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初恋は終わらない  作者: 葉月二三
独りよがり編
18/20

2-8



こんな都会に神社なんてあんのかと思いつつあきるに並んで歩くこと数分、結構な人だかりとともに鳥居が見えた。

それに紛れながら入っていくと、どうやらこの神社は手水しないと入れないようだ。

本来の作法をしらないからなんか新鮮だな。

周りの人の真似をしながら手を洗ったり口をすすいだり…ヤバい…ハンカチなんて持ってきてねぇし。

そんな心配は必要なかったようで、巫女さんがペーパータオルをくれた。

いつも初詣は祭り感覚で行っていたから本当に新鮮だ。


中はそんなに混んでいなかったからすぐにお祈りも終わった。

さっきから一言もあきるとは喋っていない。

別に怒っているとかではなく、外でのあきるは必要なければ話さないだけだ。


「そろそろ帰るか?」


「御守りが欲しいけどあの人だかりにはちょっと入りたくない…この振袖レンタルだから…」


そういいながらチラチラ俺を見てくる。

今日のあきるはなんかおかしいぞ?

いつもなら普通に買ってきてっていうだろうに。


「いいよ。買ってきてやるから、どれ?」


「あれ。番号いえば大丈夫だから。」


「あいよ。」


あきるにいわれた番号を伝え御守りをもらい、700円を納めた。


「ほらよ。」


あきるに御守りを渡してお金を請求しようと…


「ありがとう!」


まさかの満面の笑顔でお礼をいわれてしまったものだから、お金をもらおうと出した手をポケットにしまってしまった。


「あっ、お金を払わなきゃ。」


変なところで真面目なあきるは巾着から財布を出そうとしていた。


「別にいいよ。俺からのお年玉だ。」


外であきるがあんな笑顔を見せるくらいになれたことがなんだか嬉しかったから、ガラにもないことをいってしまった。


「え?…ありがとう!」


ポカンと口を開けて驚いていたあきるだったが、また笑顔になった。

よっぽど欲しかったんだろうな。

ってかここってなんのご利益のある神社なんだろう?


…まぁいっか。


笑顔な自分に気づいたあきるは表情を戻して俺を見た。

そんな無理に表情戻す必要はないと思うけどな…


「お礼ってわけじゃないけど、一つだけ…」




「たぶん拝島桃香は脈ありだよ。」




「…え?」

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