〇〇がやって来た(下)
後書きにお知らせがあります
「はぁー…」
本当に嫌だ…
「兄さん、しけた顔してると不幸になるから顔を見せないでよ」
…泣きたくなってきた…
なんで静を連れて行っていいんだよ…
昨日の晩
「総統!
家の妹が見学したいとか言ってんですけどダメですよね!」
「うーん
別に良いけど」
「軽っ!
いやっ!ブラックリングは秘密結社でしょうが!
一般人に見せちゃダメでしょ!!」
「その妹っていくつ?」
「…十七歳の高校生ですけど…」
「絶対連れてきてくれ!!
これは総統命令だ!
破るとクビだぞ」
ガチャン
ツーツー
そして現在
あのバカ総統…本当に死んでくれないかな…
「いやー社長さんって良い人だね!」
ちなみに総統のことは社長と言うことにしている
「あー…あんまり迷惑かけんなよ」
「分かってるよ!
いるだけで迷惑な兄さんに言われたくないし!」
…なんか死んでしまおうかな…
「へー!結構大きいね」
「総と…社長に挨拶に行くから行くぞ」
総統のいる部屋まで歩いていくと
「…堂背…!?」
なんであいつが出てくるんだよ!?
あいつが居たらろくな事にならねーのに
「よー!天川!
今日はスパルのヒーロー倒しに行く…」
グシャッバキッゴシャッ
「おい!どうしたんだ?
気分が悪い?それは大変だ!医務室に行こう!」
そう言って堂背を死角になっていて通路から見えない場所に運び放置しておいた
「すまん…また今度ジュースでも奢ってやるからな…」
「…俺の値段…安くね…?」
ゴッ
「…ふぅ
これで本当に意識を失ったな」
さて、静の所に行くか
「おまたせ」
「遅ーい!
可愛い妹を放置するなんて男の風上にも置けないよ」
「いや…可愛いってところには語弊が…」
ドボッ
…静の肘が鳩尾にクリーンヒットした
「可愛い…よね?」
その顔はまるで肉食獣のような顔だった
「…うん」
…妹に舐められてもしょうがなくなってきた…
さすがに情けなさすぎるぞ…俺…
「…じゃあ…社長に会いに行くぞ…」
「早く行こう!」
…いやマジで鳩尾がキツい…
「天川です」
「入ればいいぞ」
ガチャ
ドアを開けた先には総統と副総統が立っていた
「いらっしゃい
そっちが妹さん?」
「はい
そうですけど」
そう言うと総統は静の所に歩いていき
「お嬢さん…私と一緒にどこかお茶にゴハァァ!!」
いきなりナンパし始めた総統に俺の膝蹴りと副総統のバットが顔面に直撃した
「ごめんなさいね…
このバカは気にしなくて良いから」
「は、はぁ…」
さすがに静も面食らっている
いきなり会った最高責任者が殴り倒されたら誰だって面食らうよな…
「…ここってどんな会社なんですか?」
静はそんな疑問をぶつける
…まあ社長を殴る会社なんて気になるからな
「悪の秘密結社よ」
「うぉぉぉぉい!!」
この人あっさり言っちゃったよ!!
「あ、悪の秘密結社…?」
静…混乱してるんだろうな…
「…素敵!!!」
…はい?
「悪の秘密結社結社!?
凄い素敵だ!!
卒業したら就職したいよ!!」
「ふふふ
あなたみたいな将来有望な子は大歓迎よ」
「…ははは…」
そうだったな…静も頭のネジが外れてんだったな…
「兄さん!
こんな素敵な会社見ないと損だよ
案内して!!」
…もうどうにでもなればいいや…
「…ここが戦闘部隊ね」
…静はキラキラと子供のように目を輝かせている
「おーい!
静ちゃーん!!」
いっつもテンションがたけーな
「園姉さん!!
あたしもやってみたい!」
いきなりだなオイ
「いいよっ!!
誰かこの子とやるー?」
軽いな!
ノリが!
