第四十話「魔豪鬼神オドゥルヴィアの覚醒」・2
「ま、まさか……我を殺そう、というのか?」
「ほぅ、今度ばかりは察しがいいな」
片眉をつりあげ反応を示すバルトゥアス。デュオルグスは地面に突っ伏したまま唇を噛み締めた。
こんなところで終わるわけにはいかない。そう思っていたが、それももう無意味のようだとここではっきり理解した。いや、無理やり思い知らされたと言ったほうが正しいだろう。
「貴様の目的は、何だッ!!!」
「くく……俺の目的は貴様よりももっと上だ。俺はこの世界で最強の存在になる。この世界を改変することなどどうでもいい。俺はな、最強の称号が欲しい。ただそれだけだ。そのためにオドゥルヴィアを作り出した。こいつは不死身であり、鬼神族と魔神族の血を引く魔豪鬼神であり、そして……貴様の持つ神族の力を手に入れさらに高みに登るのだッ!!」
「我が集めたこの力をオドゥルヴィアにッ!? 巫山戯るのも大概にするがいいッ!! そんなこと断じて許さんッ!! 許さんぞッ!!!」
「そう吠えても無駄だ。手を失った貴様などただのゴミ同然。自力で動けぬなど紛うことなき駒同然ではないか! くく……ははははははははは!! さて、冥土の土産はこれくらいでいいだろう。殺れ、オドゥルヴィア。父親の片割れにトドメを刺せッ!!!」
「分かった……」
「や、やめろ! やめろッ!! 父親の言うことが聞けんのか!? 貴様は、オドゥルヴィア=メティン=オルガルト! 我の息子であろうッ!?」
慌てふためき後退しようとするが、動くに動けない。足だけなので起き上がることも出来ない――ということもないが、難しい上に焦っている状態では無理だ。すると、オドゥルヴィアがこう言い放った。
「悪いな。もう貴様に学ぶ必要はない。我には父親は二人もいらん。だからこそ、その力量を測っていた。その結果、貴様は不採用となった。我が父はレイヴォルただ一人だ。だから、名前を改めさせてもらうッ! 我が名は『オドゥルヴィア=オルカルト=ベラス』だ!!」
「な、に――」
グサッ!!!
容赦ない一突きだった。目をカッと見開き胸元を見ると心臓部から背中にかけて神滅剣が突き刺さっているのが分かった。痛感する激痛と敗北感。そして計画を達成できなかったという無念だけが心を蝕んでいく。
「ガハッ!!」
デュオルグスはこみあげてくるものを吐き出した。地面に血反吐が吐き出される。
「ぐ……うっ! これ、で、満足かァ? オドゥルヴィア、バルトゥアス……。いいか? 我は決して許さんぞ! この我をよくも裏切りおって……決して、決して許さんッ!!! 我を、この我をデュオルグス=オビヒリン様を弄びおってえぇェェェェェェェェッ!!!」
ズキュゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!
