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初恋は終わらない  作者: 葉月二三
出会い編
5/20

1-5



武蔵に連れられ歩くこと2.3分、校舎裏の運動部用部室棟の前に到着する少し手前で止められた。

隠れるように先を見ると部室棟前には男が一人立っていた。


「お前のいってる東あきるはあの子か?」


小声で武蔵が確認をしてくるが、俺の位置からでは男しか見えなかった。


「もっと近づいても大丈夫なんじゃないかな〜」


「というかなんで武蔵は東さんがここにいるって知ってるの?」


「部活の先輩が東に告るっていってたからさ。」


貴虎と隼人もついてきていた。

貴虎が大丈夫だよ〜といいながら4人ともが隠れながら徐々に近づいていく。

ってか先輩の告白を覗きに来ていいのか?


「……付き合ってくれないか?」


距離にして5メートルほどだろうか、声が聞こえる距離まで近づくと女の顔が見えた。

…残念ながら同姓同名の別人ではなかったようだ。


「ざんね…」

「今朝鏡は見てきましたか?」


本人だといおうとしたところ、あきるの冷めた声がかぶさってきた。

先輩は予想外の返事に唖然としている。


「かりにも好きな相手に告白をするのであればまず自分を磨いてからするのが礼儀ではないのでしょうか?ただでさえ顔面偏差値低めのあなたは日々の努力が必要かと思いますが、してますか?しているのであればすいません。していてそれなら二度と私に話しかけないでください。」


「…」


ひでぇな…

先輩は予想外だったのか鯉のように口をパクパクしている。

まぁ告白した相手からこんなこといわれたらそうなるわな…


「先輩だから丁寧にいったのですが人並みの脳を持っていないようなのでハッキリいいます。」


あきるは目を1度瞑った後、射殺さんばかりに相手を睨んだ。


「消えろ。そして二度と私の前に現れるな。」


そのまま先輩は膝から崩れ落ちた。

俺たちの位置から先輩の顔は見えないが十中八九泣いているだろう。

動かないもとい動けなくなった先輩を見て、あきるはあきれたような表情になり、言葉を続けた。


「そもそも日本語が通じない方だったのですね。なら、最初に私に告白したさいの日本語は流暢に話せてましたから、これからも日本語の勉強頑張ってください。さよなら。」


そういってあきるは俺たちがいる側とは別の道から校舎の方へと歩いていった。


「あいかわらずの振り方だにゃ〜」


「だからやめた方がいいっつったのに先輩信じねぇからよ。もうすぐ大会なのに大丈夫か?」


「氷の女王ってのは学年とわず有名なのにね。恋は盲目ってやつなのかな。」


3人ともこの光景を見慣れているのかたいして驚いてはいなかった。


「で、あれが氷の女王だけど、お前の知ってる東あきるとは別人だよな?」


あらためて武蔵が確認をしてきたが、聞き方おかしくね?


「残念ながら同一人物だよ…」


中学のとき以上に酷くなってて幼馴染みとしてショックだが…

ってかその拳を握って睨むのはやめてほしい…こればっかは俺のせいじゃないし…


「よしわかった。」


そういって急に携帯を弄り始めた。

どうやら武蔵は納得してくれたようだ。

なんだかんだいっても友だちだからな。


「ナルシストに制裁あれ!」


セリフとともに俺にスマホを見せてきた。

どこかの掲示板にスレッドを立てたようだ。

スレッド名は「熊川⚫️司が氷の女王に好かれてるとほざいてる件について」となっていた。


「っておい!」


俺がふざけるなといおうとしたところ、昼休み終了のチャイムがなった。

まぁ一応名前が伏せてあるからいいかとあきらめ、4人とも教室に向かい始めた。


「それって裏掲示板かにゃ〜?」


「何それ?」


「ムサ高の誰かが作った学校内限定のサイトだよ。サイトのURLは人づてで広がってるだけなんだけど、たぶんほとんどの生徒が知ってるんじゃない?」


「俺は知らなかったが…」


「じゃあ送っとくね〜」


「熊川!もうコメントきてるぞ!」


「なんでそんなに嬉しそうなんだよ…」


あきれながら武蔵の携帯を覗き込むとそこには既に10近くコメントがされていた。


「ナルシスト乙」

「ムサ高?」

「振られたショックで狂ったかw」

「110⚫️の4バカの1人」

「狩るべき!」

「出身中学が同じらしい」

「どこ中?」

「阿っ⚫️」

「⚫️の意味ねぇw」


「スッキリした!今後嫌がらせとかあったらどんまい!」


本当にスッキリした顔で満面の笑みを浮かべた武蔵が励ましてくる。

ってかお前のせいだぞ?

こいつ本当に友だちなのか心配になってきた…

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