5章10話:色欲の芽生え
今回、かなりR-15なので注意。
というかなろうの規約的に性的描写にめちゃくちゃ配慮して書いたので、普通に不安です。でも最大限気を遣って書いたので大丈夫だと思います。
あ、あとそういえば挿絵の所でロゼ・フルガウドと最上笹乃のキャラデザを修正したので確認してみてください!可愛くなってます!
迷路の部屋に入ると、そこはかなりゴシック調というか、ゴスロリチックな洋装をしていた。
「そう言えば、入ったの久々だ」
「鼻血出てるんだからあまり喋らないで。ほら、詰めるわよ」
「ん」
綿を鼻に詰める。それから迷路は飲み物を持ってきて木葉にマグカップを手渡す。
「ありがと……」
「ええ。それで、どうかしたのかしら?」
「どうかしたっていうか、なんというか」
言えない……なんとなく2人で話したかった、なんて。いざ迷路を前にすると途端に気恥ずかしさが出てきてしまう。
「や、その……えと、うーん、なんというか、なんで言えばいいのか」
「……?」
「め、迷路に、あ、あ」
赤面する木葉をみて首を傾げる迷路。だがなんとなく雰囲気を感じ取ったのか、迷路まで赤面し始める。
「へ、な、何!?」
「木葉、私は、私も!」
黒のレースがあしらわれたベッドにて、木葉の手を握り顔を近づける迷路。青みかかった黒髪と、それに隠れた蒼い瞳が揺れる。
動揺する木葉だったが、それは先程の応酬であった。
ーー2人の唇が重なる。
決して木葉を離すまいと迷路は木葉の手を絡めとり、そのまま時は過ぎる。互いの存在を確かめるように。
ただ唇を重ね合うだけの行為しか行って来なかった木葉にとって、それは初めての体験であり未知である。いや、ラクルゼーロでの経験は割とグレーゾーンではあるが。
「んっ、ん」
脳がのぼせるようだった。瞑った瞳が、何故かチカチカする。それでもそれは悪い気分ではなく、寧ろ、
(ああ、幸せだな)
そう思う。きっと迷路もそう思うのだ、と考えながら。
唇が離れ、迷路は赤面したまま横を向いた。しかし、何かを決意したように表情を整えて前を向く。木葉の方を向く。まだぽーっとしている木葉の瞳をしっかりと見た。
「これが答え。私は、木葉を愛している。恋愛対象として愛おしいと思う。私は貴方を幸せにする為に生きているし、貴方が幸せになれるように生きたい。……でも、できれば貴方の幸せの中心に居たいと願ってしまった」
「………」
「貴方の何者にも代え難い存在になりたい。義務感じゃなく、意思で。貴方を独り占めしたい。そう思ったの」
「めいろ……」
「木葉を助ける、木葉を幸せにすることだけ考えてた。でも、木葉と一緒に私も幸せになりたいって思うようになった。私は、この感情を止めたくない。止めちゃいけない。だから、」
「ストップ」
木葉が遮る。
それを怖がる迷路だったが、木葉は優しく微笑んだ。
「ありがとう。でもね、これは私から言いたい」
「え?」
「そうじゃないと意味がない気がする。迷路にとって私が特別であることは分かってる。嬉しい。とても嬉しい。だからこそ、私は私自身の言葉で返すべきだ」
「こ、のは……?」
「迷路を愛しています。私の、『特別』になってくれませんか?」
「……喜んで。ありがとう木葉、私を特別にしてくれて」
ここまで迷路に助けられて生きてきた。そして、これからも一緒にいる為の言ノ葉を交わし合った。
長い旅路の途中でようやく1つの答えを見つけたような感覚を覚えるようで、木葉の心には幸せが満ちていく。
「…………………これで、やっと」
「ん?何か言った迷路?」
「えぇ、ふふ、ふふふ、あははは」
なんだか黒い笑みを浮かべる迷路。ん?あれ、喜んでるんだ、よね?