突如響き渡る一発の銃声。無論バルトゥアスがやった。
「が――。き、さま……。お、のれェ……覚え、ていろ。この恨み、決して忘れんからな……。貴様も忘れ、るなよ? オドゥルヴィア……、我の力を奪おうと、我は、貴様の中で生き続ける……。必ず、必ずや貴様を内部から侵して、くれ――わ……ッ!」
それが最強の鬼神族、鬼蜘蛛デュオルグス=オビヒリンの最期の言葉だった。胸元に突き刺さった神滅剣を抜き取るオドゥルヴィア。そして、抜き取ってその身に新たな力が付与された事を感じると、目の前に横たわる死骸を下劣な視線で見下し、それから人が変わったようにその顔面を蹴り上げた。そのあまりにもの力にデュオルグス――もとい、オルガルト帝の頭部は飛んでいくどころか木っ端微塵となった。頭部の中に詰まったいろんな物が、周囲に撒き散らされる。
「おいおい、オドゥルヴィア。そんな汚い物を扱うな。足が穢れる」
止めるのかと思えば、そんな失礼なことを口にするバルトゥアス。その表情は可哀想な物を見る目だった。無論その眼差しは頭部が悲惨なことになっている男へ向けられている。
「酷い、あんなの……あんまりだわ」
「ああ、いくらなんでもあれはやりすぎだ」
デュオルグスの哀れな末路に同情する斑希と月牙。他のメンバーも少し浮かばれないという表情を浮かべていた。
「おいおい、わざわざ俺は君達のためにあれを殺してやったのだぞ? 少しは感謝してもらいたいものだ。まぁいい。君達にはこれから用があるんでね。協力してもらうぞ? このオドゥルヴィアに力を与えてもらわねばな、くく……かはははははははは!!!」
デュオルグスを既にあれ扱いするレイヴォル。これではあまりにデュオルグスが浮かばれない。何よりも、その体を利用されたオルガルト帝が憐れでならなかった。
「あなた達は人間をなんだと思っているのですか!」
我慢しきれず前に進み出て言ったのは水恋だった。目尻に涙を浮かべ、まるでオルガルト帝のことを憐れんでやっているように見える。
「水恋……お前どうして?」
「月牙さん、確かに私はオルガルト帝に当初恨みを抱いていました。しかし、その悪行が全てオルガルト帝のものではなかったのならば、私はそうは思いません。むしろ、それを操っていたデュオルグスと、さらにそれを操っていたあの男を恨みます」
キッと強く相手を睨めつける水恋。その視線の先には白衣の男――レイヴォルがいた。相変わらずのニヤついた表情。
「くく、無駄な会話は時間の無駄だ。さぁ、オドゥルヴィアを強くするために死んでくれ」
「ふざけんな! てめぇ、人の親や他の人間を実験動物みてぇに利用しまくりやがって!! 性根が腐ってやがる! オレのこと覚えてるか? てめぇに数年前に会ってる金井鋼鉄だ!」
「残念だが、覚えていないな。君が言ったように俺は君達を実験動物としか思っていないんでね。顔と名前などいちいち覚えていない。くく、これで満足か?」
鋼鉄のことなどどうでもよさそうな目で見下し、それからオドゥルヴィアへと近寄る。
「さて、オドゥルヴィア。やるべきことは分かっているな?」
「無論だ。こいつらを殺せばいいのだろう?」
「くく、そうだ。それでいい。お前はただ力を求め、力を得ればそれでいいのだ」
レイヴォルは踵を返しオドゥルヴィアの後ろに下がる。どうやら、戦うのはオドゥルヴィアだけで自分は観戦しているだけのようだ。それを理解した伝説の戦士三十一人はより一層腹立たしい気持ちになった。
「お前は戦わないのかッ!!」
思わずそう口にする月牙。しかし、レイヴォルはニヤついた笑みを見せてレンズの小さいメガネを妖しく光らせるだけだった。同じくその手前にいるオドゥルヴィアも表情一つ変えることなくただ殺意をこちらに向けている。明らかに戦闘態勢に入っている。
「お前ら、覚悟は出来てるか? さっきまで見てたからわかると思うが、相手は相当な手練だ。全力でやらないとこっちがやられるぞ!?」
「全く、相変わらず心配しょうね、駄犬。私達があんなのにやられるわけないでしょ?」
