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青月の薔薇  作者: あをに
4/9

置手紙

「…ん、ん?」

眩しい光に目が覚めた。

今…何時だ?

「ふわあっ…んー10時…ちょっと寝すぎたか…なんか、妙にベットがふかふか…ってここどこだっ!!」

勢いよく起きたものの、状況はよく呑み込めなかった。

ベッドの横の机には、黒い何かが書かれた紙があった。

あれ、俺何してたんだっけ。

確か…標的に会えて…

ここあいつの家か!!なんで寝てるんだ…

たしか、あの月の部屋で夕食を食べて…

ま、まさか、あの時寝ちまったのか、俺…

とにかく、奴がいないか確かめないと。

キイィ__

ドアを開けると、さっきの眩しすぎる光は感じなくなった。

__昼間も薄暗いのか、この屋敷は。

普通、こんなに暗いもんか??

長すぎる廊下を、あてもなく歩く。

案の定、何処だか分からなくなった。

「__やらかしたな…」

「わっ」

「ギニャッ!?」

いきなりの後ろからの声に、変な声が出てしまった。

「あはは、すまない、驚いたか?おはよう。」

「…はい。おはよう…ございます…」

「本当に心底から驚いた顔をしているね。ベッドの横の机の上の置手紙に、起きたら右に2個進んだ部屋に来いと書いておいたと思うんだけどな。」

「っ…」

俺の顔を見て、納得したように奴はこう言った。

「…ああ、すまない。とにかく朝はいつもその部屋に来てくれ。…ん?『いつも』に引っかかっているのかい?君、行く場所がないんだろう?落ち着くまでここで暮らせばいい。」

「そ、そんな!!こんなによくしてもらってるのに、悪いですっ…」

「なに、どうせ部屋なんて有り余ってる。家の住人なんて、私と、執事のドミニクだけだ。むしろ住んでくれた方が、私は嬉しい。」

「そんな…じゃあせめて、何かさせて下さい!掃除とか、そんなのしか出来ませんが…」

「あはは、じゃあ、家事は少しお願いしようか。」

「はいっ!!」

「よし、決まりだ。じゃあ私は朝食の支度をしてくる。ここにいてくれ。」

「あっ、何か手伝いをっ」

「いいや、今は構わないよ。」

「そ、そうですか…」


奴が部屋を去ると、俺はゆっくり椅子に腰掛けた。

さっき、俺が手紙のことを言われて黙ったとき。

あいつは何も言わなかった。

__そう。俺は読み書きができない。

教育なんて、受けたことはない。

これまでの暗殺は、体で、ものを言わしてきた。

初めて、俺宛の手紙をもらって、改めて、俺は世間知らずのガキと思った。

せっかくだから、読み書き教えてもらおうか。

…いや、よそう。こんどユリアにでも教えて貰えばいい。あいつが出来れば、の話だが。


しばらくして、奴が戻ってきて、朝食を食べる為に移動した。

昨日、夕食を食べたところと同じだか、やはり明るいと、改めて広く感じた。

朝食の時に、執事のドミニクさんを紹介された。

昨日はたまたま、いなかったという。

優しそうなおじいさんだ。


朝食の後、俺はふいに奴に話しかけられた。

「そういえば、この屋敷を案内していなかったね。今日は仕事もほぼないし、私が案内しよう。」

「あ、ありがとうございます…」


「…ここがまあ、客室かな?まあこれだけあるから、好きな所にいてもらったらいい。」

…客室、多すぎだろ。ざらに数十部屋あるぜ…

そのまま、色んな所を案内してもらい、最後に大きな扉の前に来た。

「…あの、ここは…?」

「ここはね…」

にこにこしながら奴が扉を開けた。

ギイイイっという音と共に扉が開く。

中は薄暗かった。

奴は中に入り、カーテンを開けた。

ザァァァっ…!!

「!!」

そこには、信じられないほどの量の本がある、図書室だった。

「…うわあっ!!すっげぇっ…!!…あっ」

ヤベェ、口調が…

「はは、すごいだろう??おそらく数十カ国の本があるぞ。」

「す、すごいです…!」

「ああ。ここは広いから、自由に見るといい。」

そう言って奴は図書室の奥に消えた。


本当に莫大な量の本があったが、奥に進むうちに、ある共通点のある本ばかりになっていった。


「『Vampir』__吸血鬼についての本…?」

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