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3章14話:カヴァレリア・ルスティカーナ攻略戦〜中編〜

 カヴァレリア・ルスティカーナ。イタリアのオペラ作曲家:ピエトロ・マスカーニが戯曲に基づいて作曲した1幕物のオペラであり、その題名は「田舎の騎士道」といった意味を持つ。

 シチリアの山間部を舞台に、トゥリッドゥという青年と、ローラという美しい女性、そしたアルフィオという馬車屋の男の三角関係を描いた物語。アルフィオとトゥリッドゥは決闘をし、その結果はトゥリッドゥは殺されてしまうと言った悲劇的な最期を迎える。








 って物語だったのを、木葉は覚えている。だからハノーファーの武器鑑定のスキルで武器名が判明した時、凄く嫌な予感がした。


「"ローラへ愛を綴る間奏曲"、それがあのハープ:"トゥリッドゥの嘆き"から発せられた術式名です。おそらく効果は、レイドマスターの五感を一時的に喪失させた上で麻痺状態の催眠をかける。それだけでなく、レイドマスターが助けを求めた相手にも催眠がかかり、レイドマスターを巡って争いが起こるというものです」

「じゃあその場合はヒカリがレイドマスターで、あたしは自主的に助けたから術にかからなかったと?」

「そのようですね。初見殺しもいいところでございます」

「あの2人には、今ヒカリからとてつもないフェロモンが出ているように感じるのか。どうする?ヒカリが戦闘不能になって、あの2人が争ってたんじゃ……」


 エレノアの視線の先には先ほどから木葉を巡ってガチバトルを始めた迷路とロゼの姿があった。


「凍土の願い!!」

「ノイズキャンセル!!めーちゃん、手数が少なくなってたんよ〜!!」

「うっさいわね、木葉は絶対渡さない!」

「僕もだよ!!」


 カヴァレリア・ルスティカーナへの攻撃は断続的に続けられているが、未だに削りきれなかった。


「あたしたちでなんとかするしかないな。《爆雷》!《爆塊》!削りきれ!!」


 エレノアの出現させた爆弾が容赦なくカヴァレリア・ルスティカーナに直撃し、鱗がボロボロと剥がれていく。エレノアは、感覚的にだが半分近くの体力を削ったと確信していた。


(このまま攻めきれるか?)


 ハノーファー、そしてゴンドラ乗りのゴンたちも後に続く。ハノーファーが近接的にカヴァレリア・ルスティカーナにダメージを与えていく。





 その直後、ハープが鳴った。





「なっ!?こ、これは……あぅぁ……」


 エレノアは急激な立ちくらみに襲われる。いや、これは……アルコール!?


「ま、ずい……」


 エレノアら他の国憂騎士団メンバーがふらつきはじめる。周囲には、強烈なアルコールの香りがしていた。


「《マッマ・ケル・ビーノ・エ・ジェネローゾ》」


 カヴァレリア・ルスティカーナはプログラム通りの術式を発動させる。おそらく体力ゲージが半分を切った証拠だ。フィールド内にアルコールを充満させ、冒険者を強制的に酔わせる全体魔法。これで、国憂騎士団メンバーは思うように動けなくなってしまった。


「ん、ううぅん……がああ!」

「う、ごけ……ゔぉええっ!」


 動きが悪くなっていった冒険者たちに次々と鱗が飛んでくる。エレノアですら、鱗を弾き返すので精一杯だった。


 唯一動けていたのはハノーファーだ。彼は生まれつきアルコールが効きづらい体質らしく、1度目の全体魔法の効果を気にすることなく動き回っている。


「はあああ!!手鬼!!《足鬼》!!」


 靴をカッターのような鋭利な刃物に変えて飛んでくる鱗を防ぐ。エレノアもようやく平衡感覚を取り戻し、爆弾の網を作って防御に転じていた。だが、優秀な冒険者集団であるにも関わらず、国憂騎士団は既に戦闘機能を麻痺させていた。


「ポーションを飲む暇すら与えさせてくれないか!くっ!!ヒーラー、頼む!」


 ヒーラーに優先してポーションを回し、メンバーの酔いを覚ましていく。しかし、


「《マッマ・ケル・ビーノ・エ・ジェネローゾ》」


 2度目のハープが鳴る。エレノアは急激な倦怠感に襲われた。


(まずい!ぐ、立っていられない……!」


 自動回復すら追いつかない強力な酔いが彼女らを襲う。何故なら単純な酒の酔いではなく、催眠の一種なのだから。そしてそれを跳ね除ける力を持つ木葉は当分の間戦闘不能と化している。





