24 精霊恋愛戦争~龍(ドラゴン)少女のその力~
タイトルの龍とはなにか?
というかシエラどうなったんじゃい!?
その答えは今回で明らかになります。
ついでに言えば、デジャビュもあるかも?
ジャド沼から返ってきた直後、シエラは早急に検査を受けることになった。何が起きたのか、彼女の属性はどうなったのか。その2つを調べるための検査だ。
数日間検査室に監禁されっぱなしなシエラとしては(長期検査のため仕方ないのだが)たまらなく暇であり色々と持て余していた。
「・・・レン〜・・・会いたいよぉ〜・・・」
一室でシエラは涙ぐんでいた。
「えへへ・・・」
「ふにゃぁ・・・」
「うふふ・・・」
「んぅ・・・」
精霊少女達はレンに抱きついたり膝枕したりしていた。抱きついているのはリリティアとシンシアとシエル、膝枕はシルディア、
「ぶすぅ・・・」
「うー・・・」
膨れっ面なルナーリアと唸るナジャ。そして・・・
「あ、あのあの、ご主人様、困ってますし、あう」
ノエルはただただ困惑していた。目の前で起きている争奪戦に、どう終止符を打つべきか、に。
「今ライバルは1人減ってるから・・・今私が一番有利だもん、レンの事一番知ってるの私だし!!」
「何言ってるのかしら?一番レンの力になれるのは私なのよ?」
「レンにだったら私、何されてもいいよ?」
「・・・私はご主人様の癒しになり続けますからね」
「ご主人様は譲れないのー!!」
「そうだよ、ボクだって譲る気はないよ!」
互いに譲る気はない様子で、結果レンは少女達に完全に囲まれる形となった。
「・・・むぎゅぅ」
レンは重さや柔らかさなどで苦しむ羽目になったのだった・・・
「レ―――――――――――ン―――――――――――――――――っ!!!」
「うわぁっ!?」
ようやく検査が終わったシエラは、風の力を利用してなのか、物凄い勢いでレンに突っ込んできた。
「もう絶対離れない!!私ずっと一緒にいる!!どこにだって一緒!!」
たった数日、数日である。ただそれだけ離れていただけなのにもかかわらず、シエラはいつかのリリティアと同じ状況になっていた。
「シエラ!?」
「なんか帰って来てからと全く違うよ!?」
「なんというか・・・ご主人様に物凄いべったりになったような・・・?」
完全に離さないと言わんばかりに抱きついているシエラの瞳にハートが浮かんでいるように見えたナジャとノエル。完全にレン独占状態を果たしているシエラに対し、奪われたナジャとノエル以外の面々は膨れっ面だったり嫉妬のオーラを纏わせていた。
「えと、結果はどうだったの?」
「私、属性増加と主属性変化が起きてて、主属性が風から龍に変わったの」
『龍属性!?』
精霊少女達はシエラの発言に一斉に驚いた。声は出ていないがレンも驚きを隠せなかった。龍属性・・・100年に1体生まれるかどうか、と言われるほどとても貴重な属性の精霊である。
「じゃ、今日は私がレン独占させてもらうわよ♪」
『えっ!?』
そしてこの我儘にまた全員が驚く。今までいなかったその反動だからというのは分かるが・・・
「ダメーっ!!」
「お姉ちゃんは許さないもん!!」
シエラの独占を真っ先に拒絶したのはルナーリアとシエルだった。たまたまレンを後ろから突き飛ばしてしまったシエルは、その先にリリティアがいることを失念していた。
「うわっ!?」
「きゃぁん!!」
リリティアの上へと倒れ込んだレン。若干悲鳴が艶っぽさを含んでいたその理由は・・・
「・・・ひゃんっ!も、もぉ、レンのえっちぃ・・・」
「ご、ごめん!」
リリティアの胸を盛大に鷲掴みしていたのだ。
「す、すぐ離れるから」
レンはすぐに退こうとしたが、逆にリリティアはと言うと・・・
「・・・もっと、好きにしていいよ」
自分の手でレンの手を更に胸に押し付けた。レンは昇格もしたためより妖艶になったリリティアから目を離せなくなっている。
「リリティア!!抜け駆け禁止!」
シンシアによって無理やり引き剥がされたレンだったが、その後また一騒動起きた。
「今日一日一緒なの!!」
「ふぎゃん!」
シエラがついに強硬手段に出たのだ。術式詠唱も術名宣言も一切無しで自己強化を行ったシエラは一気にレンを引っ張り込んだ。再びリリティアが巻き込まれていたが。
「レンは絶対渡さない!!『波防壁』ぉ!!」
いきなり龍属性精霊術式を悪用したシエラは、リリティアが同じフィールドにいるにもかかわらず勝ち誇った顔で全員を見た後・・・
「レン・・・私の事、めちゃくちゃにしていいよ・・・」
シエラは完全に暴走している様子で(下手したら堕落しているレベル)、レンに主従だとかそういう関係を超越しようと持ちかけていた。が、そうは問屋が卸さない訳で。
「私のこと忘れないでよー!!」
うがー、とリリティアがレンの下敷きになったまま吠えた。一度シエラはリリティアを見た。その直後、悪魔の囁きとしてシエラはリリティアに告げた。
「・・・リリティア、私と一緒にレンにめちゃくちゃにされよ?」
「えっ!?その、あの、えと、さ、されたいなっては思うけど・・・は、初めてはベッドの上がいいなーって・・・」
フィールドの外でシンシアやシエルが必死になってシールドを叩いているが、そんなの関係ないとばかりにシエラは暴走を続けている。リリティアも若干流されかけているが・・・
「や、やっぱりダメ!初めては2人きりでしたいの!!」
シエラを突き飛ばし、レンを守ろうと動いた。そのまま、無理に凄い事をした。
「『闇の傀儡』!!我等を守る牢獄と成れ!!」
禁術、『闇の傀儡』を無詠唱で発動し、そのまま守るための壁を創り上げたのだ。
「リリティアぁ・・・」
完全に落ち込んだ目でリリティアを見つめるシエラ。しかしリリティアは完全に守る、と言わんばかりに睨み、抱きついていた。
「内部からなら・・・脆いはず!我が槍と成りて障壁を討ち砕け!」
影を利用し、シールドを破壊した。
「ふっ!!」
直後、シンシアがシエラの首に手刀を当て、気を失わせた。そしてすぐにシルディアが落ち着けるよう処置を施した。
「・・・よかった、レンが何もされなくて」
リリティアはレンを抱きしめていた。
「・・・ごめんなさい」
シエラは目を覚ました直後の開口一番、謝罪した。
「・・・レンに逢えない日々が続いてたから・・・一昨日辺りから記憶が曖昧で・・・」
「かなり辛かったんだろうね・・・ボクもシエラと同じ状況だったら耐えられなくて同じ状態になってたかも」
「おそらく、龍属性も何かしらの影響があったのかしらね」
それぞれの意見を述べていく中、シエラは改めてレンを見た。
「・・・さっきはおかしくなっちゃったけど・・・本当にごめんなさい。・・・それに・・・捨てないで」
「捨てはしない。捨てることなんてできるわけないよ」
そう聞いたシエラは、ただレンに抱きつき、「ありがとう」と小さく呟いたのだった。
龍属性が主属性となったシエラ。彼女の更なる活躍は次回以降に。
そして次回はまた増えます。めんどくさい性格の子が。
あと次々回から新章スタート予定です。こちらもこう御期待!




