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初恋は終わらない  作者: 葉月二三
独りよがり編
17/20

2-7



新年早々、俺はなぜか飯田橋駅に来ている。


元旦は家に親戚が来るやら妹が1人になっちゃうからやらで12時前には3人とも帰り、俺は14時の待ち合わせということで飯田橋駅に来ていた。


14時より前に着く電車は俺が乗ってきた電車が最後のはずだから、まだきてないってことは遅刻か?

まだ5分前ではあるけど、あいつにしては珍しいってか誘った張本人が遅刻とか帰っていいのか?


あいつというのは東あきるのことだ。

昨晩でいいのか?貴虎とコンビニに行った帰りに俺の家の前で待ち伏せしてたあきるが、


「今日の14時に飯田橋駅に来て。」


とだけいって帰っていった。


そして今に至る。


あと2分…14時過ぎたら帰るか。

そう思いながら駅の方を見ていたら、不意にいい匂いがした。


どこか懐かしいようでいて悲しくなる香り…好きな子と同じ香りがした。


もしかしてと思い香りがする方を向くと、右隣にあきるが立っていた。


今日は何の用事で呼び出されたのかわからなかったが、あきるの格好を見て初詣だろうことはわかった。

何せわざわざ振袖を着ているのだから。

元は淡いピンクなのだろうが、その7割を花が埋め尽くしているというなかなか派手な振袖だ。

振袖自体が基本華やかなものなのだろうが、いかにも女子高生が好んで着て「私可愛くない?」とか思ってそうな感じである。

あきるがこういった色合いの服を着るのは珍しいと思ったが、髪も1度巻いてからアップにしていたり、振袖なのに高さのない草履を履いていたり、この香りの香水をつけていたり、極めつきはこのドヤ顔…絶対誰かを意識してやがる…

だが、いくら化粧をしたところでどちらかというと綺麗系になってしまうあきるには可愛くなりきることは難しいだろう。

それに決定的に違うパーツがあるしな。

そう思っていたせいか自然と目線があきるの胸にいき…


「え?あきるの胸ってパットだったの?」


あきるのドヤ顔が引きつるとほぼ同時に右足に表現し難いほどの激痛が走った。

痛みの原因を見るとあきるの左足が俺の右足にめり込んでいた…


「痛えよ!バカやろー!!!」


「馬鹿はお前だー!振袖着てきた女の子を見た第一声でそんなこというやつがいるか!」


え?なんで俺が怒られてんの?

いつもは自分から見せつけたりしてくるくせになんで?


「これは形が崩れない程度にサラシを巻いているだけだから。」


だって貧乳が好きなんでしょ?と顔をそらしてあきるがいう。


「それにかんしてはこの前否定しただろ?別に胸で選んだわけじゃないって!」


なんで必死なんだ俺?


「でも見た目で好きになったんでしょ?」


拝島桃香のことだろう。

だから否定ができない…


「それならこれで私を好きになる?」


そういって上目遣いで俺を見る。

やっぱり拝島桃香を意識したコーディネートだったのだろう。

それでいて本来タイプの違う自分に似合うコーディネートができるのだから、やっぱりあきるはすげぇよ。


「どんなに拝島に似せたってあきるはあきるだ。良くも悪くもな。だから恋愛感情は持てねぇよ。」


「どうせ私は可愛くないですよ。」


少しふてくされたような表情を見せたかと思うとほぼ無表情になった。


「別に今日は少しでも楽しんでもらえたらいいかな程度に思ってただけだし。」


…その方が私も楽しいし。


ギリギリ聞こえる程度の声量で付け足されたが、表情がほぼ無表情なため聞き間違いだったかもしれない。

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