 詰み、に近い状態となっていた。






……………


………………………


 何にも……見えない。何にも聞こえない、何も感じない、何も匂わない。倒れた時に出た口の血すら味がしない。


 五感を奪われたの?身体すら動かない。どうしよう……。




 怖い。




 どうしようもなく怖い。ずっと誰かのそばに居てきた。ずっと誰かの匂いを嗅いでいた。ずっと誰かの温もりを感じていた。ずっと誰かを見てきた。


 今はそれが何もない。私から、すべてのものが消えていった。



 怖いよ……誰か……。






「きゃははははは!!貴方のだぁいじなものは、ぜぇぇんぶあたくしが貰ったわぁ!!」






 だ、れ……?声がする。頭の中に直接。




 ただ暗闇で這いつくばり、もがく私の前に、1人の女が歩いてきた。パーマのかかったブロンドの髪、青い瞳を持った長身の美女。非常に豊満な胸、立派なくびれ、大きな尻の形、まさしくグラマラスと呼ぶにふさわしい。唇には思う存分紅が塗られ、完璧に化粧がされている。少し濃いけど。

 花の刺繍が施されたイタリア風の民族衣装、ミニスカート、ベールを被っており、おそらくイタリア女性がモチーフとなっている。


「あたくしは、カヴァレリア・ルスティカーナぁ。貴方から全てを奪うものよぉ!きゃははははは!!!芋虫のように這いつくばってかぁわいそうにぃ。悔しい?ねぇ、悔しいぃ?」


 まさかの魔女本人だった。暗闇に怯える私を見下すようにして女性は笑い出す。目を大きく見開き、口は三日月のように曲がっている。


「くっ……う、っさい……。頭に入ってくるな、魔女め」

「きゃはははは!!!無様!ぶぅざぁまぁ!!!きゃはははははは!!!


 ねぇぇ、折角だからぁ、惨めな貴方に見せてあげるぅ。貴方の大事な大事な子たちがぁ、今どんな醜いことしてるか思い知らせてあげるぅ!貴方にも"嫉妬"を味わせてあげるぅ!きゃはははははは!!!」

「あの羊狂い、カヴァレリア・ルスティカーナには理性がないって言ってたのに……がっつり喋ってるし……」


 と呟いた瞬間、声音が変わった。酷く冷たいものに。表情も無に変わり、やがてその顔を、首を、掻き毟り始めた。


「あの女の話題を出すな。あの女の宝箱を攻略したからここにきたんだ。へぇ〜へぇ〜……あの女の、あの女のかぁ……。


 ああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい!!!」


 な、な、何!?いきなり!?


「あの女の差し金なら、もっと妬ましいものを見せてあげる!嫉妬に狂って死ね!死ね!死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」


 突然視界が開ける。目の前には湖底神殿の最深部。そして、倒れている国憂騎士団メンバー。さらに、


「こののん、こののん、こののん!こののんは渡さない!」

「木葉は私のもの、私のものよ!!いつも木葉に気にかけてもらっている貴方が妬ましい!!」

「そっちだって!!先にこののんに会えて!!一昨日だって、すっごい求められてて、ああああ!!妬ましい!!」


 目を真っ赤にしながら、迷路とロゼが戦っていた。明らかに催眠術を受けている。


「貴方のせいよぉ!貴方が彼女たちを愛していたからぁ!貴方が名前を呼んだ瞬間に彼女たちにも催眠が伝染するのぉ。それで初めてあたくしの術式は完成するぅうう!!」


 レイドマスターに好意を持つ人間を争わせる術式。レイドマスターが倒れれば、それを心配して助けに来る。そこで助けを求めれば、彼女たちに術式が作動する。当のレイドマスターは五感を奪って完璧に封じ込める。目が覚めた時には、全滅……か。性格が悪い……。


「きゃはははは!!性格が悪いって思ったぁああ? でももっと面白いのはここからよぉおおん!!きゃはははははははは!!!!」


「な、にを……」


 遠く視線の先、人魚姫がハープをかき鳴らす。すると、ロゼと迷路がピタっと動きを止めた。そして、


「ぁぁぁ……こののん、こののん!!」

「このは!」


 ロゼと迷路がカヴァレリア・ルスティカーナに向かって歩き始める。何故、私の名前を呼んでる!?まさか……。


「催眠……」

「きゃはははははは!!!貴方の事が好きな人がその分掛かりやすい催眠よぉん!!!どぉ? 貴方のせいで、貴方を媒介として普段なら掛からないような強力な催眠が掛かってるの!!!きゃはははははははははははは!!!」

