過去の追憶
今回でシリアスは終わりです!!
最終話までコメディ一直線で突っ走っていきます!!
「うっ…」
「目が覚めた?」
白河さんがそう聞いた
…そうか…俺…気絶したんだ
…ドコにいるか分からない紅が赤騎士だった…衝撃的すぎて意識が保てなかった
「天川さん」
久々に斉藤君がやって来た
「赤騎士さんが心配していましたよ
天川さんが赤騎士さんを見て倒れたものだから赤騎士さんが驚いて」
「…ごめん…心配かけた」
「い、いえ!別に大丈夫ですよ!?」
よほど悲痛な顔をしていたのだろう
斉藤君が慌て慰める
「天川君
赤騎士ちゃんならエリスちゃんに体を調べてもらってるわ
だから会うのは後になるわね」
「…そうですか」
…色々聞きたかったんだけどな
「天川君
ちょっと聞きたいんだけど…」
…白河さんの聞きたいこと…紅との事だろうな
「赤騎士ちゃんとの話聞かせてくれない?」
「…ええ、いいですよ
あれは五年前ですかね…」
俺が中学生の頃…園音と地元の不良グループが喧嘩したんですよ…
で、園音に勝てないと悟った不良グループが園音の知り合いを襲撃し始めたんです
で、俺も何十人にリンチされて入院したんですよ
まあその後園音は不良グループ全員を一年以上病院送りにしましたけれどね…
「園音さん…昔から無茶苦茶だったんですね…」
で…入院しているとき、暇でしょうがないんで散歩してたんですよ…で、中庭に行ったらあの人が…紅が居たんですよ
その人は見た感じとても綺麗で儚い印象を与える人だったんです
花壇を見てるのかと思って聞いてみたんです
「…花壇を見てんの?」
「…あそこにある花を見てたの」
その花って言うのは中庭の花壇に生えている花の中でも目立たない花で…
「…他にも綺麗な花があるのに…何であの花なの?」
「あたしはあの花に憧れるの…目立たなくても強く生きられるあの花に」
「…そうなんだ」
思えばあの時から紅の事が気になってたんでしょうね
いつもお昼ごろに花壇の前で花を見ている紅に会いに行くのが日課だったんですよ
「あなたも変な人ね」
「…俺が?」
「だってあたしに毎日のように会いに来るから」
「変かな?」
「とっても変…でも…嫌ではないわ」
そう言って微笑んだ紅のことが忘れられなかったんです
それからも毎日会いに行って…いろんな話をしたんですよ
主に園音の話ですが…
「…で、校舎を爆発させて校長に無理矢理契約したんだよ」
「ふふふ…
園音さんって本当に凄いね」
「俺を巻き込まなければ良いんだけどな…」
いつも笑っていてくれてそれを見る度に俺も嬉しくなってくる
…だけどある日
「ねえ…朔君」
「…何?」
「あたしね…このままだと後二ヶ月しか生きられないの」
「えっ…!?」
衝撃でしたよ
何時までも一緒にいたいと思っていたのに…いきなりそう聞かされました
「あたしね…もともと心臓が弱くて何時まで生きられるか分からなかったの
最近は朔君のおかげで元気だったけど…
それも限界みたい」
儚く笑いながらそう言った紅に…何にも言えませんでした
自分にはなにも出来ない
そんな気持ちでいっぱいでした
「だから…もっと大きい病院に行くの
でね…元気になって朔君にまた会えたら…伝えたいことがあるの」
「伝えたいこと…?」
「…うん
伝えたいの
だから…また…会えたらいいね」
そう言って紅は…いなくなりました
それから…高校を卒業してから紅をずっと探していたんです
あの時、伝えたかったことを聞くために…
「と言うことです…」
言い終わったとき、誰も一言も話さなかった
「でも…紅はなんで俺のことを覚えていないんだ…?」
「それはだな」
エリスが扉を開いて現れた
「どうやら紅は記憶の改竄をされているようだ」
「改竄!?」
「ああ
病気を治した後、兵士として不必要な記憶を改竄したようだ」
そんな事を…
「酷い…」
「全くだ
正義のヒーローどころか悪の秘密結社だ
しかし戻す方法はある」
「本当か!?」
「ああ
天川…記憶は決してなくならない
だからお前と過ごすことで…過去の記憶が戻る可能性がある
ただ」
「ただ…?」
「いつ戻るかは分からない
もしかしたら一生思い出すこともないかもしれん」
「…構わない」
俺は…紅に思い出してもらいたい
一生かかっても良い
それが俺に出来る唯一のことだ…
「そうか…と言うことだ
紅、天川と一緒に過ごすことになるが…いいか?」
「…えっ!?」
エリスの後ろから紅が現れた
…正直めちゃくちゃ恥ずかしい
これは聞かれたらいけないだろ…
「あたしも…忘れた記憶を取り戻したい
だから…よろしくお願いします」
と、俺に頭を下げた
「…俺こそ…よろしくお願いします」
そうして俺は紅との同居が決まった
家にて
「綺麗な部屋ですね」
俺の部屋に紅がいる
捜し求めていた大切な人
大切だから…記憶を取り戻すためには何でもする…
ピンポーン
「はーい?」
誰かがきた
…誰だろう?
「よう息子、久々だな」
「…か、母さん!!??」
そこにはおそらくこの世に勝てる人のいない最強の人物
俺の母親…天川 零が立っていた
「い、いったい何の用が?」
「おう、お前の家にちょっと泊まるぞ」
…なにぃぃぃぃぃぃ!?