。


「心臓以外食べといて〜」

「承知」


 バキボキと嫌な音が鳴り響く。そして残った心臓をみて、


「僕はね、力が必要なんよ。だから恐らく悪魔と契約しているであろう人物の心臓は貰っておきたいんよ」


 筆頭異端審問官は歳を取らない。それはつまり、多かれ少なかれ悪魔と契約しているということだ。低級悪魔であろうと何かしらの代償を払って契約しているならその心臓はきっと、悪魔契約と同じ価値がある。


「頂きます」


 プレストとスケルツァンド2人分の心臓を食する。すると上限に達していたステータスすら上昇した。やはり悪魔契約者は戦力の糧となり得る。


「さぁてと、残りも食べちゃおうかな〜」

ロゼは木葉と出会う以前から狂ってましたが、木葉という存在に出会ったことで更に闇堕ちしていきました。


この作品のテーマとして闇堕ちというものがありますが、これは木葉のみを示すものでなく、初期からロゼの成長&闇堕ちを描いていたことからロゼもテーマに沿ったキャラーーいわば主人公の1人と言えるでしょう。本人は闇堕ちしたとは微塵も思っていませんが。

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