「わたしも頑張って戦うから、わたし達のこと信じて月牙さん?」
凛と霧矛がそれぞれ表情は違えど似たような言葉を口にする。
「お二人の言うとおりでございます。確かに敵はあの厄介な怪物を倒した化物ですが、それでもわたくし達がやらなければ誰もやってくれないのです。全力を尽くす他ございません」
「うん。私もあの時助けてもらった命もあるし、少し怖いけど……頑張って戦います!」
癒宇と葡豊が月牙へ視線を送る。
「モグモグ、さってと腹も膨らんだことだしオレらもやるか、雪」
「うん、おにいちゃん」
氷雨と雪羅の二人が、口に食べ物を入れたままそう言う。
「わたしも頑張らないといけないな~ガロー君も頑張るんでしょ?」
「ああ、ここでカタをつける! 大した功績をあげたわけでもないしな」
幼馴染の砂唯の言葉にスコップを肩にトントンと当てながら砕狼が答える。
「こーちゃんは女性恐怖症なのにみんなと戦えるの?」
「う、うん。多分大丈夫だと思うよ。それに、戦いの間は周囲を気にしないようにすればいいしね」
「全く、結局ここまで我々の見せ場はなし……か」
「何言ってるんだ兄さん。ちゃんと僕ら二人のコンビ技を一度だけお見舞いしてやったじゃないか」
「うむ、まあそれはそうなのだが……」
「僕もなんとかここで見せ場を!」
風浮の言葉に刻暗が少々顔を蒼白させながら頷き、俊龍と聖龍が互いにこれまでの戦績による見せ場が殆どなかったことを嘆き、それに慧も同意の声をあげて気合を高める。
「死ぬ前の団欒の一時は楽しめたか?」
そう口にしたのはオドゥルヴィアだった。ずっとだんまりを続けていた銀白色の髪の毛に紅蓮の双眸を持つ男。何を考えているのかはさっぱりだが、一つ分かるのは伝説の戦士を殺そうとしていることだ。
しかし、こちらは武器を持っているのに対し、敵は武器を持っていない。もしかすると、あの白衣の内ポケットか何かに武器を仕込んでいてここぞとばかりに取り出して戦うのかもしれない。
そう考えた伝説の戦士は気を抜かぬように気を引き締めた。
日もすっかり落ちてきているようだが、空は相変わらずの鉛色の空で覆われているため様子が分からない。ただ、暗雲が立ち込め明らかに闇のオーラが周囲に漂っているのはわかる。このままでは、本当に第二次神人戦争の被害が第一次神人戦争のそれを上回る可能性が出てくる。それだけは何としてでも阻止したかった。
「来ないのならば、こちらか行かせてもらう」
先手を打ったのはオドゥルヴィアだった。片足を強く踏み込み、こちらへ急接近してくるオドゥルヴィア。目前から迫ってくる敵に一番近かった月牙は、ギリギリで得物の剣を自身の胸元に構えて敵の攻撃を防御した。てっきり武器か何かが出てくるのだろうと踏んでいたが、それは違った。敵は素手だった。それでもって月牙の剣に手刀を繰り出す。
普通ならば手が切り落とされていることだろう。だが、この男の場合は違った。手は切り落とされず、傷一つつかぬまま月牙の剣と鍔競り合っていたのだ。
信じられなかった。今まで相手にしてきた敵でこんな敵は見たことがない。見た目は明らかに人間。だが、その真意は何なのか分からない。すると、レイヴォルが声を発した。
「分からない……という顔だな。せっかくだ、教えてやろう。そいつはな、俺とそこでくたばっているゴミから産まれた子だ。丁度我々二人の遺伝子を受け継いでいてな? 俺が魔神族の血を、デュオルグスが鬼神族の血を持っているが故、その間に産まれた子であるオドゥルヴィアは魔豪鬼神としてこの世に生を成した。くく、素晴らしい実験だった。魔豪鬼神、本来ならばこの世に七体しか存在せず、さらにそれは既に消滅している存在だった。その八体目が今目の前にいるのだ。素晴らしいとは思わんか? 俺はな、強い力が欲しい。それを欲するがあまり、常に頂点を目指してきた。だが、伝説に残る魔豪鬼神というものがどういうものなのかをこの目で確かめていない。もしそれが頂点なのならば、それと戦い勝たなければ意味がないからな。