堂背の恋
「美味かったな―…」
紅の手料理に感動した後、ゴロゴロして
「あっ…そう言えば堂背は何できたんだ?」
と言うことで、堂背から話を聞くことにした
「堂背?」
「…何?」
「いや、0時も過ぎたんで話してくれないかと思って」
堂背は降りてきて俺たちの前に座ると
「ああ…あれは何ヶ月前だっけな…」
語りだした
ここからは堂背視点
俺は道を歩いていたんだ
いや、散歩で
「あーあ、何か面白いことないかな―!!」
…そこで道端で女の子が絡まれていたんだ
「ゲッヘッヘ
俺たちと遊ばない?」
「や、やめてください!」
「ウヒョヒョ
良いじゃんかよ―」
「ひ、人を呼びますよ」
「ギョヘヘ
俺たちは有名な悪辣トリオだぜ?
悪の中の悪な俺たちに刃向かう奴なんざいねーよ」
「堂背…一言突っ込ましてくれ」
「なんだ?」
「そいつらの笑い方がウザすぎんだよ!!」
「確かに気持ち悪いです…」
「紅もそう思うか?」
「はい…でも、そんな人がいたら買い物とかが心配です…」
「…紅
明日携帯を買ってきてやる
何かあったら呼んでくれ
すぐに駆けつけてやる」
「天川さん…」
「あのー…次にいって良い?」
あっ、堂背の事忘れてた
「じゃあ次に」
「うん…で、その後…」
「おい!」
まあ、困っている人は助ける主義なんで声をかけたんだよ
「あ?」
「何だテメー?」
「殺されてえか?」
「その子嫌がってるだろ!
やめてやれよ!」
「はぁ?俺たちを誰だと思ってんだ?」
「…笑い方のキモい三人組」
「…てめぇ!ふざけんじゃねぇぞ!」
「俺たちをバカにして刃向かったことを後悔させてやる!」
「…本音なんだけど」
まあ、そのキモい三人組が殴りかかって来たんだけどな
「ほいっ」
「ひょぐぇ!」
殴りかかってきたウヒョヒョ笑いの奴にカウンターを決め、
「どらっ!」
「ゲヘッ!?」
ゲッヘッヘッ笑いの奴の脳天にドロップキックを食らわせて
「うらっ!」
「ギョヘッ!?」
ギョヘヘ笑いの奴にヘッドバットをかましたんだよ
「お、覚えてやがれ!!」
まあ、そんな雑魚レベル百な台詞を残してキモい三人組は退散したんだ
「あ、あの!
ありがとうございました!!」
「ああ、大丈夫だった?」
「は、はい!」
「よかったよかった」
まあ、それで帰ろうとしたんだけど
「あ、あの!!」
「何?」
「お、お礼させてもらえませんか?」
「もちろん!!」
「堂背…」
俺は本当にこれだけは言いたい
「少しは遠慮しろ!!」
もちろん!ってどんだけ遠慮がねえんだよ!
「人に頼れる奴が…なんだっけ?」
「んなこと知るかぁぁぁ!!
なんかカッコいいこと言おうとして失敗してんじゃねえ!」
もの凄く痛くてカッコ悪い
「もう次に行ってくれ!」
「ああ、俺はお礼してくれるって言うからついていったんだ…」
「あの…」
お礼に近くのレストランみたいなところに連れていってもらって、甘い物を食べていたんだ
「ん?なに?」
「お、お名前を…教えてもらえませんか?」
「堂背次々だけど?」
「堂背さん…本当にありがとうございます」
「いやいや、困ってたらお互い様だし」
まあ、そんな感じで雑談をしていたんだ
「堂背さんはどんなお仕事なんですか?」
「ブラックリングっていう会社で…まあいろいろと」
「そうなんですか」
ちゃららら、ちゃららら
「おっ、携帯か」
まあ内容は仕事に出てくれって奴だったんで
「ごめんな、仕事が入ったんで今日はこれで」
「あ…あの!」
「ん?」
「わ、私は!西園司遙です!」
「ん―…わかった、じゃあね、遥ちゃん」
「は、はい!さようなら!」
「…終わった?」
町内会に追いかけられている理由が一つとして分からない
「いや…問題はその後なんだ…」
それから数日たって、商店街に買い物に行ったんだ…
花屋で…
「すいませ―ん」
「堂背!
死ね!!」
「どわぁ!!」
なんか牙とか生えた草が襲いかかってきたんで急いで逃げたんだ
薬局で…
「うわ…噛まれてる…すいませ―ん
カットバンと消毒液を…」
「堂背死ね!!」
「うぎゃあ!!」
怪しい液体をかけられかけたんでかわしたら
ジュウウウウ!!
