インターバル2 『休息』 その3
「みんなで、か……」
純也と美耶子の会話を聞いていた伊月は、思わずそう呟いていた。
そんな伊月のところへ、同じく二人の会話を聞いていた留美が近寄ってくる。
「美耶子君の言う通りだね。月村さんを助けられなかったのは、伊月君のせいだけじゃない。あたしたち、みんなの罪だ。だから伊月君が一人で背負い込むことじゃない。あたしたちにも背負わせてくれないかな?」
留美はそう言って微笑む。
伊月はどう答えたらいいのか悩み、頷きだけを返した。
純也と美耶子は今は眠っている。扉にもたれかかり静かに寝息を立てる純也と、彼の肩に頭を乗せて眠る美耶子。
そんな二人を見つめながら、このグループの中にいて良かった。素直にそう思えた。
人を騙し、殺さないと生き残れないゲームの中で、人を信じて支えあっていこうとする、そんな尊いものを感じることが出来たから。
だからこそ思う。
この輝きを燻ぶらせてはならないと。
恐らく今後のゲームはより過酷になっていくだろう。その中で人を傷つけ、殺さなければならない状態が出てくるかもしれない。
そのときは彼らの代わりに自分がやろう。
この子供たちの純真さを汚してはならない。そういうことは大人がやるべきなのだ。
『あの子たちを、お願い』
そう託した玲子の言葉を思い出す。
玲子は伊月に全てを託した。だから自分が子供たちを守らなければならないのだ。
そのためなら――
(田嶋、次のゲームでお前を殺す……)
伊月はそう心に決めたのだった。
そして休息は終わり、次なるゲームが始まる。