だからこそ俺は探しに捜し続けた。その結果、興味深い物を見つけたのだ。鳳凰一族……四帝族が一つにして、鳳凰鈴華が当主となっているあの一族はな、元々は巫女族と呼ばれる一族なのだ。産まれたその時より不死身の力を宿し、子を産むとその力を子へと譲渡する特別な力を持ち、さらに彼女達は自身の身を守るために霊力を持っていた。そして、ある時、魔界に一人の巫女が現れた。名を鳳凰輪廻と言う。輪廻は、七体の魔豪鬼神と出会った。そして、自身の胎内に精を受け、それを霊力として結晶化することで魔豪鬼神の力を封じ込めた。これによりできたのが七力だ。それ以降七力は輪廻の子孫から次々へと伝わっていった。こうして、七体の魔豪鬼神は滅んだんだ。それを知った俺は是非ともその七力が欲しくなった。それによって産まれたのがそこで横たわっている神崎妃愛だ。こいつはな、神崎王都の父親である神崎斬覇とミーミル=S=リスマードの遺伝子を受け継いでいてな、さらにそこに鳳凰鈴華の体を媒介とすることで鈴華の持つ七力全てと不死身の力を受け継ぎ、なおかつ神族と王族との間に産まれたことにより神王族が誕生した。そう、神崎王都の腹違いの妹が生まれたのだ。そして、これだけでは足りないということで俺は妃愛に七つの秘宝を渡した。伝説の英雄をこの世に再び降臨させるためにな。強い物を多く作ることで俺は絶対に襲われることはない。この奴隷の首輪がある限りな」
自慢気にレイヴォルは鎖の先端部を見せつけてきた。その鎖は黄金色に光り輝く鎧を纏った幼女――神崎妃愛と、未だに伝説の戦士に攻撃を仕掛けてくる魔豪鬼神――オドゥルヴィアの首輪に繋がっていた。
「くく、無論これは途中の鎖を消すことも可能だ。まぁ、契約はきれないがな……。まぁ、どうあがこうと一度この首輪に繋がれれば二度と離れられんということだ」
自身が作った物に強く自信を持っているのだろう。すると、その言葉に雷落が特に過剰に反応を示した。
「あれは私達の何度も繰り返した失敗によって完成した代物なのに……。それをまるで自分だけで作り出したみたいに言って、許せないっ!」
「どうとでも言うがいい。俺は痛くも痒くもないがな。さて、邪魔が入る前に片付けてしまおう。やれ、オドゥルヴィア」
サッと手を前に突き出し合図を送るレイヴォル。すると、その指示にオドゥルヴィアが双眸を真っ赤に輝かせた。
と、その時――。
「待ちなさいっ!」
「あなたの悪行もそこまでです!」
そう言って聞き覚えのある声が聞こえてくる。特にある二人はその二つの声を毎日聞いていた。
「か、母さん?」
「お母さん!?」
そう、月牙と斑希の母親であり世界四大神でもある月の神ルナーと太陽の神フィーレだ。だが、なぜ二人がここにいるのかそれが不思議でならないレイヴォル。目を見開き先程までの余裕綽々とした態度が完全に消え失せて狼狽し始めていた。
どうやら世界四大神の二人が来るとは思ってもみなかったのだろう。そう考えていた矢先へのこの状況。
「くっ! なぜ、なぜ世界四大神がここにッ!?」
「あら、訊きたい? 簡単に言えば月牙の奴隷ちゃんから聞いたのよ」
「ど、奴隷!?」
フィーレが口にする言葉に娘の斑希が驚愕の表情を浮かべて口元に手を当てる。
「ち、違う! あれは奴隷じゃなくて元奴隷だよ! 誤解を招くような言い方しないでくださいよ、フィーレさん!」
「ふふふ、ごめんなさい月牙くん? 確かあの子は巫女族の子よね? 確か七力を全て持っているんだったかしら? 行方不明になったとは聞いていたけど、鎧一族のトコにいたんだ。道理で見つからないわけね。それに、いつの間にかキルくんも死んじゃってたし」
「き、キルくん?」
初めて聞く言葉に斑希が首を傾げた。その反応に慌ててフィーレが説明する。
「ああ、神崎斬覇くんよ。私達と結構よく話してたのよね。特にジョーカーと仲が良かったんだけど、ある時を境に喧嘩するようになっちゃって……結局仲直りすることなく別れちゃった――んだよね?」
