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―空の防人―

大日本帝國空軍 帝都防空大隊……空軍創立当初から置かれた空軍初の大隊。

 空からの脅威に対して、最新鋭の機材と迎撃に特化した最高練度の技術技量を持ったパイロット等から構成されている。

 開戦初頭までは、近衛航空大隊等と陰口を叩かれていたようだ。

 現在、二式単座戦闘機鍾馗一型乙を最優先に転換配置を行っている。

「鈴谷より入電! 敵巡洋艦沈黙!」

 通信士の報告が入ってくる。

「倍の巡洋艦に艦爆隊、相手するには厳しかったな!」

「だが、そのヤンキー魂は称賛しなければならんな。」

「ここは、鈴谷と熊野に任せて我々は敵空母を叩いておきましょう。」

 源三郎がマイクを取る。

「第二次艦爆隊! 発艦始め!!」

 暫くして、大鳳から12機、翔鶴と瑞鶴より各6機の彗星24機が飛び立つ。

 まだ新米が多い翔鶴と瑞鶴にはまだ荷が重く、訓練をそれなりに積んでいたベテランに絞ったためだ。

「まだ、おいそれと新米を送るわけにはいかんの。」

「負担はかけてしまいますけどね。」


 一方、エンタープライズ旗艦の任務部隊上空では、紫電改とF4Fの空戦が繰り広げられていた。

 だが、墜ちていくのはF4Fばかりだった。

「くっ、あの噂は本当のようだな!」

 噂とは、グラマンを凌駕する日本の艦上戦闘機の存在だ。

 最初は半信半疑だったが、一目見ると確かにそれが頷ける。

「ハルゼー中将! ホーネット上空に急降下!!」

「何!?」

 ナッシュビルに集中したかと思われた彗星が、まだ1/3も残っているB‐25の載るホーネットに急降下する。

「敵機投弾!」

「回避しろ!!」

 叫ぶハルゼー。回避運動をするホーネット。だが……

「ホーネット、被弾!」

「くそ!」

 被弾して飛行甲板から火と煙が上がる。

「まだ被害は飛行甲板だけのようです。」

「だが、これでB‐25が発艦出来なくなったぞ。」

 しかし、そのまま放って置くことなどなく……


 筑波陸海空軍共同基地

 ここでは、帝都防空大隊第一三戦闘中隊が〝陸空軍の戦場連携訓練〟と称した、空軍所属の鍾馗と陸軍所属の対地攻撃機が無線誘導と連絡を取り合って訓練をする予定だった。

「まさか実戦になるなんて……」

 中隊長の任を負う千里は、鍾馗に乗り込んで筑波基地を飛び立つ。

 勿論、模擬弾ではなくて実弾を装填しての〝初実戦〟である。

『こちら筑波基地管制官、一三中隊応答せよ。』

 インカムに管制官からの無線が流れる。

「こちら一三中隊の朝倉です。どうぞ。」

『現在、敵爆撃機は帝都に向かい進行中。なお、海軍からの通報では全機発艦は阻止。』

 全機発艦阻止に小さく息を吐く。

『海軍によると、敵は空母から双発爆撃機を飛ばしているとして、敵空母と他艦艇の阻止に回ると言ってきている。』

「では、我々は敵爆撃機の迎撃を優先ですか?」

『勿論だ。あと、針路上に海軍の二式大艇が対潜哨戒に当たっているが、電探装備の為ある程度情報提供をしてくれるそうだ。』

「了解。」

『では、健闘を祈る以上。』

 無線が切れた。

「よし。全機に告ぐ! 敵は本土を爆撃しようとする不届き者だ! 一機たりとも入れるな!!」

『『『了解ッ!!』』』

 士気、溢れる。

 千里率いる帝都防空大隊第一三戦闘中隊は、B‐25を求めて速度を上げて前進する。


 一方、任務部隊であるが大変なことになっていた。

「艦隊を反転させるぞ! ホーネットにも伝えろ!!」

 止む無く引き返すことを決意したが……

「ホーネット、また急降下!!」

「何!?」

 再びホーネットを狙って彗星が急降下する。

〈ズドォオオオン!!〉

 ホーネット、再び被弾する。

「戦闘機隊はどうした!!」

「まだ敵戦闘機隊と交戦中で、我が方が数が少なくなってきてます!!」

「クソッタレ!!」

〈ドォオオオン!!〉

 その時、ホーネットが大爆発を起こした。

「どうなっているんだ!?」

 命中した爆弾の数は一つだけと思われたが、実はもう一つあって偶然にも同じタイミングで着弾したのだ。

 なお、その一発は遅発信管が取り付けられていた。

 その後も、ホーネットは弾薬庫内で誘爆を繰り返しているのか、爆発が連続している。


 そして、任務部隊の決定的な作戦失敗が目に見える形になった頃、千里率いる第一三戦闘中隊はB‐25の迎撃を始めようとした。

 途中、海軍の二式大艇から提供された情報を基に針路変更や機数確認などを行っていた。

「よし、間違いない。敵よ。」

 無線を入れて、乙女が叫ぶ。

「全機迎撃せよ! 海面まで突っ込むんじゃないわよ! 突撃!!」

 千里を先頭としてB‐25の背後上空から襲う。

「喰らえ!!」

 機首の12.7ミリ機銃から撃ち出された銃弾がB‐25を襲う。

「やった!?」

 迎撃のセオリー、一撃離脱を行って再び上昇しつつ再度迎撃を伺っていた。

 その時、狙い撃ちしたB‐25が火を吹いて徐々に高度を落としていった。

 他の鍾馗の戦況も同じぐらいだった。だが……

『隊長! 隊長の近く、一機だけ残っております!!』

「任せなさい!!」

 無線の知らせを受けて急行する。

「どうやら、奇跡的に火を消せたようね。」

 エンジンに穴が空きつつも、それでもなお飛んでいた。

「ちょっと贅沢にしちゃおうかしら。」

 翼内機銃の安全装置を外す。

「墜ちなさい!!」

 短く連射する。すると、命中したのか今度は機体がバラバラとなって墜ちていく。

 実は、隊長機だけだが試験的に二〇ミリ機銃を内蔵していた。

「全機に告ぐ! 集合、無事を確認次第帰投する!」

『『『了解ッ!』』』

 暫くして集合し、全機の無事と敵の殲滅を確認して帰投した。


 空母エンタープライズ 艦橋

「……自沈するまでもなく、別働隊に補足されたか。」

 ハルゼーは落胆を隠せなかった。

 ハルゼーが指揮した任務部隊の姿は、既に変わっていた。

 ホーネットは大破炎上後、傾斜が酷く総員退艦。

 ナッシュビルは大破漂流。

 ノーザンプトン撃沈の他駆逐艦数隻に被害が出ていた。


 そのあと、ホーネットはそのまま沈没してエンタープライズは乗組員をそのまま捕虜として、日本海軍の別働隊(第一三偵察戦隊)監視下で横須賀に誘導された。

 その他は、ハワイ・パールハーバーへ退却する。

作者からの御詫びとこれから

 暫くの更新が無く、申し訳ございません。現在、仕事と同人誌制作の関係上、こちらのオリジナル小説の更新がストップしている状況です。


 来年の秋頃まで予定が埋まっておりますので、また次話の更新が長期的に停滞します。


 でも完成を目指す為、ちょくちょくではありますが進めていきます。

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