第二ゲーム 『フラッグ』 その3
チェックポイントとなっていたのは、純也たちがいたのと同じような部屋だった。乱雑に物が散らかっているが、やはり定期的に掃除されている感じがした。
「あ、あったわ!」
玲子が木箱の上に置かれたカードを手に取った。
そして玲子は全員の顔を見つめた。
カード一枚につき、一人にしか使うことは出来ない。
つまりこのカードを誰が使うかを決めようというのだ。
「月村さんが見つけたんですから、月村さんが使ってください」
美耶子の言葉に純也も庄之助も頷きを返した。
団体行動により思考の広がりと安全性は増した。しかしデメリットとして集めなければならないカードの枚数が増えるというものがあった。今ここにいる全員分のカードを集めるとなると、最低でも二十枚のカードが必要となるのだ。
純也は、誰がカードを読み込ませるかで仲違いして争いになるという事態だけは避けたかった。
ここは時間がかかっても全員分を集めるのが得策だろうと考える。
だが、そこに大きな罠が潜んでいることを純也が知るのはもう少し先のことだった。
玲子は感謝の言葉を述べ、端末にカードを読み込ませた。
固唾を呑んで見守る面々の中、端末から甲高い電子音が鳴り、画面に文字が表示される。
『このカードは既に他の端末にインストールされています』
エラーメッセージ。つまり先に誰かがこのカードを端末に読み込ませていたということ。
そして純也はハッとあることに気付いた。それはこのゲームに隠された罠。
地図にはチェックポイントの位置が表示されている。
しかし誰がどのチェックポイントを使ったかが分からない。
つまり外れを引く可能性があるということだ。そしてそれは時間が経てば経つほど、未使用のチェックポイントを見つけることが困難であることを意味していた。
「予想以上に厄介だな、このゲームは……」
純也は端末を睨みながら、小さく呟いた。