「あぁ、こののん、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」

「このは、このは木葉木葉木葉!」


 迷路もロゼも、正気を失ったようにカヴァレリアのハープにつられてその頬をハープにつける。愛おしそうな目をしてハープの虜になっていた。


「きひっ、きひひひひ、きゃーっはっはっはははははははははははは!!!貴方が愛した、貴方が好いていた人があたくしに取られる、ねぇ、どんな気持ちぃ!?ねぇえねぇぇ!どぉんなきぃもぉちぃい!?きゃはははははははははは!!!」

「お、まぇ……!!」


 ロゼと迷路が取られる、それだけでハラワタが煮えくり返りそうな気分だったが、私の身体は全く動かない。2人とも恍惚とした顔を浮かべて私以外のモノを見ている。私以外のモノを……。


 あぁ



 妬ましい。


 妬ましい。


 妬ましい。


「……こ、ろす」


 初めて、心の底からそんな言葉が出た。初めてここまで相手が憎いと感じた。自分と2人の為にどんな障害も斬り伏せていくと決めた私が、ここにきて初めて……憎しみを覚えた。


「ころして、やる……」


「きゃはははははっ!!!それじゃまだコイツらは"生娘"みたいだしぃ!!!あたくしが花を開花させてあげることにするわねぇ!!!きゃははははははははは!!!ほら脱ぎなさい、愚かな女どもぉ!!!きゃはははははははは」


 身体が全く動かない。私がただ動けないでいる間に、目の前ではさらにハラワタが煮えくり返るような事が起こっていた。


 迷路とロゼが服を脱ぎ出したのだ。芸術品とまで言える美少女2人の裸体が、晒されようとしている。私が作った下着を身に纏い、祈るようなポーズでカヴァレリア・ルスティカーナのハープにすがりついていた。









 そんな顔を向けないで。そんな顔をさせて良いのは私だけだ。


 迷路が愛おしそうに見ていいのは私だけがいい。


 ロゼがここのんって、幸せそうに呼ぶ相手は私だけでいい。


 嫌だ……嫌だ……こんなのは、嫌だ……。


「……ぃ……ゃ……だ……」

「きゃはははははははははははははっ!!!さぁ!!生娘が1人の女になるんだよぉ!!あたくしと同じ、立派な立派な女に!!きゃはははははははははははははははははははは!!!幸せぇ?ねぇ、幸せぇええぇええ!?愛する人の姿で、大事な大事な純血を奪ってあげるねぇえええ!!!きゃはははははははははは!!!」

「こののん、ありがとう〜なんよ〜!!だぁいすき!!」

「木葉、早く、私を……」


 妬ましい。

 そんな目を向けられるお前が妬ましい。


「きゃははははは!!!狂え!!狂え!!憎悪に!!!悪に!!!狂えぇえええ!!!あたくしと同じ気持ちを味わうがいい!!!きゃははははははははははははははははははッ!!!」


 迷路とロゼに愛されているお前が、妬ましい。妬ましい。妬ましい。妬ましい。妬ましい。妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい!!


 妬まし















「このは」















「…………………………す、くな?」


 すくなが、立っていた。誰からも見えてはいない虚像だろうけれど、私の目の前には確かにすくながいた。


「時が……止まってる……?」


 すくなが現れた瞬間、湖底神殿の時が止まっていた。けれど、勿論私も動けない。未だに地面に這いつくばったまま。これは、



自分(・・)の答えを出して。魔王としてじゃなく、木葉として。信じてるから!」



 昔の私のような笑顔で、すくなは言った。何かを諭してきたすくなではなく、教え導いてきたすくなじゃなく、ただ私が私である為に助けてくれるすくな。

 信じているのだ。私が、普通の正解ではなくても、自身に正しくあれると。





「私は……迷路とロゼが好き。"強欲"をコントロール出来たんだ。それなら、今の感情さえも自分のものにしてしまえる……!自分の感情を、2人の為だったら正しく使える。それを正しいと信じられる。


 心配しないで、すくな。私は、大丈夫」





 私の本心、心からの想い。心から思うからこそ生まれる感情を、"憎悪"なんて下らない感情に支配させない。正解なんて要らないけど、間違いなんてもっと要らない。


「うん、それでこそ木葉だよ!」


 すくなは笑う。大丈夫、すくながいる。迷路がいる、ロゼがいる、エレノアだっている。醜いかもしれない感情だけど、それを受け止めてくれる、信じてくれる大事な人たちがいる。


 私を見ろ。


 私はここにいる。


 憎悪なんかじゃない、憎悪なんかに支配されない私を見ろ。


 お前なんかには渡しはしない。お前なんかを見る事が出来なくなるくらい私を見ろ。







 純粋な気持ち、人を想う気持ち、人を愛する気持ちをずっと羨ましいと思ってきていた。好きだったお姉ちゃんを失って、両親の愛を失って、友達を失って、それでやっと辿り着いたこの純粋な感情を、悪だなんて言わせない。





