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03 悶絶~恋せし乙女は一刻ももたぬ~

リリティア崩壊録第三弾。


さーて今回のリリティアは・・・?




レンが講義に参加。しかし生徒達には絶対のルールがある。そのため離れ離れにならないリリティア。・・・さてどうなることやら?




※ちなみに一刻は平安感覚で行けば2時間ですが、これはあくまで誇張表現・・・のようなものだと思ってください。

「え・・・」



朝食を済ませた後(リリティアはちゃんと服を着て)、リリティアは絶望に染まったような顔をした。



「ごめんね、学園の決まりで一週間は精霊と一緒に授業に出ていけないってなってるんだ」



レンの説明にさらに絶望感たっぷりな顔をするリリティア。


精霊使役者養成学園では、「精霊と契約した者は、精霊についての知識を深めるため修学日に限り一週間自室以外での精霊との触れ合いを一切禁ず」という決まりがあった。勿論反対をした生徒が多数出たが、それは悉く却下され、全生徒が渋々それに従うしかなかった。レンも例に漏れず、その決まりを遵守することにしていた。


・・・が、納得いかないのがリリティアである。



「やーだー!!レンと一緒にいたいの!!ずっと一緒がいいの!!」

「わ、リリティア、落ち着いて!?ね!?」

「無理にでもついていくもん!!絶対、ぜーったい、ついていくもん!!」

「だから、無理なんだって!ちょっとは我慢してよ、ね?」



嫌だ嫌だと言って聞かないリリティアをどうにかして宥めようとするレン。どうしたものかと考えた結果。



「一週間僕がいない時間我慢してくれたら週末にデート連れてってあげるからそれで我慢して!ね!?」

「デート!?うん、我慢する!!」



レンはこの時思った。リリティアはなんて現金なんだろうと。



「じゃ、じゃあ行ってくるね」

「うん!」



リリティアは大きく手を振ってレンを見送った。部屋にぽつんと残った彼女はキョロキョロと周りを見渡した。



「・・・レン・・・」



レンの名を虚空に呟いた後、レンのベッドにぼふっと倒れた。



「・・・レンの匂いだぁ・・・いい匂い・・・」



傍から見れば「まだレン成分が足りないのかお前は」とでも言いたくなるくらいにレンの匂いを堪能していた。ちなみに枕に顔を埋めているあたり、重症である。






































そして、レンと別れて1時間後。



「うー・・・あー・・・うー・・・」



枕に顔を埋めたり、ベッドに潜り込んだりなど、レンの私物を手当たり次第に触ったりしていたリリティアだったが、1時間で自分のベッドの上で呻いていた。



「レーンー・・・会いたいよぉ~・・・」



たった1時間。それだけでもうダメになっていた。




































その頃のレンはというと。



「精霊には心臓が二つあると言われている。一つは本当の心臓。こちらにダメージを受けると当然苦しみ、最悪死ぬ」



精霊学の授業を聞いていた。入りたての彼らがまず学ぶのは精霊についてのこと全て。



「もう一つの心臓は、精霊の力を司る精核だ。これが損傷を受ける、或いは特殊な方法で抜かれると下位の精霊は一般の生き物となんら変わらない存在になり、上位の精霊は下位の精霊となる。こちらは精核さえ戻せば元に戻るが、完全に戻るまでは日数を要することを忘れるな」



カリカリという万年筆の走る音が部屋全体に響き渡る中、レンは別のことを考えていた。



(リリティア、暴走してなきゃいいんだけど)



ちょっとリリティアのことを思った後、すぐに授業を聞き続けた。







































そして2時間後。



「レンに会いたいレンに会いたいレンに会いたいレンに会いたいレンに会いたいレンに会いたいレンに会いたい・・・」



リリティアは半分暴走していた。・・・いや、まだ力を使っていない所を見ると完全に暴走していないと見える。ただ、口から洩れる言葉は全て欲望に染まっていた。


彼女の目は既に虚ろになっており、言葉に表すなら「壊れている」・・・だろうか?






































昼休み。この時間だけは寮暮らしの生徒限定で自分の部屋に戻れる。



「リリティア、ごめんね・・・ってうわぁっ!?」



自分の部屋に戻ってきたレンが見たものは、あまりにも悲惨な姿を晒しているリリティアだった。



「レン・・・会いたい・・・レン・・・会いたい・・・」



言葉も既に単語レベルにまで減り、うつ伏せで自分のベッドに寝転がっていた。



「リリティア!?しっかりしてよ、リリティア!!」

「・・・レン・・・?レン!」



体を揺すられ、名を呼ばれ、初めてレンが戻ってきたことに気付いたリリティア。瞬間、虚ろだった目に光が戻り、調子も戻るなど、一気に元に戻った。



「やっぱり耐えられないぃ~!!レンがいないと死んじゃうよぉ・・・」

「いや、さすがに死んだりはしないと思うんだけど・・・流石にちょっとマズいかも・・・」



レンは本格的に考えた。流石に死にはしないだろうが、このまま一週間同じ状況が続けば間違いなくリリティアはおかしくなると。初日のたった3時間で目が虚ろになり何かを呟いているだけという状態になってしまっているのだから。



「・・・先生にちょっと掛け合ってみるけど・・・少しくらいは我慢できるようになってね?着替えとかは一緒にいられないから」

「うー・・・やだー・・・」

「いやほら、僕以外の男子の着替えも見ることになるんだよ?というか、触れ合い禁止期間が終わったら一緒に授業受けることになるけど、着替える時に僕以外の男子に下着姿見られるんだよ?それでもいいの?」

「見た奴全員ぶっ潰すからいいもん」



この一言にレンはダメだこりゃと思った。どうにかしてでもリリティアが自分から少しの間だけでも離れられるようにしなければならない。が、そこまでの間に学園が何度壊滅してしまうことだろうかと考えた時、諦めの溜息が思わず漏れた。







































とりあえず事情を説明し特例措置を取ってもらおうと相談した結果、リリティアに限っての特例措置が認められた。理由としては



『準最上位精霊である彼女に不満を持たせると、学園が崩壊しかねないから』



という、レンが危惧したのと全く同じ理由だった。

リリティア崩壊録第三段、如何でしたか?


次回は最後にちょろっとだけ出た「リリティアのみの特例」が適用されてからの講義風景です。


・・・はっきり言います、このままではレンがリア充確定。・・・いや、リア充か。

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