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5章15話:私を見て

「亜人族は救わなきゃ、救わなきゃなんだ」

「やめ、で……ゴバッ」

「ひっ!?」


 フランクフル都市国では文字通りの殺戮が行われて、人間は優先して刈られていた。眼鏡少女:鶴岡千鳥は満足そうに笑みを浮かべる。洗脳された彼女にとって、人間は救うべき亜人族という弱い存在を虐める悪魔である。

 亜人族の前で殺される人間たち。彼らがどんな関係かはお構いなしだ。奴隷と主人の関係だって、そこには確かに友好関係があるものだっていた。千鳥にとっては悪しき帝国主義の産物にしか映っていなかったであろうが。


「マドモワゼル鶴岡。時間もないので急ぎますよ」


 お付きの異端審問官が声をかける。先日東都を守護する将軍:ミランダ・カスカティスへの謁見の際に堂々と笑っていた異端審問官である。


「ねぇ、僕のいう通りちゃんと亜人族のみんなは収容してあげてる?」

「えぇ、勿論」

「そっかぁ。ふふ、じゃあいこっかぁ。帝都を滅ぼしに!」


(ま、収容した上で王都に移動させて生贄にするんだけどねぇ。くふふ)


 千鳥は多くの命を救った達成感でいっぱいであった。それが結果として裏でさらに多くの犠牲を出していたことも知らずに。


「この世界は日本とはまるで違って、奴隷なんてものがあった。何故フォルトナ様が僕たちを召喚したのか今わかったよ。彼らを救うためだったんですね!!正義の使者として、御心のままに働きます!!」

「くふ、それでこそ、くふふ、勇者パーティーの一員、くふふふふ」



……


…………


 リルヴィーツェ帝国は平野国家故に軍事にかける予算が非常に多い。その1つの例として【竜騎兵】の充実というものがある。翼竜(ワイバーン)に乗り、作戦の指示・伝達などにおいて多大な貢献をする竜騎兵。神聖王国の10倍の戦力が保持されており、帝国が陸上戦闘において機敏に行動できる理由がそれである。


「それでも足りないから連れて来ちゃった〜」

「「「ひぃぃぃ!?!?」」」


 だがロゼはその竜騎兵部隊に勝るとも劣らない数の竜を引き連れている。《操竜》というスキルにより、彼女は普段山奥に潜ませている竜を使役できる。そして、その竜には帝国最強の騎士団である【アカネ騎士団】が乗り込んでいた。


「基本は情報の伝達に使用される竜騎兵だけど、まさか先んじて補給を断つために使うなんてネ。正直心が痛いヨ」


 赤毛の少女:アカネが悲しそうに呟いた。19歳で准将にまで昇り詰めた彼女はそれなりに戦争を経験しているのだろうが、それでも守るべきものを自ら焼かねばならない状況というのは辛いものがあるのだろう。


「魔獣の動きより早く穀倉地帯を焼かなきゃだからね〜。さ、やるよやるよ」


 ロゼとアカネ率いる竜騎兵部隊は一斉に術式を展開して穀倉地帯を焼き尽くしていく。同時に焼け野原となった穀倉地帯には魔獣にとっての毒物を撒いていく。それも出来るだけ沢山。

 幸いなことに麦の収穫期の夏前ということで既に収穫を終えているのだが、それでも残っているものもある。それを焼き払う。

 魔獣は基本的に食べるものは通常の動物と変わらないのだが、好んで人間を襲うという一点のみが異なっている。故に人体の匂いがこびり付いた生肉なんかは彼らにとって格好の好物だ。実際は人体の匂いや成分を練り込んだ毒物なのだが。


「にしてもめーちゃん怖かったなぁ〜。ボコボコにされるのは覚悟してたけど静かな怒りが1番怖いね〜」


 ロゼはのほほんとしながらそんなことを言うが、実際迷路のマジギレは怖かったらしい。しかし迷路的にはロゼなら良いという考え方が根底にあるのでそこまで手酷くボコボコにされなかった。木葉の意向ガン無視だけど。