「木葉」
「は、はい」
「私と貴方は今から恋人同士ということよね?」
「そ、ゆことになるね、うん、そうだ。恋人だ」
恋を知らない木葉からしたらその言葉は新鮮で、口に出すと幸せが溢れてくる。なんだかこそばゆい気もするが、その響きはやっぱり良いものだ。
「私ね、貴方と離れ離れになって辛かった」
自然な流れで木葉を押し倒す迷路。頭にはてなマークを浮かべたままそれを受け入れる木葉だったが、迷路の淫靡な表情を見て思わずたじろぐ。
「へ、あ、うん、ごめん」
「さっき貴方が森で私に口づけした時からもう、ずっとこうするって決めてたから」
「へ?」
そういうと迷路は木葉の頬に手を当て、耳元で囁いた。
「1つになりましょう、木葉。もうぜーったいに逃がさないんだから。もう2度と私から離れようなんて思わなくなるほど、ぐちゃぐちゃに愛してあげるわ」
「ひゃっ!?え、ちょっ、なにを、きゃあああっ!」
「ずっと、この時を待ってた。私の可愛い木葉、ふふ、ふふふ」
「にゃっ、あの、目が、怖……………あ♡」
防音の術具が施された部屋、外に声が漏れることがないが故に2人の美少女は、一晩中愛し愛されることになるのでした、と。
……
…………
……………………
恋と性を知らない木葉にとって例の経験は本当に新鮮だったらしく、そんな木葉がどうなったかというと、
「迷路…………あの、今日も」
「ーー!?……えぇ、勿論。おいで」
完堕ちした。
枕を持って迷路の部屋を訪れる木葉、これで8日連続である。愛する姉と祖父に先立たれ、家庭崩壊までしてしまった木葉にとって誰かから愛されるという経験は数年ぶりの出来事であり、尚且つ精神が非常に不安定になっていたことも影響しているのだろう。
木葉は迷路の趣味ということで、黒いレースのついた大人っぽい下着に身を包んでいた。黒のベビードールとガーターベルトは勿論迷路の趣味で、更には香水からマニキュア、ツインテールと化した髪型までも迷路の趣味だった。
ーー調教完了である。
正直迷路もここまで木葉が自分を求めてくるとは思わず最初は困惑していたが、言えば言うほど自分好みの美少女と化していく木葉を見てそんなことはどうでもよくなっていた。
ツインテ木葉を撫でる。ハート目と化した木葉は珍しいがここ数日では最早珍しくもなんともない。
「あのね木葉」
「えへへ、なに?」
「一応なんだけど、香水とかは今後お昼はつけないようにね?」
「へ?」
「いや、ロゼとかにバレるから」
「バれるの嫌?私迷路ともっともっと愛し合いたい」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
とぼけたような顔で凄いことを言い出す。そんな木葉に耐えきれず唇を奪う。
「やぁっ、迷路いきなりだねっ!」
「今まで『受け』ですみたいな顔しておきながら澄ましてカッコつけてた木葉が悪い!貴方のそのドS風の澄ました表情、全部M風総受け美少女に変えてやるわ!」
「そんな顔してた覚えない……うみゃぁぁ!」
そうしていつものように……と迷路はふと我に帰る。あれ、あれれ?
