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青月の薔薇  作者: あをに
7/9

黒薔薇

「っはっ!」

気がついたらうたた寝をしていたようだ。

なんか、夢を見た気がするが、思い出せない。

あ、そうだ。エーベルが仕事に行った後、おもむろに図書室に来たんだっけ。

文献をあさっていたらそのまま寝てしまったと。

えーっと...どこまで読んだっけか……

『ヴァンパイアキラーの末路』

そうそう、ここからだ。

『ヴァンパイアキラーは、暗闇の最強と言われる吸血鬼と対抗できるだけあり、呪縛ともいえよう強い魔力を生まれつき持っている。さらに、その力を保つには、多大なる生贄が必要だったといわれる説もある。現在、ヴァンパイアキラーを受け継ぐ家は少なくなり、はっきりとは確認されていないが、一、二家ぐらいではないかと言われている__』

とりあえず、あいつが言っていた通りだな……

生贄、それは知らなかった。

あいつも、それを実際、見たことがあるのかもしれないな。

あいつの目には、光が宿っていない..……気が...する。

少なくても、俺が出会った人間のほとんどの目が、何かしらの光を宿していた。

暗殺される奴らは、特に。

宿ってなかったのは、ユリアと、エーベル……だけだった、と、思う。

まて、何故あいつは殺されようとしているのだろう。

ユリアは一体、誰からあんな依頼を...?

そういえば、ユリアに指令を出してるボス?のこと、前聞いたことあったっけな……


***


「なあ、ユリアはどうやって依頼を受けているんだ?」

「ん?あ、そっか、言ってなかったね。私達には、ボス…みたいな方がいるのよ。」

「ボス?」

「まあ、雇い主ね。昔、家柄窮屈だった私を、外の世界へ連れ出してくれた、私の恩人。」

「そうなのか。で、どんな奴なんだ。」

「何考えてるか分からない、恐ろしくも取れる笑顔で常に笑っている人……かな?」

「すごい言い様だな。ユリア、もしかしてお前、そいつの事、嫌いか?」

「ふふっ、そんなことはないけど。」

「俺もいつか会うことになるのか?」

「さあ……。あの人気まぐれだから。運がよければ、ね。」


***


そいつからの指令って訳か。

何を考えてるか分からない、恐ろしくも取れる笑顔で常に笑っている人……

まあいいや。


「ただいま、ああ、疲れたよ。」

エーベルのおでましだ。

「あ、おかえりなさいです。」

「あ、そうだ、レオン、いい加減、そんな丁寧すぎる敬語は止めよう?あと、私のことは、エーベルでいいんだよ。むしろそう呼んでくれ。」

「は、はい。……え、エーベル...さん。」

「はは、まだ慣れないか。」

「はい……」

「まあいい。じきに慣れてくれ。さあ、夕飯にしようか。」


***


「……ユリア、あいつはうまくやっているのか?」

「ええ。うまく騙せていると思うけど。あいつは優秀だから。」

「そうか。……ッククッ」

「どうしたの?やけに楽しそうね。」

「そりゃあ、楽しいさ!!もうすぐ満月、僕もあいつに会いに行けるのだからね!!」

「……準備は順調です。しばしお待ちを。」

「ああ。」


次の満月で、あの日からもう12年になるんだな。

お前はいつもゾクゾクする顔をしていたよ。

それなのに__何故だ?

お前は『失う』と、そんなにも変わってしまった。

あの頃のお前を、どうしようもなく愛していた。

お前が僕を忘れてしまっていても。

無理矢理思い出させる。そして、真実を告げ、絶望させる。

そうしたらもう、お前は僕のものだよ。

なあ?__エーベル。


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