第一ゲーム 『ロジックキューブ』 その5
カチリ――
そんな音がして、南京錠が外れる。
純也は転がり出るようにドアの向こうへと飛び出した。
残り時間は二十五秒を切ったところで止まっていた。
「た、助かったのか……」
ピッと端末が鳴る。純也は心臓が止まるのではないかと思うほどに驚き、そして端末に視線を落とす。
『 おめでとうございます。
あなたはロジックキューブをクリアーされました。
次なるゲームがお待ちです。
そのまま広間へとお進みください。
』
次なるゲーム。こんなゲームがまだ後三つも存在するのか?
軽い眩暈を覚え、純也は壁に寄りかかった。
壁は冷たいコンクリート製で、人が二人並んで歩けるほどの通路がまっすぐに伸びていた。
通路の先は闇に包まれていて、何も見えない。
まるで大きな怪物の腹の中にいるようだ。
そんな感覚がして、ぞっと肌に粟が立った。
しかしここでこうしていても仕方がない。
生きてここから出るには、残りの三つのゲームをクリアーするしかないのだ。
そこでふと純也はあることを思い出し、端末を操作した。
選択したのは『ソフト』という項目。
『ソフト』というのは、この端末に備わった機能のことだろう。
もしかしたらこの建物の地図などが入っているかもしれない。そんな希望を胸に純也は『ソフト』を選択したのだが、
ピピピッという短い電子音の後、端末に文字が表示される。
『あなたの端末にはソフトがインストールされていません。
インストール後、再度選択してくだい』
と表示された。
純也はため息をつき、端末をポケットにしまった。
「とりあえず道なりに進めばいいのかな?」
ごくりと唾を呑み込み、純也は通路を歩く。
純也のいた部屋とは違い、通路はしっかりとした造りになっていた。
歩くたびに、コツンコツンと低い音が反響する。
「迷路だな、まるで……」
どこまでも続く壁、壁、壁。
途中にいくつか部屋を見つけたが、中は物置になっていることがほとんどで、人のいる気配は感じられなかった。
どれぐらい歩いただろうか。
やがて開けた場所へと出た。
円状に広がる空間、中には年齢性別がばらばらな十二人の人間がいた。