「木葉」
「ん?」
「貴方その格好でここまで来たの?」
「うん、勿論」
「……………………それ誰かに見られてないでしょうね?」
「気配はなかったよ?」
「レベルの低い真室柊や子雀、夜はすぐ寝るルーチェは兎も角、彼奴が見てた可能性が……」
「ふふ、ねぇねぇ、そんなことより、ね?」
懇願するような木葉の表情に負けた迷路は考えることをやめた。その結果が、翌朝、
「で、昨日は随分とお楽しみだったね〜ふ・た・り・と・も〜」
部屋から出た瞬間、仁王立ちしているロゼに出会した迷路だった。
「あー、いや、これは、その、ね、うん」
「いや、言い訳はいいんよ〜?ぶち殺してやるだけなんだから〜」
「ちょ、落ち着きなさい!こんなところで火雷槌を出すのは流石に」
「問答無用なんよ〜!こののん、今そいつを殺して僕が助けに……」
そんなロゼに向かって歩き出す木葉。ランジェリー姿の乱れた木葉に思わず赤面してしまうロゼの頬を両手で触り。
ーーキスをした。
「へ、へ、へ!?あ、あふ、あむ、んんんんんん!」
「ふふ、ご馳走さま。ロゼは私をどんな風に愛してくれるのかな?」
「こ、こののん!?」
「ちょ、木葉!」
「ふふ、早く私をもっともっと愛して欲しいな、あはは」
此処に来て木葉の異常に気づく2人。ロゼはジト目になって迷路を見つめる。
「めーちゃん、流石にやり過ぎじゃないかな〜?」
「や、私もこれはなんかおかしいと思うのだけど……」
淫靡な表情で2人を誘惑する木葉を見て、危うさを感じるロゼと迷路。そこに、すくなの声が聞こえてくる。
「あぁ、もう。人格交代に時間がかかったよ。2人とも無事かな?」
「え、と、すくな?」
「そう、すくな。時間がないから説明しとくね」
唐突な展開についていけない2人を置いてすくなは話し始める。
「深刻な事態が起こった。極めて深刻」
「……ま、さか。木葉の魔王化が進んでおかしくなりつつあ」
「【色欲】の感情の発露、【シン・ラスト】の悪魔が出てきちゃって木葉がその影響をもろに受けた」
…………………。
は?
「木葉は迷路と恋人関係になったじゃない?それから木葉になかった筈の色欲の感情が出てきて、まぁそれは別にすくなを介して能力を貸してるからいいんだけど……」
「まぁその恋人云々も初知りなんだけどね〜後でじーっくりきかせてもらうんよ〜」
「コホン……。で、どうしたのよ」
「あまりに色欲という感情に耐性がなかったから、色欲のスキルを使いこなせずに暴走してる。主に精神が色欲に支配されてもうそのことしか考えられなくなってるんだよ」
迷路も流石におかしいと思っていたが、その原因はそこにあった。心が疲れていて愛に飢えているとは言え、木葉は非常に芯の強い少女だ。そんな彼女が迷路に依存しまくってしかも下着姿で徘徊しつつ8日連続朝から晩まで行為に及ぶというのは、よくよく考えたらおかしな状況であった。
「つまり、色欲の悪魔の力でこののんは今とんでもない淫乱ビッチになってるってこと?」
「言い方最悪ね貴方……」
「じゃなきゃめーちゃんに此処まで依存するなんてありえないんよ」
「わ、わからないじゃない!」
「ま、原因さえわかれば色欲の力を弱めて仕舞えばいいわけだから、あとはこっちに任せてよ。3日貰えればあの悪魔を再度咀嚼して木葉に返還する準備が整うから」
こういう時すくなは心強いが……3日?