「妬ましい……。






……ホント、幸せな自分が妬ましい」







【シン・エンヴィー追加に伴い、《鬼姫》に《橋姫(はしひめ)》の降霊が解放されました】







……


……………


……………………………


「な、にぃ、これぇ?貴方……は、一体ぃ!?」


 木葉の頭の中にカヴァレリア・ルスティカーナの声が響く。


(未だに五感は戻らない、けれど、私には昔の私が羨み、妬むくらい頼れる仲間がいる)


 カヴァレリア・ルスティカーナの前に、さっきまで地面に這いつくばって芋虫のようになっていた木葉が、宙に浮かんで対峙していた。


「う、つくしい……」


 ハッとして、木葉にのみ見えていた幽体の魔女は口を押さえた。それは、催眠が解かれていた迷路、ロゼ、そして倒れていた国憂騎士団のメンバー全員の感想の代弁でもあった。


「綺麗……」

「まるで、まるで満月の女神だ」


 木葉の周囲に、幾百もの篝火が浮かんでいた。その中で宙に浮かぶ木葉は、神々しいまでに幻想的、明らかにこの世のものとは思えないほどの美を放っていた。

 白き雪の如き着物を身に纏い、淡い藍色の袴はまるでミニスカートのようになっている。着物はかなり着崩されていて、肩出し、形の良い胸、白く細い脚、綺麗なうなじが大胆に見える扇状的な格好。何故かロゼは「胸!もうちょい下、もうちょい下まで服が下がれば見え見えなんよ!」と謎の言葉を発して迷路に叩かれる5秒前。

 黒く染まった髪は濡れたようにウェーブがかかっており、その仕草ひとつひとつに色気がある。瞳は紫に変わり、見た目は完全に和の鬼姫だった。


「こ、のは?」

「あ、あれ?こののん?じゃな、い!?」


 ロゼと迷路は目の前の光景に目を疑う。自分たちが先ほどまで木葉木葉と叫びながら発情した猫の如く擦り寄っていたのもアレだが、その相手が魔女の持つハープだったこと。それと、


「な、ななななななは!!!なんで下着なの!?」

「わ、わああああ〜!!恥ずかしいんよ〜!!」


 上下の下着のみの格好。周りには男性も居るので2人は慌てそうになるが、彼らの瞳は木葉に釘付けだった。2人の感想も同じだ、あまりに性を焚きつける。男も女も関係なく、嫉妬すらする暇もなく木葉に釘付けとなるほどの圧倒的な美。


「な、なんなのよ、貴方……あたくしより、美しい、あたくしより、あたくしよりぃ!」

「比べないでよ」


 そして、魔女は今になって気付いた。催眠が、みんなの催眠が解けていると。


「あれ、動ける?」

「酔ってない、あれ?」

「動ける、動けるぞぉ!!」


「な、なんであたくしの催眠がぁぁ!?」


 とは言え木葉は未だに五感を喪失している。何故なら五感の喪失は催眠ではなくフィールドの固有術式だからだ。けれど身体は動く、それで充分だった。


「貴方の感情は憎悪。私のは、本物の嫉妬だよ。


 自分を見て欲しい、好きな人に見て欲しいって純粋な気持ちからくる、けれど、罪にもなり得てしまうとてもとても繊細でそれでいて情熱的な感情。


でも、それは罪であっても悪だとは絶対に言わせない!」



特殊スキル:《貴船(きふね)の呪詛》を発動させました。




 その瞬間、篝火たちが一斉に飛び出し、半分は冒険者たちの元へ、そしてもう半分はカヴァレリア・ルスティカーナへと向かっていった。鱗を飛ばして反撃するも、篝火はそれらを燃やし尽くして突き進んでいく。


「な、これは……?」


 篝火が付き纏うようになり、力が入ってきたような感覚を覚える。気になったエレノアはステータスを開くと、木葉のステータスの一部が移譲されていた。明らかにステータス値が跳ね上がっている。


「状態異常系統、精神系統の全無効化!?な、なにこれ!?」

「これから、ここにいる冒険者みんなが私の五感だ。さらに」


 カヴァレリア・ルスティカーナへに纏わりついていた篝火たちが集合し、形を変える。それは、、、大きな黒い釘だった。それがさらにカヴァレリア・ルスティカーナを貫いた。





「全ステータスが大幅に下がった!後はお願い!!」





 五感のない中、木葉は彼女らに叫ぶ。反撃開始だ。

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[一言] 生娘を1人の女に! ダメだ自分、お前はそんなもののためにこの〈物語〉を楽しみにしている訳じゃないだろ! 茶番失礼しましたm(_ _)m
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