第三ゲーム 『ロール』 その3
休憩所を出た純也たちは、マップを見ながら通路を進んでいた。
「それで、どこに行けばいいんですか?」
美里の質問に、純也はマップの一部を指差した。
「たぶん、ここの『王国への門』ってところじゃないかな」
マップの一番奥。いくつもの小部屋が存在するこのフロアーで、唯一他の部屋の三倍はある区画があった。マップにはそこが『王国への門』と書かれている。
さきほどの妖精の言葉を信じるならば、まずはそこへ向かうべきなのだろう。
しかし、
「その前に、確かめておきたいことがあるんだ」
そう言った純也に、全員が首を傾げる。
「確かめておきたいことって?」
留美の問いに、純也は休憩所でずっと考えていたことを口に出した。
「ずっと気になってたんです。次のゲームが始まるまでの三時間という時間は一体何を意味していたのかって」
「それは、休憩のためなんじゃ……?」
美耶子の言葉に、純也は小さく首を振った。
「いや、それだけじゃないと思うんだ。確かに休憩の時間もあったんだろうけど、きっと他の意味もあったはずなんだ」
「次のゲームへの準備、か?」
そう言う伊月に、純也は頷きを返した。
「ええ、きっとこのいくつもある小部屋に何かがあると思うんです。今の距離なら、時間に余裕はあります。だから全部とは言わないけど、いくつか小部屋の中を確かめておきたいんです」
「なるほど……他のプレイヤーが休憩所にいなかったのは、小部屋から何かを入手していたということも考えられるな」
「ええ、ここからだと、こことここの小部屋が近いです。時間的にその二つしか見れませんけど、確認しておきたいんです。いいですか?」
純也の指針に全員が頷きを返す。
そうして純也たちは、現在位置から一番近い小部屋へと進路を変えたのだった。