「あと3日はこのままってこと!?」
「そうだね。木葉の色欲が満足するように頑張って沢山慰めてあげてね。じゃないと街に出て人を襲いかねないから」
「これそんな深刻なイベントだったの!?」
「じゃ、この小説がノクターン行きにならないように頼んだよー」
「何を訳のわからないことを……あ、こら待ちなさい諸悪の根源!元はと言えば貴方のせいで」
グラグラと木葉の頭を揺らす迷路。しかしそのうち木葉の意識が戻ったらしく、
「ねぇ、ロゼも一緒に3人で愛し合お?いいでしょ迷路ぉ」
「はい!喜んで〜」
「ちょ、あんた何絆されてんのよ、きゃあああ!!」
迷路の服を脱がせ始める木葉。そのまま首に噛みついたりとやりたい放題である。
「ね、愛し合おう。愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛!!!迷路、だぁいすきぃ!うふふふふふ!」
狂ったように迷路を求める木葉を見て、迷路も徐々に理性が飛び始める。
一度木葉を押し戻し、みんなが心配しないように『体調不良、寝ています』と書き置きしたのちに、部屋の鍵を閉めて防音魔法を施す。そして、
「ロゼ。他の奴らに怪しまれないように交代交代で頑張りましょう」
「へ?めーちゃん、いいの?」
「癪だけど、きっと私には3日も戦う体力はないわ」
「……わかったんよ。てか元々は抜け駆け禁止だったんだから、約束を破った罰だと思って欲しいんよ」
「……あとで釈明するから。さぁ、行くわよ」
…
……
…………
「3日も風邪ひいて寝込んでたとか、心配したんだぞ木葉!」
「1週間くらい変な調子でしたからね的な。我が主でも風邪とか引くんですね。それにしてもロゼさんと迷路さんだけが看病だなんて狡いです……って言おうと思ったんですけど、2人はどうしたんです?」
「風邪がうつったのではないか?若いのは情けないのう」
「あ、あはは……」
3日後、ダイニングにて食事をとっていたのは柊、子雀、ルーチェ、木葉の4人。あの後三日三晩の乱闘によって木葉はようやく【色欲】を制御した。が、代償として迷路とロゼは疲れ切ってグッタリである。今は2人仲良く迷路の部屋で寝込んでいた。
「……なんか変なことになっちゃったけど、私迷路と恋人になったんだよな」
「ん?なんか言ったか木葉?」
「ううん。ご馳走様。お風呂入ったらちょっと2人の様子みてくる」
風呂場ですくなにごめんなさいしつつ、上がってちゃんとパーカーを着て迷路の部屋に向かう。よく思えば数日前までの自分はよく下着姿で奥羽内を徘徊してたな、と赤面してしまった。
「変態みたいじゃん」
取り敢えずノック。返事はない。ので仕方なく普通に部屋に入った。
「え」
部屋に入った途端2つの手に掴まれて部屋に引き摺り込まれる。そのままベッドに転がされる木葉。
「へ、へ?」
「こののん」「木葉」
「ひゃ、ひゃい」
思わず声が上擦る。
「こののんがめーちゃんと恋人になったのはよく分かりました」
「そ、そだね」
「でも僕もこののんのことを恋愛的に好きです、大好きです」
「え、あ、はい、ありがとう……?」
割とサラッと告白したけど状況が飲み込めな過ぎて事の重大さが木葉の頭には全然入ってこなかった。
「ロゼと話した結果、勿論木葉の心は私のものと決まった。けど」
「またこういう事があったときに、こののんのこんな状態、誰にも見せられないんよ。威厳にも関わるし」
「あー、うん、そう、かもね?」
「なので木葉の身体はロゼと私が両方堪能することにしたわ」
「なんでそうなったの!?!?」
話が飛躍したよ!?
「でもロゼに取られるのは絶対嫌だから、基本的に私がいるところでならOKということで妥協したわ」
「いや、え、それはおかしいような……」
「木葉は僕のこと嫌い?」
ピンクのネグリジェを着たロゼ。その豊満な胸に思わず目がいってしまう。部屋はここ数日嗅いでいた甘い香りが充満しており、それが木葉の理性を刈り取ろうとしていた。
「や、好き。大好き。なんなら恋愛的に好きまであるかも」
いや待て、理性が飛んでなんかやばいこと言ってる気がする。が、それすら意識が曖昧だ。
「木葉!?」
「わ〜こののん二股だ〜」
「で、でもやっぱり私は迷路と恋人なわけだし、だから……」
「ふふ、今はそれでいいんよ〜。さ、おいで」
目の前の美少女、甘い香り、豊満な身体。色欲が芽生えた木葉にとってそれはもう我慢できるものではなく。
「あ、あ、ああ……ああああううう」
凡そ普段の木葉からは考えられないような声が出た。
翌日の3人は睡眠不足と全身筋肉痛だったらしいが何があったかは割愛する。
百合ハーレムです。
ノクターンで百合シーンでも描こうかな……。




