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初恋は終わらない  作者: 葉月二三
出会い編
8/20

1-8



最寄駅から新宿駅まではそう遠くないため、あきるの機嫌が直る前に着いてしまった。

まだ待ち合わせ時間から30分くらいしかたっていないが、疲れた。帰りたい…


「完全にクリスマスって感じだな。」


「そうだね。変態。」


あなたにいわれたくはないのだが…


「まだ昼だけどイルミネーションでも見る?」


「イルミネーションは明日龍司と六本木のを見に行くから、今日は買い物に専念する。」


「え?そんな予定初耳なんだけど?」


「暇だっていった。」


「明日はまだわかんないから、とりあえず今日はって話だったじゃん?」


「彼女のいない龍司くんにクリスマスイヴに予定なんてあるの?」


「まだわからないじゃん?」


「クソビッチにまた告白でもするつもり?」


「ビッチいうなし…貴虎たちと遊ぶかもじゃん?」


「私が先約入れてるのだから、後からの予定は断ればいい。」


早い者勝ちって考えも間違えてるとは思わないけど、なんでクリスマスをフルで幼馴染みとすごすなんて罰ゲームまがいのことをしなくちゃなんねぇんだよ…


「私に1人寂しくイルミネーションを見に行けっていうんだね?」


「友だちと行けよ。」


「プライベートで遊ぶ友だちなんていない。」


「1人くらいはいるだろ?」


「いないし、いらない。私には龍司だけいればいい。」


「お前…」


俺は何もいうことができなかった。

いう資格もないのだろう。

けっきょく明日の約束をすることとなり、あきるの機嫌が直った。

その後はあきるの買い物にひたすら付き合わされた。

夕方頃にやっとめぼしい店を回り終えたと思ったら、今度は今まで寄った店に寄りながら帰るという意味不明な行動を始めた。


「この店さっきも寄ったじゃん?買いたいものがあるなら買っとけば良かったじゃん。」


「はぁ〜…これだから龍司はモテないんだよ。おかげで彼女がいないからいいんだけどさ。」


え?なんで俺が非難されてんの?

本当に意味がわからない。

全くもって納得はしていないが、なんとか駅前まで戻ってきた。

昼前から買い物しかしてないのにもう20時かよ…


「もう疲れたし帰ろうぜ。」


「あと一件だけ!最初に寄った店に行ったら帰るから!」


「あの店ちょっと駅から離れてんじゃん。十分買ったんだしさ、このまま帰ろうぜ?」


「ヤダ!あれは絶対買う!荷物持ってて!すぐ買って戻ってくるから!」


無理やりに荷物を俺に預け、走って店に向かって行った。

マジかよ…

さすがに夜に女1人でほっとけるわけないだろ…

追いかけてはみたが、荷物が重くてすぐに見失ってしまった。

仕方ないと裏道もとい近道を使うことにした。

もうすぐ大通りに出るというところで4人組が見えた。正確にいえば3対1の状態で女の子が囲まれていた。

顔はよく見えないが、あの服装は…あきるか…あきるもこの裏道使ったのか。

またナンパしてきた相手に怒らせるようなことでもいったんだろう。

無視してりゃいいのに余計なことをいうからな…

走ってる勢いのまま殴りかかるなんて馬鹿なことはせず、3人組とあきるの間に入った。


「俺のツレが失礼しました。」


あきるの腕を掴んで全力で大通りに向かって走った。

今回はそこまで怒らせていなかったのか、3人組は追いかけて来なかった。

それでも大通りまで全力で走った。


「お前はいつも相手を怒らせるような…」


大通りに出てすぐ、あきるに説教しようと振り返った直後、固まった。


「…熊川くん?」


そこにいたのはあきるではなく拝島桃香だった。


「え?あれ?なんで拝島が?…え?」


とっさに握ってた腕を離した。


「ごめ…」


「ごめんなさい!」


勢いよく頭を下げられ、走って逃げられてしまった。


その後ろ姿に既視感を覚えつつふと思ったのは、頭を下げたさいに広がった髪からとてもいい匂いがした。


…あれ?告ってないのにフラれた?


「なんで龍司とクソビッチがこんなところで一緒に手なんて繋いでたの?」


なんて間が悪いのだろう…

近道を使ったせいで俺の方が先に着いてしまっていたようだ。

なだめるのめんどうくさいなと思いながら、ふと思った。

俺の名前知ってくれてたんだ?

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