「俺が!!」
「いやっ!俺が」
「てめぇやましい気持ちなんなら辞めやがれ!」
「やましい気持ちはてめぇだろ!」
…なんか前にも見たような…
「私が決めてあげるよ
うーん…キミ!」
「ひゃっほーー!!」
うわっ
ウザイな
「ねぇ…兄さん」
「なんだ?」
「ウザイから本気だして良い?」
「…俺もウザイと思うから良いぞ」
そう言うと意気揚々と構える静
ありゃ相手の奴死んだな…
「始めー!」
そう言ったとたんに飛びかかる戦闘員
静は軽くかわして地面に叩きつけて鳩尾に蹴りを入れて間接を決めながら耳元で何かを囁いている
なんていってんだ…?
「…だからクズみたいな戦闘員ってよばれるし彼女なんて永遠に出来ないしいらない存在になるんだよ」
…うーん…戦闘員泣き出したぞ
「ま…参りまじだ…」
泣きながらギブアップをした
…可哀想になってきた
「ふー!
スッキリした!
次にいこっ!」
「あ…ああ」
「ここが化学発明科だ」
「頭が痛くなってきた!!
次々ー!!」
…化学とか大っ嫌いって言ってたもんな
「兄さんお腹すいたー」
「じゃあ食堂にいくか」
食堂はまあまあの人で長瀬さんは少し忙しそうだった
「あたし高級サイコロステーキと有機栽培サラダのセット」
…そんなんあるの!?
ヤバい…金足りるかな…?
「俺は……!?」
安い…けど…怪しい!!
『長瀬さんの日替わり気まぐれオリジナルメニュー
三百円』
…正直気がすすまねぇ…
でも腹が減ってるしな…
…よし!買おう!
「おまたせ!!
天川君!サービスしといたよ!」
…俺の前にデンと置かれた洗面器
その中に…唐揚げがあった
…あれ?
普通?
「…に、兄さん…なんて言うか…食えるの?」
…気づいてしまった…
唐揚げになっているもの…それは…
竹
筍ではなくて竹
…どうしろと言うんだ…?
「ふー
美味しかった!」
「ははは…
良かったな…」
どうにか食おうとしたけどヤッパリダメだったよ…
腹減ったな…
「兄さん」
「…ん?」
「ありがとね!」
そう言って少し駆け足で走っていった
「…そう言えば昔から何だかんだでお兄ちゃんっ子だったからな…」
「最後に請負部隊だ」
看護部隊は静には特に縁がないから紹介は省いておいた
「みんなー
入るぞー」
入った途端に
ドスッ
「ごはっ!」
エリスと葵のダブル突進を食らった
しかも鳩尾にまた入った…
「エリス…葵…いきなり…なんだ…?」
「天川!
遅いぞ!心配したぞ」
「…朔さん…
そちらの方は…?」
なぜか葵が氷点下の視線で静を見ている
「…俺の…妹だけど…」
「…そうですか…」
なぜかだまっていた静が
「兄さん…
この人達は…?」
なぜか氷点下の視線で聞いてくる
「…俺の同僚だけど」
「葵さんにエリスさんだったよね…?」
なぜか敵意を持った視線と口調で語りかける
「あんた達は兄さんには釣り合わないんだよ…
だから馴れ馴れしく兄さんに関わらないでよ…」
その言葉に葵が少し怒った表情で反論した
「朔さんな釣り合わない訳がないです!
どうすればアナタに認めて貰えるんですか!?」
…もしかして俺の事でケンカしてる…?
「そうだね…
私にあんた達が勝てば認めないでもないよ」
「受けて立とうか…
で?
何の試合をするんだ?」
「この勝負…俺が預かろうか」
なぜか総統が登場
「天川を賞品として君たちの勝ったものに与えよう
それで良いかな…?」
「もちろん
兄さんは渡さないよ」
「天川を取り戻してやる…」
「朔さんは渡さないですー…」
あれ?
俺の人権は?
続く
次回はつけたいタイトルがあったので下にしました
次回が3部作の本当の完結です
ややこしくてすいません…