…かかった床が溶けたんだ…
命からがら逃げ出したよ…
商店街を歩くだけで
「堂背死ね!!」
「堂背くたばれや!!」
「堂背シニナサーイ」
…なぜか襲撃されるんだ
「…で、だんだんエスカレートしていって俺を捜し出し始めたんだ…」
堂背…さすがに可哀想と思う
「で、なんでそんなことになったんだ?」
「それはこれだ…」
出されたのは一枚のポスター
『堂背次々と言う男性を見つけたらこちらに連絡をください
西園司遥』
「…探されてるんだ」
まあ、また会いたいって言ってたしな
「下を見てくれ…」
『我らがアイドル遥ちゃんをたぶらかす堂背を抹殺せよ
町内会長』
…嫌な町内会だな
「遥ちゃんに会えるんなら会いたいけどな…
もう一つ重大なことがあるんだ」
「何だ?」
「遥ちゃん…今年で14歳なんだ…」
………
「堂背」
たった一言
「警察に…いこうな?」
「いやいやいやいや!!
まだ何にもしてない!」
「絶対に何かを起こすだろ?
だから…警察にいこうな?」
「く、紅ちゃんもなんかいって!!」
「堂背さん…」
紅からたった一言
「面会…行きますからね?」
「えぇぇぇ!!
味方ゼロ!?」
「さあ…警察だ」
「いやだぁぁぁ!!」
「まあ冗談はおいといて…」
「冗談だったのか…」
さっきのドタバタは疲れた
なので早々に解決策を話す
「西園司さんに直接会えばいいんじゃねえか?」
「はっ!その手があったか!」
バカだ
「でもドコにいるかしらねぇ!」
さらにバカだ
「まあ西園司なんて名字は珍しいんだし…ん?
西園司…?」
なんかどこかで聞いたことがあるような…
「…あっ!
まさか西園司グループか!?」
西園司
一言で言うと金持ち
経済の中核を握るとてつもない所だ
なぜ知っているのかと言うと、かなり昔、母さんの仕事についていった時に護衛対象として紹介されたからだ
普通に厳しそうなオッサンだったような…
まあ、十年以上前だからだいぶ記憶は無くなってるからな
「多分場所は分かるぞ
ちょっと待ってろ」
そして母さんに連絡をとることにした
母さんに連絡をとるとならばと場所を指定された
どうやら西園司さんも呼ぶらしい
「つーことで堂背、準備はいいか?」
「準備?何かいるのか?」
「バカ!相手は西園司だぞ!?
少しはきちんとした格好をしろ!」
「いや、俺はこのままで良い
ありのままの俺だ」
…まあ、確かに変になれないことをするよりはありのままがいいが、堂背の場合は…
「まあいいか」
堂背はありのままでもダメだがよく考えたらきちんとしてもダメだった
しかし、堂背にも春が来たな…
「堂背は今まで恵まれてなかったからな
たまには良いだろ」
「堂背さん!!」
どうやら遥ちゃんが到着したようだ
…可愛い
絵に描いたような美少女だな
「…ん?」
ブロロ―
キキー!
ガチャ
「きゃあ!」
ガチャ
ブロロ―…
………
「遥ちゃんが誘拐された―!?」
何てことだよ
いきなり大ピンチじゃねえか!
「…あれ?堂背は?」
堂背は近くにあったバイクに跨っていた
そして…
「待ちやがれ―!!」
……
行ってしまった
つーか…バイク盗んだ…
それに…あいつ免許無いんじゃ…?
私は遥です
今日は堂背さんに会える寸前だったのに…
お父様が最近、身の代金目的の誘拐が頻発しているから気をつけなさいって言っていたのに…
しばらくするとどこかの工場に着いた
そこで無理矢理車から出されて、椅子に座らされ、縛り付けられた
「…西園司にいくら請求する?」
「向こうは大富豪だ…
億なら楽に出すだろう」
「はっ!豪勢なこった!
なら、毟り取れるだけ毟り取るか?」
誘拐犯さんが話をしている間に逃げようとするけれど、しっかりと縛っていて動けない
「西園司の小娘だが…多少傷物になっても構わないだろうな」
「好きにすればいいだろ?
何せ止める奴はいねえんだから」
「へへへ…」
誘拐犯さんが近くに寄ってくる
…堂背さん…!!