「ち、ちょっと! お姉さま、それくらいのこと覚えていてください。なんで私が覚えていないといけないんですか~」
姉が突然自分に確認を取ってくるので呆れた様子で嘆息しながら言う妹のルナー。すると、そのやりとりを見ていた他の伝説の戦士が明らかに自分達が蚊帳の外にいるということを感じ、二人のことについて尋ねた。
「あ、あの! お、お二人は一体――」
「あぁ、ごめんなさいね? もう、ルナーがしゃんとしないから~」
「お、お姉さまのせいですよ! ご、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。お初にお目にかかるかと……思いますので、一応自己紹介を。私の名前は『ルナー=R=ナイトメア』。世界四大神の一人で月の神です。息子の月牙が大変お世話になっているようで……」
「か、母さん! や、やめてくれよ!」
神族の中でもそこそこ立場のいいところにいるルナーが、明らかに身分の下である者へ頭を下げてくるので、伝説の戦士は狐につままれたような不思議な顔をしていた。
「いえ、こちらこそ……。月牙さんには色々とお世話になっていますので」
一応四帝族ということでこの中では一番偉い立場にいる水恋がお辞儀し返す。
「あれ~ルナーってば、この子に胸の大きさ負けてるんじゃないの~?」
「んなっ! お姉さま! 非常識ですよ! 今は戦いの時なんです! 胸の大きさはどうでもいいじゃないですか!」
「そんなことはないわよ? でもほら、月牙くんって胸の大きい子がお好みみたいだから……」
そう言って半眼で月牙の方に熱い視線を送ってくるフィーレ。その視線に思わず冷や汗ダラダラになる月牙。
「そ、そんな……! あんなに一生懸命育てたのに、どうして貧乳ではなく巨乳好きになってしまったんですか! 月牙、あなたは親不孝物です! 私は悲しいです」
「ちょ! 勝手に俺の信用度をガタ落ちさせる話題を繰り広げるなッ!! 俺は大きさなんてどうでもいいんだって!! それよりも今は敵だろ、敵ッ!!」
顔を真っ赤にさせた月牙が声を荒げながら二人のダメダメな世界四大神に言う。すると、ションボリとしたルナーが口を開いた。
「そうでしたね、私としたことが……」
「まったく、ルナーのせいで私まで怒られちゃったじゃない」
「お姉さまが悪いんですよ!」
勝手に責任転嫁されてルナーは憤慨し姉のフィーレに言い返した。
「ゴホンッ!! ああ、随分と俺の事を忘れているようだが、いい加減目の前の現実を確認してはどうだ? 太陽の神に月の神……」
さすがに黙り続けるのは疲れたのか、大きな咳払いをしてレイヴォルが会話をそこで止めにかかる。すると、その声の主の方にフィーレとルナーの二人が視線を向けた。
「ふぅ~ん、なるほど。それがあなたの新しい体ってことね、バルトゥアス?」
「くく……今の体はレイヴォルだ。まぁ、どちらで呼ばれようが構わんがな。さて、二人の力もオドゥルヴィアに与えてやってくれ。こいつは強い者と戦えば戦うほど学習し、そしてますます強くなっていく。完成型が待ち遠しくて仕方がないよ」
「残念ですが、その望みを叶えることは到底敵わないですよ? 私達が来たからにはあなたの好き勝手にはさせません、レイヴォル!」
「ちょっと、バルトゥアスだってば!」
「レイヴォルです」
「バルトゥアス!」
「レイヴォル!」
『ぐぬぬ~』
突然太陽の神と月の神の姉妹は互いの額をくっつけて火花を散らし始めた。たかが、敵の名前をどちらで呼ぶかの問題なのに。
というわけで、デュオルグス並びにデュオルグスによって体を乗っ取られてしまったオルガルト帝が死にました。しかも無残な最期を遂げて。
さてこれで、敵が一人減ったわけですがまだ二人残っています。と、そこで強い助っ人が登場。フィーレとルナーです。にしてもこの二人はシリアスなムードをコメディに変えてくれます。おかげさまでレイヴォルがなんだか少し悪役に見えなくなってしまうことに。
とまあ、それはさておき、三部からはバトります。