私、死んだみたい
「あぁ〜、魔法使いに憧れます!!」
暗い部屋の中で若い女の声が響く。
部屋の中には女以外いないらしく、独り言を叫ぶばかり。
「私だって、魔法使いなら、全属性使えて、最強で、逆ハーレム間違えないのです!!」
布団を被り足をばたばたさせ、埃を舞わせている。
女の耳にはイヤフォン、顔はPCを見ており、画面に映されているのはオンラインゲーム。
女はオンラインゲームにかなり入れ込んでいるらしく、PCから目を離そうとしない。
食べ物のカスがあちらこちらに散らばっており、変な匂いがしそうだが、女は慣れてしまっているのであろう、気にしていなかった。
そんな女に不運が襲いかかる。
女が住んでいるのは、格安の木造建築のアパートだった、下に住んでいる禿頭の親父が天ぷらを揚げていたのだが、火を消すのを忘れて買い忘れを買いに行ってしまい、発火。
女以外の住民は皆逃げてしまった。
「なんか、焦げ臭い、かも?」
女はだるそうにイヤフォンを外し、周りに目を向けた。
夜なのに外が明るい、おかしいと思いドアを開けると、炎が迫ってきていた。
「や、やばいかもー!!」
ドアとは反対側にある窓から飛び降りる。
「きゃああああ」
三年ほど引きこもっていた女の体は思うように言うことを聞かず、、顔面と地面がキスをしようとしたその時、地面が輝き出しいくつもの魔法陣が発生する。
女の体は地面をすり抜け、、
見知らぬ、磨かれた大理石の床に顔を打ち付ける。
べチャ
「いっ、、いっだぁ、、、」
地面より固い床に顔をぶつけたのだ、鼻が陥没していてもおかしくはない。
「あら、大丈夫?随分と運動神経が無い子ね、、転生させても大丈夫かしら、、」
聴き心地の良い声が部屋に響く。
鼻を抑えていた女が、声の主をみつめ、驚愕した顔になる。
「落ち着いたようね、×☆€〒…」
声の主は、何かわからないような言葉を口にした。
女は、鼻を抑えながらその様子を見ていたが不思議そうな顔をして鼻から手を離すと、鼻の痛さが消えていた。
「もうあまり時間がないから、余計なことは話せないけど、貴女は実は死にました。先程、貴女の住んでいた世界で顔から着地して、ショック死しました。普通ならば、魂は輪廻を司る神に回収されるはずだったのだけど、貴女には異世界に行ける適正があります。貴女に選ぶ権利を差し上げます。異世界に行くか、今から輪廻を司る神に回収されるか。」
「異世界でお願いなのです!!」
「なにも聞かずに異世界でいいの?私は貴女の考えていることが分かるからいいのだけど、、本当にあほ、、んん、、異世界には魔法があり、魔獣もいます。貴女が考えているオンラインゲームの認識で構いません、異世界に貴女を転生させます。貴女には私からいくつかのスキルをプレゼントします。異世界に適性がある人間は数少ないので。。(異世界に行きたがる人ほんと居ないから、チート仕様にしないとね)では、さっそく転生を開始したいと思います。」
「楽しみなのです~」
女の足元に魔法陣がいくつも輝き始める
「汝に世界の祝福があらんことを。」
そして、女の体は魔法陣に吸い込まれて消えていった。
・・・・・
「あ!!!あの子に私の名前を伝えるのを忘れてた。。あといくつか異世界の転生について教えるのも忘れてたわ。。まああほの子に教えても、理解はしないからいいか。あの子が送られる世界に転生させるのも900年ぶりね。どんな素敵な物語が見れるかしら。」
先ほど女を転生させた神、美しい銀色の長髪を後ろに流し、凹凸の激しい体をドレスに包んだ女。ルージェ・エレミス。転生を司る神。
そんな彼女に近寄る影が…
「ルージェ、お前、私に言わず勝手にまた転生させたのであろう!!!魂の回収に行ったのだが無様に地面とキスをして息絶えている体しかなかったでわないか!!私に一言言えと何度も何度もいっておるであろう!!!」
「あら、レジス、おかえりなさい。だってあの子、あの世界に適応できていなさ過ぎて、連れてきてみたら別世界への適応能力が強かったわよ?あなたも、魂回収するのはいいけど、たまには私の職務を手伝ってくれてもいいじゃない。。あんまり転生する人が少ないと私、暇じゃないの~」
小さな体に似合わず大鎌を抱えた少女も神であり。レジス・イオニス。輪廻を司る神。
「そういうことを伝えろと言っているのだ!!無駄に世界に降りると疲れるでわないか!!で、次の転生させるのはどんなやつなのだ?イケメンか?ダンディなやつか?それとも少年か????」
転生するものは何故か男が多い、レジスは興味津々にルージェを見つめるが。。
「あほっぽい女の子だったわよ。」
「あんな世界からの転生だぞ、あほでは生き残れんだろうに、説明したのか?」
「あほっぽかったけど、なんか大丈夫そうな気がしたのよね~…説明は忘れたわ」
レジスはため息をつきながら、部屋の隅にある泉に向かう。
その部屋の泉はいろんな世界を覗くことができる。神の部屋すべてに設置してある物だ。
そこで女が転生した場所を、転生した姿をみて驚くことになる。
「おい!!!ルージェ!!その女、男に転生してるぞ!!!それ、ちゃんと説明してるのか??」
「あ、忘れてたわ。」
残念な神の間のひとときの話である。