「待てやそこぉぉぉ!!」
「堂背さん!?」
バイクの音がして堂背さんの声が聞こえた
「あれ?ブレーキって…どわぁ!」
ガッシャーン
「堂背さん!?」
バイクが止まらず何か大変なことに
「いてててて…
遥ちゃん!大丈夫か!?」
「は、はい!」
答えると堂背さんは犯人をみて
「てめぇら…覚悟しろぉ!!」
堂背さんが跳び蹴りをしていきなりの登場で動揺していた犯人さんに当たって飛んでいった
「てめぇ!」
殴りかかってきたけれど堂背さんはかわしてお腹を殴り、犯人さんは崩れ落ちた
「遥ちゃん!
大丈夫か!?」
そう言うと堂背さんは縄を解いてくれた
「あ、ありがとうございます!」
「いいよ、俺が助けたかっただけだし」
…私のためにここまでしてくれるなんて…
…決めた!
「堂背さん…私…」
「やってくれたな…」
最初に飛んでいった犯人さんが起き上がってこちらを見ている
その手には
「け、拳銃…!」
「動くなよ!」
そう言うと銃を構える
「やってくれたな…!」
そう言うと拳銃を私に向ける
「てめぇの大切なそこの小娘を殺してやるよ!!」
そう言うと引き金を引く…
だけど…
「遥ちゃん!」
堂背さんはそれよりも速く私の前に立ちはだかり
パンッ!
「…堂背さぁぁぁん!!」
「堂背!!」
なんとか車を使い、追いついた
そこには
「堂背さん!死んじゃやだ!」
堂背が血を流し倒れている
「大丈夫だ…
すぐに同じところに送ってやるよ」
拳銃を構え遥ちゃんを狙う男
すぐさま男に駆けより拳銃を弾き飛ばす
「なっ!?」
そしてすかさず顎に打ち込んで気絶させた
「堂背!」
堂背を見てみると背中に撃たれた傷がある
「これは…」
心臓の近くを撃たれてる
もしかしたら心臓に当たっているかもしれない…
それに貫通もしていない
中に銃弾が残ったままだ
「ヤバいな…早く治療しないと」
泣いている遥ちゃんを落ち着けて白河さんに連絡を取った
「………」
白河さんがきて、応急処置をした後、白河さんの知り合いの病院に連れていった
遥ちゃんは堂背が手術室に入ってから七時間…ひたすらに堂背の無事を祈っていた
「…堂背さん…」
手術室のランプが消えた
白河さんが出てくると遥ちゃんは駆けより
「堂背さんは!?」
「堂背くんは危なかったわ
だけど命に別状はもう無いわ」
安堵の空気が流れる
「でも…」
白河さんは続ける
「意識が戻らないの
このまま目覚めないなんて事もあるかも…」
「……」
…堂背が…
病室にはいると堂背が寝ていた
いつもバカばっかりやっていた元気な堂背は動かない
俺も紅も静かになる
「…堂背」
呼び掛けても動かない
まるで死んでしまったかのように…
「このままずっと寝たままの可能性もあるわ」
白河さんが言う
「堂背…」
「私に…話させてください」
遥ちゃんがそう言った
「…ああ」
脇によけ、紅と並ぶ
「…堂背さん」
遥ちゃんが呼びかける
「私…堂背さんが不良から助けてくれたとき…とても嬉しかったです
私は堂背さんをずっと探していました
助けてもらってからお父様から婚約者の紹介をされたんです
私は…堂背さんと最後に会いたくて探していたんです
でも…今日、私は助けに来てくれた堂背さんを見て心に決めたんです
堂背さん…私と、結婚してほしいです
だから…起きてください…!」
そう言って涙をこぼした遥ちゃん
「……分かった
…結婚…しよう」
!!
「堂背さん!?」
堂背が…意識を取り戻した!!
「遥ちゃん…俺が元気に…なったら…結婚しよう」
「…はい!」
涙をこぼしながら答える遥ちゃん
白河さんも涙を浮かべている
「…あっ…!」
いきなり、涙を浮かべた紅が驚いた声を上げた
「どうしたの!?」
「いえ…なんでもないです!朔君!」
そう言うと病室から一目散にでていった紅
…あれ?
何か紅に違和感を感じながらも、俺は堂背と遥ちゃんを心から祝福した
最終回に向けてのフラグ立てを開始しました!
長かった秘密結社へようこそも最後が見えてきました
ここまで続いたのは皆さんのおかげです!
最終回までこれからも是非見て下さい!
新作のマジモンパニックを連載し始めました
学園コメディー物です!
是非ともこちらも見てください!