「すごいネ、決戦の前なのに結構余裕そう。アカネも見習うネ!」

「まぁこののんがいる時点で向こうに勝ち目ないからね〜。僕がいて、めーちゃんがいて、色んなものを断ち切った今の安定したこののんなら何も怖いものはない。アカネさんも感じなかった?」

「アレはもうアカネの手には負えないネ。勝てるビジョンが一切見えない。魔王はその身に闇を宿したニンゲンがなるって噂はあったけど、あの年でどれ程の経験を積んできたのか……敵だったらと考えるだけで背筋が凍るヨ」

「うん……こののんはね、結構普通の女の子なんだよ。環境の所為でいっぱい辛い思いをすることになった普通の女の子。だから僕たちが支えてあげないと、そばに居ないと駄目なんだ」

「恋人として、ネ。その様子だと正妻の試練は厳しそうだネ!」

「あはは〜耳が痛いんだぜ〜」


 仕える国は違えど互いに国家の重要人物として大きな志を持つ少女達は竜の背にて語り合った。感性が近いところもあるのだろう。

 

 結局この日一日中ロゼとアカネは国境部から帝都への道にある村々を駆けずり回り、補給路の遮断を行っていった。

 その一方で迷路、木葉らは帝都の防衛を固めていくこととなる。無論街中で撃退する訳にもいかないのでその郊外に様々な仕掛けをしていく。


「迷路が作った氷の壁、その上にひいちゃんが錬金術で作った砲台を設置して簡素型の城壁って感じだね。魔力大丈夫?」

「死にそうよ……」

「ですよねー」


 疲労困憊で大量の氷を頭に乗せて横になる迷路の手を握って木葉は苦笑した。簡素型城壁への物資の搬入は柊と子雀、それに笹乃たちも協力しており、クソ重そうな物資を持ち上げようとしてびーびー泣いている子雀が視界に映る。


「我が主ぃ、我が主ぃ!重いです、無理ですぅ!」

「なんでお前そっちの担当になってるんだよ……」

「我が主のお役に立ちたくて……それで……」

「んじゃ私の従者として取り敢えず側にいて。子雀の存在は重要なんだよ今回」

「へ……?ちゅんがですか?」

「そそ。あ、ひーちゃん、迷路のこと任せても良い?」

「おー、いいけど、どっか行くのか?」

「yes。子雀、おいで」


 首を傾げる子雀。子雀の手を引っ張って歩く木葉は不意に口を開いた。


「帝国は亜人族を労働力として利用してる。それは、見ててわかる?」

「……………………はい」

「複雑、かな」

「正直そうです的な。でも、神聖王国よりは全然マシです!武勇名高き竜人族でもない限り、どこへ行ってもこんなものです的な」

「……だよね。でも、見て」


 木葉が指さす先。それを見て子雀は目を見開いた。

 そこには沢山の人が居て、休憩として食事をしていた。亜人族と人間が同じ鍋を囲んでいたのだ。

 指揮をとっていたのはアカネ騎士団の副団長と、亜人族のリーダーとして狐人族のルーチェ。


「ちゃんと全員に食料が渡るようにせい!ええい、野菜が足らんとは何事じゃ!全員平等に行き渡らせたじゃろうが!」

「足りないなら私達の食糧庫から」

「うむ、頼んだ」


 ルーチェの指揮のもとで人間の兵士たちが食糧庫の干し肉などを亜人族へと配分していく。そのことに文句を言うものなど全くいない。


「これ、は」

「みんな同じ危機に瀕してて、だからこそ同じものを守ろうとしてる。今の関係から少しずつ変わろうとしてる。まだまだ歪なのかも知れないけど、でも、変わろうって意志はみんな持ってるんだ」

