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初恋は終わらない  作者: 葉月二三
出会い編
6/20

1-6



今年最後の授業が終わり、学校に来るのは明日の休みを挟んで24日の終業式のみとなった。


遊んで帰ろうと思ったら、武蔵も隼人も部活らしく、貴虎は夕飯の買い出しがあるから今日は無理とのことだった。

貴虎の家は両親共働きで帰りが遅いため2歳下の妹と自分の夕飯とかは貴虎が作ってるらしい。

チャラそうに見えて実はしっかりお兄ちゃんをやってるようだ。

本当は今朝の話をしていろいろ整理をつけたかったが仕方がない。

でも1人になると頭の中が拝島桃香のことでいっぱいになってしまうので、とりあえずゲーセンで発散をすることにした。


主に格ゲーたまにクイズゲーと1人で遊んでいたが、気づくともう17時を回っていた。


「そろそろ帰るか。」


気持ちも落ち着き始めたので帰ることにした。


「ただいま。」


鍵を開けて真っ暗な家に入った。

俺の家も共働きのため、おかえりという返事は滅多にない。

たまに早く帰ってることもあるが、電気もついてなければ靴も出てないから誰もいないのだろう。

飯食ってくればよかったかな?

まぁとりあえず帰ってきたんだから先に着替えるか。

やることを決め、2階の自室に向かった。

階段を上ると俺の部屋から光が漏れていた。

電気消し忘れたか?

とくに気にせず扉を開けると東あきるがラグの上で雑誌を読んでいた。


「おかえり〜」


貴虎並みに間延びした声をかけてきた。

昼間とは本当に別人だよな…


「来てたのか。」


とりあえず着替えようと思い、あきるを跨いでクローゼットに行き服を選んだ。


「おかえり〜」


あれ?さっきいってなかった?

まぁいいか。


「あぁ」


服を選びながらてきとうに返事をした。

選んだ服をベッドに置き、着替えようと上着を脱いごうと…


「ただいまはどうしたー!」


「ぐはっ!」


横っ腹に思いっきりタックルされた。

そのままベッドに押し倒された。

同年代の異性にベッドに押し倒され、そのまま重なるかたちとなった…

なんだろ?男子高校生の憧れシチュだろうに全く興奮しない…

幼馴染みってすげぇな。


「いてぇじゃねぇか!」


起き上がって腰に回された腕を引き剥がそうとしたがなかなか剥がれない…

おかしいだろ?けっこう全力だぞ?


「りゅうじ〜」


俺の名前を呼びながら顔をこすりつけてくる。

気色悪いな…


「当ててるんだよ。」


「いや、なにもいってないし気づいてもいなかったけど?」


急に腕の力が緩んだので、そのすきに抜け出した。


「このボリュームで気づかないわけないよね?」


あきるが両胸の下に両手を置き、見せつけるように持ち上げた。

女子高生が自分の胸を掴んで男に見せつけんなよ…

ちょっと引くぞ…


「そんなん気になる相手とかにやられるから意識しちゃったりするだけだろ?」


「なっ⁉︎それじゃあわたしに興味ないみたいじゃん⁉︎」


「まぁ恋愛感情的なのは持ってねぇな。」


「うっそだ〜」


「なんでだよ…」


「だって息子がげん…」


急に俺の股間を蹴りあげようとしたあきるの足を両手で止めた。


「それはやっちゃダメだろ!」


本当にダメ!

男じゃなくなる!


「機能不全なら潰しちまえ!」


「おかしいだろ!ってか機能不全じゃねぇから!」


「なんでわたしに反応しないの?こんなに龍司好みになるように努力してるのに…」


確かにこいつは努力家だ。

それは知ってる。知ってるけれど、恋愛感情は意識的にいだけるもんじゃないと思う…


「…ってか好みの女性の話なんてあきるにしたことなんてないと思うけど?」


「ベッドの隙間の参考書を参考に髪を伸ばしたり、胸を毎日揉んで大きくしたり、細身が好きそうだったからスタイル維持を頑張ったり、肌のハリを保つために日々のケアだって怠ったことはないよ!」


純粋に凄いとは思うけど…ベッドの隙間の参考書?


「まだ参考書の人ほど胸は大きくないけど順調に大きくなってるんだよ!なんなら触って確かめてもいいんだよ?」


ぺしっ。

あきるの頭に軽いチョップをした。


「あきるも女の子なんだから、もう少し自重しなさい。ってか参考書ってなんのこと?」


「エ⚫️本。」


「見たの⁉︎」


「ポッ…」


「今さら頬を赤らめて照れたフリしてもいろいろ手遅れだからな⁉︎ってかなんで人の部屋漁ってんの⁉︎」


「わたしは漁ってないよ〜聡子さんが教えてくれた〜」


聡子とは俺の母親だ。

あのババァ…


「もう参考書の話はいい。諦める…でも、いくら努力したってあきるは妹みたいなもんだからそういう感情にはならないんだよ…」


「わかってる。べつに今はそれでいい。でもそんなのわたしが諦める理由にはならないもん。」


「…」


何もいい返せなかった。

この意思の強さは純粋に羨ましかった。

眩しさに耐えきれず、俺は無理やり話題を変えた。


「そういや昼間の告白見ちゃったんだけどさ、もうちょい振り方を考えてやれよ…好きな相手に振られるってけっこう辛いんだぞ。」


「わたしに彼氏ができるか心配した?」


「いや、べつに。」


「うがー!」


「いちいちタックルしてくんな!」


ホールドされる前に引き剥がし、少し距離を取った。


「ん?でもなんで好きな人に振られるのが辛いって龍司がわかるの?」


「え?」


「え?」


やばい、地雷を踏んだっぽい…


「そ、そりゃあ普通はそうだろ?考えれば誰にだってわかるじゃん?」


「好きな人できたの?」


「だから想像だよ。」


「誰?」


もう人の話を聞いてねぇなこいつ…


「誰?」


目が怖いんだけど…


「同じクラス?」


「いや…やべっ!」


「やっぱいるんだ?誰?」


「ってか知ってどうするんだよ?」


「教えてくれるなら龍司を取られないように努力する。教えてくれないなら調べ上げて消す。」


「消すって何を⁉︎」


「誰?」


マジすぎて怖えよ…

でもこいつの場合本当に探して見つけるだろうからな…


「…拝島桃香。」


「ま、まさかの貧乳好きだと⁉︎」


本気で驚いていた。


「胸で選んだわけじゃねぇよ!」


「クッ。あの腐れビッチが!龍司まで毒牙にかけやがって…さっきの話からして告ってフラれたようだけど未練が残る振り方をされたのだろう。そうやってキープ君をいっぱい作って調子に乗りやがって。龍司をキープ君扱いしやがったことを後悔させてやる…」


「ちょっと?ブツブツいってんの全部聞こえてるからね?」


「明日も明後日も明々後日も暇だよね?」


「脈略なさすぎだろ…」


「好きな子に振られちゃった龍司くんはクリスマスもクリスマスイヴもイヴイヴも一緒にすごす彼女がいないはずだから暇だよね?」


「暇だよ!」


「じゃあデートしよ?」


「嫌だよ。」


「デートしよ?」


…目が怖いんだけど。

女の子からデートに誘われるってこんな恐怖がともなうものなの?


「デートしてくれないと暇で暇で拝島桃香で遊ぶ計画を立てるしかなくなっちゃうな。」


恐ろしい子⁉︎


「デートしよ?」


「…はい。」

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