「………………」

「共通の敵ってのは必要だね。強く実感した。それがあればみんな平等なんだから」

「へ……?」


 木葉は気づく。木葉を睨みつけるような、敵意を向ける瞳を。それも複数。


「みんな魔王である私を警戒してる。当然だ。過去2回に渡って出現した魔王は大陸で誰彼構わず殺戮を行なった。今回の出撃だって私の所為だっていう人も多い。それを皇帝が黙らせてるから表面化してないだけ」

「そんな!我が主はむしろ!」

「うん、そだね。だからこそ、私の側に子雀が居ることは重要なんだよ。亜人族と仲の良い魔王。魔族と亜人族、人間族は少なくとも私の統治下では平等。そのアピールになる。


私の側にいて、子雀。子雀自身が平和の象徴になるんだから」

「わが、あるじ……」


 子雀という非力な亜人族の少女と殺戮の代名詞とも言える魔王の2ショットは確かに衝撃的なものだと言える。木葉にそのつもりはないが、子雀の存在は人々の緩衝材にもなりうる。


「我が主、何を考えているのですか?」

「…………」

「ちゅんは、我が主が素晴らしい人だと、本当に優しい人だと知ってます。みんなに嫌われるような人じゃないと知ってます」

「ありがとう。その言葉だけで私は救われるよ。さ、行くよ。やることが山積みだ」


 何か言いたげな子雀に微笑みかけて木葉は再び迷路の方へと戻っていく。道中、子雀は黙ったままであった。


……


…………


…………………


 フランクフル都市国全滅の報告が入ったのは翌日の昼頃であった。そして国境部を突破し、既に魔獣の大群は帝都に迫りつつある。

 魔獣操作のスキルで大群は一直線に帝都に向かっているが、一部例外は他の都市へと向かってしまったためロゼとアカネら竜騎兵部隊はその掃討に向かっている。

 帝都守備隊は兵力を結集させて明日までには完全に準備が整う手筈となっている。かなり突貫工事ではあったが計画を立てた迷路とランガーフ帝には脱帽であった。


「木葉」

「こんばんは、迷路」


 氷壁に座り込み、彼方を眺める木葉にカップを差し出す迷路。中身はホットミルクだ。


「冷えるわよ」

「ありがと。……うま」

「ん」

「?……ああ、そだね」


 迷路の手を握る。相変わらず氷のように冷たい手だ。そんな手を少しでも温めてあげたいと、強く握る。


「綺麗だね、月」

「えぇ、星も綺麗」

「そこは死んでもいいわじゃなかったっけ」

「なんのこと?」

「ですよねー。まぁいいや。でも本当に綺麗」


 月が綺麗ですね、の返し方には諸説あった筈。

 迷路もミルクをずずっと啜る。そして言った。


「何をするつもり?」


 木葉は少し笑って言う。


「私のやるべきことを」


 迷路の表情が険しくなる。木葉のやろうとしてることに気付いているからだ。


「貴方のやろうとしてることの結末は大方見えてるわよ」

「そだね」

「私が許さない」

「そうかも」

「……私にその手伝いをしろと?」

「よく分かってる。良いね、恋人って」


 困ったように笑う木葉。それを泣きそうな顔で見つめる迷路。そして、




 唇を重ねる。




 暫くして離れる2人。少し赤くなりながらも木葉は笑った。


「ロマンチストだ」

「そうよ。私はロマンチストで面倒臭い女なの。だから、貴方が傷つくのはプライドが許さない。貴方は王子様で、お姫様なのだから」

「私は魔王様だよ。あの場でそう名乗った時から……いや、もっと前からだね。そう決めてる。大切なものを守るために私は魔王になるんだ」

「文字通りの魔王になる必要なんて」

「今回、こうなってみて気付いた。この世界には必要なものがある。そして、それを演じられるのは私しか居ないよ」


 既に腹は決まっていると言わんばかりの表情に、迷路は諦めたように呟く。


「……………………私は、死ぬまで貴方の側にいるから」

「うん、知ってる。ロゼも子雀もきっとそう」

「他の女の話はしないで」

「うへぇ、ごめんなさい」


 小突かれてくすぐったそうに身体を捩る。迷路はそんな様子を愛おしそうに見ていたが、また悲しそうに目を伏せた。


「ロゼは気づいてるわよ、きっと。それに、子雀も」

「うん」

「それでも、やるのね」

「うん。それだからこそ、やらせて」


 沈黙する迷路。暫くののち、決意したように、


「みんながいる。それだけは忘れないで」


 そう言った。


「うん、勿論。……さ、戻ろっか」


 迷路に手を差し伸べる。すると悪戯っ子のように微笑んで、迷路はひらりと身体を動かした。意図を汲んだ木葉もその手を取って華麗にステップを踏む。

 月明かりの下、氷壁の上で踊る2人の美少女。幻想的な雰囲気に包まれる彼女たちだったが、今この瞬間無邪気に踊る2人はなんてことない普通の少女だった。



………


………………

 

「来た」

「だね〜」

「凄い土煙ね」

「なんかゴミみたいですね的な」

「あれ、こいつ日本人じゃねぇんだよな!?」


 柊がオーバーリアクションする。だがそれくらいに氷壁から見える魔獣の数は凄まじいものであった。とはいえ、


「どう?ルーチェ」

「凡そ8万と言ったところじゃな。制空権を取られておるから確認のしようはないが、道中は魔獣の死骸で埋め尽くされておるのじゃろうか」

「魔獣は共喰いもするから意外と綺麗かもよ〜」

「折角その表現は省いてやったというのに我の気遣いを無駄にしおって……」


 ルーチェの遠距離視認用の人型で確認したところ、侵攻してきた魔獣の数が著しく減少していた。それでも8万近くいることに変わりはないが。

 対して此方は4個師団14000。当初予定に入れていた民兵集団は下がらせてある。これは作戦変更によるものだ。


「勝てますか、木葉ちゃん」


 不安そうな笹乃。当然だ、これだけの大群を見れば誰だって恐怖する。いくら練度の高い帝国兵と言えど既に脱走者が出ている程だ。とはいえシャトンティエリのように兵士が次から次へと逃げ出すなんてことになってないところを見ると、やはり士気と練度の高さを実感する。


「勝つよ。まぁ見ててよ、笹乃」

「ーーッ!?せ、先生を付けなさいと!」

「もういいじゃん……。ほら友達友達」

「え、あ、はい……ってなんでスマホの充電生きてるんですか!?」


 肩を組んでハイチーズ。因みにスマホの充電は天才ロゼ・フルガウドの便利パワーによるものです。


「アカネも震えてるけど」

「武者震ヨ、ご心配なく。って言ってもあの大群は中々来るものがあるネ」

「リラックスリラックス。それに、きっとみんなの出番はそんなにないから」

「……何言ってるヨ?正直凄い数の損耗は想定済みだヨ」

「君達の死に場所は此処じゃない。これからもっと大きなことをやって貰うんだから、こんなところで消耗してほしくないの。だからまぁ、今回は見ることが仕事かな」

「………?」

「目に焼き付けて、恐怖して、畏怖して。それで、改めて謁見の間で言ったことを問うつもり」


 そうランガーフ帝とアカネに対して目配せする。2人とも疑問符を浮かべていた。そりゃそうだ。


「我が主……………」

「そんな顔しないでよ。私にとっても、みんなにとっても子雀は平和の象徴になる。忘れないで」

「ちゅん、ちゅんはそんな……」


 子雀を置いて氷壁の中央に向かい、魔獣の大群を睥睨する。そして、


「《鬼姫》、おいで《酒呑童子》」


 術式が発動する。と同時に、木葉の姿が変化する。白銀の髪が長く伸び、赤い瞳はさらにおどろおどろしく、深く変わる。顔の右半分に張り付く真っ黒い鬼のお面のその口から、禍々しいお札が何枚も垂れ下がる。パーカーは真っ黒な着物へと変化し、背中からは無数の瞳が埋め込まれたような黒い翼が生えた。そして、足元に出現する無数の鳥居と真っ黒い蛇の姿をした悪魔たち。


 そこに居るのは誰が見てもニンゲンからかけ離れた存在、誰が見ても禍々しいと感じる邪悪の権化であった。


「ひッ!?」

「あ、あくま……」

「おぉ、神よ、お守りください……」

「な、なんなんだ、あれ……」


 あまりの邪悪さ、そして浮世離れした美しさに、魔獣の大群をみても逃げようとしなかった兵士たちが後退る。それは何も一般兵に限った話ではない。


「……これは、やばいヨ」

「……………………………………魔王、か」


 アカネやランガーフも思わず息を呑む。その場から一歩も動けない。

 クラスメイトたちも同様だ。特に昔の木葉を知る彼女らからしたら、今の間違ってもニンゲンと呼べる存在ではない彼女を見て絶句するほかなかった。


「怖い?笹乃」

「……………………へ、あ、あ、ああ」

「それでいいよ」

「な、なに、を………………」


 微笑する。そんな木葉を、恐ろしくも同時に美しいと感じる笹乃。


 そんな笹乃から目を離し、2本の刀:瑪瑙(めのう)を地に付ける。

 ゴォッッ!!と凄まじい音がして、月光条約同盟の面々を除く全ての人間が硬直した。


 ーー木葉は、今この場を完全に支配していた。


「私を見て」


 そういうと、木葉は合図を出す。

 迫り来る大群。しかし目の前の少女に対する畏怖に比べればそんなものどうということはない。帝国軍の全ての恐怖は今全て木葉へと向けられていた。

 


 ーー正面の大地が揺れ、捲れ上がり、魔獣達が吹き飛ぼうとやはり帝国兵達は微動だにしなかった。



「仕掛けた地雷が作動。これで第一段階はクリア。敵は完全に勢いを失ったわ」

「左右に展開するであろう撃ち漏らしは任せてね〜」

「ありがとう、2人とも」


 双刀を構え振り向かずに返事する。そして、




「《八岐大蛇(やまたのおろち)怨讐(おんしゅう)》」




 ーー刹那、地雷の攻撃によって大量に生まれる筈だった魔獣の死骸が消失する。いや、それどころか魔獣が存在していたはずの空間に空白が生まれた。




「え?」




 鶴岡千鳥は木葉と対峙する形で魔獣の後方にいたが、自分が1番先頭に立っていることに気づく。何が起こったか何も理解できない。が、その後落ちてきたモノを見て漸くことの次第を理解した。


 べちゃ、べちゃ、べちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃべちゃ。


「あ、え、あ、ああああ……ひぃぃぃぃぃ!?!?!?」


 恐怖のあまりへなへなと座り込む千鳥。状況を理解できずに上を見上げると、そこには無数の瞳を持ち鋭い牙を持つ蛇のような化け物が大量の血を溢しながらニタニタと笑っていた。


「《大江山の神隠し》」


 次に木葉は手を翳し、鳥居を出現させる。そして、生き残った魔獣や魔族すらも鳥居の悪魔によって捕食されていった。


「あ、ぎゃあああああああああ!!!」

「いやだ、いやだああああああああ!!!」

「ぐぎゃ、がぎゃ」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 そんな彼らの惨状を目の当たりにして誰もが硬直する中、この事態を引き起こした当の本人、櫛引木葉は、


「あは、あはは、あはははははははははははは!!!美味しい、美味しいなぁ!あーはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

明日も投稿します。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 詳しくは確認していませんが、3章の時点(ヴェニス編)では亜人だったのが、ここから亞人となっています。
[一言] 連続投稿だー!!
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